応用数学入門 第3章 §3.1 ★★★ 留数=Laurent の c−1、m 位極の公式、p/q 型は p(a)/q′(a)。真性特異点は展開一択
孤立特異点 z=a のまわりで正則関数はLaurent 級数f(z)=∑n=−∞∞cn(z−a)n に展開できる。負冪の部分(主要部)の (z−a)−1 の係数 c−1 を留数 Resz=af と呼ぶ。基本積分(2.3)より、閉曲線積分に 0 でない値を残すのはこの項だけである。
主要部が何項あるかで、孤立特異点は三種類に分かれる。この分類は後で「どの留数公式が使えるか」を決めるので、計算に入る前に必ず確定させる。
要点
孤立特異点の三分類と、使える留数公式 ★★
| 主要部(負冪の項) | 名称 | 留数の求め方 |
| なし | 除去可能特異点 | Res=0(値を補えば正則) |
| 有限個(最低次 −m) | m 位の極 | m 位の極の公式が使える |
| 無限個 | 真性特異点 | Laurent 展開一択 |
判定は「(z−a)mf(z) が z→a で有限の 0 でない極限をもつような自然数 m があるか」で行う。どんな m を取っても (z−a)mf(z) が発散するなら真性特異点である。典型例は e1/z(z=0)・sin(1/z)(z=0)・cos(1/z)(z=0)。
真性特異点で極の公式が破綻する理由
m 位の極の公式
Resz=af=(m−1)!1z→alimdzm−1dm−1[(z−a)mf(z)]
は、(z−a)mf(z) が z=a で正則になる(主要部が (z−a)−m で止まる)ことを前提にしている。真性特異点では主要部が無限に続くので、どんな m を掛けても (z−a)mf(z) はやはり z=a で特異なままで、極限も微分も取れない。したがって残る道は、Laurent 展開を実際に書き下して(z−a)−1 の係数を読むことだけである。幸い実際によく現れる真性特異点はe1/z のように既知の級数(ew=∑wk/k!)に w=1/z を代入するだけで展開できる形に作られているので、展開そのものは難しくない。
要点
留数定理。f が閉曲線 C の内部で有限個の孤立特異点 ak を除き正則なら
∮Cf(z)dz=2πik∑Resz=akf.
留数の計算:a が m 位の極なら
Resz=af=(m−1)!1z→alimdzm−1dm−1[(z−a)mf(z)].
とくに単純極(m=1)では Resz=af=limz→a(z−a)f(z)、f=p/q で q が単純零点なら Res=p(a)/q′(a)。
留数の物理的な意味は「特異点が積分に落とす『おつり』」である。特異点を囲むか囲まないかで積分値が 2πi×(留数の和)だけ変わる。実積分を複素積分に持ち上げて留数で処理する(第4・5章)のが本書の主目的である。
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