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独立な確率変数の級数の収束

2026年10月15日17分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第12章 大数の法則
目次
  1. ランダムな符号の調和級数
  2. 分散の和が有限なら収束する
  3. 3級数定理と 0-1 法則
  4. Kronecker の補題と強法則の完成
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

確率論入門 第12章 §12.3 ★★ 独立な確率変数の和 ∑Xn\sum X_n が収束する条件。分散の和が有限なら収束し、Kronecker の補題を通して強法則の証明が完成する

ランダムな符号の調和級数

調和級数 ∑n1/n\sum_n1/n は発散し、交代調和級数 ∑n(−1)n+1/n\sum_n(-1)^{n+1}/n は収束する。では、符号を硬貨で決めた級数はどうなるか。

∑nεnn(εn は独立に ±1 を確率 12 ずつとる)\sum_n\frac{\varepsilon _n}n\qquad(\varepsilon _n\ \text{は独立に}\ \pm1\ \text{を確率}\ \tfrac12\ \text{ずつとる})

この級数が収束するかどうかは標本点に依存しうるので、問いは「収束する確率はいくらか」になる。

図 12.2 は部分和の見本路を描いたものである。∑εn/n\sum\varepsilon _n/n の見本路は落ち着いていく。これに対し、∑εn/n\sum\varepsilon _n/\sqrt n の見本路は揺れ続ける。

前者がほとんど確実に収束することは、第10章 §10.4 でも示した。この節では、この違いを分散の和で説明する定理を作る。

図

図 12.2 ランダムな符号の級数の部分和(横軸は対数目盛り)。青の3本は ∑εk/k\sum\varepsilon _k/k で、分散の和 ∑1/k2\sum1/k^2 が有限なので各見本路が有限の値に収束する(極限の値は見本路ごとに違う)。赤の1本は ∑εk/k\sum\varepsilon _k/\sqrt k で、分散の和 ∑1/k\sum1/k が発散するので部分和は収束しない。

分散の和が有限なら収束する

定理 12.7(Kolmogorov の収束定理)

X1,X2,…X_1,X_2,\dots は独立で、次を満たすとする。

E[Xn]=0,∑n=1∞V[Xn]<∞E[X_n]=0,\qquad\sum_{n=1}^{\infty}V[X_n]<\infty

このとき ∑nXn\sum_nX_n はほとんど確実に収束する。さらに極限 S=∑nXnS=\sum_nX_n について、Sn→L2SS_n\xrightarrow{L^2}S である。

ほとんど確実な収束の部分は、第10章 §10.4 で Kolmogorov の不等式の応用として証明した定理と同じ主張である。そこで得た尾の評価

P(sup⁡k>m∣Sk−Sm∣>ε)≤1ε2∑k=m+1∞V[Xk](12.10)P\Bigl(\sup_{k>m}\left\vert S_k-S_m\right\vert >\varepsilon \Bigr)\le\frac{1}{\varepsilon ^2}\sum_{k=m+1}^{\infty}V[X_k]\tag{12.10}

は、この節の例題でも使う。証明の筋だけ繰り返す。

  1. Xm+1,…,XnX_{m+1},\dots,X_n に Kolmogorov の不等式 (12.3) を使い、n→∞n\to\infty とすれば (12.10) が出る。
  2. 右辺は m→∞m\to\infty で 0 に近づく。よって次の左辺は、確率 1 で 0 に近づく。

sup⁡j,k>m∣Sj−Sk∣≤2sup⁡k>m∣Sk−Sm∣\sup_{j,k>m}\left\vert S_j-S_k\right\vert \le2\sup_{k>m}\left\vert S_k-S_m\right\vert 3. したがって部分和の列は、ほとんど確実に Cauchy 列である。

