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出てくるもの(1):超高密度符号

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3部 第6章 テレポーテーションと超高密度符号
目次
  1. 手続き
  2. 一般の共有状態で送れる情報量
  3. Werner 状態での情報量
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第3部 第6章 §3.6.3 ★★★ Bell 状態の対を使うと量子ビット1個で2ビット送れる。一般の共有状態では、送れる古典情報量の上限が D(ρ^AB ∥ π^A⊗ρ^B)D(\hat\rho_{AB}\,\|\,\hat\pi_A\otimes\hat\rho_B) に等しい

手続き

超高密度符号は C. H. Bennett と S. J. Wiesner が提案した1C. H. Bennett and S. J. Wiesner (1992), Physical Review Letters 69, 2881–2884。下の脚注へ。Alice と Bob は ∣Φ+⟩AB| \Phi^+ \rangle _{AB} を共有している。Alice は送りたい2ビット x=(x1,x2)∈{0,1}2x=(x_1,x_2)\in\{0,1\}^2 に応じて、AA に 1\mathbf 1、XX、ZZ、XZXZ のどれかを当て、AA を Bob に送る。式 (3.6.4) から、Bob の手元の2量子ビットは ∣Φ+⟩| \Phi^+ \rangle、∣Ψ+⟩| \Psi^+ \rangle、∣Φ−⟩| \Phi^- \rangle、−∣Ψ−⟩-| \Psi^- \rangle のどれかになる。この4つは互いに直交するので、Bob が Bell 基底で測れば確率1で見分けられ、2ビットが誤りなく伝わる。

資源の勘定は、送った量子ビットが1個、消費した ebit が1組で、伝わった古典ビットが2個である。式 (3.6.2) の左の式がこれである。2節の Holevo 限界から、Bob が受け取った系の次元は 44 なので、2ビットはこの状況で送れる上限である。

一般の共有状態で送れる情報量

共有した状態が ∣Φ+⟩| \Phi^+ \rangle でない一般の ρ^AB\hat\rho_{AB} のとき、同じ形の手続き(Alice は AA にユニタリ U^x\hat U_x を当てて AA を送る)で送れる古典情報量を求める。Bob の手元に届く状態は ρ^x=(U^x⊗1)ρ^AB(U^x⊗1)†\hat\rho_x=(\hat U_x\otimes\mathbf 1)\hat\rho_{AB}(\hat U_x\otimes\mathbf 1)^\dagger で、Bob が得られる情報の上限は Holevo 量 χ({px,ρ^x})\chi(\{p_x,\hat\rho_x\}) である。この上限を符号化 {px,U^x}\{p_x,\hat U_x\} について最大にしたものを C(ρ^AB)C(\hat\rho_{AB}) と書く。

定理 3.6.4(超高密度符号の情報量 ★★★)

Alice の側の次元を dAd_A とすると、

C(ρ^AB)=max⁡{px,U^x}χ=D(ρ^AB ∥ π^A⊗ρ^B)=ln⁡dA+S(B)−S(AB).(3.6.10)C(\hat\rho_{AB})=\max_{\{p_x,\hat U_x\}}\chi=D(\hat\rho_{AB}\,\|\,\hat\pi_A\otimes\hat\rho_B)=\ln d_A+S(B)-S(AB).\tag{3.6.10}

証明

上界:ρ^x\hat\rho_x はどれも ρ^AB\hat\rho_{AB} をユニタリで移したものなので S(ρ^x)=S(AB)S(\hat\rho_x)=S(AB)。平均 ρˉ=∑xpxρ^x\bar\rho=\sum_xp_x\hat\rho_x の BB の側は、命題 3.6.2 から ρ^B\hat\rho_B のままである。劣加法性(第3部第2章)と S(ρˉA)≤ln⁡dAS(\bar\rho_A)\le\ln d_A から S(ρˉ)≤S(ρˉA)+S(ρ^B)≤ln⁡dA+S(B)S(\bar\rho)\le S(\bar\rho_A)+S(\hat\rho_B)\le\ln d_A+S(B)。したがってχ=S(ρˉ)−S(AB)≤ln⁡dA+S(B)−S(AB)\chi=S(\bar\rho)-S(AB)\le\ln d_A+S(B)-S(AB)。

到達:量子ビット(dA=2d_A=2)では、1\mathbf 1、XX、YY、ZZ を確率 1/41/4 ずつ当てる。任意の 2×22\times2 行列 MM について

