tecktom.com

はしごと車庫のパラドックス

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第3章 時空図と不変間隔
目次
  1. パラドックスの設定
  2. 時空図での解決
  3. はしごを止めると何が起きるか
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対論入門 第3章 §3.4 ★★ 長さの収縮が「どちらの系でも成り立つ」ことの矛盾に見える点を、同時の相対性で解消する練習

パラドックスの設定

静止長 L0L_0 のはしごを持った人が、車庫に向かって速さ vv で走ってくる。車庫の静止長は LgL_g である。L0>LgL_0>L_g で、止まっているときははしごは車庫に収まらない。

車庫の系 KK では、はしごは長さの収縮で L0/γL_0/\gamma に縮む。L0/γ<LgL_0/\gamma<L_g となるほど速く走れば、はしごはある時間のあいだ車庫にすっぽり収まる。

ところが、はしごの系 K′K' では車庫のほうが動いている。車庫が Lg/γL_g/\gamma に縮むので、はしごはなおさら収まらない。どちらが正しいのか、というのがはしごと車庫のパラドックスである。

「はしごが車庫に収まる」とは、次の2つの事象の順序についての主張である。

  • 事象 BB:はしごの後端が車庫の入口を通過する。
  • 事象 AA:はしごの前端が車庫の奥の壁の位置に達する。

BB が AA より先に起きれば、そのあいだのどの時刻でもはしごの両端は車庫の中にあり、はしごは収まっている。AA が先なら、はしごの前端が奥に達した時刻に後端はまだ外にある。こう書くと、パラドックスの答えは2事象の順序が慣性系によって変わりうるかどうか、つまり2事象が空間的に離れているかどうかの問題になる。

時空図での解決

具体的に、はしごと車庫の静止長を L0=6.0 mL_0=6.0\,\mathrm m、Lg=5.0 mL_g=5.0\,\mathrm m とする。速さは β=0.8\beta=0.8(γ=5/3\gamma=5/3)とする。

車庫の系 KK で、入口を x=0x=0 に置く。奥の壁は x=5.0 mx=5.0\,\mathrm m にある。この系でのはしごの長さは 6.0/γ=3.6 m6.0/\gamma=3.6\,\mathrm m である。後端が入口を通過する時刻を t=0t=0 とすると、後端と前端の世界線は

x後=0.8 ct,x前=3.6+0.8 ctx_{\text{後}}=0.8\,ct,\qquad x_{\text{前}}=3.6+0.8\,ct

である(長さはメートル)。2つの事象の座標は次のとおりである。

  • 事象 BB は原点 (ct,x)=(0,0)(ct,x)=(0,0) である。
  • 事象 AA は前端が x=5.0x=5.0 に来る事象である。3.6+0.8 ct=5.03.6+0.8\,ct=5.0 を解くと ct=1.75ct=1.75 である。座標は (1.75,5.0)(1.75,5.0) となる。

車庫の系では BB が AA より先に起きる。その差は ctct にして1.75 m であり、そのあいだはしごは車庫に収まっている。

2事象の間隔は

Δs2=(1.75)2−(5.0)2=3.0625−25=−21.94 m2<0\Delta s^2=(1.75)^2-(5.0)^2=3.0625-25=-21.94\ \mathrm{m^2}<0

で、空間的である。命題 3.5 から、順序が入れ替わる慣性系がありうる。実際、はしごの系 K′K'(β=0.8\beta=0.8)での時刻は

ctB′=γ(0−0)=0,ctA′=53 (1.75−0.8×5.0)=53×(−2.25)=−3.75 mct'_B=\gamma(0-0)=0,\qquad ct'_A=\frac53\,(1.75-0.8\times5.0)=\frac53\times(-2.25)=-3.75\ \mathrm m

となり、はしごの系では AA が BB より先に起きる。はしごの系では、前端が奥の壁の位置に達したとき後端はまだ入口の外にあり、はしごは収まっていない。2つの系の主張はどちらも正しく、「収まる」という言葉が同時刻の選び方に依存していたことがパラドックスの原因である。

K′K' の側から直接確かめておく。この系では、はしごは x′=0x'=0 から x′=6.0x'=6.0 までに静止している。車庫は速さ 0.8c0.8c で −x-x 方向に動いている。車庫の長さは 5.0/γ=3.0 m5.0/\gamma=3.0\,\mathrm m である。入口と奥の壁の位置は

x入′=−0.8 ct′,x奥′=x入′+3.0x'_{\text{入}}=-0.8\,ct',\qquad x'_{\text{奥}}=x'_{\text{入}}+3.0

である。入口は ct′=0ct'=0 で後端(x′=0x'=0)を通過する。

奥の壁が前端(x′=6.0x'=6.0)に来る時刻は、−0.8 ct′+3.0=6.0-0.8\,ct'+3.0=6.0 を解いて求める。答えは ct′=−3.75ct'=-3.75 である。これは上の計算と一致する。

