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出てくるもの(2):量子テレポーテーション

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3部 第6章 テレポーテーションと超高密度符号
目次
  1. 手続き
  2. 古典ビットは2個要る
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第3部 第6章 §3.6.4 ★★★ 1 ebit と古典ビット2個で未知の量子ビットを移す。結果を知らない Bob の状態は入力によらないので信号は光より速く伝わらず、古典ビットが2個より少ないと移せないことが Holevo 限界から出る

手続き

量子テレポーテーションは C. H. Bennett らが提案した1C. H. Bennett, G. Brassard, C. Crépeau, R. Jozsa, A. Peres and W. K. Wootters (1993), Physical Review Letters 70, 1895–1899。下の脚注へ。Alice は未知の量子ビットの状態 ∣ψ⟩C=α∣0⟩+β∣1⟩| \psi \rangle _C=\alpha| 0 \rangle +\beta| 1 \rangle を持ち、Bob と ∣Φ+⟩AB| \Phi^+ \rangle _{AB} を共有している。3つの系をまとめた状態を、CC と AA の組について Bell 基底で展開し直すと

∣ψ⟩C∣Φ+⟩AB=12[∣Φ+⟩CA∣ψ⟩B+∣Φ−⟩CAZ∣ψ⟩B+∣Ψ+⟩CAX∣ψ⟩B+∣Ψ−⟩CAXZ∣ψ⟩B](3.6.15)| \psi \rangle _C| \Phi^+ \rangle _{AB}=\frac12\Bigl[| \Phi^+ \rangle _{CA}| \psi \rangle _B+| \Phi^- \rangle _{CA}Z| \psi \rangle _B+| \Psi^+ \rangle _{CA}X| \psi \rangle _B+| \Psi^- \rangle _{CA}XZ| \psi \rangle _B\Bigr]\tag{3.6.15}

となる。これは書き換えにすぎず、まだ何も起きていない。左辺を展開すると12(α∣000⟩+α∣011⟩+β∣100⟩+β∣111⟩)\frac{1}{\sqrt2}(\alpha| 000 \rangle +\alpha| 011 \rangle +\beta| 100 \rangle +\beta| 111 \rangle )(順に C,A,BC,A,B)で、∣00⟩CA=(∣Φ+⟩+∣Φ−⟩)/2| 00 \rangle _{CA}=(| \Phi^+ \rangle +| \Phi^- \rangle )/\sqrt2、∣11⟩CA=(∣Φ+⟩−∣Φ−⟩)/2| 11 \rangle _{CA}=(| \Phi^+ \rangle -| \Phi^- \rangle )/\sqrt2、∣01⟩CA=(∣Ψ+⟩+∣Ψ−⟩)/2| 01 \rangle _{CA}=(| \Psi^+ \rangle +| \Psi^- \rangle )/\sqrt2、∣10⟩CA=(∣Ψ+⟩−∣Ψ−⟩)/2| 10 \rangle _{CA}=(| \Psi^+ \rangle -| \Psi^- \rangle )/\sqrt2 を入れてBell 状態ごとにまとめると、たとえば ∣Φ+⟩| \Phi^+ \rangle の係数は 12(α∣0⟩+β∣1⟩)B\frac12(\alpha| 0 \rangle +\beta| 1 \rangle )_B、∣Ψ−⟩| \Psi^- \rangle の係数は 12(α∣1⟩−β∣0⟩)B=12XZ∣ψ⟩B\frac12(\alpha| 1 \rangle -\beta| 0 \rangle )_B=\frac12XZ| \psi \rangle _B となって式 (3.6.15) を得る。

Alice は CC と AA を Bell 基底で測る。式 (3.6.15) から、4つの結果はどれも確率 1/41/4 で出て、結果が ∣Φ+⟩,∣Φ−⟩,∣Ψ+⟩,∣Ψ−⟩| \Phi^+ \rangle ,| \Phi^- \rangle ,| \Psi^+ \rangle ,| \Psi^- \rangle のときBob の手元の状態はそれぞれ ∣ψ⟩| \psi \rangle、Z∣ψ⟩Z| \psi \rangle、X∣ψ⟩X| \psi \rangle、XZ∣ψ⟩XZ| \psi \rangle になる。Alice は結果(4通り=古典ビット2個)を Bob に送り、Bob はそれに応じて 1\mathbf 1、ZZ、XX、ZXZX を当てて∣ψ⟩| \psi \rangle を得る。

