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当てる道具:系の行列から基点を読む

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2章 つなぎ:光線の解析力学
目次
  1. 屈折力と焦点
  2. 主面:薄いレンズに戻す2枚の面
  3. 節点
  4. 2つの系をつなぐ
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第2章 §2.2 ★★★ どれほど複雑な近軸の系も、主面から主面への行列は薄いレンズ1枚と同じ。焦点・主点・節点は ABCD の4成分から決まる

屈折力と焦点

入口の基準面(屈折率 n1n_1 の中)から出口の基準面(屈折率 n2n_2 の中)までの系の行列を M=(ABmathbbCD)M=\bigl(\begin{smallmatrix}A&B\\mathbb{C}&D\end{smallmatrix}\bigr)、AD−BC=1AD-BC=1 とする。光軸に平行に高さ x1x_1 で入った光線(p1=0p_1=0)は、出口で x2=Ax1x_2=Ax_1, p2=Cx1p_2=Cx_1 になる。C≠0C\neq0 なら、出口の運動量が高さに比例するので、光線はどれも同じ1点で光軸を横切る。

Φ≔−C(2.2)\Phi\coloneqq-C\tag{2.2}

を系の屈折力と呼ぶ。空気中の薄いレンズでは Φ=1/f\Phi=1/f で、単位 m−1\mathrm{m^{-1}} をディオプトリーと呼ぶ。

出口から距離 zz 進んだ光線の高さは x2+(z/n2)p2=(A−zΦ/n2)x1x_2+(z/n_2)p_2=(A-z\Phi/n_2)x_1 で、これが 00 になる

zF′=n2AΦ(2.3)z_{\mathrm F'}=\frac{n_2A}{\Phi}\tag{2.3}

に後ろの焦点 F′\mathrm F' がある。zF′z_{\mathrm F'} を後側焦点距離(出口の面から測った焦点の位置)と呼ぶ。同じように、入口の面の前 zFz_{\mathrm F} の光軸上の点から出た光線は、入口で x1=(zF/n1)p1x_1=(z_{\mathrm F}/n_1)p_1 を持ち、出口で p2=(CzF/n1+D)p1p_2=(Cz_{\mathrm F}/n_1+D)p_1 になる。これが 00、つまり光線が平行に出るのは

zF=n1DΦ(2.4)z_{\mathrm F}=\frac{n_1D}{\Phi}\tag{2.4}

のときで、ここが前の焦点 F\mathrm F である。

主面:薄いレンズに戻す2枚の面

焦点の位置だけでは、系を薄いレンズに置き換えることはできない。光の束が集まる位置と、集まるときの角の両方を合わせるには、もう1組の面が要る。

定理 2.1(主面 ★★★)

入口の面の前 zHz_{\mathrm H} の面 H\mathrm H と、出口の面の後ろ zH′z_{\mathrm H'} の面 H′\mathrm H' を

zH=n1(D−1)Φ,zH′=n2(A−1)Φ(2.5)z_{\mathrm H}=\frac{n_1(D-1)}{\Phi},\qquad z_{\mathrm H'}=\frac{n_2(A-1)}{\Phi}\tag{2.5}

にとると、H\mathrm H から H′\mathrm H' までの行列は

Tn2(zH′) M Tn1(zH)=(10−Φ1)(2.6)T_{n_2}(z_{\mathrm H'})\,M\,T_{n_1}(z_{\mathrm H})=\begin{pmatrix}1&0\\-\Phi&1\end{pmatrix}\tag{2.6}

になる。ここで Tn(d)=(1d/n01)T_n(d)=\bigl(\begin{smallmatrix}1&d/n\\0&1\end{smallmatrix}\bigr) である。H\mathrm H, H′\mathrm H' を主面、主面が光軸と交わる点を主点と呼ぶ。

証明

C=−ΦC=-\Phi と AD−BC=1AD-BC=1 から B=−(AD−1)/ΦB=-(AD-1)/\Phi である。M Tn1(zH)M\,T_{n_1}(z_{\mathrm H}) は Tn1(zH)=(1(D−1)/Φ01)T_{n_1}(z_{\mathrm H})=\bigl(\begin{smallmatrix}1&(D-1)/\Phi\\0&1\end{smallmatrix}\bigr) を右から掛けて

M Tn1(zH)=(AA(D−1)/Φ+B−Φ−(D−1)+D)=(A(1−A)/Φ−Φ1).M\,T_{n_1}(z_{\mathrm H})=\begin{pmatrix}A&A(D-1)/\Phi+B\\-\Phi&-(D-1)+D\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}A&(1-A)/\Phi\\-\Phi&1\end{pmatrix}.

