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出てくるもの(2):原子1個ずつの列と Rydberg 遮断のゲート

2026年10月15日12分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第27章 光格子と光ピンセット
目次
  1. 原子を1個ずつ入れる
  2. Rydberg 遮断
  3. 制御位相ゲート
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第27章 §27.4 ★★★ ピンセットの中の原子の数は光で誘起された衝突で0か1になり、空いた所を詰めると原子1個ずつの列になる。Rydberg 状態の原子どうしの大きな相互作用は2個の同時励起を禁じ、π–2π–π のパルスで制御位相ゲートになる

原子を1個ずつ入れる

半径 1 μm1\,\mu\mathrm m の程度のピンセットに冷えた原子の雲から原子を入れると、はじめは Poisson 分布に近い数の原子が入る。そこに近共鳴の光を当てると、同じピンセットの中の2個の原子は光で誘起された衝突を起こし、2個そろってトラップから飛び出す。これを繰り返すと、偶数個の原子は全部失われ、奇数個の原子は1個だけ残る。小さいピンセットでは衝突が速く、入ってくる原子が2個目と一緒に失われるので、残る数は0か1で、どちらも確率がほぼ 1/21/2 になる(N. Schlosser, G. Reymond, I. Protsenko, P. Grangier (2001)、Nature 411, 1024)。1個の原子が入ったかどうかは、蛍光を撮ればピンセットごとに分かる。

確率 pp で1個、1−p1-p で0個のとき、原子の数の平均は pp、分散は p(1−p)p(1-p) で、分散は平均より小さい。分散と平均の比から1を引いた Mandel の Q=Var⁡N/⟨N⟩−1=−pQ=\operatorname{Var}N/\langle N \rangle -1=-p は負で、Poisson 分布(Q=0Q=0)より揺らぎの小さい分布である。

MM 個のピンセットそれぞれに独立に確率 1/21/2 で原子が入ると、入った原子の数 NN は二項分布

P(N)=(MN)2−M(27.12)P(N)=\binom{M}{N}2^{-M}\tag{27.12}

に従う。原子を N0N_0 個並べたいなら、M>N0M>N_0 個のピンセットを用意して、原子の入ったピンセットを動く別のピンセットで1個ずつつまんで空いた場所へ運ぶ。この並べ替えで、50個ほどの原子を欠けのない1次元と2次元の列に並べることが 2016 年に示された(D. Barredo, S. de Léséleuc, V. Lienhard, T. Lahaye, A. Browaeys (2016)、Science 354, 1021。M. Endres ほか (2016)、Science 354, 1024)。

例題 27.5 ピンセットの列に原子を詰める ★★

オリジナル

  1. (1) 1つのピンセットに入る原子の数が確率 1/21/2 で0か1のとき、Mandel の QQ を求めよ。平均 1/21/2 の Poisson 分布なら、1個の確率と2個以上の確率はいくらか。Poisson 分布で1個の確率を最大にすると、その確率はいくらか。
  2. (2) 50個のピンセットに独立に原子を入れたとき、全部に原子が入る確率を求めよ。
  3. (3) MM 個のピンセットを用意して並べ替えるとき、50個以上の原子が入る確率が 99%99\% 以上になる最小の MM を求めよ。M=100M=100 ではどうか。
解答

(1) 平均 1/21/2、分散 1/41/4 なので、Q=(1/4)/(1/2)−1=−1/2Q=(1/4)/(1/2)-1=-1/2 である。平均 1/21/2 の Poisson 分布では、1個の確率は 12e−1/2=0.303\frac12\mathrm{e}^{-1/2}=0.303、2個以上の確率は 1−e−1/2(1+12)=0.0901-\mathrm{e}^{-1/2}(1+\frac12)=0.090 である。1個の確率 Nˉe−Nˉ\bar N\mathrm{e}^{-\bar N} は Nˉ=1\bar N=1 で最大で、その値は e−1=0.368\mathrm{e}^{-1}=0.368 である。衝突で2個ずつ取り除くと、1個の確率は Poisson 分布の上限 0.3680.368 を越えて 1/21/2 になり、2個以上の確率は0になる。

