この章で取り出すもの:光線と屈折率の面
AI 生成・木下が未勉強
光学と量子エレクトロニクス 第2章 §2.1 ★★ 場のモードは取り出さず光線だけを残す。物質は区分的に一様な屈折率と球面、結合は面での屈折と反射。道具は解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部第10章の結果だけ
この巻は光を「モード」と「2準位系」で読む。ただし最初の数章では、光をモードに分ける前の段階、つまり波長を に送った光線の光学を扱う。光線の原理そのもの、すなわち Fermat の原理が光路長を作用とする変分原理であること、光線の Hamiltonian が であること、近軸の光線行列(ABCD 行列)が行列式 の線形正準変換であること、エタンデュの保存が Liouville の定理であることは、解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部第10章ですでに示した。この章はその結果を出発点にとり、導き直さない。
この章で組み立てるのは、光学の授業と実際のレンズ設計で毎日使う道具である。第一に、どれほど複雑なレンズ系でも、近軸では2つの主面と2つの焦点(基点)だけで結像が決まること。これは系の ABCD 行列の4つの成分から機械的に読み取ることができる。第二に、物体と像の位置を結ぶ Newton の式と倍率。焦点面から焦点面への行列は、相空間 の4分の1回転になる。第三に、絞りと瞳、F 値と開口数。2本の光線から作る Lagrange の不変量は、行列式が であることの言い換えで、視野と明るさの上限を決める。第四に、近軸を使わない光線追跡。球面1つで光線を厳密に曲げると、光軸から離れた光線ほど手前で軸を横切る。このずれが高さの2乗から始まることを数値で確かめ、次の第3章(収差)へ渡す。
モード・物質・結合の3つの選び方
この巻の各章は「どの場のモードを取り出し、物質をどうモデル化し、どう結合させ、何を近似したか」で読む(第1章の表)。この章の選び方は次のとおりである。
場のモードは取り出さない。波長 を、レンズの大きさや曲率半径のような構造の長さに比べて に送り、波面に直交する曲線である光線だけを残す。干渉と回折、つまり波の重ね合わせで初めて分かることはすべて捨てる。その代わりに、光線1本は相空間の1点 で表され、光学系はこの点を動かす写像になる。
物質のモデルは屈折率 だけである。この章では、ガラスや空気のように屈折率が一様な領域が、球面か平面の境界で区切られている系を扱う。屈折率の波長依存性(分散)は第3部で Lorentz 振動子から出すので、ここでは1つの波長についての定数とみなす。
結合は境界面での屈折と反射である。面に沿った並進の対称性から、面に平行な運動量 が保存し(Snell の法則)、これが光線と物質の唯一のやりとりになる。
解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部第10章から引く結果
光が進む向きを 軸にとり、 を時刻とみなすと、光線の正準変数は横の位置 と横の運動量 である。光線が光軸と角 をなすとき で、近軸では (屈折率を掛けた角)になる。この節から先は、光軸を含む1つの平面(子午面)の中の光線だけを考え、 と の組で表す。引く結果は次の4つである。
解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部第10章の結果
- 光線は光路長 を停留させる経路を通る(Fermat の原理)。面に沿った並進の Noether の保存量が で、Snell の法則 になる。
- 近軸の光線は2行2列の行列で運ばれる:、。
- 屈折率 の一様な媒質を距離 進む行列は 。曲率半径 の球面(中心が光の進む側にあるとき )で から へ屈折する行列は 。
- 変数を にとる限り、どのような系でも (線形正準変換)。
伝搬の行列で距離 が の形でしか入らないことに注意する。 を換算距離と呼ぶ。屈折率 の中の距離 は、近軸の光線の幾何にとって空気中の距離 と区別がつかない。例えば、厚さ の平行平板は、入口の平面(行列は単位行列)・厚さ の伝搬・出口の平面を掛けて になり、空気の厚さ と同じ働きをする。平板を入れると光の束が集まる点は、平板が無い場合より だけ奥へずれる。
反射は折り返した光路で屈折と同じに扱う
鏡で反射した光は の負の向きに戻る。行列の計算では、反射のたびに光路を鏡のところで折り返して、光が の正の向きに進み続けると考える(展開した光路)。鏡の手前から見て凹んだ鏡(凹面鏡)の曲率半径の大きさを 、凸面鏡では とする。高さ の点で鏡の法線は光軸に対して だけ傾いているので、法線から測った入射角は で、反射ではこの角の向きが逆になる。展開した光路で測った反射後の角は になり、空気中では
である。凹面鏡は焦点距離 の薄いレンズと同じ行列を持つ。反射のあとで光が戻る向きは展開したときに失われるので、実際の位置へ戻すときに折り返し直す。
例題 2.1 換算距離と鏡 ★★
オリジナル
- (1) 空気中を1点に集まりつつある光の束の途中に、屈折率 、厚さ の平行平板を光軸に垂直に入れる。光が集まる点はどちら向きにどれだけずれるか。
- (2) 深さ のプールの底を真上から見ると、底はどれだけの深さに見えるか。水の屈折率を とし、真上に近い向きの光線だけを考える。
- (3) 曲率半径 の凹面鏡の前 に顔を置く。行列 の から像の位置 を求め、倍率 を求めよ。
解答
(1) 平板の前後を含めて、平板が占める区間の行列は で、空気中なら同じ区間の行列は である。平板を入れると、その区間の換算距離が から へ減る。集まる点の位置は換算距離の和で決まるので、減った分 だけ、集まる点が光の進む向き(奥)へずれる。
(2) 底の1点から出て水面を出る光線を、水中の深さ の伝搬 と水面(平面なので単位行列)で運ぶ。空気中の目には、光線は空気中の距離 の所から出たように見える。見かけの深さは である。
(3) 展開した光路で を計算すると
で、 は になる。, を入れると で 。 は、展開した光路で鏡の手前 の所から光線が出たように見えることを表し、実際の配置に折り返すと鏡の奥 に見える虚像である。倍率は で、正立で3倍に拡大された顔が鏡の奥に見える。顔が焦点距離 より内側にあるので、化粧鏡として拡大された正立像になる。
木下の勉強ステータス
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