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事象と σ\sigma 加法族の独立性

2026年10月15日21分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第4章 独立性と条件付き確率
目次
  1. 2つの事象の独立性
  2. 3つ以上の事象の独立性
  3. 集合族と 加法族の独立性
  4. まとめ方の補題と関数の独立性
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

確率論入門 第4章 §4.2 ★★★ 独立を積の等式で定め、生成元(π\pi 系)で確かめれば十分であることを Dynkin の定理から示す

2つの事象の独立性

P(B)>0P(B)>0 とする。BB が起きたと分かっても AA の確率が変わらないとき、すなわち次が成り立つときを考える。

P(A∣B)=P(A)P(A\mid B)=P(A)

このとき BB は AA について何の情報も持たないと考えてよい。定義 (4.3) を代入すると、この条件は P(A∩B)=P(A)P(B)P(A\cap B)=P(A)P(B) と書ける。この積の形は2つの事象について対称で、しかも P(B)=0P(B)=0 の場合にも意味を持つ。そこでこちらを定義に採る。

定義 4.6(2つの事象の独立)

事象 A,BA,B が

P(A∩B)=P(A) P(B)(4.7)P(A\cap B)=P(A)\,P(B)\tag{4.7}

を満たすとき、AA と BB は独立であるという。

独立かどうかは事象の集合としての形でなく、確率測度 PP によって決まることに注意する。同じ A,BA,B でも、測度を取り替えれば独立でなくなることがある。

また「互いに素」と「独立」はまったく別の概念である。A∩B=∅A\cap B=\emptyset かつ P(A),P(B)>0P(A),P(B)>0 とすると、次のとおり積の等式が破れる。

P(A∩B)=0≠P(A)P(B)P(A\cap B)=0\ne P(A)P(B)

よって確率が正の、互いに素な2事象は独立になり得ない。一方が起きればもう一方は起きないと分かるのだから、片方の結果が他方の情報を持っているからである。

2つの事象 A,BA,B が独立なら、片方を補集合に替えた組 (A,Bc)(A,B^c) も独立である。実際、A=(A∩B)∪(A∩Bc)A=(A\cap B)\cup(A\cap B^c) と分けて

P(A∩Bc)=P(A)−P(A∩B)=P(A)−P(A)P(B)=P(A)(1−P(B))=P(A)P(Bc)P(A\cap B^c)=P(A)-P(A\cap B)=P(A)-P(A)P(B)=P(A)\bigl(1-P(B)\bigr)=P(A)P(B^c)

となる。同じ計算を繰り返すと、次の2組も独立になる。

(Ac, B),(Ac, Bc).(A^c,\ B),\qquad (A^c,\ B^c).

3つ以上の事象の独立性

3つ以上の事象について、どの2つも独立であることを要求するだけでは足りない。次の例がその理由を示す。

対ごとに独立だが全体としては独立でない

公正な硬貨を2回投げる。Ω={HH,HT,TH,TT}\Omega=\{\mathrm{HH},\mathrm{HT},\mathrm{TH},\mathrm{TT}\} の各点の確率は 1/41/4 である。次の3つの事象を置く。

A={1回目が表},B={2回目が表},C={2回の結果が同じ}.A=\{1\text{回目が表}\},\qquad B=\{2\text{回目が表}\},\qquad C=\{2\text{回の結果が同じ}\}.

確率はどれも 1/2 で、

P(A∩B)=P({HH})=14,P(A∩C)=P({HH})=14,P(B∩C)=P({HH})=14P(A\cap B)=P(\{\mathrm{HH}\})=\tfrac14,\qquad P(A\cap C)=P(\{\mathrm{HH}\})=\tfrac14,\qquad P(B\cap C)=P(\{\mathrm{HH}\})=\tfrac14

だから、どの2つも独立である。ところが

P(A∩B∩C)=P({HH})=14≠18=P(A)P(B)P(C)P(A\cap B\cap C)=P(\{\mathrm{HH}\})=\tfrac14\ne\tfrac18=P(A)P(B)P(C)

