応用数学入門 第8章 §8.2 ★★ Reg と Img の役割・鞍点の言葉づかい(以降すべての前提)
解析関数と等高線
★ CR方程式から ∣eλg∣ の増減と位相の振動を読む準備
z=x+iy∈C とし、g(z)=u(x,y)+iv(x,y) を解析関数とする。コーシー・リーマン方程式
∂x∂u=∂y∂v,∂y∂u=−∂x∂v
が成立する。eλg(z)=eλueiλv であるから、
- u=Reg が大きい点で絶対値 ∣eλg∣ は指数的に大きくなる。
- v=Img が変化する方向で位相 eiλv が激しく振動する。
鞍点の定義
★★★ g′(z0)=0 が鞍点。退化/非退化の区別が手法選択を決める
定義(鞍点) ★★★
g′(z0)=0 を満たす点 z0 を g の鞍点(saddle point)という。g′′(z0)=0 のとき非退化鞍点、g′′(z0)=0 のとき退化鞍点という。
解析関数の実部 u は調和関数(Δu=0)であるから、孤立極大・孤立極小を持たない。u の臨界点はすべて鞍点(山の稜線と谷の交点)である。複素平面上でこれを見ると、Reg の等高線と Img の等高線が鞍点で互いに直交して交わる。
最急降下路と最急上昇路
★★★ 最急降下方向 θ=(π−ϕ)/2 の導出。等位相=積分路の必要条件
z0 が非退化鞍点のとき、g′′(z0)=∣g′′(z0)∣eiϕ と書く。z=z0+reiθ として鞍点近傍で展開すると、
g(z)≈g(z0)+21∣g′′(z0)∣eiϕr2e2iθ.
Re[g(z)] が鞍点で最も急激に減少する方向(最急降下方向)は、
ϕ+2θ=π+2kπ(k∈Z)⟹θ=2π−ϕ+kπ
で与えられる。この方向に沿った曲線を最急降下路1steepest descent path。という。最急降下路上では Img=const(位相が一定)であり、被積分関数の振動が消える。
なお、Img=const を満たす曲線は鞍点で複数枝が交差し、そのうち Reg が減少する枝が最急降下路、増加する枝が最急上昇路である。等位相線であることは積分路として使える必要条件にすぎず、どの枝を選ぶかは無限遠での Reg の挙動(積分の収束性)で決まる(§8.6.4 で具体例により詳しく述べる)。
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