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懸垂線:回転面の面積と吊るした鎖

2026年10月15日6分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第4章 Euler–Lagrange 方程式と境界条件(数学だけ)
目次
  1. 2つの輪の間の回転面
  2. 停留する曲線の数
  3. 吊るした鎖
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部 第4章 §1.4.4 ★★ 独立変数を含まない LL の第一積分から cosh⁡\cosh のグラフが出る。停留する曲線が2本あったり、1本もなかったりする

2つの輪の間の回転面

xx 軸を軸とする2つの同じ半径 RR の輪を x=−hx=-h と x=hx=h に置き、その間に回転面を張る。回転面は、曲線 y(x)>0y(x)>0(−h≤x≤h-h\le x\le h、y(±h)=Ry(\pm h)=R)を xx 軸のまわりに回して作る。曲線の線素 1+y′2 dx\sqrt{1+y'^2}\,\mathrm{d} x を半径 yy の円周 2πy2\pi y で回すので、面積は

A[y]=2π∫−hhy1+y′2 dx(1.4.13)A[y]=2\pi\int_{-h}^{h}y\sqrt{1+y'^2}\,\mathrm{d} x\tag{1.4.13}

である。石けん膜は表面張力により面積を小さくする形をとるので、この汎関数の停留点が膜の形の候補になる。この節では独立変数を tt でなく xx と書き、q˙\dot q にあたるものを y′y' と書く。

L=y1+y′2L=y\sqrt{1+y'^2}(定数 2π2\pi は停留点に関係しないので外した)は xx を陽に含まないので、エネルギー関数が一定である。

hL≔y′∂L∂y′−L=yy′21+y′2−y1+y′2=−y1+y′2.h_{\mathrm L}\coloneqq y'\frac{\partial L}{\partial y'}-L=\frac{yy'^2}{\sqrt{1+y'^2}}-y\sqrt{1+y'^2}=-\frac{y}{\sqrt{1+y'^2}} .

(輪の位置の hh と区別するため、この節ではエネルギー関数に添字を付けた。)この値を −a-a(a>0a>0)とおくと、y=a1+y′2y=a\sqrt{1+y'^2}、すなわち

y′2=y2a2−1(1.4.14)y'^2=\frac{y^2}{a^2}-1\tag{1.4.14}

という1階の方程式になる。y=acosh⁡((x−b)/a)y=a\cosh\bigl((x-b)/a\bigr) を入れると y′=sinh⁡((x−b)/a)y'=\sinh\bigl((x-b)/a\bigr) で、cosh⁡2−sinh⁡2=1\cosh^2-\sinh^2=1 から式 (1.4.14) を満たす。y≥ay\ge a の範囲で式 (1.4.14) を変数分離すると、y′=0y'=0 となる定数解 y=ay=a を除けば一般解はこの形に限られる。このグラフを懸垂線(catenary)と呼び、回してできる面を懸垂面と呼ぶ。

停留する曲線の数

左右対称の配置では b=0b=0 で、端の条件 y(±h)=Ry(\pm h)=R は

R=acosh⁡ha⟺hR=ucosh⁡u(u≔ha)(1.4.15)R=a\cosh\frac ha\qquad\Longleftrightarrow\qquad \frac hR=\frac{u}{\cosh u}\quad\Bigl(u\coloneqq\frac ha\Bigr)\tag{1.4.15}

になる。右の式の右辺 u/cosh⁡uu/\cosh u は u=0u=0 で 00、u→∞u\to\infty でも 00 に近づき、途中で最大値をとる(図 1.4.2)。最大になるのは ddu(u/cosh⁡u)=(1−utanh⁡u)/cosh⁡u=0\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} u}(u/\cosh u)=(1-u\tanh u)/\cosh u=0、すなわち utanh⁡u=1u\tanh u=1 のときで、数値で解くと u∗≈1.200u_*\approx1.200、最大値は u∗/cosh⁡u∗≈0.663u_*/\cosh u_*\approx0.663 である。したがって、輪の間隔の半分 hh と半径 RR の比 h/Rh/R によって、停留する懸垂線の数が変わる。

  • h/R<0.663h/R<0.663 なら uu の解が2つあり、停留する曲線が2本ある(浅い懸垂線と深い懸垂線)。
  • h/R>0.663h/R>0.663 なら解がなく、滑らかな回転面の中に停留点がない。