である。最初の2つが両方起きたと分かれば、CC は確実に起きる。つまり最初の2つの組は、3つ目について完全な情報を持っている。

そこで、どの部分族についても積の等式が成り立つことを要求する。

定義 4.7(事象の族の独立)

事象 A1,…,AnA_1,\dots,A_n が独立であるとは、2個以上の添字からなる任意の部分集合 I⊂{1,…,n}I\subset\{1,\dots,n\} について

P(⋂i∈IAi)=∏i∈IP(Ai)(4.8)P\Bigl(\bigcap_{i\in I}A_i\Bigr)=\prod_{i\in I}P(A_i)\tag{4.8}

が成り立つことをいう。無限個の事象の族 {Aλ}λ∈Λ\{A_\lambda\}_{\lambda\in\Lambda} が独立であるとは、その任意の有限部分族が独立であることをいう。

nn 個の事象では、確かめるべき等式は 2n−n−12^n-n-1 本ある(2個以上の部分集合の数)。上の例は、2個の部分集合についての等式だけでは3個の部分集合の等式が出ないことを示している。逆に、nn 個全体の等式 P(A1∩⋯∩An)=∏P(Ai)P(A_1\cap\dots\cap A_n)=\prod P(A_i) だけでは部分族の等式が出ないこともある(確認テスト 4.2-5)。区別が要るときは、定義 4.7 の独立を相互独立、どの2つも独立であることを対ごとに独立と呼ぶ。

集合族と σ\sigma 加法族の独立性

確率変数の独立性を定めるには、事象1つずつでなく、事象の集まり全体の独立性が要る。確率変数 XX について分かることは「X∈BX\in B が起きたかどうか」の全体、すなわち生成される σ加法族に属する事象の全体だからである。

定義 4.8(集合族の独立)

C1,…,Cn⊂F\mathcal C_1,\dots,\mathcal C_n\subset\mathcal F を集合族とする。各族から1つずつ事象 Ai∈CiA_i\in\mathcal C_i を選ぶ。どう選んでも事象 A1,…,AnA_1,\dots,A_n が定義 4.7 の意味で独立であるとき、これらの集合族は独立であるという。無限個の族については、任意の有限部分族が独立であることと定める。

各 Ci\mathcal C_i が全体 Ω\Omega を含む場合を考える。部分集合 II についての等式は、nn 個全体の等式の特別な場合になる。II に入らない添字で Ai=ΩA_i=\Omega を選べばよいからである。したがってこの場合は

P(A1∩⋯∩An)=P(A1)⋯P(An)(Ai∈Ci)(4.9)P(A_1\cap\cdots\cap A_n)=P(A_1)\cdots P(A_n)\qquad(A_i\in\mathcal C_i)\tag{4.9}

だけを確かめればよい。σ加法族は全体を含むので、σ加法族の独立はいつも (4.9) の形で確かめられる。

定義 4.9(確率変数の独立)

確率変数 X1,…,XnX_1,\dots,X_n が独立であるとは、σ加法族 σ(X1),…,σ(Xn)\sigma(X_1),\dots,\sigma(X_n) が独立であることをいう。すなわち任意の B1,…,Bn∈B(R)B_1,\dots,B_n\in\mathcal B(\mathbb{R}) について

P(X1∈B1,…,Xn∈Bn)=P(X1∈B1)⋯P(Xn∈Bn)(4.10)P(X_1\in B_1,\dots,X_n\in B_n)=P(X_1\in B_1)\cdots P(X_n\in B_n)\tag{4.10}

が成り立つことをいう。確率変数の列 X1,X2,…X_1,X_2,\dots が独立であるとは、任意の有限個が独立であることをいう。独立で、しかも分布がすべて等しい列を独立同分布(i.i.d.)の列と呼ぶ。

