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Doppler 効果

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第3章 時空図と不変間隔
目次
  1. 縦の Doppler 効果
  2. 任意の向きと横の Doppler 効果
  3. 双子のパラドックスを Doppler 効果で見る
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対論入門 第3章 §3.5 ★★★ 動く光源からの光の振動数の変化。時間の遅れと光の伝播時間の変化の2つが組み合わさった結果で、天文学と原子物理の測定に直結する

縦の Doppler 効果

光源が観測者から遠ざかる場合を考える。観測者は慣性系 KK の原点に静止している。

光源はこの系に対して速さ vv で +x+x 方向へ動く。光源の静止系 K′K' で、光源は固有の周期 T0T_0 で波の山を出す。振動数は f0=1/T0f_0=1/T_0 である。

連続する2つの山の放出を考える。光源の時計で T0T_0 離れた2事象は、時間の遅れのため観測者の系では γT0\gamma T_0 離れている。そのあいだに光源は vγT0v\gamma T_0 だけ遠ざかるので、2つ目の山は観測者に届くまでに vγT0/cv\gamma T_0/c だけ余分に時間がかかる。観測者が受け取る山の間隔は

T=γT0+vγT0c=γ(1+β)T0=(1+β)21−β2 T0=1+β1−β T0(3.10)T=\gamma T_0+\frac{v\gamma T_0}{c}=\gamma(1+\beta)T_0=\sqrt{\frac{(1+\beta)^2}{1-\beta^2}}\,T_0=\sqrt{\frac{1+\beta}{1-\beta}}\,T_0\tag{3.10}

である。振動数は周期の逆数なので

f=1−β1+β f0(遠ざかる),f=1+β1−β f0(近づく)(3.11)f=\sqrt{\frac{1-\beta}{1+\beta}}\,f_0\quad(\text{遠ざかる}),\qquad f=\sqrt{\frac{1+\beta}{1-\beta}}\,f_0\quad(\text{近づく})\tag{3.11}

となる。近づく場合は β\beta を −β-\beta に置き換えればよい。遠ざかる光源の光は振動数が下がり(赤方偏移)、近づく光源の光は上がる(青方偏移)。

式 (3.11) は光源と観測者を入れ替えても形が変わらない。観測者が静止した光源から速さ vv で遠ざかる場合を光源の系で計算しても、同じ式になる(確認テスト 3.5-4 の考え方を参照)。

音の Doppler 効果では、音源が動く場合と観測者が動く場合で式が違う。これは、音を伝える空気が静止している系という特別な慣性系があるためである。光には特別な静止系がないので、相対速度 β\beta だけで振動数の比が決まる。

β≪1\beta\ll1 では、振動数の比を展開すると

1−β1+β≃1−β+β22\sqrt{\frac{1-\beta}{1+\beta}}\simeq1-\beta+\frac{\beta^2}{2}

となる。1次の項は音の場合と同じ 1−β1-\beta である。違いは2次の項から現れる。

任意の向きと横の Doppler 効果

光源の速度の向きと、光源から観測者へ向かう光の進行方向が角度 θ\theta をなす場合を考える。θ\theta は観測者の系 KK で測る。観測者が光源から十分遠いとして、光は KK で光源から観測者へまっすぐ進むとする。

連続する2つの山の放出のあいだに、KK では時間 γT0\gamma T_0 がたつ。そのあいだに光源は速度の向きに vγT0v\gamma T_0 だけ進む。このうち観測者へ向かう方向の成分は vγT0cos⁡θv\gamma T_0\cos\theta なので、光源と観測者の距離は vγT0cos⁡θv\gamma T_0\cos\theta だけ縮む。2つ目の山の伝播時間はその分 vγT0cos⁡θ/cv\gamma T_0\cos\theta/c だけ短くなる。受け取る周期は

T=γT0−vγT0cos⁡θc=γ(1−βcos⁡θ) T0T=\gamma T_0-\frac{v\gamma T_0\cos\theta}{c}=\gamma(1-\beta\cos\theta)\,T_0