(2) 2−50=8.9×10−162^{-50}=8.9\times10^{-16} である。並べ替えなしに50個そろうことはまず起こらない。

(3) 式 (27.12) の和 P(N≥50)P(N\ge50) を数えると、M=100M=100 では 0.5400.540 で、半分ほどしか成功しない。M=124M=124 で 0.9880.988、M=125M=125 で 0.9900.990 なので、最小の MM は 125125 である。正規分布で近似すると、平均 M/2M/2・標準偏差 M/2\sqrt M/2 で、片側 99%99\% の点 2.332.33 を使い M/2−2.33M/2≥49.5M/2-2.33\sqrt M/2\ge49.5 から M≈125M\approx125 になり、和の数え上げと一致する。

Rydberg 遮断

原子を主量子数 nn の大きな Rydberg 状態 ∣r⟩| r \rangle に励起すると、電子は核から n2a0n^2a_0 の程度離れた軌道を回り、原子は大きな電気双極子を持ちうる。距離 rr だけ離れた2個の Rydberg 状態の原子は、2次の双極子相互作用で

V(r)=C6r6(27.13)V(r)=\frac{C_6}{r^6}\tag{27.13}

の van der Waals 相互作用を持ち、C6C_6 はおよそ n11n^{11} に比例して大きくなる。数 μm\mu\mathrm m 離れた2個の原子でも、V/hV/h は MHz から GHz に達する。基底状態の原子どうしの相互作用(ピンセットの間隔では Hz より小さい)とは比べものにならない。

2個の原子それぞれの基底状態の1つ ∣1⟩| 1 \rangle を Rabi 周波数 Ω\Omega で ∣r⟩| r \rangle へ共鳴で駆動する。1個ずつなら各原子は ∣1⟩↔∣r⟩| 1 \rangle \leftrightarrow| r \rangle の Rabi 振動をする(第19章)。2個とも ∣r⟩| r \rangle にある状態 ∣rr⟩| rr \rangle は VV だけエネルギーがずれているので、V≫ℏΩV\gg\hbar\Omega なら ∣rr⟩| rr \rangle への遷移は共鳴から外れて起こらない。これをRydberg 遮断と呼び、遮断が起こる距離の目安を

V(Rb)=ℏΩ,Rb=(C6ℏΩ)1/6(27.14)V(R_{\mathrm b})=\hbar\Omega,\qquad R_{\mathrm b}=\Bigl(\frac{C_6}{\hbar\Omega}\Bigr)^{1/6}\tag{27.14}

で定める(遮断の半径)。遮断された2個の原子の駆動は、∣11⟩| 11 \rangle と対称な1励起の状態 ∣W⟩=(∣1r⟩+∣r1⟩)/2| W \rangle =(| 1r \rangle +| r1 \rangle )/\sqrt2 の2準位系になり、⟨W∣H^∣11⟩=2 ℏΩ/2\langle W | \hat H | 11 \rangle =\sqrt2\,\hbar\Omega/2 なので、Rabi 周波数は 2 Ω\sqrt2\,\Omega になる。NN 個の原子が互いに遮断されていると、同じ理由で N Ω\sqrt N\,\Omega になる。この 2\sqrt2 倍の振動は 2009 年に2個の原子で観測された(E. Urban ほか (2009)、Nature Phys. 5, 110。A. Gaëtan ほか (2009)、Nature Phys. 5, 115)。

制御位相ゲート

各原子の量子ビットを、超微細構造の2つの基底状態 ∣0⟩| 0 \rangle, ∣1⟩| 1 \rangle で作る。∣0⟩| 0 \rangle は Rydberg 状態へ駆動しない。Jaksch たちの手順(D. Jaksch, J. I. Cirac, P. Zoller, S. L. Rolston, R. Côté, M. D. Lukin (2000)、Phys. Rev. Lett. 85, 2208)は次の3つのパルスである。制御の原子に ∣1⟩→∣r⟩| 1 \rangle \to| r \rangle の π\pi パルス、標的の原子に ∣1⟩→∣r⟩→∣1⟩| 1 \rangle \to| r \rangle \to| 1 \rangle の 2π2\pi パルス、制御の原子に π\pi パルスを当てる。

