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完全流体とダストのエネルギー運動量テンソル

2026年10月15日13分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第6章 例としての電磁気
目次
  1. 粒子の数の流れ
  2. ダスト
  3. 完全流体
  4. 完全流体の運動方程式
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対論入門 第6章 §6.4 ★★★ 物質のエネルギー運動量テンソルは、静止系での形(密度と圧力)を4元速度と計量で共変に書いて作る。第11章の Einstein 方程式の右辺になる

前節では、場から TμνT^{\mu\nu} を作った。第11章で Einstein 方程式を書くときは、星や宇宙の中の物質についても同じ形の TμνT^{\mu\nu} が必要になる。物質を、たくさんの粒子の集まりとして平均した連続体(流体)として扱う。

この節の ρ\rho は流体の静止系で測った質量密度(エネルギー密度を c2c^2 で割ったもの)で、前の節までの電荷密度とは別の量である。この節では、最後の注意を除いて電荷は出てこない。

粒子の数の流れ

まず粒子の数を数える。流体の各点に4元速度 uμ(x)u^\mu(x) があり、その点と一緒に動く系(局所的な静止系)で測った粒子の数密度を nn とする。nn は静止系で測ると決めたのでスカラーである。

実験室系では、流れの向きの長さが 1/γu1/\gamma_u に縮むので、数密度は γun\gamma_un に見える。単位時間に単位面積を通る粒子の数は γunu\gamma_un\bm{u} である。そこで

Nμ=n uμ=(γunc, γunu)(6.26)N^\mu=n\,u^\mu=(\gamma_unc,\ \gamma_un\bm{u})\tag{6.26}

とおく。N0/cN^0/c が実験室系の数密度で、NiN^i がその流れの密度である。NμN^\mu はスカラーと4元ベクトルの積なので4元ベクトルである。粒子が生まれも消えもしなければ、連続の式は

∂μNμ=0(6.27)\partial_\mu N^\mu=0\tag{6.27}

になる。これは4元電流の (6.4) と同じ形である。

ダスト

粒子どうしが互いに力をおよぼさず、各点の粒子がすべて同じ速度で動く流体をダストと呼ぶ。圧力のない流体である。

ダストの静止系では、エネルギー密度は ρc2\rho c^2 で、運動量密度も運動量の流れも 0 なので、Tμν=diag(ρc2,0,0,0)T^{\mu\nu}=\mathrm{diag}(\rho c^2,0,0,0) である。静止系で uμ=(c,0)u^\mu=(c,\bm{0}) なので、これは ρuμuν\rho u^\mu u^\nu と書くことができる。どの系でも成り立つ形にするには、この式をそのまま採用すればよい。

Tdustμν=ρ uμuν(6.28)T^{\mu\nu}_{\mathrm{dust}}=\rho\,u^\mu u^\nu\tag{6.28}

右辺はスカラー ρ\rho と2つの4元ベクトルの積なので2階のテンソルで、静止系で正しい成分を持つ。テンソルの成分は1つの系で決まれば変換則で全部の系に決まるので、これが唯一の答えである。

実験室系での成分は

T00=γu2ρc2,T0i=γu2ρc ui,Tij=γu2ρ uiujT^{00}=\gamma_u^2\rho c^2,\qquad T^{0i}=\gamma_u^2\rho c\,u^i,\qquad T^{ij}=\gamma_u^2\rho\,u^iu^j

である。エネルギー密度に γu\gamma_u が2つ掛かる理由は2つある。数密度が γu\gamma_u 倍に見えることと、粒子1個のエネルギーが γumc2\gamma_umc^2 になることである。

ダストの保存則 ∂μTμν=0\partial_\mu T^{\mu\nu}=0 を展開すると

∂μ(ρuμ) uν+ρ uμ∂μuν=0\partial_\mu(\rho u^\mu)\,u^\nu+\rho\,u^\mu\partial_\mu u^\nu=0