ここで P(X1∈B1,…,Xn∈Bn)P(X_1\in B_1,\dots,X_n\in B_n) は P({X1∈B1}∩⋯∩{Xn∈Bn})P(\{X_1\in B_1\}\cap\dots\cap\{X_n\in B_n\}) の略記である。(4.10) はすべての Borel 集合の組について要求しているので、そのままでは確かめようがない。次の定理により、生成元の上で確かめれば十分になる。

定理 4.10(π系で確かめれば十分 ★★★)

P1,…,Pn⊂F\mathcal P_1,\dots,\mathcal P_n\subset\mathcal F はどれも π系で Ω\Omega を含むとする。任意の Ai∈PiA_i\in\mathcal P_i について

P(A1∩⋯∩An)=P(A1)⋯P(An)P(A_1\cap\cdots\cap A_n)=P(A_1)\cdots P(A_n)

が成り立つなら、σ(P1),…,σ(Pn)\sigma(\mathcal P_1),\dots,\sigma(\mathcal P_n) は独立である。

証明

まず1番目の族だけを σ(P1)\sigma(\mathcal P_1) に広げる。A2∈P2,…,An∈PnA_2\in\mathcal P_2,\dots,A_n\in\mathcal P_n を固定し、C=A2∩⋯∩AnC=A_2\cap\dots\cap A_n と置いて

L={A∈F: P(A∩C)=P(A) P(A2)⋯P(An)}\mathcal L=\bigl\{A\in\mathcal F:\ P(A\cap C)=P(A)\,P(A_2)\cdots P(A_n)\bigr\}

とする。仮定から P1⊂L\mathcal P_1\subset\mathcal L である。L\mathcal L が λ系であることを3つの条件に分けて確かめる。

  • Ω∈P1⊂L\Omega\in\mathcal P_1\subset\mathcal L である。とくに P(C)=P(A2)⋯P(An)P(C)=P(A_2)\cdots P(A_n) が成り立つ。
  • A∈LA\in\mathcal L なら、C=(A∩C)∪(Ac∩C)C=(A\cap C)\cup(A^c\cap C) と分けて

P(Ac∩C)=P(C)−P(A∩C)=P(A2)⋯P(An)−P(A)P(A2)⋯P(An)=P(Ac) P(A2)⋯P(An)P(A^c\cap C)=P(C)-P(A\cap C)=P(A_2)\cdots P(A_n)-P(A)P(A_2)\cdots P(A_n)=P(A^c)\,P(A_2)\cdots P(A_n)

となるので Ac∈LA^c\in\mathcal L である。

  • B1,B2,⋯∈LB_1,B_2,\dots\in\mathcal L が互いに素なら、Bk∩CB_k\cap C も互いに素だから、σ加法性により

P((⋃kBk)∩C)=∑kP(Bk∩C)=∑kP(Bk) P(A2)⋯P(An)=P(⋃kBk)P(A2)⋯P(An)P\Bigl(\bigl(\textstyle\bigcup_kB_k\bigr)\cap C\Bigr)=\sum_kP(B_k\cap C)=\sum_kP(B_k)\,P(A_2)\cdots P(A_n)=P\Bigl(\textstyle\bigcup_kB_k\Bigr)P(A_2)\cdots P(A_n)

となり、⋃kBk∈L\bigcup_kB_k\in\mathcal L である。

Dynkin の定理 (4.2) から σ(P1)⊂L\sigma(\mathcal P_1)\subset\mathcal L である。A2,…,AnA_2,\dots,A_n は任意だったから、次の族の組も定理の仮定を満たす(どれも全体を含む π系で、積の等式が成り立つ)。

σ(P1), P2, …, Pn\sigma(\mathcal P_1),\ \mathcal P_2,\ \dots,\ \mathcal P_n

次に2番目の族について同じ議論を行うと、P2\mathcal P_2 を σ(P2)\sigma(\mathcal P_2) に広げられる。

これを nn 回繰り返せば、任意の Ai∈σ(Pi)A_i\in\sigma(\mathcal P_i) について積の等式が成り立つ。生成された族はどれも全体を含むので、(4.9) の後の注意により、これが独立性である。