後者のとき、面積の下限に近づく形は、2つの輪をそれぞれ平らな円板でふさぎ、その間を細い線でつないだものになる(面積 2πR22\pi R^2)。これは滑らかな関数 y(x)y(x) のグラフの回転面ではないので、この節の汎関数の停留点としては出てこない。実際の石けん膜では、輪を引き離していくと、ある間隔で膜が切れて2枚の円板に分かれる。変分問題の解は「存在すれば Euler–Lagrange 方程式を満たす」だけで、存在するかどうかは別に調べる必要がある。

図

図 1.4.2 端の条件 (1.4.15) の右辺 u/cosh⁡uu/\cosh u(厳密な値なので点線)。横の破線 h/R=0.5h/R=0.5 との交点が2本の停留曲線にあたり、最大値 0.6630.663 より上の破線では交点がない

吊るした鎖

長さ ℓ\ell の一様な鎖の両端を吊るすと、鎖は位置エネルギー ρg∫y1+y′2 dx\rho g\int y\sqrt{1+y'^2}\,\mathrm{d} x(ρ\rho は単位の長さあたりの質量、yy は上向き)を最小にする形をとる。被積分関数は回転面の面積と同じ形だが、鎖の問題には「長さ ∫1+y′2 dx=ℓ\int\sqrt{1+y'^2}\,\mathrm{d} x=\ell は一定」という拘束が付く。拘束を付けないと、鎖を伸ばしてどこまでも下へ垂らせば位置エネルギーはいくらでも下がる。拘束のある変分問題は 第1部第6章 で未定乗数 λ\lambda を使って扱い、結果は ∫(y−λ)1+y′2 dx\int(y-\lambda)\sqrt{1+y'^2}\,\mathrm{d} x の停留問題に帰着する。y−λy-\lambda を新しい yy とみなせば回転面と同じ問題になるので、鎖の形も y=λ+acosh⁡((x−b)/a)y=\lambda+a\cosh\bigl((x-b)/a\bigr) の懸垂線である。λ\lambda, aa, bb の3つの定数は、両端の位置2つと長さ ℓ\ell の3条件で決まる。

例題 1.4.4 輪の間の2つの懸垂面の面積を比べる ★★

オリジナル半径 R=1R=1 の輪を x=±hx=\pm h, h=0.5h=0.5 に置く。

  1. (1) 端の条件 (1.4.15) から uu が満たす式を書き、2つの解を数値で求めよ。それぞれの aa はいくつか。
  2. (2) 懸垂面 y=acosh⁡(x/a)y=a\cosh(x/a) の面積が A=πa(2h+asinh⁡(2h/a))A=\pi a\bigl(2h+a\sinh(2h/a)\bigr) であることを示せ。
  3. (3) 2つの懸垂面の面積と、2枚の円板の面積 2πR22\pi R^2 を比べよ。
解答

(1) 1=acosh⁡(0.5/a)1=a\cosh(0.5/a) に a=0.5/ua=0.5/u を入れると cosh⁡u=2u\cosh u=2u。グラフの交点を Newton 法などで求めると u1≈0.5894u_1\approx0.5894, u2≈2.1268u_2\approx2.1268 で、a1=0.5/u1≈0.8483a_1=0.5/u_1\approx0.8483, a2=0.5/u2≈0.2351a_2=0.5/u_2\approx0.2351 である。aa は懸垂線の最も低い点の高さ y(0)=ay(0)=a なので、a1a_1 が浅い懸垂線、a2a_2 がくびれの深い懸垂線にあたる。

(2) y′=sinh⁡(x/a)y'=\sinh(x/a), 1+y′2=cosh⁡(x/a)\sqrt{1+y'^2}=\cosh(x/a) なので

A=2π∫−hhacosh⁡2xa dx=2πa∫−hh1+cosh⁡(2x/a)2dx=πa(2h+asinh⁡2ha).A=2\pi\int_{-h}^{h}a\cosh^2\frac xa\,\mathrm{d} x=2\pi a\int_{-h}^{h}\frac{1+\cosh(2x/a)}{2}\mathrm{d} x=\pi a\Bigl(2h+a\sinh\frac{2h}{a}\Bigr).

(3) 数値を入れると、浅い懸垂面は A1≈5.992A_1\approx5.992、深い懸垂面は A2≈6.846A_2\approx6.846、2枚の円板は 2π≈6.2832\pi\approx6.283 である。浅い懸垂面が最も小さく、深い懸垂面は円板より大きい。深い懸垂面は停留点ではあるが最小点ではない(前の章で、停留は最小の必要条件にすぎないことを見た)。(hh を大きくしていくと、浅い懸垂面の面積が 2πR22\pi R^2 を超えるのは h/R≈0.528h/R\approx0.528 からで、その先 0.6630.663 までは懸垂面は存在するが円板の組のほうが面積が小さい。)

木下の勉強ステータス

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