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逆変換法

2026年10月15日10分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第3章 確率変数と分布
目次
  1. 一般化逆関数
  2. 逆変換法の定理
  3. 確認テスト
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

確率論入門 第3章 §3.5 ★★★ 一様乱数 UU を一般化逆関数に通すと、望みの分布をもつ確率変数 F−1(U)F^{-1}(U) が作れる

一般化逆関数

区間 (0,1)(0,1) 上の Lebesgue 測度は第2章で構成した。これを確率測度とみて U(ω)=ωU(\omega)=\omega とおく。この UU は一様分布 U(0,1)\mathrm U(0,1) に従う確率変数である。この節では、この1つの確率変数から、どんな分布関数 FF に対してもそれを分布関数にもつ確率変数を作る。

FF が連続で狭義単調増加なら、逆関数 F−1F^{-1} がある。そこで X=F−1(U)X=F^{-1}(U) とすれば

P(X≤x)=P(U≤F(x))=F(x)P(X\le x)=P(U\le F(x))=F(x)

となって目的が達せられる。一般の FF は平らな部分(逆関数が一意に決まらない)と跳び(値をとばす)をもつので、逆関数を次のように拡張する。

定義 3.18(一般化逆関数)

分布関数 FF に対して

F−1(u)≔inf⁡{x∈R:F(x)≥u}(0<u<1)(3.20)F^{-1}(u)\coloneqq\inf\{x\in\mathbb{R} : F(x)\ge u\}\qquad(0<u<1)\tag{3.20}

を FF の一般化逆関数(分位点関数)と呼ぶ。

0<u<10<u<1 のとき、集合 {x:F(x)≥u}\{x:F(x)\ge u\} は次の2つの性質をもつ。

  • 空でない。x→∞x\to\infty で F(x)→1>uF(x)\to1>u となるからである。
  • 下に有界である。x→−∞x\to-\infty で F(x)→0<uF(x)\to 0<u となるからである。

したがって下限は実数として定まる。FF の形との関係は次のとおりである。

  • 平らな区間は左端へ写る。F(x)=uF(x)=u となる xx が区間をなすとき、一般化逆関数の値はその区間の左端になる。
  • 跳びの中の値は跳びの点へ写る。FF が点 x0x_0 で跳ぶとする。左極限 F(x0−)F(x_0-) と値 F(x0)F(x_0) の間のどの高さでも、一般化逆関数の値は跳びの点になる。
図

図 3.4 一般化逆関数の読み方。縦軸の uu から水平に進み、初めて F(x)≥uF(x)\ge u となる xx を F−1(u)F^{-1}(u) とする。跳びの中の uu(ここでは 0.3<u≤0.70.3<u\le0.7)はすべて跳びの点 x=2x=2 へ、平らな区間の高さ u=0.3u=0.3 はその左端 x=1x=1 へ写る。

補題 3.19(基本の同値)

0<u<10<u<1 と x∈Rx\in\mathbb{R} について

F−1(u)≤x  ⟺  u≤F(x).(3.21)F^{-1}(u)\le x\iff u\le F(x).\tag{3.21}

証明

Au≔{x:F(x)≥u}A_u\coloneqq\{x : F(x)\ge u\} とおく。FF が非減少なので、点 x∈Aux\in A_u より右の点もすべてこの集合に入る。したがって AuA_u は右に無限に延びる区間で、その左端が F−1(u)=inf⁡AuF^{-1}(u)=\inf A_u である。

この左端自身が AuA_u に入ることを示す。下限の定義から、AuA_u の点の列 xn↓F−1(u)x_n\downarrow F^{-1}(u) がとれる。各点で F(xn)≥uF(x_n)\ge u である。FF の右連続性から

F(F−1(u))=lim⁡n→∞F(xn)≥uF\bigl(F^{-1}(u)\bigr)=\lim_{n\to\infty}F(x_n)\ge u

となり、F−1(u)∈AuF^{-1}(u)\in A_u である。よって Au=[F−1(u),∞)A_u=[F^{-1}(u),\infty) という閉じた半直線である。したがって条件「u≤F(x)u\le F(x)」は、条件「x≥F−1(u)x\ge F^{-1}(u)」と同じである。どちらも x∈Aux\in A_u を言っている。