系 4.11(補集合をとっても独立)

事象 A1,…,AnA_1,\dots,A_n が独立なら、次の nn 個の σ加法族は独立である。

{∅,Ai,Aic,Ω}(i=1,…,n)\{\emptyset,A_i,A_i^c,\Omega\}\qquad(i=1,\dots,n)

とくに、各 AiA_i をその補集合 AicA_i^c に取り替えた族も独立である。

証明

Pi={Ai,Ω}\mathcal P_i=\{A_i,\Omega\} は全体を含む π系で、生成する σ加法族は {∅,Ai,Aic,Ω}\{\emptyset,A_i,A_i^c,\Omega\} である。各 Pi\mathcal P_i から元を選ぶことは、部分集合 II に入る添字でその事象を、入らない添字で全体を選ぶことに当たる。よって定理 4.10 の仮定は、定義 4.7 そのものである。

系 4.12(分布関数による独立の判定 ★★★)

確率変数 X1,…,XnX_1,\dots,X_n が独立であるための必要十分条件は、任意の x1,…,xn∈Rx_1,\dots,x_n\in\mathbb{R} について

P(X1≤x1,…,Xn≤xn)=FX1(x1)⋯FXn(xn)(4.11)P(X_1\le x_1,\dots,X_n\le x_n)=F_{X_1}(x_1)\cdots F_{X_n}(x_n)\tag{4.11}

が成り立つことである。

証明

必要性は (4.10) で Bi=(−∞,xi]B_i=(-\infty,x_i] とすればよい。

十分性を示す。次の集合族を置く。

Pi={{Xi≤x}:x∈R}∪{Ω}\mathcal P_i=\{\{X_i\le x\}:x\in\mathbb{R}\}\cup\{\Omega\}

{Xi≤x}∩{Xi≤y}={Xi≤min⁡(x,y)}\{X_i\le x\}\cap\{X_i\le y\}=\{X_i\le\min(x,y)\} なので、Pi\mathcal P_i は全体を含む π系である。全体を選んだ添字については、極限 xi→∞x_i\to\infty で {Xi≤xi}↑Ω\{X_i\le x_i\}\uparrow\Omega となる。これと連続性 (4.1) を使えば、(4.11) から積の等式が出る。よって定理 4.10 から、生成された σ加法族 σ(P1),…,σ(Pn)\sigma(\mathcal P_1),\dots,\sigma(\mathcal P_n) は独立である。

あとは σ(Pi)=σ(Xi)\sigma(\mathcal P_i)=\sigma(X_i) を示せばよい。包含 σ(Pi)⊂σ(Xi)\sigma(\mathcal P_i)\subset\sigma(X_i) は明らかである。逆向きには、次の集合族を考える。

G={B∈B(R):Xi−1(B)∈σ(Pi)}\mathcal G=\{B\in\mathcal B(\mathbb{R}):X_i^{-1}(B)\in\sigma(\mathcal P_i)\}

逆像が補集合と可算和を保つので、G\mathcal G は σ加法族であり、すべての半直線を含む。したがって G⊃σ({(−∞,x]})=B(R)\mathcal G\supset\sigma(\{(-\infty,x]\})=\mathcal B(\mathbb{R}) となり、σ(Xi)⊂σ(Pi)\sigma(X_i)\subset\sigma(\mathcal P_i) が従う。

離散的な確率変数、すなわち可算集合 SiS_i に値をとる XiX_i を考える。このときは次の集合族が π系になる(値の異なる事象は互いに素で、共通部分は空集合)。

Pi={{Xi=x}:x∈Si}∪{∅,Ω}\mathcal P_i=\{\{X_i=x\}:x\in S_i\}\cup\{\emptyset,\Omega\}

空集合を含む積の等式は、両辺が 0 で自明に成り立つ。全体を含む場合は、その添字の値について和をとれば出る。したがって、X1,…,XnX_1,\dots,X_n が独立であるための必要十分条件は

