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出てくるもの(1):Jones ベクトルと波長板

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第15章 異方性媒質と偏光
目次
  1. Jones ベクトル
  2. 波長板と Jones 行列
  3. 直交した偏光子の間の板
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第15章 §15.3 ★★★ 偏光は2成分の複素ベクトルで書け、光学素子は2×2 の行列になる。波長板は進相軸と遅相軸の位相差 Γ\Gamma を付ける行列で、λ/4\lambda/4 板は直線偏光を円偏光に、λ/2\lambda/2 板は直線偏光の向きを 2θ2\theta 回す

Jones ベクトル

zz 向きに進む平面波の電場を

E(z,t)=Re⁡[(Exex+Eyey)ei(kz−ωt)](15.12)\bm{E}(z,t)=\operatorname{Re}\bigl[(E_x\bm{e}_x+E_y\bm{e}_y)\mathrm{e}^{\mathrm{i}(kz-\omega t)}\bigr]\tag{15.12}

と書き、複素振幅の組を規格化した ψ=(ψx,ψy)T=(Ex,Ey)T/∣Ex∣2+∣Ey∣2\psi=(\psi_x,\psi_y)^{\mathsf T}=(E_x,E_y)^{\mathsf T}/\sqrt{\lvert E_x\rvert ^2+\lvert E_y\rvert ^2} をJones ベクトルと呼ぶ。全体の位相の因子 eiα\mathrm{e}^{\mathrm{i}\alpha} は偏光の形を変えない。代表的な偏光には次の記号を使う。

∣H⟩=(10), ∣V⟩=(01), ∣D⟩=12(11), ∣A⟩=12(1−1), ∣±⟩=12(1±i).(15.13)| H \rangle =\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix},\ | V \rangle =\begin{pmatrix}0\\1\end{pmatrix},\ | D \rangle =\frac{1}{\sqrt2}\begin{pmatrix}1\\1\end{pmatrix},\ | A \rangle =\frac{1}{\sqrt2}\begin{pmatrix}1\\-1\end{pmatrix},\ | \pm \rangle =\frac{1}{\sqrt2}\begin{pmatrix}1\\\pm\mathrm{i}\end{pmatrix}.\tag{15.13}

∣H⟩,∣V⟩| H \rangle ,| V \rangle は水平と垂直、∣D⟩,∣A⟩| D \rangle ,| A \rangle は ±45∘\pm45^\circ の直線偏光である。2つの Jones ベクトルの内積を ⟨ψ1∣ψ2⟩=ψ1†ψ2\langle \psi_1 | \psi_2 \rangle =\psi_1^\dagger\psi_2 と書く。

∣+⟩| + \rangle の場は、z=0z=0 で E=12(cos⁡ωt ex+sin⁡ωt ey)\bm{E}=\frac{1}{\sqrt2}(\cos\omega t\,\bm{e}_x+\sin\omega t\,\bm{e}_y) で、時間とともに xx から yy の向きに回る。光源に向かって(zz 軸が自分に向かう向きで)見ると反時計回りで、角運動量は進む向きに +ℏ+\hbar を持つ(螺旋度 +1+1)。光学の教科書の多くはこの偏光を「左回り円偏光」と呼び、工学(アンテナ)の分野では「右旋円偏光」と呼ぶ。呼び名が分野で逆になるので、この章では螺旋度の符号 ±\pm で呼ぶ。第1節の式 (15.4) の n+n_+ は螺旋度 ++ の円偏光の屈折率である。

波長板と Jones 行列

光学素子に入る前と出た後の Jones ベクトルは線形の関係にあり、2×2 の行列(Jones 行列)で書ける。15.2節で見たとおり、一軸性の結晶を光学軸が表面に平行になるように切った板に垂直に光を入れると、光学軸に平行な偏光と垂直な偏光が固有モードで、屈折率は nen_{\mathrm e} と non_{\mathrm o} になる。屈折率の小さいほうの軸を進相軸、大きいほうを遅相軸と呼ぶ。厚さ dd の板を通ると、遅相軸の成分は進相軸の成分より