図

図 3.4 車庫の系 KK でのはしごと車庫の時空図(β=0.8\beta=0.8)。灰色の帯が車庫の内部、青の2本がはしごの両端の世界線。KK では BB のあと AA が起きるが、BB を通る K′K' の同時刻線(赤の破線)は AA より上を通るので、K′K' では AA のほうが先に起きている。

はしごを止めると何が起きるか

奥の壁が頑丈で、はしごの前端が事象 AA で止まる場合を考える。車庫の系では収まっていたのだから、入口の扉を閉めればはしごを閉じ込められるように思える。はしごの系では前端が止まったときに後端はまだ外にあるので、閉じ込められないように思える。

この問いには、どちらの系でも同じ答えが出る。前端が止まったという情報は、はしごの材料の中を音速(光速より遅い)で後端へ伝わる。後端は、その情報が届くまで速さ vv で動き続ける。

情報が光速で伝わるとしても、後端が止まり始めるのは、次の2本の世界線の交点よりあとである(確認テスト 3.4-3)。

前端からの光: x=5.0−(ct−1.75),後端: x=0.8 ct\text{前端からの光}:\ x=5.0-(ct-1.75),\qquad \text{後端}:\ x=0.8\,ct

交点は ct=3.75 mct=3.75\,\mathrm m、x=3.0 mx=3.0\,\mathrm m である。その時点で後端は入口から3.0 m 内側にあり、はしごは2.0 m 以下に押し縮められている。

はしごは完全な剛体として振る舞うことはできず、壊れるか縮むかする。相対論では、力を加えた瞬間に全体が一斉に動く剛体は存在しない。これも信号の速さの上限が cc であることの帰結である。

例題 3.4 車庫の2つの扉を同時に閉める ★★

オリジナル上の数値(はしご6.0 m、車庫5.0 m、β=0.8\beta=0.8)で、車庫の入口と奥の両方に扉がある。

KK の時刻 ct=1.0 mct=1.0\,\mathrm m に2つの扉を同時に一瞬だけ閉め、すぐに開ける。はしごは扉に当たらずに通り抜けることを、KK と K′K' の両方で確かめよ。

解答

車庫の系の時刻 ct=1.0ct=1.0 には、後端は x=0.8x=0.8 にある。前端は x=4.4x=4.4 にある。両端とも車庫の内側 0<x<50<x<5 に入っている。2つの扉が閉じている瞬間、はしごは車庫の中にあり、どちらの扉にも当たらない。

K′K' での扉の開閉の時刻を Lorentz 変換で求める。入口の閉鎖 (ct,x)=(1.0,0)(ct,x)=(1.0,0) と奥の閉鎖 (1.0,5.0)(1.0,5.0) について

ct入′=53(1.0−0)=1.667 m,ct奥′=53(1.0−0.8×5.0)=53×(−3.0)=−5.0 m.ct'_{\text{入}}=\frac53(1.0-0)=1.667\ \mathrm m,\qquad ct'_{\text{奥}}=\frac53(1.0-0.8\times5.0)=\frac53\times(-3.0)=-5.0\ \mathrm m .

K′K' では奥の扉が先に(ct′=−5.0ct'=-5.0)閉じて開く。そのあと ct′=−3.75ct'=-3.75 に奥の壁の位置が前端に達する(事象 AA)ので、前端は開いた扉を通り抜ける。

入口の扉は ct′=1.667ct'=1.667 に閉じる。しかし後端は、ct′=0ct'=0 の事象 BB ですでに入口を通過している。K′K' でも、はしごはどちらの扉にも当たらない。

2つの扉の閉鎖は KK で同時である。しかし間隔は (0)2−(5.0)2<0(0)^2-(5.0)^2<0 で、空間的に離れた事象である。そのため K′K' では同時でない。

確認テスト

オリジナル

  1. 3.4-1 静止長 L0=6.0 mL_0=6.0\,\mathrm m のはしごと、静止長 Lg=5.0 mL_g=5.0\,\mathrm m の車庫がある。はしごが車庫の系で車庫に収まるための β\beta の条件を求めよ。
  2. 3.4-2 本文の数値で、KK ではしごが車庫に収まっている時間 Δt\Delta t を秒で求めよ。また、K′K' で「奥の壁の位置が前端に達してから入口が後端を通過するまで」の時間を秒で求めよ。
  3. 3.4-3 本文の「はしごを止める」場合に、前端の停止を知らせる光の信号が後端に届く事象の KK での座標を求め、それを K′K' に変換せよ。この事象が K′K' でも AA より後に起きることを確かめよ。
  4. 3.4-4 静止長 L0L_0、LgL_g を一般の値とする。速さ β\beta も一般にとる。2事象の間隔 Δs2\Delta s^2 を求めよ。次の2つの条件が成り立つとき、2事象が常に空間的に離れていることを示せ。

L0>Lg,L0γ≤Lg  (K ではしごが収まる)L_0>L_g,\qquad \frac{L_0}{\gamma}\le L_g\ \ ({K}\text{ ではしごが収まる})

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『基礎理論』の記事一覧へ