となる。これに uνu_\nu を掛けて縮約する。uνuν=c2u_\nu u^\nu=c^2 を微分すると

uν∂μuν=12∂μ(uνuν)=0u_\nu\partial_\mu u^\nu=\frac12\partial_\mu(u_\nu u^\nu)=0

なので、第2項が消えて

∂μ(ρuμ)=0(6.29)\partial_\mu(\rho u^\mu)=0\tag{6.29}

を得る(静止質量の保存。ρ=mn\rho=mn なら (6.27) と同じ式)。これを元の式に戻すと

uμ∂μuν=0(6.30)u^\mu\partial_\mu u^\nu=0\tag{6.30}

が残る。uμ∂μu^\mu\partial_\mu は流体と一緒に動く粒子に沿った固有時の微分 d/dτ\mathrm{d}/\mathrm{d}\tau なので、(6.30) は「各粒子の4元速度が変わらない」、すなわち力を受けない粒子の運動方程式である。第9章で時空が曲がると、∂μ\partial_\mu が共変微分に替わり、(6.30) は測地線の方程式になる。物質の運動方程式は、別に仮定しなくても TμνT^{\mu\nu} の保存則から導かれる。

荷電したダストと電磁場を合わせた保存

  • 各粒子が電荷 qq を持つダストでは、4元電流は Jμ=qnuμJ^\mu=qnu^\mu である。
  • 各粒子は m duν/dτ=qFνλuλm\,\mathrm{d} u^\nu/\mathrm{d}\tau=qF^{\nu}{}_{\lambda}u^\lambda に従う。(6.29) を使うと

∂μTdustμν=ρ uμ∂μuν=mn duνdτ=qnFνλuλ=FνλJλ\partial_\mu T^{\mu\nu}_{\mathrm{dust}}=\rho\,u^\mu\partial_\mu u^\nu=mn\,\frac{d u^\nu}{d \tau}=qnF^{\nu}{}_{\lambda}u^\lambda=F^\nu{}_\lambda J^\lambda

となる。

  • これを定理 6.4 の ∂μTemμν=−FνλJλ\partial_\mu T^{\mu\nu}_{\mathrm{em}}=-F^\nu{}_\lambda J^\lambda と足すと、

∂μ(Tdustμν+Temμν)=0\partial_\mu\bigl(T^{\mu\nu}_{\mathrm{dust}}+T^{\mu\nu}_{\mathrm{em}}\bigr)=0

である。物質と場の全体のエネルギーと運動量が保存する。

完全流体

粒子が流体の各点でばらばらの向きに動いている場合を考える。局所的な静止系(その点の粒子の平均の運動量が0になる系)で、次の3つが成り立つ流体を完全流体と呼ぶ。

  • (i) 熱の流れがない(T0i=0T^{0i}=0)。
  • (ii) 粘性がない(TijT^{ij} に非対角成分がない)。
  • (iii) 等方的である(T11=T22=T33T^{11}=T^{22}=T^{33})。

このとき静止系での成分は、エネルギー密度 ρc2\rho c^2 と圧力 PP だけで

Tμν=diag(ρc2, P, P, P)(6.31)T^{\mu\nu}=\mathrm{diag}(\rho c^2,\ P,\ P,\ P)\tag{6.31}

と書ける。Tij=PδijT^{ij}=P\delta_{ij} が圧力である理由は次のとおりである。運動量の ii 成分が、その向きに垂直な単位面積を、単位時間に PP だけ流れる。これは壁に圧力 PP をおよぼすことと同じである。

これを共変な形に書く。使える部品は4元速度 uμu^\mu と計量 ημν\eta^{\mu\nu} だけである。したがって対称な2階のテンソルは、uμuνu^\mu u^\nu と計量の線形結合しかない。そこで

Tμν=A uμuν+CημνT^{\mu\nu}=A\,u^\mu u^\nu+C\eta^{\mu\nu}

とおき、静止系で (6.31) と合わせる。空間成分から −C=P-C=P、時間成分から Ac2+C=ρc2Ac^2+C=\rho c^2 を得る。よって

Tμν=(ρ+Pc2)uμuν−P ημν(6.32)T^{\mu\nu}=\Bigl(\rho+\frac{P}{c^2}\Bigr)u^\mu u^\nu-P\,\eta^{\mu\nu}\tag{6.32}

である。P=0P=0 でダスト (6.28) に戻る。トレースは Tμμ=(ρ+P/c2)c2−4P=ρc2−3PT^\mu{}_\mu=(\rho+P/c^2)c^2-4P=\rho c^2-3P である。第8章以降で計量が gμνg^{\mu\nu} に替わったときは、平らな計量をそのまま置き換える。

完全流体の運動方程式

∂μTμν=0\partial_\mu T^{\mu\nu}=0 を (6.32) に当てはめる。w≔ρ+P/c2w\coloneqq\rho+P/c^2 と書くと