P(X1=x1,…,Xn=xn)=P(X1=x1)⋯P(Xn=xn)(xi∈Si)(4.12)P(X_1=x_1,\dots,X_n=x_n)=P(X_1=x_1)\cdots P(X_n=x_n)\qquad(x_i\in S_i)\tag{4.12}

である。

まとめ方の補題と関数の独立性

独立な確率変数を、互いに重ならない組に分けて関数をとると、組ごとに得た量はやはり独立になる。直観的には当然だが、§4.4 で硬貨投げをブロックに分けるときなどに、この形で何度も使う。

定理 4.13(まとめ方の補題)

σ加法族 F1,F2,…\mathcal F_1,\mathcal F_2,\dots が独立で、添字の集合 I1,I2,…I_1,I_2,\dots が互いに素であるとする。このとき次の σ加法族は独立である。

Gk=σ(⋃i∈IkFi)(k=1,2,… )\mathcal G_k=\sigma\Bigl(\bigcup_{i\in I_k}\mathcal F_i\Bigr)\qquad(k=1,2,\dots)

証明

有限個の G1,…,Gm\mathcal G_1,\dots,\mathcal G_m について示せば十分である。IkI_k の有限個の添字 i1,…,iri_1,\dots,i_r を選ぶ。各添字の族から1つずつ事象 Aij∈FijA_{i_j}\in\mathcal F_{i_j} を選び、次の共通部分を作る。

Ai1∩⋯∩AirA_{i_1}\cap\dots\cap A_{i_r}

その全体を Pk\mathcal P_k とする。

このような共通部分2つの共通部分は、同じ添字の事象どうしをまとめれば、また同じ形になる(各 Fi\mathcal F_i は共通部分で閉じている)。よって Pk\mathcal P_k は全体を含む π系で、σ(Pk)=Gk\sigma(\mathcal P_k)=\mathcal G_k である。

各 kk で Dk∈PkD_k\in\mathcal P_k を選ぶ。共通部分 D1∩⋯∩DmD_1\cap\dots\cap D_m は、互いに異なる添字の有限個の事象の共通部分になる。族 Fi\mathcal F_i の独立性から、その確率は各事象の確率の積に等しい。添字を IkI_k ごとにまとめ直すと、それは P(D1)⋯P(Dm)P(D_1)\cdots P(D_m) に等しい。

定理 4.10 から、G1,…,Gm\mathcal G_1,\dots,\mathcal G_m は独立である。

系 4.14(独立な確率変数の関数)

X1,…,XnX_1,\dots,X_n を独立な確率変数とする。

  • (i) Borel 可測な関数 f1,…,fn:R→Rf_1,\dots,f_n:\mathbb{R}\to\mathbb{R} について、f1(X1),…,fn(Xn)f_1(X_1),\dots,f_n(X_n) は独立である。
  • (ii) 番号 mm を 1≤m<n1\le m<n にとる。2つの Borel 可測な関数 g:Rm→Rg:\mathbb{R}^m\to\mathbb{R} と h:Rn−m→Rh:\mathbb{R}^{n-m}\to\mathbb{R} をとる。次の2つは独立である。

g(X1,…,Xm),h(Xm+1,…,Xn).g(X_1,\dots,X_m),\qquad h(X_{m+1},\dots,X_n).

証明

(i) は包含 σ(fi(Xi))⊂σ(Xi)\sigma(f_i(X_i))\subset\sigma(X_i) から従う。事象 fi(Xi)∈Bf_i(X_i)\in B は Xi∈fi−1(B)X_i\in f_i^{-1}(B) と同じで、この逆像は Borel 集合だからである。独立な σ加法族の部分 σ加法族は、やはり独立である。

(ii) は2つの事実から従う。1つは、g(X1,…,Xm)g(X_1,\dots,X_m) が次の σ加法族に関して可測であることである(§4.3 の補題 4.16 で確かめる)。

σ(σ(X1)∪⋯∪σ(Xm))\sigma(\sigma(X_1)\cup\dots\cup\sigma(X_m))

