量子力学入門 第7部 第8章 §7.8.3 ★ 経路積分の代表計算(発展)
V=21mω2x2 でも作用が2次なので厳密に解ける。鍵は経路を
x(t)=xcl(t)+η(t),η(0)=η(T)=0
と、古典経路+ゆらぎに分けることである。S は2次だから展開はちょうど2次で切れ、しかも1次の項(交差項)は古典経路が運動方程式を満たすことで消える:
S[x]=Scl+S2[η],S2[η]=∫0T(2mη˙2−2mω2η2)dt
——積分変数を η に移せば、伝播関数は厳密に
K=eiScl/ℏ×=:F(T) (端点によらない)∫Dη eiS2[η]/ℏ
と因子化する。それぞれを計算する。
古典作用.
境界条件 x(0)=xi、x(T)=xf の古典解を積分すると(計算は SymPy で検証済み)
Scl=2sinωTmω[(xi2+xf2)cosωT−2xixf].(7.8.3)
ω→0 で 2Tm(xf−xi)2(自由粒子)に戻ることも確かめられる。
ゆらぎ因子.
η(t)=∑n≥1cnsin(nπt/T) とモード展開すると S2 はモードごとに対角化され、各 cn のガウス積分から
F(T)=F0(T)n=1∏∞[1−(nπωT)2]−1/2,
F0 は自由粒子(ω=0)の値 m/2πiℏT。無限積は正弦関数の Euler 積公式
n=1∏∞[1−(nπz)2]=zsinz
で閉じる(z=1.3 で数値的にも10−6の精度で確認済み)。合わせて
K(xf,T;xi,0)=2πiℏsinωTmω eiScl/ℏ (7.8.4)
——Mehler 核である。検算として虚時間 T→−iℏβ に回すと(§7.2.3 の Wick 回転)、(7.8.4) はスペクトル展開 ∑nφn(xf)φn(xi)e−βEn と一致しなければならない——調和振動子の固有関数(Hermite)で数値照合し、小数点以下14桁で一致することを確認済みである。
スペクトルの読み出し.
(7.8.4) で xi=xf=x と置いて x で積分すると(トレース)、
Z(T):=∫dxK(x,T;x,0)=2isin(ωT/2)1=n=0∑∞e−iωT(n+21)
(等比級数への展開は e−iωT/2/(1−e−iωT) の書き換え)。トレースの定義は ∑ne−iEnT/ℏ だから、比べて
En=ℏω(n+21)
——固有値問題を1度も解かずに、経路積分からスペクトルが読めた。代数的方法(第8部『時間依存摂動論とダイナミクス』の第0章§0.1)、WKB(第5章)、そして経路積分——3つの独立な方法が同じ答えに合流する様は壮観である(トレース Z(T) を虚時間に回したものが分配関数 Z(β) であることも、§7.2.3 の統計力学接続と整合する)。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com