Γ=2π ∣ne−no∣ dλ0(15.14)\Gamma=\frac{2\pi\,\lvert n_{\mathrm e}-n_{\mathrm o}\rvert \,d}{\lambda_0}\tag{15.14}

だけ多く位相が進む(eink0d\mathrm{e}^{\mathrm{i} nk_0d} の nn が大きい)。Γ\Gamma を位相差(リターデーション)と呼ぶ。進相軸を xx に取ると、共通の位相 einfastk0d\mathrm{e}^{\mathrm{i} n_{\mathrm{fast}}k_0d} を除いて、板の行列は diag(1,eiΓ)\mathrm{diag}(1,\mathrm{e}^{\mathrm{i}\Gamma}) である。進相軸が xx 軸から角 θ\theta だけ傾いているときは、座標を回して戻す。実空間で xx から yy の向きに角 ϕ\phi 回す行列を

R(ϕ)=(cos⁡ϕ−sin⁡ϕsin⁡ϕcos⁡ϕ)\mathsf R(\phi)=\begin{pmatrix}\cos\phi&-\sin\phi\\\sin\phi&\cos\phi\end{pmatrix}

と書くと、波長板の Jones 行列は

W(θ,Γ)=R(θ)(100eiΓ)R(−θ)(15.15)\mathsf W(\theta,\Gamma)=\mathsf R(\theta)\begin{pmatrix}1&0\\0&\mathrm{e}^{\mathrm{i}\Gamma}\end{pmatrix}\mathsf R(-\theta)\tag{15.15}

になる。Γ=π/2\Gamma=\pi/2 の板を λ/4\lambda/4 板、Γ=π\Gamma=\pi の板を λ/2\lambda/2 板と呼ぶ。

λ/2\lambda/2 板の行列は

W(θ,π)=(cos⁡2θsin⁡2θsin⁡2θ−cos⁡2θ)(15.16)\mathsf W(\theta,\pi)=\begin{pmatrix}\cos2\theta&\sin2\theta\\\sin2\theta&-\cos2\theta\end{pmatrix}\tag{15.16}

で、これは進相軸を鏡とする折り返しである。xx から角 ϕ0\phi_0 の直線偏光は、進相軸について折り返されて角 2θ−ϕ02\theta-\phi_0 の直線偏光になる。板を δ\delta 回すと偏光は 2δ2\delta 回る。λ/4\lambda/4 板を進相軸 −45∘-45^\circ に置くと、∣H⟩| H \rangle は進相軸と遅相軸に同じ振幅で分かれ、遅相軸(+45∘+45^\circ)の成分が π/2\pi/2 遅れて、W(−π/4,π/2)∣H⟩\mathsf W(-\pi/4,\pi/2)| H \rangle は位相を除いて ∣+⟩| + \rangle になる。進相軸を +45∘+45^\circ に置けば ∣−⟩| - \rangle になる。

偏光子(xx 向きの偏光だけを通す)は射影 PH=∣H⟩⟨H∣=diag(1,0)\mathsf P_H=| H \rangle \langle H |=\mathrm{diag}(1,0) で、角 θ\theta の偏光子は Pθ=R(θ)PHR(−θ)\mathsf P_\theta=\mathsf R(\theta)\mathsf P_H\mathsf R(-\theta) である。旋光性の媒質(式 (15.5))の行列は回転 R(ϕrot)\mathsf R(\phi_{\mathrm{rot}}) そのもので、固有ベクトルは ∣±⟩| \pm \rangle、固有値は e∓iϕrot\mathrm{e}^{\mp\mathrm{i}\phi_{\mathrm{rot}}} である。素子を順に通るときは、行列を右から左へ掛ける。