14(M+XMX+YMY+ZMZ)=Tr⁡M2 1(3.6.11)\frac14\bigl(M+XMX+YMY+ZMZ\bigr)=\frac{\operatorname{Tr} M}{2}\,\mathbf 1\tag{3.6.11}

が成り立つ(MM を 1,X,Y,Z\mathbf 1,X,Y,Z で展開すると、1\mathbf 1 の成分以外は4項のうち2つで符号が反転して消える)。これを AA の側に当てると ρˉ=π^A⊗ρ^B\bar\rho=\hat\pi_A\otimes\hat\rho_B になり、S(ρˉ)=ln⁡2+S(B)S(\bar\rho)=\ln2+S(B) で上界に一致する。dAd_A が一般のときは、XX と ZZ の代わりに dAd_A 次元のずらし ∣k⟩↦∣k+1⟩| k \rangle \mapsto| k+1 \rangle と位相 ∣k⟩↦e2πik/dA∣k⟩| k \rangle \mapsto\mathrm{e}^{2\pi\mathrm{i} k/d_A}| k \rangle の積 dA2d_A^2 個を使えば同じ式が成り立つ。最後の等号は命題 3.6.1 である。

ただし、C(ρ^AB)C(\hat\rho_{AB}) が ln⁡dA\ln d_A を下回るとき、Alice は共有した状態を捨て、新しい dAd_A 次元の系に古典の値を直接載せて送るほうが多くを送れる(上限 ln⁡dA\ln d_A)。したがって、もつれを使って得をする分は

max⁡{C(ρ^AB),ln⁡dA}−ln⁡dA=max⁡{0, −S(A ∣ B)}(3.6.12)\max\{C(\hat\rho_{AB}),\ln d_A\}-\ln d_A=\max\{0,\,-S(A\,|\,B)\}\tag{3.6.12}

である。超高密度符号で得をするのは条件付きエントロピーが負の状態だけで、得の大きさは −S(A ∣ B)-S(A\,|\,B) に等しい。第3部第2章で「もつれの目印」として出した負の条件付きエントロピーは、ここで「量子ビット1個に余分に載せられる古典情報量」という操作の意味を持つ。この公式は T. Hiroshima が混合状態について示した2T. Hiroshima (2001), Journal of Physics A 34, 6907–6912。下の脚注へ。

比べる相手 π^A⊗ρ^B\hat\pi_A\otimes\hat\rho_B は、Pauli の4つで平均した後の Bob の手元の状態 ρˉ\bar\rho そのものである。式 (3.6.10) の相対エントロピーは「符号化した後の1つの状態 ρ^x\hat\rho_x が、平均の状態 ρˉ\bar\rho からどれだけ離れているか」を測っていて、Holevo 量の第3部第2章の書き方 χ=∑xpxD(ρ^x ∥ ρˉ)\chi=\sum_xp_xD(\hat\rho_x\,\|\,\bar\rho) と同じ形になっている。

Werner 状態での情報量

雑音の例として、第3部第2章の Werner 状態

ρ^p=p∣Φ+⟩⟨Φ+∣+(1−p)14(0≤p≤1)(3.6.13)\hat\rho_p=p| \Phi^+ \rangle \langle \Phi^+ |+(1-p)\frac{\mathbf 1}{4}\qquad(0\le p\le1)\tag{3.6.13}

をとる。固有値は (1+3p)/4(1+3p)/4 が1つと (1−p)/4(1-p)/4 が3つで、ρ^B=1/2\hat\rho_B=\mathbf 1/2 は pp によらない。式 (3.6.10) から

C(ρ^p)=2ln⁡2−S(ρ^p).(3.6.14)C(\hat\rho_p)=2\ln2-S(\hat\rho_p).\tag{3.6.14}

C(ρ^p)>ln⁡2C(\hat\rho_p)>\ln2 となるのは S(ρ^p)<ln⁡2S(\hat\rho_p)<\ln2、すなわち S(A ∣ B)<0S(A\,|\,B)<0 のときで、数値で解くと p>p∗=0.7476p>p_*=0.7476(∣Φ+⟩| \Phi^+ \rangle との重なり F=(1+3p)/4>0.8107F=(1+3p)/4>0.8107)である。Werner 状態は p>1/3p>1/3 でもつれている(第3部第4章)ので、1/3<p<0.74761/3<p<0.7476 の Werner 状態は、もつれているのに超高密度符号では得にならない。図 3.6.1 にこの様子を示す。

