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宇宙定数

2026年10月15日10分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第11章 Einstein 方程式
目次
  1. 宇宙定数の項
  2. 真空のエネルギーとしての読み方
  3. Newton 極限での斥力
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対論入門 第11章 §11.3 ★★ Einstein 方程式に許される唯一の追加の項。負の圧力を持つ真空のエネルギーと同じ働きをし、距離に比例する斥力になる

宇宙定数の項

§11.2 の候補 (11.14) のうち、λgμν\lambda g_{\mu\nu} の項は条件 (a)–(c) をすべて満たす。∇μgμν=0\nabla^\mu g_{\mu\nu}=0 なので、発散は恒等的に 0 である。条件 (d)(平らな時空が真空の解になること)を外せば、この項を加えてよい。記法の正本に従って

Rμν−12 gμνR−Λ gμν=8πGc4 Tμν(11.25)R_{\mu\nu}-\frac12\,g_{\mu\nu}R-\Lambda\,g_{\mu\nu}=\frac{8\pi G}{c^4}\,T_{\mu\nu}\tag{11.25}

と書き、定数 Λ\Lambda を宇宙定数と呼ぶ。Λ\Lambda は長さの −2-2 乗の次元を持つ。

計量の符号を (+,−,−,−)(+,-,-,-) にとっているので、宇宙項は −Λgμν-\Lambda g_{\mu\nu} の形になる。(−,+,+,+)(-,+,+,+) の計量を使う本では、同じ内容が +Λgμν+\Lambda g_{\mu\nu} と書かれている。Λ>0\Lambda>0 の意味はどちらでも同じである。

歴史的には、Einstein は1917年に、時間によらない静的な宇宙を解として得るためにこの項を導入した(確認テスト 11.3-2)。その後 Hubble らによって宇宙の膨張が観測され、静的な宇宙の必要はなくなった。1998年に遠方の超新星の観測から宇宙の膨張が加速していることが報告され、Λ>0\Lambda>0 の項(あるいはそれと同じ働きをする何か)が再び必要になった。

真空のエネルギーとしての読み方

(11.25) の宇宙項を右辺へ移すと

Gμν=8πGc4(Tμν+Tμν(Λ)),Tμν(Λ)=Λc48πG gμνG_{\mu\nu}=\frac{8\pi G}{c^4}\Bigl(T_{\mu\nu}+T^{(\Lambda)}_{\mu\nu}\Bigr),\qquad T^{(\Lambda)}_{\mu\nu}=\frac{\Lambda c^4}{8\pi G}\,g_{\mu\nu}

となる。Tμν(Λ)T^{(\Lambda)}_{\mu\nu} を完全流体 (11.2) と比べる。完全流体で P=−ρc2P=-\rho c^2 と置くと、uμuνu^\mu u^\nu の係数が 0 になる。残るのは

Tμν=ρc2gμνT_{\mu\nu}=\rho c^2g_{\mu\nu}

だけである。したがって宇宙項は

ρΛ=Λc28πG,PΛ=−ρΛc2(11.26)\rho_\Lambda=\frac{\Lambda c^2}{8\pi G},\qquad P_\Lambda=-\rho_\Lambda c^2\tag{11.26}

の完全流体と同じである。Tμν(Λ)T^{(\Lambda)}_{\mu\nu} は uμu^\mu を含まないので、どの観測者から見ても同じ密度と圧力を持つ。特定の静止系を持たない、真空そのもののエネルギーとして読むことができる。

密度 ρΛ\rho_\Lambda は一定なので、宇宙が膨張しても薄まらない。これは確認テスト 11.1-4 の式で ρ+P/c2=0\rho+P/c^2=0 とした場合にあたり、ρ˙Λ=0\dot\rho_\Lambda=0 と整合する。

Newton 極限での斥力

宇宙項があるときのトレースを反転した形を作る。(11.25) を縮約すると −R−4Λ=κT-R-4\Lambda=\kappa T、すなわち R=−κT−4ΛR=-\kappa T-4\Lambda である。これを戻すと