で、振動数は

f=f0γ(1−βcos⁡θ)(3.12)f=\frac{f_0}{\gamma(1-\beta\cos\theta)}\tag{3.12}

となる。θ=0\theta=0 と θ=π\theta=\pi では、式 (3.11) に戻る。

θ=0 (近づく): f=f0γ(1−β)=1+β1−β f0,θ=π (遠ざかる): f=1−β1+β f0\theta=0\ (\text{近づく}):\ f=\frac{f_0}{\gamma(1-\beta)}=\sqrt{\frac{1+\beta}{1-\beta}}\,f_0,\qquad \theta=\pi\ (\text{遠ざかる}):\ f=\sqrt{\frac{1-\beta}{1+\beta}}\,f_0

θ=π/2\theta=\pi/2、すなわち観測者の系で光源の速度に垂直な方向から届いた光を受け取る場合、

f=f0γ(3.13)f=\frac{f_0}{\gamma}\tag{3.13}

となる。これを横の Doppler 効果と呼ぶ。この効果には光の伝播時間の変化は含まれておらず、光源の時計が KK で γ\gamma 倍遅れて進むことだけの結果である。Newton 力学の Doppler 効果には θ=π/2\theta=\pi/2 での振動数の変化がないので、横の Doppler 効果は時間の遅れを直接示す現象になっている。

「横」の取り方は2通りある

  • 観測者の系で光の進行方向が光源の速度に垂直(θ=π/2\theta=\pi/2)なら、f=f0/γf=f_0/\gamma の赤方偏移になる。
  • 光源の系で光の放出方向が速度に垂直(θ′=π/2\theta'=\pi/2)な場合を考える。光行差(第2章 §2.3)で、観測者の系での方向は cos⁡θ=β\cos\theta=\beta となる。これを式 (3.12) に入れると f=γf0f=\gamma f_0 の青方偏移になる(確認テスト 3.5-2)。
  • 2つの結果は矛盾しない。同じ「横」でも、どの系で垂直を測るかによって異なる光線を指している。

式 (3.12) は、第4章で4元波数 kμ=(ω/c,k)k^\mu=(\omega/c,\bm{k}) が4元ベクトルとして変換することを使うと、1行で導き直すことができる。光の位相 ωt−k⋅x\omega t-\bm{k}\cdot\bm{x} が慣性系によらないことが、その根拠になる。

双子のパラドックスを Doppler 効果で見る

例題 3.3 の双子が、互いに自分の時計で1年ごとに光の信号を送り合うとする。β=0.8\beta=0.8 では(1+β)/(1−β)=1.8/0.2=3\sqrt{(1+\beta)/(1-\beta)}=\sqrt{1.8/0.2}=3 である。遠ざかるあいだは信号の間隔が3倍に、近づくあいだは 1/31/3 倍になる。

兄が受け取る弟の信号を数える。弟の往路の3年分の信号は、遠ざかる光源からの信号なので3倍の間隔、すなわち9年かけて兄に届く。

弟の折り返しは、KK で時刻5年、距離4光年の事象である。それを知らせる信号が兄に届くのは t=9t=9 年である。残りの1年で、復路の3年分の信号が 1/31/3 倍の間隔で届く。兄は合計 1010 年で弟の信号を6回受け取る。

弟が受け取る兄の信号を数える。往路の3年のあいだ、兄の信号は3倍の間隔で届くので1回だけ受け取る。復路の3年のあいだは 1/31/3 倍の間隔なので9回受け取る。弟は合計6年で兄の信号を10回受け取る。

2人の勘定は一致しており、兄が10年、弟が6年年をとる。非対称は、弟が信号の間隔が変わる瞬間を自分の旅の中間(3年目)で経験するのに対し、兄がそれを9年目に経験する点に現れている。

例題 3.5 水素イオンのビームの横の Doppler 効果 ★★

オリジナル水素原子の輝線(静止系での波長 λ0=486.1 nm\lambda_0=486.1\,\mathrm{nm})を出すイオンが、β=5.0×10−3\beta=5.0\times10^{-3} でビームとして飛んでいる。