左から Tn2(zH′)=(1(A−1)/Φ01)T_{n_2}(z_{\mathrm H'})=\bigl(\begin{smallmatrix}1&(A-1)/\Phi\\0&1\end{smallmatrix}\bigr) を掛けると、1行目は (A−(A−1), (1−A)/Φ+(A−1)/Φ)=(1,0)\bigl(A-(A-1),\ (1-A)/\Phi+(A-1)/\Phi\bigr)=(1,0) になり、2行目は変わらない。

主面から主面への行列 (2.6) から、2つのことが分かる。1行目が (1,0)(1,0) なので、H\mathrm H を高さ xx で通った光線は H′\mathrm H' を同じ高さ xx で通る(主面は倍率 +1+1 の共役面)。2行目は薄いレンズそのものなので、主面の間を「厚さの無い1枚のレンズ」とみなしてよい。焦点は主面から f=zF−zH=n1/Φf=z_{\mathrm F}-z_{\mathrm H}=n_1/\Phi(前)と f′=zF′−zH′=n2/Φf'=z_{\mathrm F'}-z_{\mathrm H'}=n_2/\Phi(後ろ)の所にある。ff, f′f' を前側と後側の焦点距離と呼ぶ。両側が同じ媒質なら f=f′f=f' で、水中を見るカメラのように両側の屈折率が違うと f′/f=n2/n1f'/f=n_2/n_1 になる(図 2.1)。

図

図 2.1 近軸の系の基点(両側が空気の場合)。入口と出口の間(青の帯)で光線が実際にどう曲がるかによらず、光軸に平行な光線(赤)は後ろの主面 H′\mathrm H' で1回曲がったように F′\mathrm F' へ向かい、前の焦点 F\mathrm F を通る光線(青)は前の主面 H\mathrm H で1回曲がったように平行に出る。点線は系の内部を主面での1回の屈折に置き換えた仮想の光路

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部第10章の例題で扱った厚いレンズ(n=1.5n=1.5、R1=20 cmR_1=20\,\mathrm{cm}、R2=−20 cmR_2=-20\,\mathrm{cm}、厚さ 1 cm1\,\mathrm{cm})では、A=D=1−11.5×0.025=0.98333A=D=1-\frac{1}{1.5}\times0.025=0.98333、Φ=0.049583 cm−1\Phi=0.049583\,\mathrm{cm^{-1}} で、式 (2.5) から主面は両面から 0.336 cm0.336\,\mathrm{cm} ずつレンズの内側に入る。2枚の主面の間隔は 0.328 cm0.328\,\mathrm{cm} で、厚さの約 (n−1)/n=1/3(n-1)/n=1/3 である。焦点距離 20.17 cm20.17\,\mathrm{cm} は、この主面から測った距離である。

節点

主面は位置の倍率が 11 の共役面だった。角の倍率が 11 の共役点、つまり入った光線と同じ角で出ていく点を節点と呼ぶ。主面から主面への行列は高さ 00 で主点を通る光線については p2=p1p_2=p_1 で、角に直すと θ2=(n1/n2)θ1\theta_2=(n_1/n_2)\theta_1 である。主点から zNz_{\mathrm N} だけ後ろの点 N\mathrm N と、H′\mathrm H' から zN′z_{\mathrm N'} だけ後ろの点 N′\mathrm N' の間の行列 Tn2(zN′)(10−Φ1)Tn1(−zN)T_{n_2}(z_{\mathrm N'})\bigl(\begin{smallmatrix}1&0\\-\Phi&1\end{smallmatrix}\bigr)T_{n_1}(-z_{\mathrm N}) でB=0B=0 と D=n2/n1D=n_2/n_1 を課すと、zN=zN′=(n2−n1)/Φz_{\mathrm N}=z_{\mathrm N'}=(n_2-n_1)/\Phi になる。両側が同じ媒質なら節点は主点に重なり、主点に向かう光線は向きを変えずに出ていく。