共鳴の Rabi 振動で 2π2\pi だけ回すと、2準位の状態は元へ戻るが符号が −1-1 になる(スピン 1/21/2 の 2π2\pi 回転)。π\pi パルスを2回当てても合わせて 2π2\pi なので、同じく −1-1 が掛かる。これを4つの入力で数える。∣00⟩| 00 \rangle はどの原子も駆動されないので変わらない。∣01⟩| 01 \rangle では標的だけが 2π2\pi 回って −1-1。∣10⟩| 10 \rangle では制御が π\pi+π\pi で −1-1。∣11⟩| 11 \rangle では、制御が ∣r⟩| r \rangle にいる間、標的の ∣1⟩→∣r⟩| 1 \rangle \to| r \rangle は遮断されて動かず、制御の π\pi+π\pi の −1-1 だけが掛かる。結果は

diag⁡(1,−1,−1,−1)=(Z⊗Z)⋅CZ,CZ=diag⁡(1,1,1,−1)(27.15)\operatorname{diag}(1,-1,-1,-1)=(Z\otimes Z)\cdot\mathrm{CZ},\qquad\mathrm{CZ}=\operatorname{diag}(1,1,1,-1)\tag{27.15}

で、各原子の ZZ の回転(1量子ビットのゲート)を足せば制御 ZZ ゲート(CZ)になる。遮断が無ければ ∣11⟩| 11 \rangle でも標的が 2π2\pi 回って +1+1 になり、4つの位相は各原子の位相の積に分かれて、もつれは生じない。もつれは遮断によって生じる。CZ と1量子ビットのゲートで量子計算の回路を組むことができる(相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第6部第1章)。

VV が有限だと遮断は完全でない。∣11⟩| 11 \rangle の 2π2\pi パルスの間、標的は ∣r1⟩↔∣rr⟩| r1 \rangle \leftrightarrow| rr \rangle を離調 V/ℏV/\hbar で駆動される2準位系で、パルスの後に ∣r1⟩| r1 \rangle に残る振幅は、Ω′=Ω2+V2/ℏ2\Omega'=\sqrt{\Omega^2+V^2/\hbar^2} として

a=e−iπV/(ℏΩ)[cos⁡πΩ′Ω+iVℏΩ′sin⁡πΩ′Ω]a=\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\pi V/(\hbar\Omega)}\Bigl[\cos\frac{\pi\Omega'}{\Omega}+\mathrm{i}\frac{V}{\hbar\Omega'}\sin\frac{\pi\Omega'}{\Omega}\Bigr]

である(第19章の離調のある Rabi 振動)。V≫ℏΩV\gg\hbar\Omega では ∣a∣→1\lvert a\rvert \to1 で、位相のずれは π(Ω′−V/ℏ)/Ω≈πℏΩ/(2V)\pi(\Omega'-V/\hbar)/\Omega\approx\pi\hbar\Omega/(2V) である。ゲートの誤りを平均ゲート忠実度 FF(入力の状態を一様に平均した、出力と目標の状態の重なり)で測ると、位相のずれ ϕ\phi が1つの対角要素にだけあるとき 1−F≈3ϕ2/201-F\approx3\phi^2/20 で、∣a∣<1\lvert a\rvert <1 による漏れの分も足して

1−F≈(ℏΩV)2[3π280+14sin⁡2(π1+V2ℏ2Ω2)](27.16)1-F\approx\Bigl(\frac{\hbar\Omega}{V}\Bigr)^2\Bigl[\frac{3\pi^2}{80}+\frac14\sin^2\Bigl(\pi\sqrt{1+\frac{V^2}{\hbar^2\Omega^2}}\Bigr)\Bigr]\tag{27.16}

になる。3π2/80=0.3703\pi^2/80=0.370 である。漏れの項は V/(ℏΩ)V/(\hbar\Omega) のわずかな変化で0と最大の間を振動し、Ω\Omega を少し調整すれば0にすることができる。図 27.4 のとおり、3準位×2個の Schrödinger 方程式を数値で解いた 1−F1-F は、V/(ℏΩ)≥10V/(\hbar\Omega)\ge10 でこの式と3%以内で一致する。

もう1つの誤りは Rydberg 状態の寿命 τ\tau である。4つの入力を平均すると、原子が Rydberg 状態にいる時間の合計は、∣00⟩| 00 \rangle で0、∣01⟩| 01 \rangle で π/Ω\pi/\Omega、∣10⟩| 10 \rangle と ∣11⟩| 11 \rangle で 3π/Ω3\pi/\Omega で、平均 7π/(4Ω)7\pi/(4\Omega) である。この間に崩壊する確率

