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エネルギーと質量

2026年10月15日14分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第5章 相対論的力学
目次
  1. 仕事とエネルギー
  2. エネルギーと運動量の関係
  3. 質量0の粒子
  4. 静止エネルギーと系の質量
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対論入門 第5章 §5.2 ★★★ 4元運動量の時間成分はエネルギーで、E2=(pc)2+(mc2)2E^2=(pc)^2+(mc^2)^2 は4元運動量の大きさが一定であることの言い換え

仕事とエネルギー

4元運動量の時間成分 p0=γumcp^0=\gamma_umc の意味を、仕事とエネルギーの関係から決める。粒子に働く3次元の力 F\bm{F} を、Newton の第2法則と同じ形で

F=dpdt,p=γumu(5.11)\bm{F}=\frac{d \bm{p}}{d t},\qquad \bm{p}=\gamma_um\bm{u}\tag{5.11}

と定める(この定義が4元ベクトルの言葉でどう表されるかは §5.4 で扱う)。Newton 力学と同じく、力が単位時間あたりにする仕事 F⋅u\bm{F}\cdot\bm{u} が運動エネルギー TT の増える割合だと定める。F⋅u\bm{F}\cdot\bm{u} を計算する。γu\gamma_u を時間で微分すると、u2=u⋅uu^2=\bm{u}\cdot\bm{u} に注意して

dγudt=ddt(1−u⋅uc2)−1/2=−12(1−u2c2)−3/2(−2 u⋅u˙c2)=γu3c2 u⋅u˙\frac{d \gamma_u}{d t}=\frac{d }{d t}\Bigl(1-\frac{\bm{u}\cdot\bm{u}}{c^2}\Bigr)^{-1/2} =-\frac12\Bigl(1-\frac{u^2}{c^2}\Bigr)^{-3/2}\Bigl(-\frac{2\,\bm{u}\cdot\dot{\bm{u}}}{c^2}\Bigr) =\frac{\gamma_u^3}{c^2}\,\bm{u}\cdot\dot{\bm{u}}

である(u˙=du/dt\dot{\bm{u}}=\mathrm{d}\bm{u}/\mathrm{d} t)。これを使うと

F⋅u=m u⋅ddt(γuu)=mγu u⋅u˙+m u2 γu3c2 u⋅u˙=mγu u⋅u˙(1+γu2u2c2).\bm{F}\cdot\bm{u}=m\,\bm{u}\cdot\frac{d }{d t}\bigl(\gamma_u\bm{u}\bigr) =m\gamma_u\,\bm{u}\cdot\dot{\bm{u}}+m\,u^2\,\frac{\gamma_u^3}{c^2}\,\bm{u}\cdot\dot{\bm{u}} =m\gamma_u\,\bm{u}\cdot\dot{\bm{u}}\Bigl(1+\frac{\gamma_u^2u^2}{c^2}\Bigr).

括弧の中は 1+γu2u2/c2=γu2(1−u2/c2+u2/c2)=γu21+\gamma_u^2u^2/c^2=\gamma_u^2\bigl(1-u^2/c^2+u^2/c^2\bigr)=\gamma_u^2 なので

F⋅u=mγu3 u⋅u˙=mc2 dγudt=ddt(γumc2)(5.12)\bm{F}\cdot\bm{u}=m\gamma_u^3\,\bm{u}\cdot\dot{\bm{u}}=mc^2\,\frac{d \gamma_u}{d t}=\frac{d }{d t}\bigl(\gamma_umc^2\bigr)\tag{5.12}

となる。したがって、静止状態(γu=1\gamma_u=1)から速さ uu まで加速するあいだに力がした仕事は

T=(γu−1) mc2(5.13)T=(\gamma_u-1)\,mc^2\tag{5.13}

で、これが相対論的な運動エネルギーである。

(5.12) が示すように、仕事によって増えるのは γumc2\gamma_umc^2 という量であり、これは c p0c\,p^0 に等しい。そこで、粒子のエネルギーを