2つの系をつなぐ

屈折力 Φ1\Phi_1, Φ2\Phi_2 の2枚の薄いレンズを屈折率 nn の媒質の中で距離 dd だけ離すと、系の行列は

(10−Φ21)(1d/n01)(10−Φ11)=(1−dnΦ1dn−Φ1−Φ2+dnΦ1Φ21−dnΦ2)\begin{pmatrix}1&0\\-\Phi_2&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&d/n\\0&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&0\\-\Phi_1&1\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}1-\frac dn\Phi_1&\frac dn\\-\Phi_1-\Phi_2+\frac dn\Phi_1\Phi_2&1-\frac dn\Phi_2\end{pmatrix}

で、屈折力は

Φ=Φ1+Φ2−dnΦ1Φ2(2.7)\Phi=\Phi_1+\Phi_2-\frac dn\Phi_1\Phi_2\tag{2.7}

である。2枚が接していれば屈折力は和になり、離すと積の項だけ変わる。厚いレンズは2つの球面を dd 離した系なので、解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部第10章のレンズメーカーの式はこの式の特別な場合である。

例題 2.2 望遠型の2枚組 ★★

オリジナル空気中に焦点距離 f1=10 cmf_1=10\,\mathrm{cm} の凸レンズを置き、その後ろ d=6 cmd=6\,\mathrm{cm} に焦点距離 f2=−5 cmf_2=-5\,\mathrm{cm} の凹レンズを置く。

  1. (1) 第1レンズの面から第2レンズの面までの行列 MM を求め、AD−BC=1AD-BC=1 を確かめよ。
  2. (2) 系の焦点距離 f′f' と、第2レンズから後ろの焦点までの距離を求めよ。第1レンズから焦点までの全長と f′f' の比(望遠比)はいくらか。
  3. (3) 主面 H\mathrm H, H′\mathrm H' の位置を求め、全長が焦点距離より短くなる理由を主面の位置から説明せよ。
解答

(1) Φ1=0.1 cm−1\Phi_1=0.1\,\mathrm{cm^{-1}}, Φ2=−0.2 cm−1\Phi_2=-0.2\,\mathrm{cm^{-1}} を上の積の式に入れて

M=(1−6×0.16−0.1+0.2+6×0.1×(−0.2)1−6×(−0.2))=(0.46−0.022.2).M=\begin{pmatrix}1-6\times0.1&6\\-0.1+0.2+6\times0.1\times(-0.2)&1-6\times(-0.2)\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}0.4&6\\-0.02&2.2\end{pmatrix}.

AD−BC=0.88+0.12=1AD-BC=0.88+0.12=1。

(2) Φ=0.02 cm−1\Phi=0.02\,\mathrm{cm^{-1}} なので f′=50 cmf'=50\,\mathrm{cm}。後側焦点距離は式 (2.3) から A/Φ=0.4/0.02=20 cmA/\Phi=0.4/0.02=20\,\mathrm{cm}。第1レンズから焦点までの全長は 6+20=26 cm6+20=26\,\mathrm{cm} で、望遠比は 26/50=0.5226/50=0.52 である。

(3) 式 (2.5) から zH′=(A−1)/Φ=−0.6/0.02=−30 cmz_{\mathrm H'}=(A-1)/\Phi=-0.6/0.02=-30\,\mathrm{cm} で、H′\mathrm H' は第2レンズの 30 cm30\,\mathrm{cm} 前(第1レンズの 24 cm24\,\mathrm{cm} 前)にある。zH=(D−1)/Φ=1.2/0.02=60 cmz_{\mathrm H}=(D-1)/\Phi=1.2/0.02=60\,\mathrm{cm} で、H\mathrm H は第1レンズの 60 cm60\,\mathrm{cm} 前にある。焦点距離は H′\mathrm H' から F′\mathrm F' までの距離なので、H′\mathrm H' がレンズ系よりずっと前に出ていれば、焦点距離 50 cm50\,\mathrm{cm} の結像を全長 26 cm26\,\mathrm{cm} の筒に収めることができる。凸レンズで光をいったん強く集め、凹レンズで集まり方を緩めることで、平行光線が最後に曲がる位置(H′\mathrm H')を系の前方に移している。この配置を望遠型と呼ぶ。

木下の勉強ステータス

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