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出てくるもの3:HaPPY 符号

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第7部 第6章 ホログラフィーと量子誤り訂正
目次
  1. 完全テンソル
  2. 網と RT 公式
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第7部 第6章 §7.6.5 ★★ [[5,1,3]][[5,1,3]] 符号から作る6脚の完全テンソルを網に並べ、境界の領域のエントロピーが最小の切断の本数×ln⁡2\ln2 になることと、中心の量子ビットが境界の過半で再構成できることを数値で確かめる

完全テンソル

定義 7.6.4(完全テンソル)

2m2m 本の脚を持つテンソル(2m2m 個の量子系の純粋状態 ∣T⟩| T \rangle)が完全であるとは、脚をどう2つの組 P,QP,Q(∣P∣≤∣Q∣\lvert P\rvert \le\lvert Q\rvert)に分けても、∣T⟩| T \rangle を PP から QQ への写像とみたものが等長写像の定数倍になることをいう。状態の言葉では、どの mm 本の脚の縮約状態も最大に混ざっていること(絶対最大もつれ状態)と同じである。

[[5,1,3]][[5,1,3]] 符号(第3部第9章)から6脚の完全テンソルが作れる。論理量子ビットを参照系 RR と最大にもつれさせた

∣T⟩=12(∣0⟩R∣0L⟩+∣1⟩R∣1L⟩)(7.6.15)| T \rangle =\frac{1}{\sqrt2}\bigl(| 0 \rangle _R| 0_L \rangle +| 1 \rangle _R| 1_L \rangle \bigr)\tag{7.6.15}

を考える(∣0L⟩,∣1L⟩| 0_L \rangle ,| 1_L \rangle は5量子ビットの符号語)。距離が 33 なので、どの2つの量子ビットの消失も訂正でき、I(R;2つ)=0I(R;\text{2つ})=0 である。加えて、この符号の安定化群には重み 22 以下の元が無いので、どの2つの量子ビットの縮約状態も最大に混ざっている。この2つから、RR と2つの量子ビットの3脚は 12⊗14\frac{\mathbf 1}{2}\otimes\frac{\mathbf 1}{4} で最大に混ざり、残りの3脚も純粋状態の相手として同じスペクトルを持つ。6脚の3脚の分け方は20通りで、どれも最大に混ざっている。

完全テンソルは、入れる脚が出す脚より少なければ、どの脚を入口に選んでも情報を失わない写像になる。1脚から5脚へ、2脚から4脚へは等長写像、3脚から3脚へはユニタリ(の定数倍)である。

網と RT 公式

Pastawski–Yoshida–Harlow–Preskill(HaPPY)は、双曲平面を正五角形で敷き詰めた格子の各五角形に6脚の完全テンソルを置き、1脚を内部の論理量子ビット、5脚を隣の五角形との結合か境界への脚とする網を作った1F. Pastawski, B. Yoshida, D. Harlow, J. Preskill (2015), JHEP 06, 149。下の脚注へ。中心から外へ向かって、各テンソルは内側の脚と内部の脚を入口、外側の脚を出口とする写像になり、出口が入口より多い限り等長写像である。網全体は内部の量子ビットから境界の量子ビットへの等長写像、つまり量子誤り訂正符号の符号化写像 V^\hat V になる。内部の状態を決めると境界の状態が決まり、境界の領域 AA のエントロピーは網を AA とその補集合に分ける切断の脚の本数で上から押さえられる。PYHP は、RT 公式がこの網で多くの場合に厳密に成り立つこと(最小の切断の本数 ×ln⁡2\times\ln2)と、境界の領域から内部の演算子を書き直せる範囲がエンタングルメント・ウェッジの形になることを示した。

この章では双曲平面の敷き詰めの最初の2層だけを取った小さな網で確かめる(図 7.6.4)。中心のテンソル1つの5脚に、葉のテンソルを1つずつつなぐ。葉は内部の脚と中心への脚の2脚を入口、残りの4脚を境界への脚とする。内部の量子ビットは6個、境界の量子ビットは20個である。

図

図 7.6.4 中心と葉5つの小さな網。円はテンソル、黒い点は内部の脚(論理量子ビット)、赤い点は境界の量子ビット(葉1つに4個、計20個)。葉に 00〜44 の番号を付けた。破線は、上側の葉 0,1,40,1,4 の12個の量子ビットと下側の葉 2,32,3 を分ける切断の1つで、中心と葉 2,32,3 を結ぶ2本の脚を切る。

例題 7.6.6 [[5,1,3]][[5,1,3]] から完全テンソル ★★

オリジナル[[5,1,3]][[5,1,3]] 符号の安定化群の生成元を XZZXIXZZXI とその巡回とし、∣T⟩| T \rangle を (7.6.15) とする。

  1. (1) 6脚のどの3脚の縮約状態も最大に混ざっていることを示せ。
  2. (2) ∣T⟩| T \rangle を脚 {0,1}\{0,1\} から脚 {2,3,4,5}\{2,3,4,5\} への 4×164\times16 の行列とみる(脚 00 は RR)。2∣T⟩2| T \rangle がこの向きの等長写像であることを確かめよ。
解答

(1) 3脚の組は RR を含むか含まないかで分かれる。RR と2つの量子ビット {i,j}\{i,j\} の組では、距離 33 により {i,j}\{i,j\} の消失は訂正でき I(R;ij)=0I(R;ij)=0、つまり ρ^Rij=ρ^R⊗ρ^ij\hat\rho_{Rij}=\hat\rho_R\otimes\hat\rho_{ij}。ρ^R=1/2\hat\rho_R=\mathbf 1/2 で、ρ^ij\hat\rho_{ij} は重み 22 以下の Pauli 演算子の期待値がすべて 00(安定化群にも論理演算子にも重み 22 以下の元が無い)なので 1/4\mathbf 1/4。よって ρ^Rij=1/8\hat\rho_{Rij}=\mathbf 1/8、S=3ln⁡2S=3\ln2。RR を含まない3つの量子ビットの組は、補集合が RR と2つの量子ビットなので、純粋状態のエントロピーの等しさから同じく 3ln⁡23\ln2。20通りすべてで 3ln⁡23\ln2 になることを verify で確かめた。2脚の組15通りは 2ln⁡22\ln2 である。