この手続きで注意することが3つある。第一に、Alice は α,β\alpha,\beta を知らなくてよい。測定の結果は確率 1/41/4 ずつで α,β\alpha,\beta によらないので、Alice が得た古典ビットには ∣ψ⟩| \psi \rangle の情報が入っていない。第二に、Alice の手元の CC は測定で Bell 状態の片方になり、もとの ∣ψ⟩| \psi \rangle は残らない。量子状態は複製できない(no-cloning)ので、移すことはできても写すことはできない。第三に、古典ビットが届く前の Bob の状態は、4つの結果について平均した

14(∣ψ⟩⟨ψ∣+Z∣ψ⟩⟨ψ∣Z+X∣ψ⟩⟨ψ∣X+XZ∣ψ⟩⟨ψ∣ZX)=12(3.6.16)\frac14\Bigl(| \psi \rangle \langle \psi |+Z| \psi \rangle \langle \psi | Z+X| \psi \rangle \langle \psi | X+XZ| \psi \rangle \langle \psi | ZX\Bigr)=\frac{\mathbf 1}{2}\tag{3.6.16}

で、∣ψ⟩| \psi \rangle によらない(式 (3.6.11) と同じ計算)。命題 3.6.2 の具体例であり、状態は光より速くは移らない。

古典ビットは2個要る

テレポーテーションに古典ビットが2個要ることは、超高密度符号と Holevo 限界を組み合わせると示すことができる。

定理 3.6.5(古典ビットの下限 ★★★)

Alice と Bob があらかじめ任意の状態を共有し、Alice から Bob へ古典ビット mm 個だけを送って任意の量子ビットの状態を誤りなく移す手続きがあれば、m≥2m\ge2 である。

証明

その手続きがあるとして、次の通信を組み立てる。Alice は一様な2ビット XX を Bob に送りたい。さらに ∣Φ+⟩A′B′| \Phi^+ \rangle _{A'B'} を1組共有しておき、超高密度符号の手順で XX を A′A' に載せる。A′A' を直接送る代わりに、仮定した手続きで A′A' の状態を Bob へ移す。Bob は届いた A′A' と手元の B′B' を Bell 基底で測って XX を確率1で得る。

この通信で Alice から Bob へ物理的に届くのは古典の通報 MM(mm ビット)だけである。MM が届く前の Bob の系全体を B\mathsf B とすると、命題 3.6.2 から B\mathsf B の状態は XX によらず、I(X;B)=0I(X;\mathsf B)=0。Bob の最後の測定結果 YY は MM と B\mathsf B から作られるので、量子データ処理不等式と相互情報量の連鎖律から

I(X;Y)≤I(X;MB)=I(X;B)+I(X;M ∣ B)=I(X;M ∣ B)≤S(M ∣ B)≤H(M)≤mln⁡2.I(X;Y)\le I(X;M\mathsf B)=I(X;\mathsf B)+I(X;M\,|\,\mathsf B)=I(X;M\,|\,\mathsf B)\le S(M\,|\,\mathsf B)\le H(M)\le m\ln2 .

ここで I(X;M ∣ B)=S(M ∣ B)−S(M ∣ XB)I(X;M\,|\,\mathsf B)=S(M\,|\,\mathsf B)-S(M\,|\,X\mathsf B) と、MM が古典なので S(M ∣ XB)≥0S(M\,|\,X\mathsf B)\ge0 であることを使った(MM について対角な状態 ∑mqm∣m⟩⟨m∣⊗τ^m\sum_mq_m| m \rangle \langle m |\otimes\hat\tau_m では、第3部第2章の混合の上界 S(∑mqmτ^m)≤H(q)+∑mqmS(τ^m)S(\sum_mq_m\hat\tau_m)\le H(q)+\sum_mq_mS(\hat\tau_m) が S(M ∣ XB)≥0S(M\,|\,X\mathsf B)\ge0 と同じ式になる)。一方 Y=XY=X だから I(X;Y)=H(X)=2ln⁡2I(X;Y)=H(X)=2\ln2。したがって m≥2m\ge2。