残る L2L^2 収束を示す。

L2L^2 収束の証明

m<nm<n について、次が成り立つ。

E[(Sn−Sm)2]=∑k=m+1nV[Xk]E[(S_n-S_m)^2]=\sum_{k=m+1}^nV[X_k] n→∞n\to\infty で Sn−Sm→S−SmS_n-S_m\to S-S_m a.s. である。よって Fatou の補題(第5章 §5.2)から

E[(S−Sm)2]≤lim inf⁡nE[(Sn−Sm)2]=∑k>mV[Xk]→0(m→∞)E[(S-S_m)^2]\le\liminf_nE[(S_n-S_m)^2]=\sum_{k>m}V[X_k]\to0\qquad(m\to\infty)

である。

期待値が 0 でない場合は、Xn−E[Xn]X_n-E[X_n] に定理を使えば次の形になる。

系 12.8(2級数定理)

独立な確率変数の列について、期待値の級数 ∑nE[Xn]\sum_nE[X_n] が収束し、∑nV[Xn]<∞\sum_nV[X_n]<\infty とする。このとき和の級数はほとんど確実に収束する。

3級数定理と 0-1 法則

定理 12.7 は分散が有限であることを仮定しているので、裾の重い確率変数には使うことができない。大きな値を切り落としてから使うと、収束の必要十分条件が得られる。

定理 12.9(Kolmogorov の3級数定理)

X1,X2,…X_1,X_2,\dots を独立とする。定数 A>0A>0 を1つとって、Yn=Xn1{∣Xn∣≤A}Y_n=X_n\mathbf 1_{\{\left\vert X_n\right\vert \le A\}} と置く。∑nXn\sum_nX_n がほとんど確実に収束するための必要十分条件は、次の3つの級数がすべて収束することである。

(i) ∑nP(∣Xn∣>A),(ii) ∑nE[Yn],(iii) ∑nV[Yn].(12.11)\text{(i)}\ \sum_nP(\left\vert X_n\right\vert >A),\qquad\text{(ii)}\ \sum_nE[Y_n],\qquad\text{(iii)}\ \sum_nV[Y_n].\tag{12.11}

十分性はここまでの結果から証明することができる。

十分性の証明

(i) と Borel–Cantelli の第1補題から、確率 1 で有限個の番号を除いて ∣Xn∣≤A\left\vert X_n\right\vert \le A となる。つまり Xn=YnX_n=Y_n となる。

切断した列は独立な確率変数の関数なので独立である。(ii) と (iii) から、系 12.8 により ∑nYn\sum_nY_n はほとんど確実に収束する。2つの級数は有限個の項しか違わないので、もとの級数も同じ標本点で収束する。

必要性の証明の筋を述べる。

  1. (i) が従う。級数が収束すれば Xn→0X_n\to0 だから、∣Xn∣>A\left\vert X_n\right\vert >A は有限回しか起きない。事象 {∣Xn∣>A}\{\left\vert X_n\right\vert >A\} は独立なので、Borel–Cantelli の第2補題の対偶から (i) が従う。すると切断した級数 ∑nYn\sum_nY_n も収束する。
  2. (iii) が従う。(iii) が発散すると仮定する。有界な独立変数については、Kolmogorov の不等式の「逆向きの不等式」が使える(中心化した有界変数の場合)。

P(max⁡k≤n∣Sk∣≥ε)≥1−(ε+2A)2V[Sn]P\Bigl(\max_{k\le n}\left\vert S_k\right\vert \ge\varepsilon \Bigr)\ge1-\frac{(\varepsilon +2A)^2}{V[S_n]}

これから、部分和が有界にとどまらないことを示すことができる。こうして (iii) が従う。3. (ii) が従う。定理 12.7 から ∑n(Yn−E[Yn])\sum_n(Y_n-E[Y_n]) が収束する。差をとって (ii) も従う。