この証明では、左端が AuA_u に入ることを示す所で右連続性を使った。FF が右連続でなければ AuA_u が開いた半直線になることがあり、(3.21) は成り立たない。

逆変換法の定理

定理 3.20(逆変換法 ★★★)

FF を分布関数とし、U∼U(0,1)U\sim\mathrm U(0,1) とする。X≔F−1(U)X\coloneqq F^{-1}(U) は確率変数であり、その分布関数は FF である。

証明

F−1F^{-1} は (0,1)(0,1) 上で非減少である。u≤vu\le v なら Av⊂AuA_v\subset A_u なので、左端どうしを比べれば次の大小になるからである。

F−1(u)≤F−1(v)F^{-1}(u)\le F^{-1}(v)

単調関数は Borel 可測なので(確認テスト 3.1-4)、命題 3.5 により XX は確率変数である。補題 3.19 の同値 (3.21) を各 ω\omega で使うと、事象として次が成り立つ。

{F−1(U)≤x}={U≤F(x)}\{F^{-1}(U)\le x\}=\{U\le F(x)\}

UU は一様分布なので

P(X≤x)=P(U≤F(x))=F(x)P(X\le x)=P\bigl(U\le F(x)\bigr)=F(x)

となる。最後の等号は、0≤F(x)≤10\le F(x)\le 1 であることと、一様分布の性質による。その性質とは、0≤c≤10\le c\le1 について P(U≤c)=cP(U\le c)=c となることである。

逆変換法から分かること

  • 存在の別証明:定理 3.12(b) の存在部分は、(0,1)(0,1) 上の Lebesgue 測度さえあれば逆変換法で示せる。F−1(U)F^{-1}(U) の分布が、FF を分布関数にもつ確率測度そのものである。
  • 確率空間を1つに固定できる:どんな分布の確率変数も、同じ ((0,1),B,Leb)((0,1),\mathcal B,\mathrm{Leb}) の上に実現できる。異なる分布の確率変数を同じ UU から作れば、第11章で使う「同じ空間の上での比較」(Skorokhod の表現)の出発点になる。
  • 乱数の生成:計算機の一様乱数から指数・Cauchy・離散分布などの乱数を作る標準的な方法である。第12章の Monte Carlo 法で使う。

逆向きに、確率変数をその分布関数に代入すると一様分布が得られる。ただし FF が連続な場合に限る。

定理 3.21(確率積分変換 ★★)

確率変数 XX の分布関数 FF が連続とする。このとき F(X)F(X) は一様分布 U(0,1)\mathrm U(0,1) に従う。

証明

F(X)F(X) の分布は XX の分布だけで決まる((3.8))。よって XX を定理 3.20 の X′=F−1(U)X'=F^{-1}(U) に置き換えてよい。調べるのは F(F−1(U))F(F^{-1}(U)) の分布である。

0<u<10<u<1 について F(F−1(u))=uF(F^{-1}(u))=u を示す。補題 3.19 の証明で見たように F(F−1(u))≥uF(F^{-1}(u))\ge u である。

一方、x<F−1(u)x<F^{-1}(u) なら、その点は AuA_u に入らない。よって F(x)<uF(x)<u である。

ここで x↑F−1(u)x\uparrow F^{-1}(u) とする。FF の連続性から F(F−1(u))≤uF(F^{-1}(u))\le u を得る。したがって F(F−1(U))=UF(F^{-1}(U))=U であり、その分布は U(0,1)\mathrm U(0,1) である。

FF に跳びがあるとこの定理は成り立たない。たとえば確率 12\frac12 ずつで 0, 1 をとる XX を考える。F(X)F(X) は 12\frac12 か 1 の値しかとらず、一様分布にならない(一般の場合の不等式は確認テスト 3.5-4)。

例題 3.7 指数分布と幾何分布の乱数 ★★★

オリジナルU∼U(0,1)U\sim\mathrm U(0,1) とする。

  1. 指数分布 Ex(λ)\mathrm{Ex}(\lambda) の分布関数は次である。

F(x)=1−e−λx(x≥0)F(x)=1-\mathrm{e}^{-\lambda x}\qquad(x\ge0)

一般化逆関数を求め、λ=2\lambda=2、U=0.9U=0.9 のときの値を答えよ。2. 成功確率 pp の幾何分布は、値 k=1,2,…k=1,2,\dots を次の確率でとる。

