出てくるもの2:スタビライザー形式
AI 生成・木下が未勉強
相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第3部 第9章 §3.9.4 ★★★ 符号空間を交換する Pauli 演算子の同時固有空間で定め、Knill–Laflamme 条件を「誤りの積が安定化群に入るか、どれかの生成元と反交換するか」という交換関係の判定に落とす
Pauli 群と安定化群
量子ビットの Pauli 群 は、 の 個のテンソル積に位相 を掛けたもの全体である。2つの Pauli 演算子は必ず交換するか反交換する。各量子ビットで と のように異なる非自明な Pauli が並ぶ位置の数を数え、それが偶数なら交換、奇数なら反交換する。
定義 3.9.3(安定化群と符号空間)
の部分群 が、互いに交換する独立な 個の生成元 で生成され、 を満たすとき、 を安定化群と呼ぶ。 のすべての元で固有値 を持つ状態の全体
をスタビライザー符号と呼ぶ。
符号空間への射影子は である。 以外の Pauli 演算子のトレースは なので、和の中で残るのは の項だけで、。 個の物理量子ビットに 個の論理量子ビットが入る。 は、符号空間が にならないための条件である。
ビット反転符号は (、)のスタビライザー符号で、シンドローム (3.9.3) は2つの生成元の固有値だった。
シンドロームと訂正の条件
Pauli 誤り が当たった符号状態 に生成元 を当てると、 で、符号は と が交換するか反交換するかで決まる。 を測ると、 と反交換する生成元だけ が出る。この ビットの列 がシンドロームで、 に依らない。
のすべての元と交換する Pauli 演算子の全体を と書く(正規化群)。 の元はシンドローム を与え、符号空間を符号空間に写す。そのうち に(位相を除いて)入るものは符号状態に何もしないが、 の元は符号空間の中で状態を変える論理演算子である。
定理 3.9.4(スタビライザー符号の訂正条件 ★★★)
Pauli 誤りの組 は、すべての について (位相を除いて)であれば訂正することができる。
証明
Knill–Laflamme 条件 (3.9.10) を ごとに確かめる。 がある生成元 と反交換するなら、 を使って となり、。 が位相を除いて に入るなら、( は位相)なので 。どちらの場合も の定数倍で、条件を満たす。
逆に が論理演算子なら、 と は同じシンドロームを与えるのに符号空間の中で違う作用をするので、見分けることができず、条件は破れる。重み(恒等でない因子の数)が最小の論理演算子の重みを符号の距離 と呼び、・・ をまとめて と書く。重み 以下の誤りの積は重み 以下なので、 すなわち 個までの任意の量子ビットの誤りを訂正することができる。ビット反転符号は が重み1の論理演算子なので、 に限らない誤りに対しては で、何も直すことができない。
5量子ビット符号
任意の1量子ビットの誤りを直す()最小の符号は5量子ビットで、生成元を巡回的に並べた
で書ける()1R. Laflamme, C. Miquel, J. P. Paz and W. H. Zurek (1996), Phys. Rev. Lett. 77, 198; C. H. Bennett, D. P. DiVincenzo, J. A. Smolin and W. K. Wootters (1996), Phys. Rev. A 54, 3824。スタビライザーの形での記述は D. Gottesman (1996), Phys. Rev. A 54, 1862。下の脚注へ。論理演算子は 、 に取れる。どちらも各生成元とは異なる非自明な Pauli が並ぶ位置が2か所なので交換し、互いには5か所なので反交換する。
例題 3.9.4 5量子ビット符号のシンドローム表 ★★
オリジナル5量子ビット符号 (3.9.12) について次を確かめよ。
- (1) と が交換すること。
- (2) 15通りの1量子ビット誤り ()のシンドローム ( と反交換すれば )を求め、すべて異なり でないことを示せ。
- (3) シンドロームの数と誤りの数を比べ、この符号が「無駄のない」符号であることを説明せよ。
解答
(1) と を位置ごとに比べると、位置2で と 、位置3で と 、位置4で と が並ぶ。異なる非自明な Pauli が並ぶのは位置2と4の2か所で、偶数なので交換する。他の組も同じく2か所ずつである。
(2) は、生成元の 番目が か のとき反交換する。 は 番目が か のとき、 は 番目が か のとき反交換する。生成元の各列を読むと次の表になる。
| 0001 | 1000 | 1100 | 0110 | 0011 | |
| 1010 | 0101 | 0010 | 1001 | 0100 | |
| 1011 | 1101 | 1110 | 1111 | 0111 |
のシンドロームは と のシンドロームのビットごとの和(mod 2)になっている。15個はすべて異なり、 は無い。
(3) 4ビットのシンドロームは 通りで、誤りなし()と15通りの1量子ビット誤りにちょうど1つずつ割り当てられ、余りが無い。このように誤りの数とシンドロームの数が等しい符号を完全符号と呼ぶ。5量子ビットより少なくすると、シンドロームの数が誤りの数に足りない(3.9.5節)。
1 R. Laflamme, C. Miquel, J. P. Paz and W. H. Zurek (1996), Phys. Rev. Lett. 77, 198; C. H. Bennett, D. P. DiVincenzo, J. A. Smolin and W. K. Wootters (1996), Phys. Rev. A 54, 3824。スタビライザーの形での記述は D. Gottesman (1996), Phys. Rev. A 54, 1862。
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