逆向きの不等式の証明を含む完全な証明は、測度論の本に譲る。

収束する確率は 0 か 1

  • 事象 {∑nXn が収束する}\{\sum_nX_n\ \text{が収束する}\} は、最初の有限個の項を変えても変わらない。このような事象を末尾事象と呼ぶ。
  • Kolmogorov の 0-1 法則は「独立な確率変数の列の末尾事象の確率は 0 か 1」と主張する(証明は、末尾事象が自分自身と独立になることを第4章 §4.2 の π系の議論で示す)。
  • この法則から、独立な確率変数の級数は「ほとんど確実に収束する」か「ほとんど確実に発散する」かのどちらかで、収束の確率が 12\frac12 のようなことは起きない。

例題 12.5 ランダムな符号の級数 ★★

オリジナルε1,ε2,…\varepsilon _1,\varepsilon _2,\dots を、独立に ±1\pm1 を確率 1/2 ずつとる確率変数とする。a>0a>0 について、級数 ∑nεn/na\sum_n\varepsilon _n/n^a を考える。

  1. 次を示せ。

    • a>12a>\frac12 なら、ほとんど確実に収束する。
    • a≤12a\le\frac12 なら、ほとんど確実に発散する。
  2. a=1a=1 のとき、極限 S=∑nεn/nS=\sum_n\varepsilon _n/n の平均と分散を求めよ。また次を示せ。

P(sup⁡k>1000∣Sk−S1000∣≥0.1)<0.1P\Bigl(\sup_{k>1000}\left\vert S_k-S_{1000}\right\vert \ge0.1\Bigr)<0.1

解答
  1. 項 Xn=εn/naX_n=\varepsilon _n/n^a は独立で、期待値は 0、分散は V[Xn]=n−2aV[X_n]=n^{-2a} である。

    • a>12a>\frac12 の場合。分散の和 ∑nn−2a\sum_nn^{-2a} は有限なので、定理 12.7 から収束する。
    • a≤12a\le\frac12 の場合。3級数定理を A=1A=1 で使う。各項の絶対値は 1 以下だから、切断しても Yn=XnY_n=X_n である。 (i) は 0 の和、(ii) は期待値 0 の和で、どちらも収束する。しかし (iii) は ∑nn−2a=∞\sum_nn^{-2a}=\infty で発散する。よって確率 1 で収束するわけではない。Kolmogorov の 0-1 法則から、収束の確率は 0 である。
  2. 定理 12.7 の L2L^2 収束から、2次までのモーメントが収束する。

E[Sn]→E[S],E[Sn2]→E[S2]E[S_n]\to E[S],\qquad E[S_n^2]\to E[S^2]

E[Sn]=0E[S_n]=0、E[Sn2]=∑k≤n1/k2E[S_n^2]=\sum_{k\le n}1/k^2 だから

E[S]=0,V[S]=∑n=1∞1n2=π26≈1.645E[S]=0,\qquad V[S]=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2}=\frac{\pi^2}{6}\approx1.645

である。尾の評価 (12.10) で m=1000m=1000、ε=0.1\varepsilon =0.1 とする。和は次のように押さえられる。

∑k>m1k2<∫m∞x−2 dx=1m\sum_{k>m}\frac1{k^2}<\int_m^\infty x^{-2}\,\mathrm{d} x=\frac1m

よって

P(sup⁡k>1000∣Sk−S1000∣>0.1)≤10.01∑k>10001k2<1001000=0.1P\Bigl(\sup_{k>1000}\left\vert S_k-S_{1000}\right\vert >0.1\Bigr)\le\frac{1}{0.01}\sum_{k>1000}\frac1{k^2}<\frac{100}{1000}=0.1

である。等号つきの事象(0.1 以上)についても、ε\varepsilon を 0.1 より少し小さくとって同じ評価が得られる。実際の和は ∑k>1000k−2≈0.0009995\sum_{k>1000}k^{-2}\approx0.0009995 なので、余裕がある。

Kronecker の補題と強法則の完成

級数の収束から平均の収束を導く橋渡しが、次の解析学の補題である。

補題 12.10(Kronecker の補題)

