授業で習った形との対応
AI 生成・木下が未勉強
相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第3部 第6章 §3.6.6 ★★ 量子計算の授業ではテレポーテーションを CNOT・Hadamard・測定・条件つき Pauli の回路で書く。Bell 測定は CNOT と H で計算基底の測定に直したものである
回路の形
量子計算・量子情報の授業では、テレポーテーションを図 3.6.3 の回路で書くことが多い。Bell 基底での測定は、そのままでは実験装置の言葉にならないので、2量子ビットのゲート CNOT(制御が のとき標的を反転する)と Hadamard ゲート で Bell 基底を計算基底に回してから、計算基底で測る。CNOT(制御 、標的 )と への を順に当てると、Bell 状態は
に移る(左が の結果 、右が の結果 )。 は Bell 状態の符号( と の区別)、 は と の区別を表す。この章の補正 は、測定結果を使って ( を先に当てる)と書ける。授業の回路で見る「 で 、 で 」の補正はこれである。
図 3.6.3 テレポーテーションの回路。左から CNOT(制御 、標的 )、 への Hadamard、 と の計算基底での測定(結果 )、二重線で表した古典ビットによる条件つきの と 。
回路の形には、測定を最後に回す書き換えもある。Alice の測定の代わりに、制御 (制御 、標的 )と制御 (制御 、標的 )を量子のまま当てても、 に が現れる(遅延測定の原理)。この形では、条件つきの補正が2量子ビットのゲートに置き換わり、古典ビットの送信が見えなくなる。ただしこの形は と から への量子の相互作用を使うので、離れた2人の間の手続きとしては意味が変わり、資源の勘定では古典ビット2個の代わりに量子の通信を使ったことになる。
密度行列と資源の言葉との対応
授業では、テレポーテーションを状態ベクトルの書き換え式 (3.6.15) で説明して終わることが多い。この章の言葉と並べると次のようになる。状態ベクトルで「4つの結果が確率 ずつ出る」と言っていることは、密度行列では「結果を知らない Bob の状態は 」(式 (3.6.16))に当たり、情報の言葉では「Alice の結果と入力の相互情報量は 」に当たる。「古典ビット2個を送る」ことの必要性は、状態ベクトルの書き換えからは出てこず、定理 3.6.5 の情報の議論が要る。
超高密度符号は、授業では「Bell 基底の4状態が直交する」ことで説明される。この章の式 (3.6.10) は、それを一般の混合状態へ広げて、送れる情報量を相対エントロピーで書いたものである。純粋な では で、授業の「2ビット」に戻る。
実験との対応
光子の偏光を使った実験では、Bell 測定が難しい。ビームスプリッタなどの線形な光学素子と光子検出器だけでは、4つの Bell 状態を確実に見分ける測定は作れないことが知られている1N. Lütkenhaus, J. Calsamiglia and K.-A. Suominen (1999), Physical Review A 59, 3295–3300。下の脚注へ。最初の光子のテレポーテーション実験(Bouwmeester ら2D. Bouwmeester, J.-W. Pan, K. Mattle, M. Eibl, H. Weinfurter and A. Zeilinger (1997), Nature 390, 575–579。下の脚注へ)は、 の結果だけを選んで使った。超高密度符号の実験(Mattle ら3K. Mattle, H. Weinfurter, P. G. Kwiat and A. Zeilinger (1996), Physical Review Letters 76, 4656–4659。下の脚注へ)は、4状態のうち3通りを見分けて、1個の光子で3通りの値( ビット)を送った。
例題 3.6.6 Bell 測定の回路を確かめる ★
オリジナル
- CNOT(制御を1つ目、標的を2つ目)と1つ目への を順に当てると、 が に、 が に移ることを確かめよ。
- 図 3.6.3 の補正 が、式 (3.6.15) から読んだ補正(、)と一致することを確かめよ。
解答
(1) に CNOT を当てると、1つ目が の項だけ2つ目が反転して 。1つ目に を当てると なので 。 は CNOT で 、 で 。
(2) は で、補正は 。 は で、補正は ( を先に当て、次に )。どちらも一致する。 の は 、 の は で、残りの2つも一致する。
ほかの巻では
- 光学と量子エレクトロニクス 第33章:線形光学の Bell 測定の土台になる Hong–Ou–Mandel 干渉を、ビームスプリッタの演算子の置き換えで出している
1 N. Lütkenhaus, J. Calsamiglia and K.-A. Suominen (1999), Physical Review A 59, 3295–3300。
2 D. Bouwmeester, J.-W. Pan, K. Mattle, M. Eibl, H. Weinfurter and A. Zeilinger (1997), Nature 390, 575–579。
3 K. Mattle, H. Weinfurter, P. G. Kwiat and A. Zeilinger (1996), Physical Review Letters 76, 4656–4659。
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