次元解析入門 第4章 §4.1 ★★ 質量が結果から消える論法は、第4.4節の流出速度でもそのまま使う
長さ ℓ の糸に質量 m のおもりをつけ、振幅(最大の振れ角)θ0 で振らせる。周期 T に関係しうる量は、ℓ、m、重力加速度 g、θ0 である。
| T | ℓ | m | g | θ0 |
| M | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 |
| L | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 |
| T | 1 | 0 | 0 | −2 | 0 |
T,m,g の列から作る 3×3 小行列式は 1=0 なので階数は3、無次元量は 5−3=2 個である。θ0 はそれ自体が無次元なので Π2=θ0 とし、T を含む Π1=Tℓxmygz を作る。M:y=0、L:x+z=0、T:1−2z=0 よりz=21, x=−21, y=0 で、
Π1=Tℓg,T=gℓf(θ0)
を得る。
分かったこと
- 周期は質量によらない。質量の次元 M を持つ量は m だけなので、M の指数を0にする条件がm の指数 y を0にしてしまう。M を打ち消す相手がいない量は、無次元量に入れない。第4.4節の流出速度で密度 ρ が消えるのも同じ理由である。
- 周期は ℓ/g に比例する(振幅を固定したとき)。糸を4倍にすれば周期は2倍になる。
- 振幅への依存は関数 f に押し込まれ、次元解析では決まらない。
関数 f は運動方程式 θ¨=−(g/ℓ)sinθ を解いて決まり、第1種完全楕円積分 K を使って f(θ0)=4K(sin2(θ0/2)) となる(K(m)=∫0π/2dφ/1−msin2φ)。θ0→0 で f→2π となり、よく知られた T=2πℓ/g に戻る。振幅10°では 2π からのずれは0.19%、90°では f=7.42 である(図 4.1)。
図 4.1 単振り子の T/ℓ/g=f(θ0)。点線が楕円積分による厳密値、実線が小振幅の値 2π。橙の点は θ0=30∘,60∘,90∘ での値 6.39, 6.74, 7.42。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com