数列は 0<b1≤b2≤⋯0<b_1\le b_2\le\cdots、bn→∞b_n\to\infty を満たすとする。実数列 xnx_n について、∑nxn/bn\sum_nx_n/b_n が収束するとする。このとき次が成り立つ。

1bn∑k=1nxk→0\frac{1}{b_n}\sum_{k=1}^nx_k\to0

証明

部分和を un=∑k=1nxk/bku_n=\sum_{k=1}^nx_k/b_k と置き、u0=0u_0=0 とする。その極限を uu とする。xk=bk(uk−uk−1)x_k=b_k(u_k-u_{k-1}) を足し合わせて、和の順序を組み替える(Abel の総和法)。すると

∑k=1nxk=∑k=1nbkuk−∑k=1nbkuk−1=bnun−∑k=1n−1(bk+1−bk)uk\sum_{k=1}^{n}x_k=\sum_{k=1}^{n}b_ku_k-\sum_{k=1}^{n}b_ku_{k-1}=b_nu_n-\sum_{k=1}^{n-1}(b_{k+1}-b_k)u_k

となる(2つ目の和で j=k−1j=k-1 と置き直し、u0=0u_0=0 を使った)。両辺を bnb_n で割ると

1bn∑k=1nxk=un−1bn∑k=1n−1(bk+1−bk)uk\frac{1}{b_n}\sum_{k=1}^{n}x_k=u_n-\frac{1}{b_n}\sum_{k=1}^{n-1}(b_{k+1}-b_k)u_k

である。右辺の第2項が uu に近づくことを示せばよい。重み ck=bk+1−bk≥0c_k=b_{k+1}-b_k\ge0 の和は ∑k=1n−1ck=bn−b1\sum_{k=1}^{n-1}c_k=b_n-b_1 だから

1bn∑k=1n−1ckuk−u=1bn∑k=1n−1ck(uk−u)−b1bnu\frac{1}{b_n}\sum_{k=1}^{n-1}c_ku_k-u=\frac{1}{b_n}\sum_{k=1}^{n-1}c_k(u_k-u)-\frac{b_1}{b_n}u

と書ける。正の数 η\eta に対し、番号 KK を、それより先でずれがこの数未満となるように選ぶ。和を KK の前と後に分ける。

  • 前の部分は、番号 nn によらない有限の値を bn→∞b_n\to\infty で割ったものなので、0 に近づく。
  • 後ろの部分は、次で抑えられる。

1bn∑k=Kn−1ckη≤η\frac{1}{b_n}\sum_{k=K}^{n-1}c_k\eta\le\eta

最後の項も 0 に近づくので、上極限は η\eta 以下になる。η\eta は任意だから、第2項は uu に近づく。よって 1bn∑k≤nxk→u−u=0\frac1{b_n}\sum_{k\le n}x_k\to u-u=0 である。

系 12.11(Kolmogorov の判定条件)

X1,X2,…X_1,X_2,\dots が独立で、分散が有限とする。さらに ∑nV[Xn]/n2<∞\sum_nV[X_n]/n^2<\infty とする。このとき次が成り立つ。

Sn−E[Sn]n→0a.s.\frac{S_n-E[S_n]}{n}\to0\quad\text{a.s.}

証明

Zn=(Xn−E[Xn])/nZ_n=(X_n-E[X_n])/n と置く。これは独立で、次を満たす。

E[Zn]=0,∑nV[Zn]=∑nV[Xn]n2<∞E[Z_n]=0,\qquad\sum_nV[Z_n]=\sum_n\frac{V[X_n]}{n^2}<\infty

定理 12.7 から、∑nZn\sum_nZ_n はほとんど確実に収束する。その標本点ごとに、Kronecker の補題を xn=Xn(ω)−E[Xn]x_n=X_n(\omega)-E[X_n]、bn=nb_n=n で使う。すると 1n∑k≤n(Xk−E[Xk])→0\frac1n\sum_{k\le n}(X_k-E[X_k])\to0 を得る。