E=c p0=γumc2=mc2+T(5.14)E=c\,p^0=\gamma_umc^2=mc^2+T\tag{5.14}

と定める。運動エネルギー TT に定数 mc2mc^2 を足したものをエネルギーと呼ぶのには理由がある。こう定めると E/cE/c が4元運動量の成分になり、命題 5.4 の保存則に組み込める。定数を変えて E=TE=T と定めると、(E/c,p)(E/c,\bm{p}) は4元ベクトルにならず、エネルギー保存が系によって成り立ったり成り立たなかったりする。以後、4元運動量を

pμ=(Ec, p)(5.15)p^\mu=\Bigl(\frac{E}{c},\ \bm{p}\Bigr)\tag{5.15}

と書く。mc2mc^2 は粒子が静止しているときのエネルギーなので静止エネルギーと呼ぶ。

遅い粒子では、γu\gamma_u を u2/c2u^2/c^2 で展開して

E=mc2(1+12u2c2+38u4c4+⋯ )=mc2+12mu2+38 mu4c2+⋯(5.16)E=mc^2\Bigl(1+\frac12\frac{u^2}{c^2}+\frac38\frac{u^4}{c^4}+\cdots\Bigr) =mc^2+\frac12mu^2+\frac38\,\frac{mu^4}{c^2}+\cdots\tag{5.16}

となる。第2項が Newton 力学の運動エネルギーで、第3項が相対論の最初の補正である。

エネルギーと運動量の関係

(5.9) に (5.15) を入れると E2/c2−∣p∣2=m2c2E^2/c^2-\left\vert \bm{p}\right\vert ^2=m^2c^2 である。p=∣p∣p=\left\vert \bm{p}\right\vert と書いて整理する。

定理 5.5(エネルギーと運動量の関係 ★★★)

質量 mm の粒子を考える。そのエネルギー EE と運動量の大きさ pp は、どの慣性系でも

E2=(pc)2+(mc2)2(5.17)E^2=(pc)^2+(mc^2)^2\tag{5.17}

を満たす。粒子の速度は

u=p c2E(5.18)\bm{u}=\frac{\bm{p}\,c^2}{E}\tag{5.18}

で表される。

証明

(5.17) は上で示した。速度は、(5.8) と (5.14) の比 p/E=γumu/(γumc2)=u/c2\bm{p}/E=\gamma_um\bm{u}/(\gamma_umc^2)=\bm{u}/c^2 から出る。

エネルギーと運動量の大きさは、慣性系ごとに値が違う。しかし組み合わせ E2−(pc)2E^2-(pc)^2 は質量だけで決まり、系によらない。

(pc,E)(pc,E) の平面で (5.17) を描くと、図 5.1 の双曲線になる。この双曲線を質量殻と呼ぶ。ブーストは双曲線の上で点を動かすだけで、点を双曲線の外へ出さない。第3章 §3.1 の目盛りの双曲線と同じ形である。

図

図 5.1 質量殻。質量 mm の粒子のエネルギーと運動量は実線の双曲線の上にあり、静止したとき頂点 (0,1)(0,1) にある。速さ 0.6c0.6c の粒子は (γuβu,γu)=(0.75,1.25)(\gamma_u\beta_u,\gamma_u)=(0.75,1.25) の点にある。破線は質量0の粒子の E=∣pc∣E=\left\vert pc\right\vert で、双曲線の漸近線になっている。

質量0の粒子

(5.17) は m=0m=0 でも意味を持つ。そのとき E=pcE=pc で、(5.18) から速さは u=pc2/E=cu=pc^2/E=c である。質量0の粒子はどの慣性系でも光速で動き、静止系を持たない。光子がその例で、第4章 §4.2 の4元波数 kμ=(ω/c,k)k^\mu=(\omega/c,\bm{k}) と Planck 定数 ℏ\hbar を使って

pμ=ℏkμ,E=ℏω,p=ℏk(5.19)p^\mu=\hbar k^\mu,\qquad E=\hbar\omega,\qquad \bm{p}=\hbar\bm{k}\tag{5.19}

と書ける。4元波数が4元ベクトルなので、光子の pμp^\mu も4元ベクトルである。それは pμpμ=0p_\mu p^\mu=0 を満たす光的なベクトルである。

質量を持つ粒子の4元速度 uμ=pμ/mu^\mu=p^\mu/m は、m=0m=0 では定義することができない。質量0の粒子には固有時が経過しないからである(世界線上で dτ=0\mathrm{d}\tau=0)。