∂μ(wuμ) uν+w uμ∂μuν−∂νP=0\partial_\mu(wu^\mu)\,u^\nu+w\,u^\mu\partial_\mu u^\nu-\partial^\nu P=0

である。ダストのときと同じく uνu_\nu を掛けて縮約すると、第2項が消えて

c2∂μ(wuμ)−uμ∂μP=0⟹∂μ(ρc2uμ)+P ∂μuμ=0c^2\partial_\mu(wu^\mu)-u^\mu\partial_\mu P=0 \quad\Longrightarrow\quad \partial_\mu(\rho c^2u^\mu)+P\,\partial_\mu u^\mu=0

を得る。これはエネルギーの式で、静止系に移ると「体積が ∂μuμ\partial_\mu u^\mu の割合で膨らむとき、内部のエネルギーが圧力のする仕事 P dVP\,\mathrm{d} V だけ減る」という熱力学の第1法則の形をしている。この式を元の式に戻すと

(ρ+Pc2)uμ∂μuν=(ηνμ−uνuμc2)∂μP(6.33)\Bigl(\rho+\frac{P}{c^2}\Bigr)u^\mu\partial_\mu u^\nu=\Bigl(\eta^{\nu\mu}-\frac{u^\nu u^\mu}{c^2}\Bigr)\partial_\mu P\tag{6.33}

が残る。右辺の括弧は、4元速度に垂直な方向への射影である(uνu_\nu を掛けると 0 になる)。流れが遅く(∣u∣≪c\left\vert \bm{u}\right\vert \ll c)、圧力がエネルギー密度より十分小さい(P≪ρc2P\ll\rho c^2)ときを考える。このとき uμ∂μ≃∂t+u⋅∇u^\mu\partial_\mu\simeq\partial_t+\bm{u}\cdot\nabla で、∂iP=−∂iP\partial^iP=-\partial_iP である。したがって空間成分は

ρ(∂t+u⋅∇)u=−∇P\rho\Bigl(\partial_t+\bm{u}\cdot\nabla\Bigr)\bm{u}=-\nabla P

となり、圧力だけを力とする Euler 方程式に戻る。相対論的な式 (6.33) では、慣性を表す係数が ρ\rho ではなく ρ+P/c2\rho+P/c^2 になっている。圧力も慣性と重力の源になることは、第11章以降の星の構造や宇宙論で数として現れる。

図

図 6.3 6本のビームで作った等方的な気体(例題 6.4)。各ビームはダストで、足し合わせると運動量の流れが打ち消し合い、圧力だけが残る。

例題 6.4 6本のビームで作る気体の圧力 ★★★

オリジナル実験室系で、6本の粒子のビームが重なっている(図 6.3)。向きは各座標軸の正負の6つ(±x, ±y, ±z\pm x,\ \pm y,\ \pm z)である。速さはどれも uu である。

各ビームの実験室系での数密度は n/6n/6、粒子の質量は mm とする。粒子のエネルギーを E=γumc2\mathcal E=\gamma_umc^2、運動量の大きさを p=γumup=\gamma_umu と書く。

  1. 1本のビームのエネルギー運動量テンソルを、実験室系の数密度 nan_a と粒子の4元運動量 pμp^\mu で書け。
  2. 6本を足した TμνT^{\mu\nu} を求め、それが静止した完全流体の形 (6.31) になることを示し、エネルギー密度と圧力を求めよ。
  3. 光速に近い粒子(u→cu\to c)と遅い粒子(u≪cu\ll c)で、圧力とエネルギー密度の関係を求めよ。
解答
  1. 1本のビームはダストで、Tμν=ρauμuνT^{\mu\nu}=\rho_au^\mu u^\nu である。ρa\rho_a はビームの静止系の質量密度である。静止系の数密度は、実験室系の数密度 nan_a の 1/γu1/\gamma_u 倍である。したがって ρa=mna/γu\rho_a=mn_a/\gamma_u である。uμ=pμ/mu^\mu=p^\mu/m を入れると

Taμν=mnaγupμpνm2=na pμpνγum=nac2 pμpνET^{\mu\nu}_a=\frac{mn_a}{\gamma_u}\frac{p^\mu p^\nu}{m^2}=\frac{n_a\,p^\mu p^\nu}{\gamma_um}=\frac{n_ac^2\,p^\mu p^\nu}{\mathcal E}

