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分布(法則)と押し出し測度

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第3章 確率変数と分布
目次
  1. 分布の定義
  2. 同じ分布をもつ確率変数
  3. 確認テスト
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

確率論入門 第3章 §3.2 ★★★ 確率変数は R\mathbb{R} の上に確率測度 PX=P∘X−1P_X=P\circ X^{-1} を作る。確率の計算はすべてこの測度の上で行える

分布の定義

確率変数 XX が与えられると、各 Borel 集合に「XX がその集合に値をとる確率」を割り当てることができる。

定義 3.7(分布)

確率空間 (Ω,F,P)(\Omega,\mathcal F,P) 上の確率変数 XX に対して

PX(B)≔P(X−1(B))=P(X∈B)(B∈B(R))(3.7)P_X(B)\coloneqq P(X^{-1}(B))=P(X\in B)\qquad(B\in\mathcal B(\mathbb{R}))\tag{3.7}

と定める。PXP_X を XX の分布または法則と呼ぶ。合成の記号で PX=P∘X−1P_X=P\circ X^{-1} とも書く。

定理 3.8(分布は確率測度 ★★★)

PXP_X は (R,B(R))(\mathbb{R},\mathcal B(\mathbb{R})) の上の確率測度である。

証明

可測性から X−1(B)∈FX^{-1}(B)\in\mathcal F なので、(3.7) の右辺は定義されている。全体の確率は PX(R)=P(X−1(R))=P(Ω)=1P_X(\mathbb{R})=P(X^{-1}(\mathbb{R}))=P(\Omega)=1 である。

σ加法性を示す。B1,B2,…B_1,B_2,\dots を互いに素な Borel 集合とすると、逆像 X−1(B1),X−1(B2),…X^{-1}(B_1),X^{-1}(B_2),\dots も互いに素である。実際、i≠ji\ne j の2つの逆像の両方に ω\omega が入るなら、次の矛盾が起きる。

X(ω)∈Bi∩Bj=∅.X(\omega)\in B_i\cap B_j=\emptyset.

したがって PP の σ加法性から

PX(⋃nBn)=P(⋃nX−1(Bn))=∑nP(X−1(Bn))=∑nPX(Bn)P_X\Bigl(\bigcup_n B_n\Bigr)=P\Bigl(\bigcup_n X^{-1}(B_n)\Bigr)=\sum_n P\bigl(X^{-1}(B_n)\bigr)=\sum_n P_X(B_n)

となる。

この構成は実数値に限らない。(S,S)(S,\mathcal S) を可測空間とし、写像 X ⁣:Ω→SX\colon\Omega\to S が次を満たすとする。

X−1(A)∈F(すべての A∈S)X^{-1}(A)\in\mathcal F\qquad(\text{すべての }A\in\mathcal S)

すると同じ証明で、P∘X−1P\circ X^{-1} は (S,S)(S,\mathcal S) の上の確率測度になる。

これを PP の XX による押し出し測度(像測度)と呼ぶ。標本空間の上の確率を SS の上へ「押し出す」という意味の名前である。S=R2S=\mathbb{R}^2 の場合は確率ベクトル (X,Y)(X,Y) の同時分布になり、第4章 §4.3 で扱う。

図

図 3.1 押し出し測度。R\mathbb{R} の Borel 集合 BB の重さ PX(B)P_X(B) を、逆像 X−1(B)X^{-1}(B) の確率で定める。

同じ分布をもつ確率変数

2つの確率変数 X,YX,Y の分布が等しい(PX=PYP_X=P_Y)とき、2つは同分布であるという。記号では X=dYX\overset{d}{=}Y と書く。XX と YY は別の確率空間の上で定義されていてもよい。同分布は「確率的な振る舞いが同じ」ことを言い、関数として等しいこととはまったく違う。

同分布だが一致しない

Ω=[0,1)\Omega=[0,1) に Lebesgue 測度を入れ、2つの確率変数を次のようにおく。

X(ω)=ω,Y(ω)=1−ω.X(\omega)=\omega,\qquad Y(\omega)=1-\omega.