もう1つは定理 4.13 である。

図

図 4.2 [0,1)[0,1) 上の2進展開の桁。{d1=1}\{d_1=1\} は長さ 1/21/2、{d2=1}\{d_2=1\} は長さ 1/41/4 の区間2つで計 1/21/2、共通部分は長さ 1/41/4 の区間1つである。長さ(Lebesgue 測度)が積 12⋅12\frac12\cdot\frac12 に一致するので、2つの桁は独立である。

例題 4.3 2進展開の桁は独立な硬貨投げ ★★★

オリジナル確率空間を次のようにとる。

Ω=[0,1),F=B([0,1)),P=Lebesgue 測度(区間の長さ).\Omega=[0,1),\qquad \mathcal F=\mathcal B([0,1)),\qquad P=\text{Lebesgue 測度(区間の長さ)}.

各点の2進展開で、第 kk 桁 dkd_k(0 か 1)を定める。

ω=∑k≥1dk(ω)2−k\omega=\sum_{k\ge1}d_k(\omega)2^{-k}

有限桁で終わる展開がある点ではその展開を採り、1 が無限に続く展開は採らない。

  1. a1,…,an∈{0,1}a_1,\dots,a_n\in\{0,1\} をとる。事象 {d1=a1,…,dn=an}\{d_1=a_1,\dots,d_n=a_n\} が長さ 2−n2^{-n} の区間であることを示せ。
  2. d1,d2,…d_1,d_2,\dots が独立同分布の確率変数であることを示せ。また、どの桁も P(dk=0)=P(dk=1)=1/2P(d_k=0)=P(d_k=1)=1/2 を満たすことを示せ。
  3. Y=d1+d2Y=d_1+d_2 と Z=d3Z=d_3 が独立であることを示せ。また P(Y=1,Z=1)P(Y=1,Z=1) を求めよ。
解答

(1) m=∑k=1nak2n−km=\sum_{k=1}^na_k2^{n-k} と置く(0≤m≤2n−10\le m\le2^n-1 の整数)。次の3つの条件は同値である。

  • 最初の nn 桁が a1,…,ana_1,\dots,a_n である。
  • 2nω2^n\omega の整数部分が mm である。
  • ω∈[m2−n,(m+1)2−n)\omega\in[m2^{-n},(m+1)2^{-n}) である。

実際、次の等式が成り立つ。末尾の和は、1 が無限に続く展開を除いたので [0,1)[0,1) に入る。

2nω=m+∑k>ndk2n−k2^n\omega=m+\sum_{k>n}d_k2^{n-k}

よって {d1=a1,…,dn=an}=[m2−n,(m+1)2−n)\{d_1=a_1,\dots,d_n=a_n\}=[m2^{-n},(m+1)2^{-n}) で、その長さは 2−n2^{-n} である。とくに桁の値で決まる事象は区間の有限和なので Borel 集合であり、各 dkd_k は確率変数である。

(2) まず分布を求める。事象 {dk=a}\{d_k=a\} は、最初の kk 桁のうち最後の桁だけを固定した事象である。それは (1) の区間の互いに素な和で、区間の数は第1〜k−1k-1 桁の選び方の 2k−12^{k-1} 個である。よって

P(dk=a)=2k−1⋅2−k=12.P(d_k=a)=2^{k-1}\cdot2^{-k}=\frac12.

次に独立性を示す。離散的な確率変数の判定 (4.12) により、任意の nn と a1,…,ana_1,\dots,a_n について次を示せばよい。

P(d1=a1,…,dn=an)=∏kP(dk=ak)P(d_1=a_1,\dots,d_n=a_n)=\prod_kP(d_k=a_k)

左辺は (1) から 2−n2^{-n}、右辺は (1/2)n=2−n(1/2)^n=2^{-n} で一致する。飛び飛びの添字 k1,…,krk_1,\dots,k_r の有限個を選んだ場合も、n=max⁡kjn=\max k_j までの残りの桁について和をとれば同じ等式が出る。よって任意の有限個が独立で、列 d1,d2,…d_1,d_2,\dots は独立同分布である。

