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何を近似したか・何の実験の量で確かめるか

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第28章 原子時計
目次
  1. 近似
  2. 重力赤方偏移を確かめた実験
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第28章 §28.5 ★★ パルスを短いとした Ramsey の縞、格子の井戸を調和振動子とした Lamb–Dicke の展開、光シフトを電場の2乗で打ち切ったこと、重力場の1次の展開の4つ。重力赤方偏移は塔・実験室・高層の建物・原子の雲の中で、高さの差を縮めながら確かめられてきた

近似

式 (28.5) は、π/2\pi/2 パルスの長さ τp\tau_{\mathrm p} が自由な時間より十分短く、∣Δ∣τp≪1\lvert \Delta\rvert \tau_{\mathrm p}\ll1 が成り立つ極限である。2つのパルスと自由な時間を回転座標の Hamiltonian −ℏΔ2σz−ℏΩ2σx-\frac{\hbar\Delta}{2}\sigma_z-\frac{\hbar\Omega}{2}\sigma_x で厳密に解いて比べると、τp=0.01tf\tau_{\mathrm p}=0.01t_{\mathrm f} でも縞の中心の近くの差は 1%1\% の程度で、しかも自由な時間を tf+4τp/πt_{\mathrm f}+4\tau_{\mathrm p}/\pi に置き換えると差は 10−710^{-7} の程度まで下がる(verify_ch28.py で確かめた)。パルスの間も Bloch ベクトルが離調で回るので、実効的な自由な時間が少し延びるのである。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの τp/tf→0\tau_{\mathrm p}/t_{\mathrm f}\to0(パルスの長さと自由な時間の比) | 証明 証明済み(回転座標の2準位の時間発展は厳密に解け、式 (28.5) はその極限。回転波近似そのものの札は第18章) | 行き先 近似の数理 第7章

28.3節では、格子の井戸の底を調和振動子とし、時計の光の吸収の演算子 eiη(b^+b^†)\mathrm{e}^{\mathrm{i}\eta(\hat b+\hat b^\dagger)} を η\eta の低い次で打ち切った。井戸は cos⁡2\cos^2 の形なので、高い振動の準位では準位の間隔が ℏωtr\hbar\omega_{\mathrm{tr}} より狭くなる。また原子は隣の井戸へトンネルでき、浅い格子ではそれによる周波数のずれが問題になる。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの η=kcxzp→0\eta=k_{\mathrm c}x_{\mathrm{zp}}\to0(Lamb–Dicke パラメータ) | 証明 条件付き(η2(2n+1)≪1\eta^2(2n+1)\ll1 で、井戸の非調和性と隣の井戸へのトンネルを無視できること) | 行き先 近似の数理 第7章

式 (28.14) は、光シフトを電場の振幅の2乗(分極率)で打ち切ったものである。電場の4乗の項(超分極率)は、魔法波長で2乗の項を消すと次に残る項になり、10−1810^{-18} の時計では格子の深さに対する非線形なずれとして評価する必要がある。格子の光には電気双極子の分極率のほかに、磁気双極子と電気四重極子の寄与があり、これらは定在波の中で空間の分布が電気双極子と異なるので、魔法の条件を1つの波長で同時に満たせない。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの U0/(ℏ∣Δj∣)→0U_0/(\hbar\lvert \Delta_j\rvert )\to0(格子の深さと最も近い遷移からの離調の比) | 証明 要確認(超分極率・多重極の寄与を含めた展開の形は文献ごとに扱いが違い、展開の収束の前提を原論文で確かめていない) | 行き先 近似の数理 第7章

式 (28.17) の2つ目の形は ∣Φ∣/c2\lvert \Phi\rvert /c^2 の1次の展開である。地表では ∣Φ∣/c2=6.96×10−10\lvert \Phi\rvert /c^2=6.96\times10^{-10} なので、1 m1\,\mathrm m の差を1次の式で計算した相対的な誤差は 10−910^{-9} の程度で、10−1810^{-18} の測定には問題にならない。一様な gg の近似 Φ=gh\Phi=gh は、1 km1\,\mathrm{km} の高さの差で相対的に h/R=1.6×10−4h/R=1.6\times10^{-4} の誤差を持つ。450 m450\,\mathrm m の比較では、地球の重力場の実測のモデルでポテンシャルを計算して比べる。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの ∣Φ∣/c2→0\lvert \Phi\rvert /c^2\to0(重力ポテンシャルと光速の2乗の比) | 証明 条件付き(静的な計量で dτ=g00 dt\mathrm{d}\tau=\sqrt{g_{00}}\,\mathrm{d} t は厳密。弱い場の g00≈1+2Φ/c2g_{00}\approx1+2\Phi/c^2 はその1次) | 行き先 近似の数理 第7章

