統計熱力学入門 第5章 §5.4 ★★ VNλT3=Li3/2∓(z)、pλT3/kBT=Li5/2∓(z)。高温展開・BEC で便利な標準形。
以上で物理量は ∫Df 型の積分にまとまった。高温や絶対零度のような特定の極限では、以降の各章のようにこの積分を直接評価すればよい。ここでは、z の全域で使える標準形を一度だけ用意しておく(必須ではないが、第6章と第9章で便利になる)。N の積分(5.7)で D=Cε1/2 を代入し x=βε と無次元化すると(第6章の(6.3)と同じ操作)、前因子と無次元積分に分かれて
N=π2λT3V∫0∞z−1ex±1x1/2dx
となる。この無次元積分は、分母を等比級数z−1ex±11=∑l≥1(∓1)l−1zle−lx に開いて項別積分すれば(∫0∞xν−1e−lxdx=Γ(ν)/lν)、次の級数に等しい:
Liν∓(z)≡Γ(ν)1∫0∞z−1ex±1xν−1dx=l=1∑∞lν(±1)l−1zl=z±2νz2+3νz3±⋯(5.14)
(上が Fermi、下が Bose。Bose 側は gν(z)、Fermi 側は fν(z) とも書かれる)。Liν∓ はこの積分=この級数に付けた名前にすぎず、特殊関数論を持ち込んでいるわけではない。Γ(3/2)=2π を使えば上の N は π2⋅2πLi3/2∓=Li3/2∓ とまとまり、圧力も pV=32E((5.10))と E の同様の無次元化(ε3/2 積分、Γ(5/2)=23Γ(3/2))から、
VNλT3=Li3/2∓(z),kBTpλT3=Li5/2∓(z)(5.15)
が得られる(g=1)。N が Li3/2、pV が Li5/2 と次数が 1 だけ違うのは、pV(と E)の被積分関数が N のそれより ε を 1 つ余分に含む(ε3/2 対 ε1/2)ことの反映にすぎない。(5.15)は、高温展開を z の低次で切ること(第6章)にも、Bose–Einstein 凝縮で Li3/2−(1)=ζ(3/2) の有限性を使うこと(第9章)にも便利な形である。
要点
z=1 での値:Bose は ζ、Fermi は交代和 η。(5.14)に z=1 を入れると、Bose 側(複号すべて +)はLiν−(1)=∑l≥1l−ν=ζ(ν)、Fermi 側(交代)はLiν+(1)=∑l≥1(−1)l−1l−ν≡η(ν)(Dirichlet の η 関数)となる。両者は偶数項をまとめて引く(η=ζ−2⋅2−νζ)だけで
η(ν)=(1−21−ν)ζ(ν),η(23)=(1−21)ζ(23)≃0.765
と結ばれる。したがって (1−21)Γ(23)ζ(23) という値が現れたら、それはFermi 積分 ∫0∞x1/2(ex+1)−1dx の値である。BEC の閾値(第9章)に入るのは因子なしの ζ(3/2)≃2.612(Bose 積分 ex−1 の側)であり、両者を混同すると Tc を誤る。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com