0≤a<b≤10\le a<b\le 1 に対して次が成り立つ。

P(a<Y≤b)=P(1−b≤ω<1−a)=b−a=P(a<X≤b)P(a<Y\le b)=P(1-b\le\omega<1-a)=b-a=P(a<X\le b)

よって §3.3 の一意性定理によって X=dYX\overset{d}{=}Y である。一方、2つの値が一致するのは ω=1/2\omega=1/2 のときだけで、P(X=Y)=0P(X=Y)=0 である。

確率変数の関数の分布は、もとの確率変数の分布だけで決まる。gg を Borel 可測関数とすると

Pg(X)(B)=P(X∈g−1(B))=PX(g−1(B)),すなわちPg(X)=PX∘g−1(3.8)P_{g(X)}(B)=P\bigl(X\in g^{-1}(B)\bigr)=P_X\bigl(g^{-1}(B)\bigr),\qquad\text{すなわち}\quad P_{g(X)}=P_X\circ g^{-1}\tag{3.8}

である。右辺には Ω\Omega も PP も現れない。したがって XX に関する確率の計算は、標本空間の詳細を忘れて (R,B(R),PX)(\mathbb{R},\mathcal B(\mathbb{R}),P_X) の上で行ってよい。第5章 §5.3 で示す変数変換公式 E[g(X)]=∫g dPXE[g(X)]=\int g\,\mathrm{d} P_X は、この事実の期待値版である。

分布から確率変数を作る(標準的な実現)

  • 逆向きに、実数直線の上の確率測度 μ\mu が与えられたとき、μ\mu を分布にもつ確率変数は必ず存在する。
  • 実際、確率空間と確率変数(恒等写像)を次のようにとる。

(Ω,F,P)=(R,B(R),μ),X(ω)=ω.(\Omega,\mathcal F,P)=(\mathbb{R},\mathcal B(\mathbb{R}),\mu),\qquad X(\omega)=\omega.

このとき PX(B)=μ(B)P_X(B)=\mu(B) である。

  • したがって「分布 μ\mu をもつ確率変数 XX をとる」という言い方はいつでも正当化される。§3.5 では、Ω=(0,1)\Omega=(0,1) に固定したまま任意の分布を実現する別の方法を示す。

例題 3.3 一様な位相から作る逆正弦分布 ★★

オリジナルΩ=[0,1)\Omega=[0,1) に Lebesgue 測度を入れ、X(ω)=sin⁡2(πω)X(\omega)=\sin^2(\pi\omega) とおく。

  1. 0≤x≤10\le x\le 1 に対して P(X≤x)P(X\le x) を求めよ。
  2. PXP_X が次の密度をもつことを確かめよ。

f(x)=1πx(1−x)(0<x<1)f(x)=\frac{1}{\pi\sqrt{x(1-x)}}\qquad(0<x<1) 3. P(X≤1/4)P(X\le 1/4) と P(X≤1/2)P(X\le1/2) を求めよ。

解答
  1. XX は連続関数 ω↦sin⁡2(πω)\omega\mapsto\sin^2(\pi\omega) と恒等写像の合成なので、命題 3.4 と命題 3.5 により確率変数である。

0≤ω<10\le\omega<1 では sin⁡(πω)≥0\sin(\pi\omega)\ge 0 である。よって X≤xX\le x は sin⁡(πω)≤x\sin(\pi\omega)\le\sqrt x と同値である。

sin⁡(πω)\sin(\pi\omega) は区間 [0,1/2][0,1/2] で 0 から 1 まで単調に増える。[1/2,1)[1/2,1) では ω=1/2\omega=1/2 に関して対称に減る。そこで次の数を置く。

a≔1πarcsin⁡x∈[0,1/2]a\coloneqq\frac1\pi\arcsin\sqrt x\in[0,1/2]