図

図 3.6.1 Werner 状態 ρ^p\hat\rho_p を使った超高密度符号の情報量 C(ρ^p)=2ln⁡2−S(ρ^p)C(\hat\rho_p)=2\ln2-S(\hat\rho_p) をビットで表したもの(実線、厳密な値)。破線はもつれを使わずに量子ビット1個で送れる1ビット。p>1/3p>1/3 で状態はもつれているが、得をするのは p>p∗=0.748p>p_*=0.748(S(A ∣ B)<0S(A\,|\,B)<0)に限られる。

例題 3.6.3 雑音のある対での超高密度符号 ★★

オリジナルWerner 状態 ρ^p\hat\rho_p を共有して超高密度符号を行う。

  1. p=0.9p=0.9 のとき、S(ρ^p)S(\hat\rho_p) と C(ρ^p)C(\hat\rho_p) を求め、もつれを使わない場合に比べて何ビット得をするかを答えよ。
  2. 式 (3.6.11) を使って、p=0.9p=0.9 の対に Pauli の4つを等確率で当てた平均の状態を求め、それが π^A⊗ρ^B\hat\pi_A\otimes\hat\rho_B に一致することを確かめよ。
  3. p=0.5p=0.5 では、もつれを使うべきか。
解答

(1) 固有値は (1+2.7)/4=0.925(1+2.7)/4=0.925 と 0.0250.025 が3つ。S=−0.925ln⁡0.925−3×0.025ln⁡0.025=0.0721+0.2767=0.3488S=-0.925\ln0.925-3\times0.025\ln0.025=0.0721+0.2767=0.3488 nat。C=2ln⁡2−S=1.3863−0.3488=1.0375C=2\ln2-S=1.3863-0.3488=1.0375 nat =1.4968=1.4968 ビット。もつれを使わない1ビットに比べて 0.49680.4968 ビット得をする。この得は −S(A ∣ B)=ln⁡2−S(ρ^p)=0.3444-S(A\,|\,B)=\ln2-S(\hat\rho_p)=0.3444 nat に等しい。

(2) ρ^p\hat\rho_p は ∣Φ+⟩⟨Φ+∣| \Phi^+ \rangle \langle \Phi^+ | と 1/4\mathbf 1/4 の和で、AA の側に式 (3.6.11) を当てると、1/4\mathbf 1/4 は変わらず、∣Φ+⟩⟨Φ+∣| \Phi^+ \rangle \langle \Phi^+ | は14∑σ(σ⊗1)∣Φ+⟩⟨Φ+∣(σ⊗1)†=14(∣Φ+⟩⟨Φ+∣+∣Ψ+⟩⟨Ψ+∣+∣Ψ−⟩⟨Ψ−∣+∣Φ−⟩⟨Φ−∣)=1/4\frac14\sum_{\sigma}(\sigma\otimes\mathbf 1)| \Phi^+ \rangle \langle \Phi^+ |(\sigma\otimes\mathbf 1)^\dagger=\frac14(| \Phi^+ \rangle \langle \Phi^+ |+| \Psi^+ \rangle \langle \Psi^+ |+| \Psi^- \rangle \langle \Psi^- |+| \Phi^- \rangle \langle \Phi^- |)=\mathbf 1/4になる(Y=iXZY=\mathrm{i} XZ なので (Y⊗1)∣Φ+⟩(Y\otimes\mathbf 1)| \Phi^+ \rangle は ∣Ψ−⟩| \Psi^- \rangle に位相がついたもの)。平均は 1/4=π^A⊗ρ^B\mathbf 1/4=\hat\pi_A\otimes\hat\rho_B で、S(ρˉ)=2ln⁡2S(\bar\rho)=2\ln2。χ=2ln⁡2−S(ρ^p)\chi=2\ln2-S(\hat\rho_p) となり、(1) と一致する。

(3) p=0.5p=0.5 では固有値 0.6250.625 と 0.1250.125 が3つで S(ρ^p)=1.0736S(\hat\rho_p)=1.0736 nat >ln⁡2>\ln2。C=0.3127C=0.3127 nat =0.4512=0.4512 ビットで1ビットを下回るので、Alice は対を使わず、新しい量子ビットに1ビットを載せて送るほうがよい。p=0.5>1/3p=0.5>1/3 なのでこの状態はもつれているが、超高密度符号の役には立たない。

1 C. H. Bennett and S. J. Wiesner (1992), Physical Review Letters 69, 2881–2884。

2 T. Hiroshima (2001), Journal of Physics A 34, 6907–6912。

木下の勉強ステータス

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AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

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