重力赤方偏移を確かめた実験

最初の実験室での検証は、Pound と Rebka(1960、Phys. Rev. Lett. 4, 337)が Harvard 大学の高さ 22.5 m22.5\,\mathrm m の塔で行ったものである。57Fe{}^{57}\mathrm{Fe} の 14.4 keV14.4\,\mathrm{keV} の γ\gamma 線は、Mössbauer 効果(結晶の中の原子核が反跳を結晶全体に渡す)で自然幅だけの細い線になる。塔の上と下で γ\gamma 線の放出と吸収をさせ、放出源を音響振動子で動かして Doppler のずれで共鳴を探した。予言 gh/c2=2.46×10−15gh/c^2=2.46\times10^{-15} に対し、測定と予言の比は 1.05±0.101.05\pm0.10 だった。格子の原子が光子の運動量を格子全体に渡すという Lamb–Dicke の描像は、Mössbauer 効果と同じ構造をしている。

原子時計による検証は、Hafele と Keating(1972、Science 177, 166 と 168)が Cs ビーム時計を旅客機に載せて世界を回ったものに始まる。Chou たち(2010、Science 329, 1630)は、27Al+{}^{27}\mathrm{Al}^+ のイオンを使う2台の光の時計の一方を 33 cm33\,\mathrm{cm} 持ち上げ、周波数の差を測って重力赤方偏移を見た。実験室の机の上の高さの差が時計で見えた最初の例である。光格子時計では、系統的な不確かさが 10−1810^{-18} の桁に達した(W. F. McGrew et al., Nature 564, 87 (2018)、Yb の光格子時計)。Bothwell たち(2022、Nature 602, 420)は、1つの Sr の原子の雲の中で、1 mm1\,\mathrm{mm} の高さの違う部分の間の周波数の差を測り、重力赤方偏移が雲の中で見えることを示した。

例題 28.7 Pound–Rebka の実験の大きさ ★★

オリジナルPound と Rebka の塔(高さ 22.5 m22.5\,\mathrm m)について考える。

  1. (1) 重力赤方偏移の相対的な大きさ gh/c2gh/c^2 と、14.4 keV14.4\,\mathrm{keV} の γ\gamma 線のエネルギーのずれを求めよ。
  2. (2) このずれを打ち消すには、放出源をどちら向きにどの速さで動かせばよいか。
  3. (3) 同じ割合を Sr の光格子時計の周波数のずれに直すと何 Hz\mathrm{Hz} か。
解答

(1) gh/c2=9.807×22.5/(2.998×108)2=2.46×10−15gh/c^2=9.807\times22.5/(2.998\times10^{8})^2=2.46\times10^{-15} である。エネルギーのずれは 14.4×103 eV×2.46×10−15=3.5×10−11 eV14.4\times10^{3}\,\mathrm{eV}\times2.46\times10^{-15}=3.5\times10^{-11}\,\mathrm{eV} である。

(2) 上から下へ落ちる γ\gamma 線は、下で見ると周波数が 2.46×10−152.46\times10^{-15} だけ上がっている(青方偏移)。上の放出源を下から遠ざかる向き、すなわち上向きに動かすと、Doppler 効果で周波数が下がる。1次の Doppler のずれ v/cv/c を等しくおいて、v=c×2.46×10−15=7.4×10−7 m s−1v=c\times2.46\times10^{-15}=7.4\times10^{-7}\,\mathrm{m\,s^{-1}}、およそ 0.7 μm s−10.7\,\mu\mathrm m\,\mathrm s^{-1} である。

(3) 4.292×1014 Hz×2.46×10−15=1.06 Hz4.292\times10^{14}\,\mathrm{Hz}\times2.46\times10^{-15}=1.06\,\mathrm{Hz} である。28.3 の例題の光格子時計の安定度 σy(1 s)=2.35×10−17\sigma_y(1\,\mathrm s)=2.35\times10^{-17} の100倍の大きさなので、1秒の比較で見える。Pound と Rebka が γ\gamma 線で数か月かけて10%の精度で測った量は、光格子時計では1秒の測定の量になった。

木下の勉強ステータス

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