すると、sin⁡(πω)≤x\sin(\pi\omega)\le\sqrt x となる ω\omega の集合は

{X≤x}=[0,a]∪[1−a,1)\{X\le x\}=[0,a]\cup[1-a,1)

である(x=1x=1 なら a=1/2a=1/2 で全体になる)。長さを足して

P(X≤x)=a+a=2πarcsin⁡x(0≤x≤1)(3.9)P(X\le x)=a+a=\frac{2}{\pi}\arcsin\sqrt x\qquad(0\le x\le1)\tag{3.9}

を得る。x<0x<0 では 0、x>1x>1 では 1 である。2. 0<x<10<x<1 で (3.9) を微分する。ddyarcsin⁡y=(1−y2)−1/2\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d} y}\arcsin y=(1-y^2)^{-1/2} と ddxx=12x\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d} x}\sqrt x=\frac{1}{2\sqrt x} を合成して

ddx 2πarcsin⁡x=2π⋅11−x⋅12x=1πx(1−x)\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d} x}\,\frac{2}{\pi}\arcsin\sqrt x=\frac{2}{\pi}\cdot\frac{1}{\sqrt{1-x}}\cdot\frac{1}{2\sqrt x}=\frac{1}{\pi\sqrt{x(1-x)}}

となる。逆に ff を 0 から xx まで積分すると、(3.9) に戻る。端点での値が 2πarcsin⁡0=0\frac2\pi\arcsin 0=0 だからである(ff は端点で発散するが、広義積分は収束する)。したがって P(X≤x)=∫0xf(t) dtP(X\le x)=\int_0^x f(t)\,\mathrm{d} t が成り立ち、ff が密度である。3. arcsin⁡(1/2)=π/6\arcsin(1/2)=\pi/6 と arcsin⁡(1/2)=π/4\arcsin(1/\sqrt2)=\pi/4 より

P(X≤14)=2π⋅π6=13,P(X≤12)=2π⋅π4=12.P(X\le\tfrac14)=\frac2\pi\cdot\frac\pi6=\frac13,\qquad P(X\le\tfrac12)=\frac2\pi\cdot\frac\pi4=\frac12.

区間 [0,1/4][0,1/4] と [1/4,1/2][1/4,1/2] は同じ長さだが、確率は 1/3 と 1/6 で倍違う。密度が両端で大きく、振動子が折り返し点の近くに長く留まることと対応している。

確認テスト

オリジナル

  1. 3.2-1 確率変数 XX と定数 cc をとる。PX({c})=1P_X(\{c\})=1 となるのはどういうときか。XX の言葉で答えよ。また、そのとき PXP_X が次の Dirac 測度 δc\delta_c に等しいことを確かめよ。

δc(B)={1(c∈B)0(c∉B)\delta_c(B)=\begin{cases}1 & (c\in B)\\ 0 & (c\notin B)\end{cases} 2. 3.2-2 Ω=(0,1)\Omega=(0,1) に Lebesgue 測度を入れ、X(ω)=1/ωX(\omega)=1/\omega とおく。すべての x∈Rx\in\mathbb{R} について P(X≤x)P(X\le x) を求めよ。また P(X>10)P(X>10) を答えよ。3. 3.2-3 サイコロを2回振る。Ω={1,…,6}2\Omega=\{1,\dots,6\}^2 に一様な確率を入れ、D(ω1,ω2)=∣ω1−ω2∣D(\omega_1,\omega_2)=\left\vert \omega_1-\omega_2\right\vert とおく。k=0,…,5k=0,\dots,5 について、分布 PD({k})P_D(\{k\}) を求めよ。4. 3.2-4 X=dYX\overset{d}{=}Y とし、gg を Borel 可測関数とする。このとき g(X)=dg(Y)g(X)\overset{d}{=}g(Y) であることを示せ。また、X=dYX\overset{d}{=}Y であっても X+X=dX+YX+X\overset{d}{=}X+Y とは限らないことを、例を1つ挙げて示せ。

木下の勉強ステータス

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