分散が有界なら ∑nV[Xn]/n2≤C∑n1/n2<∞\sum_nV[X_n]/n^2\le C\sum_n1/n^2<\infty である。よってこの系は「分散が有界な独立列の強法則」を含む。4次モーメントの仮定(定理 12.5)が、2次モーメントまで下がったことになる。この系を使って、Kolmogorov の強法則の残りの部分を証明する。

定理 12.6 の (1) の証明

μ=E[X1]\mu=E[X_1] とし、Yk=Xk1{∣Xk∣≤k}Y_k=X_k\mathbf 1_{\{\left\vert X_k\right\vert \le k\}} と置く。切断した列は独立である。

(a) もとの列と切断した列は、ほとんど確実に有限個の添字でしか違わない。実際、(2) の証明の冒頭と同じ不等式

∑k≥1P(∣X1∣>k)≤E[∣X1∣]<∞\sum_{k\ge1}P(\left\vert X_1\right\vert >k)\le E[\left\vert X_1\right\vert ]<\infty

が成り立つ(t∈[k−1,k)t\in[k-1,k) で P(∣X1∣>t)≥P(∣X1∣>k)P(\left\vert X_1\right\vert >t)\ge P(\left\vert X_1\right\vert >k) を裾の公式に使う)。同分布性から次が成り立つ。

∑kP(Xk≠Yk)=∑kP(∣X1∣>k)<∞\sum_kP(X_k\neq Y_k)=\sum_kP(\left\vert X_1\right\vert >k)<\infty

よって Borel–Cantelli の第1補題が使え、1n∑k≤n(Xk−Yk)→0\frac1n\sum_{k\le n}(X_k-Y_k)\to0 a.s. である。

(b) 優収束定理から E[Yk]=E[X1;∣X1∣≤k]→μE[Y_k]=E[X_1;\left\vert X_1\right\vert \le k]\to\mu である。その Cesàro 平均も μ\mu に近づく(系 12.3 の証明の Cesàro 平均の議論と同じ)。

(c) ∑kV[Yk]/k2<∞\sum_kV[Y_k]/k^2<\infty を示す。分散は V[Yk]≤E[Yk2]=E[X121{∣X1∣≤k}]V[Y_k]\le E[Y_k^2]=E[X_1^2\mathbf 1_{\{\left\vert X_1\right\vert \le k\}}] を満たす。よって Tonelli の定理(非負の和と期待値の交換)から

∑k≥1V[Yk]k2≤E[X12∑k≥max⁡(1,∣X1∣)1k2]\sum_{k\ge1}\frac{V[Y_k]}{k^2}\le E\Bigl[X_1^2\sum_{k\ge\max(1,\left\vert X_1\right\vert )}\frac1{k^2}\Bigr]

である。m≥1m\ge1 について、次が成り立つ。

∑k≥m1k2≤1m2+∫m∞x−2 dx≤2m\sum_{k\ge m}\frac1{k^2}\le\frac1{m^2}+\int_m^\infty x^{-2}\,\mathrm{d} x\le\frac2m

和の始まりの整数 mm は max⁡(1,∣X1∣)\max(1,\left\vert X_1\right\vert ) 以上である。よって括弧の中は次以下である。

X12⋅2max⁡(1,∣X1∣)≤2∣X1∣X_1^2\cdot\frac2{\max(1,\left\vert X_1\right\vert )}\le2\left\vert X_1\right\vert

最後の不等式は、∣X1∣≥1\left\vert X_1\right\vert \ge1 なら等号である。∣X1∣<1\left\vert X_1\right\vert <1 なら 2X12≤2∣X1∣2X_1^2\le2\left\vert X_1\right\vert による。よって和は 2E[∣X1∣]<∞2E[\left\vert X_1\right\vert ]<\infty 以下である。