直交した偏光子の間の板

直交した2枚の偏光子(PH\mathsf P_H と PV\mathsf P_V)の間に、進相軸が 45∘45^\circ の板を置く。W(π/4,Γ)∣H⟩\mathsf W(\pi/4,\Gamma)| H \rangle の yy 成分は (1−eiΓ)/2(1-\mathrm{e}^{\mathrm{i}\Gamma})/2 で、透過率は

T=sin⁡2Γ2=sin⁡2π Δn dλ0(15.17)T=\sin^2\frac{\Gamma}{2}=\sin^2\frac{\pi\,\Delta n\,d}{\lambda_0}\tag{15.17}

になる(Δn=∣ne−no∣\Delta n=\lvert n_{\mathrm e}-n_{\mathrm o}\rvert)。板の向きが一般の θ\theta なら T=sin⁡22θ sin⁡2(Γ/2)T=\sin^22\theta\,\sin^2(\Gamma/2) である。Γ\Gamma は 1/λ01/\lambda_0 に比べて変わるので、白い光を入れると透過する色が Δn d\Delta n\,d で決まる。偏光顕微鏡で鉱物や応力のかかったプラスチックに色が付いて見えるのは、この干渉の色である。

例題 15.3 水晶の板の干渉の色と0次の波長板 ★★

オリジナル複屈折 Δn=0.0091\Delta n=0.0091 の結晶を考える(Δn\Delta n の波長依存性は無視する)。

  1. (1) 厚さ 50 μm50\,\mu\mathrm m の板を直交した偏光子の間に 45∘45^\circ で置いたときの、波長 450 nm450\,\mathrm{nm}・550 nm550\,\mathrm{nm}・650 nm650\,\mathrm{nm} での透過率を求め、透過光の色を述べよ。
  2. (2) 波長 589 nm589\,\mathrm{nm} の0次の λ/4\lambda/4 板(Γ=π/2\Gamma=\pi/2)の厚さを求めよ。
  3. (3) 同じ波長の10次の λ/4\lambda/4 板(Γ=2π×10+π/2\Gamma=2\pi\times10+\pi/2)の厚さを求め、波長が 590 nm590\,\mathrm{nm} にずれたときの Γ\Gamma のずれを、0次の板と比べよ。
解答

(1) Γ=2π×0.0091×50 μm/λ0\Gamma=2\pi\times0.0091\times50\,\mu\mathrm m/\lambda_0 は 450 nm450\,\mathrm{nm} で 2.02π2.02\pi、550 nm550\,\mathrm{nm} で 1.65π1.65\pi、650 nm650\,\mathrm{nm} で 1.40π1.40\pi である。式 (15.17) から透過率は 0.0010.001・0.2670.267・0.6550.655 で、青はほとんど通らず、赤が多く通る。透過光は橙から赤に見える。

(2) Γ=π/2\Gamma=\pi/2 から d=λ0/(4Δn)=589 nm/(4×0.0091)=16.2 μmd=\lambda_0/(4\Delta n)=589\,\mathrm{nm}/(4\times0.0091)=16.2\,\mu\mathrm m。薄すぎて扱いにくいので、実際の0次の板は2枚の板を進相軸を直交させて貼り合わせ、厚さの差でこの値を作ることが多い。

(3) d=(10+14)λ0/Δn=663 μmd=(10+\frac14)\lambda_0/\Delta n=663\,\mu\mathrm m。Γ=2πΔn d/λ0\Gamma=2\pi\Delta n\,d/\lambda_0 なので、λ0\lambda_0 を 1 nm1\,\mathrm{nm} ずらすと Γ\Gamma は Γ×(1/589)\Gamma\times(1/589) だけ変わる。10次の板では Γ=20.5π\Gamma=20.5\pi で、ずれは 6.25∘6.25^\circ、0次の板では Γ=π/2\Gamma=\pi/2 で、ずれは 0.153∘0.153^\circ である。多次の板は位相差が波長に対して 4141 倍敏感で、決まった波長でしか λ/4\lambda/4 として使えない。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

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