  1. ビームの進行方向の前方(θ=0\theta=0)と後方(θ=π\theta=\pi)で観測した波長を求めよ。それぞれ λ0\lambda_0 からのずれを答えよ。
  2. 前方と後方の波長の平均が λ0\lambda_0 からずれる量を求めよ。それが観測者の系での垂直方向(θ=π/2\theta=\pi/2)の波長のずれと一致することを示せ。
  3. (2) のずれが β\beta のどの次数の効果か答え、Newton 力学の Doppler 効果ではずれが 00 になることと比べよ。
解答
  1. 波長は振動数に反比例するので、式 (3.12) から λ=γ(1−βcos⁡θ)λ0\lambda=\gamma(1-\beta\cos\theta)\lambda_0 である。γ=(1−2.5×10−5)−1/2=1+1.25×10−5+⋯\gamma=(1-2.5\times10^{-5})^{-1/2}=1+1.25\times10^{-5}+\cdots を使うと

λ前=γ(1−β)λ0=483.67 nm,λ後=γ(1+β)λ0=488.54 nm\lambda_{\text{前}}=\gamma(1-\beta)\lambda_0=483.67\,\mathrm{nm},\qquad \lambda_{\text{後}}=\gamma(1+\beta)\lambda_0=488.54\,\mathrm{nm}

で、ずれは ∓2.43 nm\mp2.43\,\mathrm{nm} である(有効数字の範囲では ±βλ0=±2.43 nm\pm\beta\lambda_0=\pm2.43\,\mathrm{nm})。2. 平均は

λ前+λ後2=γ(1−β)+γ(1+β)2λ0=γλ0\frac{\lambda_{\text{前}}+\lambda_{\text{後}}}{2}=\frac{\gamma(1-\beta)+\gamma(1+\beta)}{2}\lambda_0=\gamma\lambda_0

で、ずれは (γ−1)λ0≃β22λ0=1.25×10−5×486.1 nm=6.08×10−3 nm(\gamma-1)\lambda_0\simeq\frac{\beta^2}{2}\lambda_0=1.25\times10^{-5}\times486.1\,\mathrm{nm}=6.08\times10^{-3}\,\mathrm{nm} である。θ=π/2\theta=\pi/2 では λ=γλ0\lambda=\gamma\lambda_0 なので、ずれは (2) の平均のずれと同じになる。3. ずれは β2\beta^2 の次数で、時間の遅れ γ\gamma だけによる。Newton 力学では前方と後方の波長が (1∓β)λ0(1\mp\beta)\lambda_0 となり、平均はちょうど λ0\lambda_0 に戻る。1次のずれ 2.43 nm2.43\,\mathrm{nm} に比べて 400400 分の1程度の小さな量だが、前後の平均をとることで1次の効果を打ち消して取り出すことができる。1938年の Ives と Stilwell の実験はこの考え方に基づいていた。

確認テスト

オリジナル

  1. 3.5-1 波長 650 nm650\,\mathrm{nm} の赤い光を出す光源に、β=0.6\beta=0.6 で正面から近づく観測者が受け取る光の波長を求めよ。
  2. 3.5-2 光源の系で速度に垂直な方向(θ′=π/2\theta'=\pi/2)に出た光は、観測者の系で cos⁡θ=β\cos\theta=\beta の方向へ進む。光行差の式 cos⁡θ=(cos⁡θ′+β)/(1+βcos⁡θ′)\cos\theta=(\cos\theta'+\beta)/(1+\beta\cos\theta') からこれを確かめ、式 (3.12) に代入して f=γf0f=\gamma f_0 となることを示せ。
  3. 3.5-3 式 (3.12) で、振動数が f=f0f=f_0 となる角度を β\beta で表せ。その角度が β→0\beta\to0 と β→1\beta\to1 でそれぞれどの向きに近づくかを述べよ。
  4. 3.5-4 静止したレーダーから振動数 ff の電波を、速さ vv で遠ざかる鏡に向けて発射する。鏡で反射されて戻ってきた電波の振動数が f(1−β)/(1+β)f(1-\beta)/(1+\beta) になることを、縦の Doppler 効果を2回使って示せ。β=1.0×10−7\beta=1.0\times10^{-7}、f=10.0 GHzf=10.0\,\mathrm{GHz} のとき、振動数の変化を Hz で求めよ。

木下の勉強ステータス

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