静止エネルギーと系の質量

複数の粒子からなる系の質量 MM を、全4元運動量 (5.10) の大きさで

M2c2=PμPμ=E全2c2−∣P∣2,E全=∑aEa,P=∑apa(5.20)M^2c^2=P_\mu P^\mu=\frac{E_{\text{全}}^2}{c^2}-\left\vert \bm{P}\right\vert ^2,\qquad E_{\text{全}}=\sum_aE_a,\quad \bm{P}=\sum_a\bm{p}_a\tag{5.20}

と定める。PμP^\mu が4元ベクトルなので MM は系によらない。全運動量が0になる系(重心系。§5.3 で存在を示す)では Mc2=E全Mc^2=E_{\text{全}} で、系の質量は系の全エネルギーを c2c^2 で割ったものである。各粒子のエネルギーは静止エネルギーと運動エネルギーの和なので

Mc2=∑amac2+∑aTa(重心系での運動エネルギー Ta)(5.21)Mc^2=\sum_am_ac^2+\sum_aT_a\qquad(\text{重心系での運動エネルギー }T_a)\tag{5.21}

となる。系の質量は構成要素の質量の和に、重心系での内部の運動エネルギーを c2c^2 で割ったものを足した値である。

粒子の間に引力の位置エネルギーがあって束縛されているときは、そのエネルギー(負の値)も Mc2Mc^2 に入り、系の質量は構成要素の質量の和より小さくなる。この差 Δm c2\Delta m\,c^2 を結合エネルギーと呼ぶ。例題 5.2 の M=2.5 mM=2.5\,m は、(5.21) で2粒子の運動エネルギー 2×0.25 mc22\times0.25\,mc^2 が質量に入った例である。

重陽子の結合エネルギー

陽子・中性子・重陽子の静止エネルギーの測定値は次のとおりである。

mpc2=938.272 MeV,mnc2=939.565 MeV,mdc2=1875.613 MeVm_pc^2=938.272\,\mathrm{MeV},\qquad m_nc^2=939.565\,\mathrm{MeV},\qquad m_dc^2=1875.613\,\mathrm{MeV}

重陽子(陽子1つと中性子1つの束縛状態)の質量はばらばらの2粒子の質量の和より小さく、差は

(mp+mn−md) c2=938.272+939.565−1875.613=2.224 MeV(m_p+m_n-m_d)\,c^2=938.272+939.565-1875.613=2.224\,\mathrm{MeV}

である。重陽子を陽子と中性子に分けるには、少なくともこのエネルギーを外から加える必要がある。

「速さとともに質量が増える」という言い方

古い本には、γum\gamma_um を「相対論的質量」と呼び、速く動く物体は質量が増えると書くものがある。この本ではその言い方を使わない。質量 mm は静止系で測ったスカラーで、どの系でも同じ値である。

速さとともに増えるのはエネルギー E=γumc2E=\gamma_umc^2 と運動量 γumu\gamma_um\bm{u} である。γum\gamma_um という量に独立の名前を付けても、新しい情報は無い。さらに、§5.4 で示すように、力と加速度の比は速度に平行な向きと垂直な向きで違うので、「質量 γum\gamma_um の物体として Newton の法則が成り立つ」と考えることはできない。

一方、系の質量 (5.20) は内部の運動エネルギーとともに増える。これは系の静止系での全エネルギーが増えるという意味で、個々の粒子の質量が変わるのではない。

例題 5.3 電圧で加速した電子 ★★

オリジナル静止していた電子を 1.00 MV の電位差で加速した。mec2=0.511 MeVm_ec^2=0.511\,\mathrm{MeV} とする。

  • (1) 電子のエネルギー・運動量・速さを求めよ。
  • (2) Newton 力学の 12meu2=T\frac12m_eu^2=T から求めた速さと比べよ。
解答

電荷 ee の電子は、電位差 1.00 MV を通ると T=1.00 MeVT=1.00\,\mathrm{MeV} の運動エネルギーを得る。(5.14) から

E=mec2+T=0.511+1.000=1.511 MeV.E=m_ec^2+T=0.511+1.000=1.511\,\mathrm{MeV}.