3つを合わせる。

  1. (c) と系 12.11 から、1n∑k≤n(Yk−E[Yk])→0\frac1n\sum_{k\le n}(Y_k-E[Y_k])\to0 a.s. である。
  2. (b) と合わせて、1n∑k≤nYk→μ\frac1n\sum_{k\le n}Y_k\to\mu a.s. である。
  3. さらに (a) と合わせて、Xˉn→μ\bar X_n\to\mu a.s. を得る。

例題 12.6 分散が増える独立列の強法則 ★

オリジナルX1,X2,…X_1,X_2,\dots を独立とする。定数 β≥0\beta\ge0 について、各項は ±nβ\pm n^\beta を確率 1/2 ずつとるとする。

  1. 0≤β<120\le\beta<\frac12 なら Xˉn→0\bar X_n\to0 a.s. を示せ。
  2. β=12\beta=\frac12 のとき、V[Xˉn]V[\bar X_n] の極限を求めよ。また Xˉn→L20\bar X_n\xrightarrow{L^2}0 が成り立たないことを確かめよ。
解答
  1. 期待値は 0、分散は V[Xn]=n2βV[X_n]=n^{2\beta} である。よって

∑nV[Xn]n2=∑nn2β−2\sum_n\frac{V[X_n]}{n^2}=\sum_nn^{2\beta-2}

であり、2β−2<−12\beta-2<-1 つまり β<12\beta<\frac12 なら収束する。系 12.11 から、Xˉn=Sn/n→0\bar X_n=S_n/n\to0 a.s. である。2. β=12\beta=\frac12 では、次のようになる。

V[Xˉn]=1n2∑k=1nk=n+12n→12V[\bar X_n]=\frac{1}{n^2}\sum_{k=1}^nk=\frac{n+1}{2n}\to\frac12

2乗の期待値 E[Xˉn2]=V[Xˉn]E[\bar X_n^2]=V[\bar X_n] が 0 に近づかないので、L2L^2 収束しない。定理 12.2 の条件 V[Sn]/n2→0V[S_n]/n^2\to0 も、ちょうど破れている。実際、第13章の中心極限定理(Lindeberg 条件の形)を使うと、標本平均の分布は N(0,12)\mathrm N(0,\frac12) に近づく。よって 0 への確率収束も成り立たないことが分かる。

確認テスト

オリジナル

  1. 12.3-1 独立な確率変数の列について、事象 {∑nXn が収束する}\{\sum_nX_n\ \text{が収束する}\} を考える。これが任意の mm について、Xm+1,Xm+2,…X_{m+1},X_{m+2},\dots だけで決まることを説明せよ。すなわち、次のσ加法族に属することを説明せよ。

σ(Xm+1,Xm+2,… )\sigma(X_{m+1},X_{m+2},\dots) 2. 12.3-2 独立な確率変数の列が、次を満たすとする。

P(Xn=n2)=1n2,P(Xn=0)=1−1n2P(X_n=n^2)=\frac1{n^2},\qquad P(X_n=0)=1-\frac1{n^2}

∑nXn\sum_nX_n がほとんど確実に収束することを示せ。一方で E[∑nXn]=∞E[\sum_nX_n]=\infty であることを確かめよ。3. 12.3-3 独立な確率変数の列が、0≤pn≤10\le p_n\le1 について次を満たすとする。

P(Xn=1)=P(Xn=−1)=pn2,P(Xn=0)=1−pnP(X_n=1)=P(X_n=-1)=\frac{p_n}{2},\qquad P(X_n=0)=1-p_n

3級数定理を使い、∑nXn\sum_nX_n がほとんど確実に収束することと、∑npn<∞\sum_np_n<\infty が同値であることを示せ。4. 12.3-4 X1,X2,…X_1,X_2,\dots を独立同分布とする。平均は 0、分散は V[X1]=σ2<∞V[X_1]=\sigma^2<\infty とする。任意の δ>0\delta>0 について、次を示せ。

Snn1/2+δ→0a.s.\frac{S_n}{n^{1/2+\delta}}\to0\quad\text{a.s.}

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

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