Rμν=κ(Tμν−12 gμνT)−Λ gμν(11.27)R_{\mu\nu}=\kappa\Bigl(T_{\mu\nu}-\frac12\,g_{\mu\nu}T\Bigr)-\Lambda\,g_{\mu\nu}\tag{11.27}

となる。§11.2 と同じく弱い場では R00≃∇2Φ/c2R_{00}\simeq\nabla^2\Phi/c^2、g00≃1g_{00}\simeq1 である。00 成分は

∇2Φ=4πGρ−Λc2(11.28)\nabla^2\Phi=4\pi G\rho-\Lambda c^2\tag{11.28}

となる。宇宙定数は、一様に分布した負の質量密度 −Λc2/(4πG)=−2ρΛ-\Lambda c^2/(4\pi G)=-2\rho_\Lambda と同じ働きをする。

この −2ρΛ-2\rho_\Lambda という値は、確認テスト 11.2-4 の結果から理解できる。静止した完全流体の重力の源は ρ+3P/c2\rho+3P/c^2 であり、真空のエネルギーでは ρΛ+3PΛ/c2=ρΛ−3ρΛ=−2ρΛ\rho_\Lambda+3P_\Lambda/c^2=\rho_\Lambda-3\rho_\Lambda=-2\rho_\Lambda となる。圧力が負で十分大きいので、重力の源が負になる。

点質量 MM のまわりの真空(ρ=0\rho=0)で、球対称な (11.28) の解を求める。球対称のラプラシアン ∇2Φ=r−2(r2Φ′)′\nabla^2\Phi=r^{-2}(r^2\Phi')' で、∇2(r2)=6\nabla^2(r^2)=6 なので

Φ(r)=−GMr−Λc26 r2(11.29)\Phi(r)=-\frac{GM}{r}-\frac{\Lambda c^2}{6}\,r^2\tag{11.29}

が解である(r→0r\to0 で点質量の場に戻る解を選んだ)。単位質量あたりの力は

−dΦdr=−GMr2+Λc23 r(11.30)-\frac{d \Phi}{d r}=-\frac{GM}{r^2}+\frac{\Lambda c^2}{3}\,r\tag{11.30}

で、第2項は外向きで距離に比例する斥力である。2つの項が釣り合う距離は

rΛ=(3GMΛc2)1/3(11.31)r_\Lambda=\Bigl(\frac{3GM}{\Lambda c^2}\Bigr)^{1/3}\tag{11.31}

であり、r<rΛr<r_\Lambda では引力、r>rΛr>r_\Lambda では斥力がまさる(図 11.2)。

図

図 11.2 点質量のまわりの単位質量あたりの動径方向の力 (11.30)(外向きを正、GM/rΛ2GM/r_\Lambda^2 を単位とする)。実線が合計、点線が Newton の引力、破線が宇宙定数による斥力で、r=rΛr=r_\Lambda で釣り合う。

例題 11.4 太陽のまわりの宇宙定数の斥力 ★★

オリジナル数値は次の値を使う。宇宙定数の値は、第14章 §14.4 でハッブル定数と ΩΛ\Omega_\Lambda から求めるものである。

Λ=1.2×10−52 m−2,GM⊙=1.327×1020 m3/s2,c=2.998×108 m/s,G=6.674×10−11 m3 kg−1 s−2\begin{gathered}\Lambda=1.2\times10^{-52}\,\mathrm{m^{-2}},\qquad GM_\odot=1.327\times10^{20}\,\mathrm{m^3/s^2},\\ c=2.998\times10^8\,\mathrm{m/s},\qquad G=6.674\times10^{-11}\,\mathrm{m^3\,kg^{-1}\,s^{-2}}\end{gathered}

  1. (a) 真空のエネルギーの密度 ρΛ\rho_\Lambda を求めよ。それは 1 m31\,\mathrm{m^3} あたり水素原子(質量 1.674×10−27 kg1.674\times10^{-27}\,\mathrm{kg})何個分の質量にあたるか答えよ。
  2. (b) 太陽の引力と宇宙定数の斥力が釣り合う距離 rΛr_\Lambda を求め、パーセク(1 pc=3.086×1016 m1\,\mathrm{pc}=3.086\times10^{16}\,\mathrm m)で表せ。
  3. (c) 海王星の軌道半径 r=4.5×1012 mr=4.5\times10^{12}\,\mathrm m で、斥力と引力の比を求めよ。
解答