である。Ta00=naET^{00}_a=n_a\mathcal E で、実験室系の数密度に粒子1個のエネルギーを掛けたものになっている。2. +x+x のビームでは pμ=(E/c, p,0,0)p^\mu=(\mathcal E/c,\ p,0,0) である。c2p/E=uc^2p/\mathcal E=u を使うと

T01=nac p,T11=nac2p2E=na puT^{01}=n_ac\,p,\qquad T^{11}=\frac{n_ac^2p^2}{\mathcal E}=n_a\,pu

で、ほかの空間成分は0である。−x-x のビームでは運動量の符号が変わる。したがって T01T^{01} が逆符号になり、T11T^{11} は同じである。

6本を足すと、次のようになる。

  • T0iT^{0i} は打ち消し合って0になる。
  • 空間成分の非対角成分は、初めから0である。
  • T11T^{11} には ±x\pm x の2本が寄与する。ほかの対角成分も同様である。

したがって

T00=6⋅n6 E=nE,T11=T22=T33=2⋅n6 pu=13 n puT^{00}=6\cdot\frac n6\,\mathcal E=n\mathcal E,\qquad T^{11}=T^{22}=T^{33}=2\cdot\frac n6\,pu=\frac13\,n\,pu

となる。これは (6.31) の形で、エネルギー密度 ρc2=nE\rho c^2=n\mathcal E、圧力 P=13npuP=\frac13npu である。3. 速さの場合分けで読む。

  • 光速に近い粒子(u→cu\to c):pu→pc→Epu\to pc\to\mathcal E である。したがって P=13nE=13ρc2P=\frac13n\mathcal E=\frac13\rho c^2 である。トレース ρc2−3P\rho c^2-3P は0になる。光子の気体(放射)はこの場合で、電磁場の TμνT^{\mu\nu} のトレースが0であることと一致する。
  • 一般の速さ:トレースは

ρc2−3P=n(E−pu)=nγumc2(1−u2c2)=nmc2γu≥0\rho c^2-3P=n(\mathcal E-pu)=n\gamma_umc^2\Bigl(1-\frac{u^2}{c^2}\Bigr)=\frac{nmc^2}{\gamma_u}\ge0

で、質量のある粒子では P<ρc2/3P<\rho c^2/3 である。

  • 遅い粒子(u≪cu\ll c):P≃13nmu2P\simeq\frac13nmu^2 である。これは運動エネルギーの密度 12nmu2\frac12nmu^2 の3分の2である。温度を T\mathcal T と書き、粒子1個の運動エネルギーを 32kBT\frac32 k_{\mathrm B}\mathcal T と置く。すると理想気体の P=nkBTP=n k_{\mathrm B}\mathcal T になる。

遅い粒子では P/(ρc2)≃u2/(3c2)P/(\rho c^2)\simeq u^2/(3c^2) は非常に小さい。

確認テスト

オリジナル

  1. 6.4-1 完全流体 (6.32) の静止系での成分を書き、トレースを求めよ。トレースが0になる PP と ρ\rho の関係を答えよ。

  2. 6.4-2 質量密度 ρ\rho(静止系)のダストが、実験室系で xx 方向に流れている。速さは 0.6c0.6c である。成分 T00,T01,T11T^{00},T^{01},T^{11} が、それぞれ ρc2\rho c^2 の何倍か答えよ。

  3. 6.4-3 実験室系 KK で静止している完全流体を、別の系 K′K' で見る。K′K' は標準配置で、速さは β\beta である。成分 T′00,T′01,T′11T'^{00},T'^{01},T'^{11} を、次の2通りで求め、一致することを確かめよ。

    • (a) (6.32) に、K′K' での4元速度を入れる方法。
    • (b) ΛTΛT\Lambda T\Lambda^{\mathsf T} を計算する方法。
  4. 6.4-4 ダストの保存則 ∂μ(ρuμuν)=0\partial_\mu(\rho u^\mu u^\nu)=0 から、(6.29) と (6.30) の2つが従うことを示せ。どこで uμuμ=c2u_\mu u^\mu=c^2 を使うかを明示すること。

  5. 6.4-5 1 気圧(1.013×105 Pa1.013\times10^5\ \mathrm{Pa})の水(ρ=1.0×103 kg/m3\rho=1.0\times10^3\ \mathrm{kg/m^3})を考える。P/(ρc2)P/(\rho c^2) を求め、地上の物質の TμνT^{\mu\nu} で何が主な成分になるかを述べよ。

木下の勉強ステータス

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