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出てくるもの(3):重力赤方偏移で高さを測る

2026年10月15日5分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第28章 原子時計
目次
  1. 静止した時計の進み
  2. 時計で測る高さ
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第28章 §28.4 ★★★ 静止した時計の固有時は dτ=g00 dt\mathrm{d}\tau=\sqrt{g_{00}}\,\mathrm{d} t で進み、高さ Δh\Delta h の差は周波数の相対的な差 gΔh/c2g\Delta h/c^2 になる。1 cm1\,\mathrm{cm} で 1.09×10−181.09\times10^{-18} なので、10−1810^{-18} の時計の比較は高さの測定になる

静止した時計の進み

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部第11章(解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部第11章)では、Newton の重力ポテンシャル Φ\Phi の弱い静的な重力場で、計量の時間の成分が

g00≈1+2Φc2(28.16)g_{00}\approx1+\frac{2\Phi}{c^2}\tag{28.16}

になること、空間に静止した時計の固有時 τ\tau が座標時 tt と dτ=g00 dt\mathrm{d}\tau=\sqrt{g_{00}}\,\mathrm{d} t の関係で進むことを示した。この結果をそのまま使う。

高さの違う2点 A, B に同じ種類の原子時計を置く。どちらの時計も、自分の固有時で測って同じ周波数 ν0\nu_0 で振動する。B の時計の振動を光(または電波)で A へ送る。計量が時間によらないので、座標時で測った信号の周期は送られる途中で変わらない。B で固有時の周期 1/ν01/\nu_0 の振動は、座標時では周期 1/(ν0g00(B))1/(\nu_0\sqrt{g_{00}(\mathrm B)}) である。A がこれを自分の固有時で測ると周期は g00(A)/(ν0g00(B))\sqrt{g_{00}(\mathrm A)}/(\nu_0\sqrt{g_{00}(\mathrm B)}) になる。したがって A で比べた B の時計の周波数は

νB→Aν0=g00(B)g00(A)≈1+ΦB−ΦAc2(28.17)\frac{\nu_{\mathrm B\to\mathrm A}}{\nu_0}=\sqrt{\frac{g_{00}(\mathrm B)}{g_{00}(\mathrm A)}}\approx1+\frac{\Phi_{\mathrm B}-\Phi_{\mathrm A}}{c^2}\tag{28.17}

である。2つ目の形は ∣Φ∣/c2≪1\lvert \Phi\rvert /c^2\ll1 の1次まで展開したものである。

地表の近くでは Φ=gh\Phi=gh(hh は高さ)と置け、B が A より Δh\Delta h 高いと

νB−νAν0=gΔhc2=1.09×10−16 m−1×Δh(28.18)\frac{\nu_{\mathrm B}-\nu_{\mathrm A}}{\nu_0}=\frac{g\Delta h}{c^2}=1.09\times10^{-16}\,\mathrm m^{-1}\times\Delta h\tag{28.18}

になる。高い所の時計は速く進む。逆に高い所から見ると、低い所から来た光は周波数が下がって見え、これを重力赤方偏移と呼ぶ。Δh=1 cm\Delta h=1\,\mathrm{cm} では 1.09×10−181.09\times10^{-18} で、時計の比較が 10−1810^{-18} の精度に達すると、cm\mathrm{cm} の高さの差が時計の周波数の差として読める。

時計で測る高さ

測地学で使う高さは、重力ポテンシャルの等しい面(ジオイド)からの差で定義される。水準測量は、この差を水平な視準線と目盛りの読みで、短い区間ごとに足し合わせて求める。長い距離では誤差が積み重なり、海で隔てられた2点の高さは直接つなげない。式 (28.17) は、2つの時計の周波数の比がその場所の重力ポテンシャルの差だけで決まることを示している。時計を光ファイバーでつないで比べれば、途中の経路によらず、ポテンシャルの差すなわち高さの差を直接測れる。これを相対論的測地と呼ぶ。

相対論的測地では、時計の比較の不確かさがそのまま高さの不確かさになる。10−1810^{-18} の時計の比較は 1 cm1\,\mathrm{cm} の高さに、10−1710^{-17} は 10 cm10\,\mathrm{cm} に相当する。実際に光格子時計を使い、東京スカイツリーの地上階と展望台の間(高さの差およそ 450 m450\,\mathrm m)で時計の周波数を比べて重力赤方偏移を確かめた実験がある(M. Takamoto et al., Nature Photonics 14, 411 (2020))。

例題 28.6 GPS の衛星の時計 ★★

オリジナルGPS の衛星は半径 r=2.656×107 mr=2.656\times10^{7}\,\mathrm m の円軌道を回る。地球の GM=3.986×1014 m3 s−2GM=3.986\times10^{14}\,\mathrm{m^3\,s^{-2}}、半径 R=6.371×106 mR=6.371\times10^{6}\,\mathrm m とし、地上の時計の自転による速さは無視する。

  1. (1) 重力ポテンシャルの差による衛星の時計の進みを、1日あたりの時間で求めよ。
  2. (2) 衛星の軌道の速さによる遅れ(−v2/(2c2)-v^2/(2c^2))を、1日あたりで求めよ。
  3. (3) 差し引きの進みを求め、それを光の速さで距離に直せ。
解答

(1) Φ=−GM/r\Phi=-GM/r なので、地上と衛星の差は (Φsat−Φground)/c2=(GM/c2)(1/R−1/r)=5.29×10−10(\Phi_{\mathrm{sat}}-\Phi_{\mathrm{ground}})/c^2=(GM/c^2)(1/R-1/r)=5.29\times10^{-10} で、1日 86400 s86400\,\mathrm s あたり +45.7 μs+45.7\,\mu\mathrm s 進む。地表の近くの一様な gg の近似(式 (28.18))はここでは使えず、1/r1/r のポテンシャルのまま計算する。

(2) 円軌道の速さは v=GM/r=3.87 km s−1v=\sqrt{GM/r}=3.87\,\mathrm{km\,s^{-1}} で、v2/(2c2)=GM/(2rc2)=8.35×10−11v^2/(2c^2)=GM/(2rc^2)=8.35\times10^{-11}、1日あたり −7.21 μs-7.21\,\mu\mathrm s である。

(3) 差し引き +38.5 μs+38.5\,\mu\mathrm s 進む。光はこの時間に 38.5×10−6×2.998×108 m=11.5 km38.5\times10^{-6}\times2.998\times10^{8}\,\mathrm m=11.5\,\mathrm{km} 進むので、補正しなければ位置は1日で km\mathrm{km} の程度ずれる。実際の GPS では、衛星の時計の周波数を打ち上げ前にこの割合だけ低く設定しておく(N. Ashby, Living Rev. Relativ. 6, 1 (2003))。

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