(2) 行列 M(r,q),(b)=⟨r q b2b3b4b5∣T⟩M_{(r,q),(b)}=\langle r\,q\,b_2b_3b_4b_5 | T \rangle を考える。M†MM^\dagger M の ((r,q),(r′,q′))((r,q),(r',q')) 成分は Tr⁡2345\operatorname{Tr}_{2345} を取った2脚の縮約状態 ρ^01\hat\rho_{01} の成分(の複素共役)で、(1) と同じ理由で ρ^01=1/4\hat\rho_{01}=\mathbf 1/4。よって M†M=1/4M^\dagger M=\mathbf 1/4、2M2M は等長写像である。同様に1脚 $\to$5脚は 2\sqrt2 倍、3脚 $\to$3脚は 8\sqrt8 倍でユニタリになる。

例題 7.6.7 小さな網で RT 公式と再構成を確かめる ★★★

オリジナル図 7.6.4 の網で、内部の量子ビットをすべて ∣0⟩| 0 \rangle にした境界の状態を考える。

  1. (1) 境界の次の領域のエントロピーを、網を切る最小の脚の本数から予想し、数値と比べよ:1個/同じ葉の2個/同じ葉の3個/葉1つの4個/隣り合う葉にまたがる2個/葉1つと隣の葉の1個/葉2つ/葉3つ。
  2. (2) 中心の内部の量子ビットを参照系 RR と最大にもつれさせる。境界の葉3つ(12量子ビット)AA と残りの葉2つ Aˉ\bar A について I(R;A)I(R;A)、I(R;Aˉ)I(R;\bar A) を求めよ。
  3. (3) 葉の内部の量子ビットは、その葉の境界の何個で再構成できるか。
解答

(1) 内部の脚は ∣0⟩| 0 \rangle に固定されているので切っても数えない。網の結合の脚は最大にもつれた量子ビット1つ分(ln⁡2\ln2)を運ぶ。境界の1個は、その脚自体を切れば1本で ln⁡2\ln2。同じ葉の2個は、その2本を切る(2本)か、葉の残りの3本を切る(葉の残りの境界2本と中心への1本で3本)かで、最小は2本、2ln⁡22\ln2。同じ葉の3個は、補集合の側で葉の残りの1本と中心への1本を切る2本が最小で 2ln⁡22\ln2。葉1つの4個は中心への1本で ln⁡2\ln2。隣り合う葉にまたがる2個は2本で 2ln⁡22\ln2。葉1つと隣の葉の1個は、中心への1本と1個の脚の1本で 2ln⁡22\ln2。葉2つは中心への2本で 2ln⁡22\ln2、葉3つは補集合の葉2つの側で2本、2ln⁡22\ln2。数値計算はこの8通りで順に 1,2,2,1,2,2,2,21,2,2,1,2,2,2,2(ln⁡2\ln2 単位)を与え、最小の切断の本数と一致した。

(2) 中心のテンソルは、内部の脚(RR ともつれている)と5本の結合の脚の6脚の完全テンソルである。葉は2脚 $\to$4脚の等長写像なので、葉 kk の境界の4個から中心への脚 kk の状態はそのまま戻せる。したがって AA は中心の3本の脚、Aˉ\bar A は2本の脚と同じ情報を持つ。完全テンソルでは RR と2本の脚の3脚が最大に混ざっているので I(R;2本)=0I(R;\text{2本})=0、純粋状態の残りとして I(R;3本)=2ln⁡2=2S(R)I(R;\text{3本})=2\ln2=2S(R)。よって I(R;A)=2ln⁡2I(R;A)=2\ln2、I(R;Aˉ)=0I(R;\bar A)=0 で、中心の量子ビットは AA から完全に再構成でき、Aˉ\bar A からは何も分からない。どの3つの葉を選んでも同じで(verify では隣り合わない3つでも確かめた)、中心は「境界の過半」のエンタングルメント・ウェッジに入る。7.6.4節の円板の中心と同じ構造である。

(3) 葉の内部の量子ビットを参照系 R′R' と最大にもつれさせる。中心への脚は網の残り EE と最大にもつれているので、R′R'・EE・葉の境界の4個の全体は、6脚の完全テンソルの脚 0,10,1 を最大にもつれた相手に付け替えた状態で、どの3つの組も最大に混ざっている。よって I(R′;境界の3個)=S(R′)+S(3個)−S(R′ と3個)=ln⁡2+3ln⁡2−2ln⁡2=2ln⁡2=2S(R′)I(R';\text{境界の3個})=S(R')+S(\text{3個})-S(R'\,\text{と3個})=\ln2+3\ln2-2\ln2=2\ln2=2S(R') で、どの3個からでも再構成できる(R′R' と3個の4脚のエントロピーは、残りの2脚 EE と境界の1個のエントロピー 2ln⁡22\ln2 に等しい)。2個では I=ln⁡2+2ln⁡2−3ln⁡2=0I=\ln2+2\ln2-3\ln2=0 である。浅い所(境界に近い所)の量子ビットは小さな領域で、深い所の量子ビットは大きな領域でしか再構成できない。

1 F. Pastawski, B. Yoshida, D. Harlow, J. Preskill (2015), JHEP 06, 149。

木下の勉強ステータス

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