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出てくるもの(3):雑音のある対と古典の限界

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3部 第6章 テレポーテーションと超高密度符号
目次
  1. 平均忠実度
  2. 古典の手続きの上限
  3. 得をする条件は手続きによって違う
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第3部 第6章 §3.6.5 ★★ Werner 状態でテレポーテーションすると平均忠実度は (2F+1)/3(2F+1)/3。古典の手続きの上限 2/32/3 を超える条件 F>1/2F>1/2 はもつれの条件と一致し、超高密度符号の条件より緩い

平均忠実度

共有した対が雑音で汚れていると、テレポーテーションは誤りなく行えない。出力の良さを測るために、入力 ∣ψ⟩| \psi \rangle を Bloch 球の上で一様に選んだときの平均忠実度

f=∫dψ ⟨ψ∣Λ(∣ψ⟩⟨ψ∣)∣ψ⟩(3.6.17)f=\int\mathrm{d}\psi\,\langle \psi | \Lambda(| \psi \rangle \langle \psi |) | \psi \rangle\tag{3.6.17}

を使う。Λ\Lambda は入力から Bob の補正後の出力への写像で、dψ\mathrm{d}\psi は Bloch 球上の一様な測度(面積を 11 に規格化)である。

Werner 状態 ρ^p\hat\rho_p を共有して、4節と同じ手続き(Bell 測定と Pauli の補正)を行う。手続きは共有した状態について線形なので、ρ^p\hat\rho_p の2つの項を別々に追えばよい。∣Φ+⟩| \Phi^+ \rangle の項(重み pp)からは入力どおり ∣ψ⟩⟨ψ∣| \psi \rangle \langle \psi | が出る。1/4=12⊗12\mathbf 1/4=\frac{\mathbf 1}{2}\otimes\frac{\mathbf 1}{2} の項(重み 1−p1-p)では、Bob の手元は初めから 1/2\mathbf 1/2 で、Alice の測定と Bob の Pauli の補正の後も、式 (3.6.11) から 1/2\mathbf 1/2 のままである。したがって

Λ(∣ψ⟩⟨ψ∣)=p∣ψ⟩⟨ψ∣+(1−p)12,f=p+1−p2=1+p2=2F+13(3.6.18)\Lambda(| \psi \rangle \langle \psi |)=p| \psi \rangle \langle \psi |+(1-p)\frac{\mathbf 1}{2},\qquad f=p+\frac{1-p}{2}=\frac{1+p}{2}=\frac{2F+1}{3}\tag{3.6.18}

となる。ここで F=⟨Φ+∣ρ^p∣Φ+⟩=(1+3p)/4F=\langle \Phi^+ | \hat\rho_p | \Phi^+ \rangle =(1+3p)/4 は共有した状態と ∣Φ+⟩| \Phi^+ \rangle の重なりで、一重項の割合(singlet fraction)と呼ぶ。一般の共有状態 ρ^AB\hat\rho_{AB} でも、この手続きの平均忠実度は f=(2F+1)/3f=(2F+1)/3(F=⟨Φ+∣ρ^AB∣Φ+⟩F=\langle \Phi^+ | \hat\rho_{AB} | \Phi^+ \rangle)になる1M. Horodecki, P. Horodecki and R. Horodecki (1999), Physical Review A 60, 1888–1898。dd 次元では f=(dF+1)/(d+1)f=(dF+1)/(d+1)。同論文は、Alice と Bob が測定の前に局所操作と古典通信で対を加工してよいとき、最適な平均忠実度が、加工で到達できる FF の最大値で同じ式で決まることも示している。下の脚注へ。

古典の手続きの上限

もつれを使わない手続きと比べる。Alice が入力を測り、結果を古典ビットで送り、Bob がそれに応じた状態を作る手続き(測って作り直す手続き)では、量子状態1個の測定から得られる情報が限られるので、忠実度は 11 に届かない。Alice が ZZ 基底で測り、結果 00 なら ∣0⟩| 0 \rangle、11 なら ∣1⟩| 1 \rangle を Bob が作るとする。Bloch 球の北極からの角度 ϑ\vartheta の入力に対して、結果 00 の確率は cos⁡2(ϑ/2)\cos^2(\vartheta/2) でそのときの忠実度も cos⁡2(ϑ/2)\cos^2(\vartheta/2)、結果 11 の確率と忠実度はどちらも sin⁡2(ϑ/2)\sin^2(\vartheta/2) なので、

fcl=∫0π[cos⁡4ϑ2+sin⁡4ϑ2]sin⁡ϑ dϑ2=23.(3.6.19)f_{\mathrm{cl}}=\int_0^\pi\Bigl[\cos^4\frac\vartheta2+\sin^4\frac\vartheta2\Bigr]\frac{\sin\vartheta\,\mathrm{d}\vartheta}{2}=\frac23 .\tag{3.6.19}

u=cos⁡ϑu=\cos\vartheta と置くと cos⁡4(ϑ/2)+sin⁡4(ϑ/2)=(1+u2)/2\cos^4(\vartheta/2)+\sin^4(\vartheta/2)=(1+u^2)/2 で、∫−11(1+u2)/4 du=2/3\int_{-1}^1(1+u^2)/4\,\mathrm{d} u=2/3 となる。測り方や作り直し方をどう工夫しても、量子状態1個からの測って作り直す手続きの平均忠実度は 2/32/3 を超えないことが S. Massar と S. Popescu によって示されている2S. Massar and S. Popescu (1995), Physical Review Letters 74, 1259–1263。下の脚注へ。古典ビットをいくら送っても、Alice が1回の測定で得た情報しか Bob に渡らないからである。