εdec≈7π4Ωτ(27.17)\varepsilon _{\mathrm{dec}}\approx\frac{7\pi}{4\Omega\tau}\tag{27.17}

が誤りに加わる。遮断の誤りは Ω\Omega を小さくすると減り、崩壊の誤りは Ω\Omega を大きくすると減るので、最適な Ω\Omega がある(総合問題)。

図

図 27.4 Jaksch たちの手順の CZ ゲートの誤り 1−F1-F。青の点線は3準位×2個の Schrödinger 方程式を数値で解いた値、赤の実線は式 (27.16) の漏れの項が0のときと最大のとき。数値の値は2本の線の間を、V/(ℏΩ)V/(\hbar\Omega) とともに振動しながら (ℏΩ/V)2(\hbar\Omega/V)^2 で下がる。

例題 27.6 遮断の半径とゲートの誤り ★★★

オリジナル87Rb{}^{87}\mathrm{Rb} の Rydberg 状態で C6/h=500 GHz μm6C_6/h=500\,\mathrm{GHz\,\mu m^6} とする(与えられた値)。Rabi 周波数を Ω/2π=1 MHz\Omega/2\pi=1\,\mathrm{MHz}、Rydberg 状態の寿命を τ=100 μs\tau=100\,\mu\mathrm s とする。

  1. (1) 遮断の半径 RbR_{\mathrm b} を求めよ。
  2. (2) 原子の間隔が 4 μm4\,\mu\mathrm m と 6 μm6\,\mu\mathrm m のときの V/hV/h と V/(ℏΩ)V/(\hbar\Omega) を求めよ。
  3. (3) それぞれの間隔で、式 (27.16) から遮断の誤り 1−F1-F を求めよ。
  4. (4) ゲート全体の長さと、崩壊の誤り εdec\varepsilon _{\mathrm{dec}} を求めよ。
解答

(1) ℏΩ/h=1 MHz\hbar\Omega/h=1\,\mathrm{MHz} なので、Rb=(500×103 MHz μm6/1 MHz)1/6=(5×105)1/6 μm=8.91 μmR_{\mathrm b}=(500\times10^{3}\,\mathrm{MHz\,\mu m^6}/1\,\mathrm{MHz})^{1/6}=(5\times10^5)^{1/6}\,\mu\mathrm m=8.91\,\mu\mathrm m である。

(2) 4 μm4\,\mu\mathrm m では V/h=500×103/46 MHz=122 MHzV/h=500\times10^3/4^6\,\mathrm{MHz}=122\,\mathrm{MHz}、V/(ℏΩ)=122V/(\hbar\Omega)=122 である。6 μm6\,\mu\mathrm m では V/h=10.7 MHzV/h=10.7\,\mathrm{MHz}、V/(ℏΩ)=10.7V/(\hbar\Omega)=10.7 である。距離が 1.51.5 倍になると VV は 1.56=11.41.5^6=11.4 分の1になる。r−6r^{-6} の急な依存のため、遮断は RbR_{\mathrm b} の内側ではほぼ完全で、外側ではすぐに無くなる。

(3) 4 μm4\,\mu\mathrm m では、位相の項が 0.370/1222=2.48×10−50.370/122^2=2.48\times10^{-5}、漏れの項を足して 2.57×10−52.57\times10^{-5} である。6 μm6\,\mu\mathrm m では、位相の項が 0.370/10.72=3.22×10−30.370/10.7^2=3.22\times10^{-3}、漏れを足して 4.22×10−34.22\times10^{-3} である。数値で解いた値はそれぞれ 2.57×10−52.57\times10^{-5} と 4.28×10−34.28\times10^{-3} で、式とよく合う。

(4) パルスは π\pi+2π2\pi+π\pi で、合わせて 4π/Ω=2 μs4\pi/\Omega=2\,\mu\mathrm s である。Rydberg 状態にいる時間の平均は 7π/(4Ω)=0.875 μs7\pi/(4\Omega)=0.875\,\mu\mathrm s で、εdec=0.875/100=8.75×10−3\varepsilon _{\mathrm{dec}}=0.875/100=8.75\times10^{-3} になる。4 μm4\,\mu\mathrm m の間隔では、遮断の誤りより崩壊の誤りが300倍以上大きい。このパラメータでゲートの誤りを決めているのは Rydberg 状態の寿命である。

木下の勉強ステータス

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AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

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