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有限個の変数に直す:離散化して見る汎関数

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第3章 汎関数と変分(数学だけ)
目次
  1. 経路を折れ線で表す
  2. 偏微分を刻み幅で割る
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部 第3章 §1.3.2 ★★ 汎関数を多変数関数として見ると、汎関数微分は「偏微分を刻み幅で割ったもの」になる

経路を折れ線で表す

区間 [t1,t2][t_1,t_2] を NN 等分し、刻みを Δt=(t2−t1)/N\Delta t=(t_2-t_1)/N、分点を tk=t1+kΔtt_k=t_1+k\Delta t(k=0,1,…,Nk=0,1,\dots,N)とする。経路 q(t)q(t) の代わりに分点での値 qk=q(tk)q_k=q(t_k) だけを持ち、分点の間を線分でつなぐ(図 1.3.1)。端の値 q0=q(t1)q_0=q(t_1) と qN=q(t2)q_N=q(t_2) は固定する。動かせるのは内側の q1,…,qN−1q_1,\dots,q_{N-1} の N−1N-1 個である。折れ線の上では、kk 番目の小区間で速度が vk=(qk+1−qk)/Δtv_k=(q_{k+1}-q_k)/\Delta t という定数になる。積分を各小区間の左端の値で近似した和に置き換えると、汎関数 S[q]=∫L(q,q˙,t) dtS[q]=\int L(q,\dot q,t)\,\mathrm{d} t は N−1N-1 変数の普通の関数

SN(q1,…,qN−1)=∑k=0N−1L(qk, qk+1−qkΔt, tk)Δt(1.3.4)S_N(q_1,\dots,q_{N-1})=\sum_{k=0}^{N-1}L\Bigl(q_k,\ \frac{q_{k+1}-q_k}{\Delta t},\ t_k\Bigr)\Delta t\tag{1.3.4}

になる。SNS_N は多変数関数なので、偏微分は普通に計算できる。

図

図 1.3.1 経路を折れ線で表す。点線は滑らかな経路 q(t)q(t)(離散化する前の正確なもの)、実線は分点の値 qkq_k をつないだ折れ線(近似)。偏微分 ∂SN/∂qk\partial S_N/\partial q_k は、内側の分点の値を1つだけ動かし(白丸)、隣の2本の線分だけを傾けたときの SNS_N の変化率である

偏微分を刻み幅で割る

qkq_k(1≤k≤N−11\le k\le N-1)は、和 (1.3.4) のうち k−1k-1 番目と kk 番目の2つの項にしか現れない。kk 番目の項には qkq_k が第1引数と速度 vk=(qk+1−qk)/Δtv_k=(q_{k+1}-q_k)/\Delta t の両方に入り、k−1k-1 番目の項には速度 vk−1=(qk−qk−1)/Δtv_{k-1}=(q_k-q_{k-1})/\Delta t にだけ入る。LL の第1引数・第2引数についての偏微分を LqL_q, LvL_v と書くと、連鎖律から

∂SN∂qk=Δt[Lq(qk,vk,tk)−Lv(qk,vk,tk)−Lv(qk−1,vk−1,tk−1)Δt](1.3.5)\frac{\partial S_N}{\partial q_k}=\Delta t\left[L_q(q_k,v_k,t_k)-\frac{L_v(q_k,v_k,t_k)-L_v(q_{k-1},v_{k-1},t_{k-1})}{\Delta t}\right]\tag{1.3.5}

を得る。第2項の分母の Δt\Delta t は、速度 vv が qkq_k を 1/Δt1/\Delta t の重みで含むことから出る。

1つの分点の値を動かしても影響を受けるのは長さ 2Δt2\Delta t の区間だけなので、式 (1.3.5) の右辺は全体に Δt\Delta t が掛かり、Δt→0\Delta t\to0 で偏微分そのものは 00 に近づく。偏微分を Δt\Delta t で割ったものは意味のある極限を持ち、角括弧の中は Δt→0\Delta t\to0 で

1Δt∂SN∂qk ⟶ ∂L∂q−ddt∂L∂q˙(tk→t を固定して N→∞)(1.3.6)\frac{1}{\Delta t}\frac{\partial S_N}{\partial q_k}\ \longrightarrow\ \frac{\partial L}{\partial q}-\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\frac{\partial L}{\partial \dot q}\qquad(t_k\to t\text{ を固定して }N\to\infty)\tag{1.3.6}

に近づく(第2項の差分商が tt についての微分になる)。右辺が、次の次の節で定義する汎関数微分 δS/δq(t)\delta S/\delta q(t) である。多変数関数の勾配の成分 ∂SN/∂qk\partial S_N/\partial q_k を、成分1つに対応する区間の長さ Δt\Delta t で割ったものの極限、と覚えておけばよい。

具体的に L=12q˙2−12ω2q2L=\frac12\dot q^2-\frac12\omega^2q^2 とすると、Lq=−ω2qL_q=-\omega^2q, Lv=vL_v=v なので