得をする条件は手続きによって違う

式 (3.6.18) から、Werner 状態でのテレポーテーションが古典の上限 2/32/3 を超えるのは F>1/2F>1/2、すなわち p>1/3p>1/3 のときである。これは Werner 状態がもつれている条件(部分転置が負の固有値を持つ条件。第3部第4章)とちょうど一致する。第3部第4章で求めた相対エントロピーで測ったもつれ

ER(ρ^p)=min⁡σ^ 分離可能D(ρ^p ∥ σ^)=ln⁡2−hb(F)(F≥1/2)(3.6.20)E_R(\hat\rho_p)=\min_{\hat\sigma\,\text{分離可能}}D(\hat\rho_p\,\|\,\hat\sigma)=\ln2-h_{\mathrm b}(F)\qquad(F\ge1/2)\tag{3.6.20}

も F=1/2F=1/2 で 00 になり、それより上で正になる。テレポーテーションでは、もつれていさえすれば Werner 状態は役に立つ。

一方、3節の超高密度符号で得をする条件は S(A ∣ B)<0S(A\,|\,B)<0、すなわち p>0.748p>0.748 だった。図 3.6.2 に2つの手続きを並べる。同じ Werner 状態でも、1/3<p<0.7481/3<p<0.748 の範囲では、テレポーテーションには役に立つが超高密度符号には役に立たない。もつれの量を1つの数で表しても、その数だけでは「どの手続きに役立つか」は決まらない。超高密度符号に必要な量は条件付きエントロピー(π^A⊗ρ^B\hat\pi_A\otimes\hat\rho_B との DD)、テレポーテーションに必要な量は一重項の割合 FF(ここでは分離可能な状態の集合との DD と同じ境目を持つ)で、2つは別の量である。

図

図 3.6.2 Werner 状態でのテレポーテーションの平均忠実度 f=(1+p)/2f=(1+p)/2(実線)と、相対エントロピーで測ったもつれ ERE_R を ebit で表したもの(一点鎖線)。どちらも厳密な値。ff が古典の上限 2/32/3(破線)を超える p>1/3p>1/3 と、ER>0E_R>0 の範囲は一致する。超高密度符号で得をするのは右の点線 p∗=0.748p_*=0.748 より上だけである。

例題 3.6.5 Werner 状態 p=0.6p=0.6 の対の使い道 ★★

オリジナルWerner 状態 ρ^0.6\hat\rho_{0.6} を1組共有している。

  1. 一重項の割合 FF とテレポーテーションの平均忠実度 ff を求め、古典の上限と比べよ。
  2. 式 (3.6.20) の ERE_R を nat と ebit で求めよ。
  3. この対で超高密度符号を行ったときの CC をビットで求め、使い道として適切かを答えよ。
解答

(1) F=(1+1.8)/4=0.7F=(1+1.8)/4=0.7、f=(2×0.7+1)/3=0.8f=(2\times0.7+1)/3=0.8。古典の上限 2/3=0.6672/3=0.667 を 0.1330.133 上回る。

(2) hb(0.7)=0.6109h_{\mathrm b}(0.7)=0.6109 nat なので ER=0.6931−0.6109=0.0823E_R=0.6931-0.6109=0.0823 nat。ebit(ln⁡2\ln2 nat)で割ると 0.11870.1187 ebit である。

(3) 固有値は 0.70.7 と 0.10.1 が3つで S=−0.7ln⁡0.7−0.3ln⁡0.1=0.2497+0.6908=0.9405S=-0.7\ln0.7-0.3\ln0.1=0.2497+0.6908=0.9405 nat。C=2ln⁡2−0.9405=0.4458C=2\ln2-0.9405=0.4458 nat =0.6432=0.6432 ビットで、1ビットを下回る。超高密度符号では対を捨てたほうがよく、この対はテレポーテーションに使うのが適切である。

1 M. Horodecki, P. Horodecki and R. Horodecki (1999), Physical Review A 60, 1888–1898。dd 次元では f=(dF+1)/(d+1)f=(dF+1)/(d+1)。同論文は、Alice と Bob が測定の前に局所操作と古典通信で対を加工してよいとき、最適な平均忠実度が、加工で到達できる FF の最大値で同じ式で決まることも示している。

2 S. Massar and S. Popescu (1995), Physical Review Letters 74, 1259–1263。

木下の勉強ステータス

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