逆向きにも同じ論法が成り立つ。超高密度符号で、量子ビット1個と任意のもつれで2ビットより多くは送れないことは、2節の Holevo 限界(Bob が持つ系の次元が 44)から出る。2つの手続きは、それぞれの交換比で最適になっている。

資源の勘定

  • 超高密度符号:[q→q]+[qq]⪰2 [c→c][q\to q]+[qq]\succeq2\,[c\to c]。2を超えられないのは Holevo 限界による。
  • テレポーテーション:2 [c→c]+[qq]⪰[q→q]2\,[c\to c]+[qq]\succeq[q\to q]。2を下回れないのは定理 3.6.5 による。
  • どちらも ebit を1組消費する。ebit だけでは何も送れない(命題 3.6.2)。
  • 2つを続けて行うと元に戻る:テレポーテーションで送った量子ビットを超高密度符号に使うと、ebit 2組と古典ビット2個で古典ビット2個が送れる(得も損もない)。

例題 3.6.4 具体的な入力でテレポーテーションを追う ★★

オリジナルAlice の入力を ∣ψ⟩=(∣0⟩+i∣1⟩)/2| \psi \rangle =(| 0 \rangle +\mathrm{i}| 1 \rangle )/\sqrt2 とする。

  1. Alice の Bell 測定の結果が ∣Ψ−⟩CA| \Psi^- \rangle _{CA} だったとき、Bob の手元の状態を求めよ。
  2. Bob が当てる補正を答え、∣ψ⟩| \psi \rangle に戻ることを確かめよ。
  3. 補正を誤って XZXZ と当てた場合、Bob の状態と ∣ψ⟩| \psi \rangle の重なりの2乗(忠実度)はいくらか。
解答

(1) 式 (3.6.15) から Bob の状態は XZ∣ψ⟩XZ| \psi \rangle。Z∣ψ⟩=(∣0⟩−i∣1⟩)/2Z| \psi \rangle =(| 0 \rangle -\mathrm{i}| 1 \rangle )/\sqrt2、XX を当てて XZ∣ψ⟩=(−i∣0⟩+∣1⟩)/2XZ| \psi \rangle =(-\mathrm{i}| 0 \rangle +| 1 \rangle )/\sqrt2。

(2) (XZ)−1=Z−1X−1=ZX(XZ)^{-1}=Z^{-1}X^{-1}=ZX を当てる。X(−i∣0⟩+∣1⟩)/2=(∣0⟩−i∣1⟩)/2X(-\mathrm{i}| 0 \rangle +| 1 \rangle )/\sqrt2=(| 0 \rangle -\mathrm{i}| 1 \rangle )/\sqrt2、続いて ZZ で (∣0⟩+i∣1⟩)/2=∣ψ⟩(| 0 \rangle +\mathrm{i}| 1 \rangle )/\sqrt2=| \psi \rangle に戻る。

(3) XZXZ を当てると XZ XZ=X(ZX)Z=X(−XZ)Z=−1XZ\,XZ=X(ZX)Z=X(-XZ)Z=-\mathbf 1 なので、XZ(XZ∣ψ⟩)=−∣ψ⟩XZ(XZ| \psi \rangle )=-| \psi \rangle になり、全体の位相が違うだけで忠実度は 11 である。XZXZ と ZXZX は符号だけが違うので、補正としては同じ働きをする。全体の位相まで含めて状態を扱う場合(たとえばテレポーテーションを制御された操作として回路に組み込む場合)には、補正の順番も区別する必要がある。

1 C. H. Bennett, G. Brassard, C. Crépeau, R. Jozsa, A. Peres and W. K. Wootters (1993), Physical Review Letters 70, 1895–1899。

木下の勉強ステータス

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