1Δt∂SN∂qk=−qk+1−2qk+qk−1Δt2−ω2qk\frac{1}{\Delta t}\frac{\partial S_N}{\partial q_k}=-\frac{q_{k+1}-2q_k+q_{k-1}}{\Delta t^2}-\omega^2q_k

となる。第1項は2階微分 q¨\ddot q の中心差分で、誤差は O(Δt2)\mathcal{O}(\Delta t^2) である(q(t)=sin⁡2t+t2q(t)=\sin2t+t^2, ω=1.3\omega=1.3, t=0.5t=0.5 で数値を取ると、刻みを半分にするたびに誤差が約 1/41/4 になる)。したがってこの LL では、極限 (1.3.6) は −q¨−ω2q-\ddot q-\omega^2q になる。

停留点を数で探す

SNS_N の停留点は連立方程式 ∂SN/∂qk=0\partial S_N/\partial q_k=0(k=1,…,N−1k=1,\dots,N-1)の解で、上の例ではこれは三重対角の連立1次方程式になる。計算機で変分問題を解く素朴な方法の1つがこれで、NN を増やしたときに停留点が正しい経路へ近づくかどうかは、部分空間(折れ線の全体)の取り方の問題で、近似の数理 第4章の主題である。

近似の裏付け

型 A(射影) | 小さいもの 折れ線の経路の空間(刻み Δt=(t2−t1)/N\Delta t=(t_2-t_1)/N) | 証明 条件付き(汎関数が強圧的な2次形式で、折れ線の上の積分を正確に計算するとき Céa の補題。和に置き換えた分の誤差は別に評価が要る) | 行き先 近似の数理 第4章

例題 1.3.2 偏微分は0へ、刻みで割ると −q¨-\ddot q へ ★★

オリジナル[0,1][0,1] を N=4N=4 等分し(Δt=1/4\Delta t=1/4)、L=12q˙2L=\frac12\dot q^2 の離散版S4=∑k=0312(qk+1−qkΔt)2ΔtS_4=\sum_{k=0}^{3}\frac12\bigl(\frac{q_{k+1}-q_k}{\Delta t}\bigr)^2\Delta t を考える。

  1. (1) 内側の k=1,2,3k=1,2,3 について ∂S4/∂qk\partial S_4/\partial q_k を qk−1,qk,qk+1q_{k-1},q_k,q_{k+1} で表せ。
  2. (2) 経路 q(t)=t2q(t)=t^2 の分点の値 qk=(k/4)2q_k=(k/4)^2 を入れて、∂S4/∂qk\partial S_4/\partial q_k と 1Δt∂S4/∂qk\frac{1}{\Delta t}\partial S_4/\partial q_k を求めよ。
  3. (3) 一般の NN で同じ量を求め、N→∞N\to\infty でどうなるか述べよ。
解答

(1) qkq_k を含むのは 12Δt(qk−qk−1)2\frac{1}{2\Delta t}(q_k-q_{k-1})^2 と 12Δt(qk+1−qk)2\frac{1}{2\Delta t}(q_{k+1}-q_k)^2 の2項だけなので

∂S4∂qk=qk−qk−1Δt−qk+1−qkΔt=−qk+1−2qk+qk−1Δt.\frac{\partial S_4}{\partial q_k}=\frac{q_k-q_{k-1}}{\Delta t}-\frac{q_{k+1}-q_k}{\Delta t}=-\frac{q_{k+1}-2q_k+q_{k-1}}{\Delta t}.

これは式 (1.3.5) で Lq=0L_q=0, Lv=vL_v=v とおいたものと同じである。

(2) qk=k2Δt2q_k=k^2\Delta t^2 なので qk+1−2qk+qk−1=[(k+1)2−2k2+(k−1)2]Δt2=2Δt2q_{k+1}-2q_k+q_{k-1}=\bigl[(k+1)^2-2k^2+(k-1)^2\bigr]\Delta t^2=2\Delta t^2。よって

∂S4∂qk=−2Δt=−12,1Δt∂S4∂qk=−2(k=1,2,3).\frac{\partial S_4}{\partial q_k}=-2\Delta t=-\frac12,\qquad \frac{1}{\Delta t}\frac{\partial S_4}{\partial q_k}=-2\qquad(k=1,2,3).

(3) 計算は NN によらないので、一般の NN で ∂SN/∂qk=−2Δt=−2/N\partial S_N/\partial q_k=-2\Delta t=-2/N, 1Δt∂SN/∂qk=−2\frac{1}{\Delta t}\partial S_N/\partial q_k=-2 である。N→∞N\to\infty で偏微分は 00 に近づくが、Δt\Delta t で割ったものは −2=−q¨-2=-\ddot q のまま残る。1つの分点だけを動かす操作は、細かく刻むほど SS をほとんど変えなくなるので、偏微分そのものでなく「単位の長さあたり」の変化率が汎関数の微分にあたる。

木下の勉強ステータス

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