(a) Λc2=1.2×10−52×8.988×1016=1.08×10−35 s−2\Lambda c^2=1.2\times10^{-52}\times8.988\times10^{16}=1.08\times10^{-35}\,\mathrm{s^{-2}} なので

ρΛ=Λc28πG=1.08×10−358π×6.674×10−11=6.4×10−27 kg/m3\rho_\Lambda=\frac{\Lambda c^2}{8\pi G}=\frac{1.08\times10^{-35}}{8\pi\times6.674\times10^{-11}}=6.4\times10^{-27}\,\mathrm{kg/m^3}

である。水素原子の質量で割ると 3.8 個で、1 m31\,\mathrm{m^3} あたり水素原子4個ほどの質量にすぎない。

(b) (11.31) から

rΛ=(3×1.327×10201.08×10−35)1/3=(3.69×1055)1/3=3.33×1018 m=108 pcr_\Lambda=\Bigl(\frac{3\times1.327\times10^{20}}{1.08\times10^{-35}}\Bigr)^{1/3}=(3.69\times10^{55})^{1/3}=3.33\times10^{18}\,\mathrm m=108\,\mathrm{pc}

である。これは太陽系の大きさよりはるかに遠く、近くの恒星までの距離(数 pc)よりも遠い。

(c) 比は

Λc2r/3GM⊙/r2=Λc2r33GM⊙=(rrΛ)3=1.08×10−35×(4.5×1012)33×1.327×1020=2.5×10−18\frac{\Lambda c^2r/3}{GM_\odot/r^2}=\frac{\Lambda c^2r^3}{3GM_\odot}=\Bigl(\frac{r}{r_\Lambda}\Bigr)^3=\frac{1.08\times10^{-35}\times(4.5\times10^{12})^3}{3\times1.327\times10^{20}}=2.5\times10^{-18}

である。太陽系の中では宇宙定数の影響は観測できないほど小さい。宇宙定数は、銀河の集団より大きな、宇宙全体の大きさの現象で問題になる(第14章)。

確認テスト

オリジナル

  1. 11.3-1 宇宙項 −Λgμν-\Lambda g_{\mu\nu} を Einstein 方程式の左辺に加えても、∇μTμν=0\nabla_\mu T^{\mu\nu}=0 との整合が保たれる理由を1行で述べよ。

  2. 11.3-2 密度 ρ\rho の一様なダストが静止したまま釣り合うには、(11.28) で ∇2Φ=0\nabla^2\Phi=0 となればよい(一様な物質の中で力が 0)。このときの Λ\Lambda を ρ\rho で表せ。また ρ=2ρΛ\rho=2\rho_\Lambda であることを示せ。

    1. (i) 例題 11.4 の Λ\Lambda ではこの ρ\rho はいくらか。
    2. (ii) ρ\rho が少しだけ大きい場合と小さい場合に、この釣り合いがどうなるかを述べよ。
  3. 11.3-3 銀河の集まりの質量を次の値とする。

M=2.0×1012M⊙,M⊙=1.989×1030 kgM=2.0\times10^{12}M_\odot,\qquad M_\odot=1.989\times10^{30}\,\mathrm{kg}

(11.31) の rΛr_\Lambda をメガパーセク(1 Mpc=3.086×1022 m1\,\mathrm{Mpc}=3.086\times10^{22}\,\mathrm m)で求めよ。ほかの定数は例題 11.4 の値を使う。4. 11.3-4 宇宙定数のある真空(Tμν=0T_{\mu\nu}=0)で、次の2式を示せ。

R=−4Λ,Rμν=−ΛgμνR=-4\Lambda,\qquad R_{\mu\nu}=-\Lambda g_{\mu\nu}

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