(5.17) から

pc=E2−(mec2)2=1.5112−0.5112 MeV=2.283−0.261 MeV≈1.422 MeV,pc=\sqrt{E^2-(m_ec^2)^2}=\sqrt{1.511^2-0.511^2}\ \mathrm{MeV}=\sqrt{2.283-0.261}\ \mathrm{MeV}\approx1.422\,\mathrm{MeV},

すなわち p≈1.422 MeV/cp\approx1.422\,\mathrm{MeV}/c である。速さは (5.18) から u/c=pc/E=1.422/1.511≈0.941u/c=pc/E=1.422/1.511\approx0.941 である。γu=E/(mec2)=1.511/0.511≈2.96\gamma_u=E/(m_ec^2)=1.511/0.511\approx2.96 で、1/1−0.9412≈2.961/\sqrt{1-0.941^2}\approx2.96 と合っている。

Newton 力学の式では u/c=2T/(mec2)=2/0.511≈1.98u/c=\sqrt{2T/(m_ec^2)}=\sqrt{2/0.511}\approx1.98 となり、光速の約2倍という答えになる。運動エネルギーが静止エネルギーと同じ程度以上になると、Newton 力学の式を使うことはできない。

例題 5.4 太陽が失う質量 ★★

オリジナル太陽の放射の出力(光度)は L⊙=3.828×1026 WL_\odot=3.828\times10^{26}\,\mathrm{W}、質量は M⊙=1.989×1030 kgM_\odot=1.989\times10^{30}\,\mathrm{kg} である。c=2.998×108 m/sc=2.998\times10^8\,\mathrm{m/s}、1年を 3.156×107 s3.156\times10^7\,\mathrm{s} とする。

  • (1) 放射によって太陽の質量は1秒あたり何 kg 減るか。
  • (2) 太陽は 1.0×10101.0\times10^{10} 年で、質量のどれだけの割合を失うか。
解答

太陽は静止しているとみなし、太陽の静止系で考える。1秒あたりに出ていくエネルギーは L⊙L_\odot である。したがって系の質量の定義 (5.20) から、Mc2Mc^2 が1秒あたり L⊙L_\odot だけ減る。

dMdt=−L⊙c2=−3.828×1026(2.998×108)2 kg/s≈−4.26×109 kg/s.\frac{d M}{d t}=-\frac{L_\odot}{c^2}=-\frac{3.828\times10^{26}}{(2.998\times10^8)^2}\,\mathrm{kg/s}\approx-4.26\times10^{9}\,\mathrm{kg/s}.

1.0×10101.0\times10^{10} 年は 3.156×1017 s3.156\times10^{17}\,\mathrm{s} である。失う質量と、M⊙M_\odot に対する割合は

4.26×109×3.156×1017≈1.34×1027 kg,1.34×10271.989×1030≈6.8×10−44.26\times10^9\times3.156\times10^{17}\approx1.34\times10^{27}\,\mathrm{kg},\qquad \frac{1.34\times10^{27}}{1.989\times10^{30}}\approx6.8\times10^{-4}

である。毎秒40億トン以上という量は日常の感覚では大きいが、太陽の一生を通じても質量の0.1%に満たない。

確認テスト

オリジナル

  1. 5.2-1 質量 mm の粒子の運動量が p=mcp=mc のとき、エネルギーと速さを求めよ。
  2. 5.2-2 陽子(mpc2=938.272 MeVm_pc^2=938.272\,\mathrm{MeV})を運動エネルギー 7.00 TeV7.00\,\mathrm{TeV} まで加速した。γu\gamma_u と 1−u/c1-u/c を有効数字3桁で求めよ。
  3. 5.2-3 Newton 力学の運動エネルギー 12mu2\frac12mu^2 と、相対論の T=(γu−1)mc2T=(\gamma_u-1)mc^2 の比を考える。比 12mu2/T\frac12mu^2/T が 0.99 になる速さ u/cu/c を求めよ。電子ではそれは何 keV の運動エネルギーにあたるか。
  4. 5.2-4 2粒子の質量を m1m_1、m2m_2 とする。その2粒子からなる系の質量を MM とする。M≥m1+m2M\ge m_1+m_2 を示せ。等号はどんなときに成り立つか(5.1-4 の結果を使ってよい)。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

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