(3) YY は第1・第2桁の関数、ZZ は第3桁の関数である。添字の組 {1,2}\{1,2\} と {3}\{3\} は重ならないので、系 4.14 から2つは独立である。周辺の確率は次のとおりである。

P(Y=1)=P(d1=1,d2=0)+P(d1=0,d2=1)=14+14=12,P(Z=1)=12.\begin{aligned}P(Y=1)&=P(d_1=1,d_2=0)+P(d_1=0,d_2=1)=\tfrac14+\tfrac14=\tfrac12,\\ P(Z=1)&=\tfrac12.\end{aligned}

よって

P(Y=1,Z=1)=P(Y=1)P(Z=1)=14.P(Y=1,Z=1)=P(Y=1)P(Z=1)=\tfrac14.

直接の計算でも確かめておく。事象 {Y=1,Z=1}\{Y=1,Z=1\} は、最初の3桁が 101 または 011 の事象である。(1) から長さ 1/8 の区間2つで、合計 1/4 となり一致する。

独立同分布の列は存在する

§4.4 では「独立同分布の列 X1,X2,…X_1,X_2,\dots をとる」と書くが、その存在は自明でない。例題 4.3 の桁を使うと、次の筋で存在が示せる。

  1. 桁の列を、互いに重ならない無限個の部分列に分ける。たとえば第 jj 部分列を、次の添字の桁とする。

2j−1(2l−1)(l=1,2,… )2^{j-1}(2l-1)\qquad(l=1,2,\dots) 2. 第 jj 部分列を2進展開の桁に並べて、次の数を置く。

Uj=∑ld2j−1(2l−1)2−lU_j=\sum_l d_{2^{j-1}(2l-1)}2^{-l}

その桁は独立な公正な硬貨投げなので、UjU_j は [0,1)[0,1) 上の一様分布に従う。まとめ方の補題(定理 4.13)から U1,U2,…U_1,U_2,\dots は独立である。3. 第3章 §3.5 の逆変換法を使う。分布関数 FF の一般化逆関数で Xj=F−1(Uj)X_j=F^{-1}(U_j) と置けば、この分布の独立同分布の列が得られる。

したがって、区間 [0,1)[0,1) 上の Lebesgue 測度という1つの確率空間の上に、任意の分布の独立同分布の列を作ることができる。分布が jj ごとに異なってもよい。

確認テスト

オリジナル

  1. 4.2-1 確率が 0 または 1 の事象 AA は、任意の事象 BB と独立であることを示せ。
  2. 4.2-2 公正なサイコロを1回振る。次の3つの事象を置く。

A={2,4,6},B={1,2,3,4},C={1,2,3}.A=\{2,4,6\},\qquad B=\{1,2,3,4\},\qquad C=\{1,2,3\}.

組 (A,B)(A,B) と組 (A,C)(A,C) のそれぞれが独立かどうかを判定せよ。3. 4.2-3 1から4の目が等確率で出る正四面体のサイコロを1回振る。次の3つの事象を置く。

A={1,2},B={1,3},C={1,4}.A=\{1,2\},\qquad B=\{1,3\},\qquad C=\{1,4\}.

A,B,CA,B,C が対ごとに独立であること、および相互独立でないことを示せ。4. 4.2-4 事象 AA が自分自身と独立なら、P(A)∈{0,1}P(A)\in\{0,1\} であることを示せ。5. 4.2-5 Ω={1,2,…,8}\Omega=\{1,2,\dots,8\} の各点の確率を 1/8 とし、次の3つの事象を置く。

A=B={1,2,3,4},C={1,5,6,7}.A=B=\{1,2,3,4\},\qquad C=\{1,5,6,7\}.

P(A∩B∩C)=P(A)P(B)P(C)P(A\cap B\cap C)=P(A)P(B)P(C) が成り立つが、A,B,CA,B,C は独立でないことを示せ。

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