P(X=k)=(1−p)k−1pP(X=k)=(1-p)^{k-1}p

この分布について F−1(u)F^{-1}(u) を閉じた形で求めよ。p=0.3p=0.3、u=0.6u=0.6 のときの値を答え、分布関数の値と比べて確かめよ。

解答
  1. x≥0x\ge0 で FF は連続かつ狭義増加なので、一般化逆関数は普通の逆関数である。u=1−e−λxu=1-\mathrm{e}^{-\lambda x} を xx について解くと

F−1(u)=−1λlog⁡(1−u)F^{-1}(u)=-\frac{1}{\lambda}\log(1-u)

を得る。UU と 1−U1-U は同分布である。よって UU をそのまま代入した −1λlog⁡U-\frac1\lambda\log U も指数分布に従う。

λ=2\lambda=2、U=0.9U=0.9 では

F−1(0.9)=−12log⁡0.1=log⁡102≈1.1513.F^{-1}(0.9)=-\frac12\log 0.1=\frac{\log 10}{2}\approx1.1513. 2. 整数 k≥1k\ge1 での値は次のとおりで、FF は整数の間で一定の階段関数である。

F(k)=∑j=1k(1−p)j−1p=1−(1−p)kF(k)=\sum_{j=1}^k(1-p)^{j-1}p=1-(1-p)^k

一般化逆関数の値 F−1(u)F^{-1}(u) は、F(k)≥uF(k)\ge u となる最小の整数である。そこで次を解く。

1−(1−p)k≥u  ⟺  (1−p)k≤1−u  ⟺  klog⁡(1−p)≤log⁡(1−u)  ⟺  k≥log⁡(1−u)log⁡(1−p)1-(1-p)^k\ge u\iff (1-p)^k\le 1-u\iff k\log(1-p)\le\log(1-u)\iff k\ge\frac{\log(1-u)}{\log(1-p)}

最後の変形では負の数 log⁡(1−p)\log(1-p) で割ったので、不等号の向きが変わる。よって

F−1(u)=⌈log⁡(1−u)log⁡(1−p)⌉F^{-1}(u)=\Bigl\lceil\frac{\log(1-u)}{\log(1-p)}\Bigr\rceil

である(⌈y⌉\lceil y\rceil は yy 以上の最小の整数)。0<u<10<u<1 なら比は正なので、値は 1 以上になる。

p=0.3p=0.3、u=0.6u=0.6 では次のとおりである。

log⁡0.4log⁡0.7≈−0.9163−0.3567≈2.569,F−1(0.6)=3.\frac{\log0.4}{\log0.7}\approx\frac{-0.9163}{-0.3567}\approx2.569,\qquad F^{-1}(0.6)=3.

分布関数の値で確かめる。

F(2)=1−0.72=0.51<0.6,F(3)=1−0.73=0.657≥0.6F(2)=1-0.7^2=0.51<0.6,\qquad F(3)=1-0.7^3=0.657\ge0.6

よって F(k)≥0.6F(k)\ge0.6 となる最小の kk は 3 であり、一致する。

確認テスト

オリジナル

  1. 3.5-1 確率 pp で 1、確率 1−p1-p で 0 をとる Bernoulli 分布を考える。その分布関数について、0<u<10<u<1 での F−1(u)F^{-1}(u) を求めよ。逆変換法で作った F−1(U)F^{-1}(U) を UU の指示関数で書け。
  2. 3.5-2 Cauchy 分布の分布関数は F(x)=12+1πarctan⁡xF(x)=\frac12+\frac1\pi\arctan x である。F−1F^{-1} を求め、次の2つの値を答えよ。

F−1(0.75),F−1(0.975).F^{-1}(0.75),\qquad F^{-1}(0.975). 3. 3.5-3 例題 3.4 の分布関数について、F−1(u)F^{-1}(u) を区間ごとに求めよ。また P(F−1(U)=1)=14P(F^{-1}(U)=1)=\frac14 であることを確かめよ。4. 3.5-4 FF を任意の分布関数、XX をその分布に従う確率変数とする。すべての 0<u<10<u<1 について P(F(X)≤u)≤uP(F(X)\le u)\le u であることを示せ。

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