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端を固定しない変分と自然境界条件

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第4章 Euler–Lagrange 方程式と境界条件(数学だけ)
目次
  1. 端の項を残す
  2. 端に費用がある場合
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部 第4章 §1.4.3 ★★★ 端の値を自由にすると端の項が消えずに残り、∂L/∂q˙=0\partial L/\partial\dot q=0 が境界条件として出てくる

端の項を残す

前の章とこの章のここまでは、端の値 q(t1)q(t_1), q(t2)q(t_2) を決めた問題だけを扱い、向き η\eta を端で 00 になる関数に限ってきた。端の値も含めて最もよいものを探す問題では、端での η\eta の値も自由に選べる。このとき第1変分 (1.4.3) の端の項は消えない。

δS=ϵ(∂L∂q˙∣t2η(t2)−∂L∂q˙∣t1η(t1))+ϵ∫t1t2δSδq(t)η dt.\delta S=\epsilon\Bigl(\frac{\partial L}{\partial \dot q}\Big|_{t_2}\eta(t_2)-\frac{\partial L}{\partial \dot q}\Big|_{t_1}\eta(t_1)\Bigr)+\epsilon\int_{t_1}^{t_2}\frac{\delta S}{\delta q(t)}\eta\,\mathrm{d} t .

停留の条件を2段階で調べる。まず、端で 00 になる向きも、自由な端の問題で許される向きに含まれる。それらだけを使うと端の項は 00 になり、基本補題から内部で Euler–Lagrange 方程式が成り立つ。次に、Euler–Lagrange 方程式が成り立っているので積分の項は 00 である。残った端の項が、端の値が自由な η(t1)\eta(t_1), η(t2)\eta(t_2) のどの値についても 00 にならなければならない。

定理 1.4.4(自然境界条件 ★★★)

q(t1)=qaq(t_1)=q_{\mathrm a} を固定し、q(t2)q(t_2) を自由にした経路の中で qq が SS の停留点であるための必要十分条件は、内部で Euler–Lagrange 方程式 (1.4.5) が成り立ち、自由な端で

∂L∂q˙∣t=t2=0(1.4.11)\frac{\partial L}{\partial \dot q}\Big|_{t=t_2}=0\tag{1.4.11}

が成り立つことである。両端とも自由なら、t1t_1 でも同じ条件が加わる。

式 (1.4.11) を自然境界条件と呼ぶ。「自然」と呼ぶのは、問題の設定として課した条件ではなく、変分の計算から出てくる条件だからである。2階の方程式には条件が2つ要るので、片方の端の値を手放した分を、自然境界条件1つがちょうど埋めている。固定した端では値が条件になり、自由な端では ∂L/∂q˙\partial L/\partial\dot q が条件になる。どちらの端でもどちらか1つが課されるので、条件の数は端の値を決めたときと同じく2つである。自由度が複数あるときは、自由な成分ごとに ∂L/∂q˙i∣t2=0\partial L/\partial\dot q_i|_{t_2}=0 が1本ずつ加わる。

端に費用がある場合

端の値が自由でも、端の値に応じて Ψ(q(t2))\Psi(q(t_2)) という数が汎関数に加わる問題もある。

F[q]=∫t1t2L dt+Ψ(q(t2))F[q]=\int_{t_1}^{t_2}L\,\mathrm{d} t+\Psi\bigl(q(t_2)\bigr)

の第1変分には Ψ′(q(t2)) ϵη(t2)\Psi'(q(t_2))\,\epsilon\eta(t_2) が加わるので、自由な端の条件は

∂L∂q˙∣t=t2+Ψ′(q(t2))=0(1.4.12)\frac{\partial L}{\partial \dot q}\Big|_{t=t_2}+\Psi'\bigl(q(t_2)\bigr)=0\tag{1.4.12}

に変わる。たとえば Ψ=k2q(t2)2\Psi=\frac k2q(t_2)^2(k>0k>0)は「端の値を 00 から離すほど費用がかかる」という項で、k→0k\to0 で自由な端、k→∞k\to\infty で端の値を 00 に固定した問題に近づく(図 1.4.1)。

端の時刻が動く問題

この節では、端の時刻 t2t_2 を決めて端の値だけを動かす変分を扱った。端の時刻そのものも動かす問題(たとえば、ある曲線の上のどこかに着けばよい問題)では、区間の長さが ϵ\epsilon とともに変わるので、前の章の規則 δ∫=∫δ\delta\int=\int\delta がそのままでは使えず、端の項に h δth\,\delta t の形の項が加わる。時刻をずらす変分は 第1部第10章 で扱う。

図

図 1.4.1 汎関数 ∫01(12q˙2+q) dt+k2q(1)2\int_0^1(\frac12\dot q^2+q)\,\mathrm{d} t+\frac k2q(1)^2 の停留点(q(0)=0q(0)=0)。どれも厳密解なので点線で描いた。内部ではどれも q¨=1\ddot q=1 を満たす放物線で、右端の条件 q˙(1)+kq(1)=0\dot q(1)+kq(1)=0 だけが違う。k=0k=0 では右端で傾きが 00(自然境界条件)になり、kk を大きくすると右端の値が 00 に引き寄せられる

例題 1.4.3 端を自由にすると値はどれだけ下がるか ★★★

オリジナル[0,1][0,1] 上の汎関数 F[q]=∫01(12q˙2+q)dtF[q]=\int_0^1\bigl(\frac12\dot q^2+q\bigr)\mathrm{d} t を、q(0)=0q(0)=0 を満たす経路の中で考える。右端の値 q(1)q(1) は自由とする。

  1. (1) Euler–Lagrange 方程式と自然境界条件を書き、停留点 q∗q_* と F[q∗]F[q_*] を求めよ。
  2. (2) 右端も q(1)=0q(1)=0 に固定した問題の停留点は 12t(t−1)\frac12t(t-1) で、F=−124F=-\frac1{24} である(前の章の例題で c=1c=1 とおいたもの)。(1) と比べて、大小関係の理由を述べよ。
  3. (3) 端の費用 k2q(1)2\frac k2q(1)^2 を加えた問題の停留点と FF の値を kk で表し、k→0k\to0 と k→∞k\to\infty の極限を確かめよ。
解答

(1) L=12q˙2+qL=\frac12\dot q^2+q で ∂L∂q=1\frac{\partial L}{\partial q}=1, ∂L∂q˙=q˙\frac{\partial L}{\partial \dot q}=\dot q。Euler–Lagrange 方程式は q¨=1\ddot q=1、自然境界条件は q˙(1)=0\dot q(1)=0 である。一般解 q=12t2+At+Bq=\frac12t^2+At+B に q(0)=0q(0)=0 を入れて B=0B=0、q˙(1)=1+A=0\dot q(1)=1+A=0 から A=−1A=-1。よって q∗=12t2−tq_*=\frac12t^2-t。q˙∗=t−1\dot q_*=t-1 なので

F[q∗]=∫01(12(t−1)2+12t2−t)dt=16+(16−12)=−16.F[q_*]=\int_0^1\Bigl(\frac12(t-1)^2+\frac12t^2-t\Bigr)\mathrm{d} t=\frac16+\Bigl(\frac16-\frac12\Bigr)=-\frac16 .

(2) −16<−124-\frac16<-\frac1{24} で、自由な端の値のほうが小さい。右端を 00 に固定した経路は、右端が自由な経路の一部である。より広い集まりの中で探す最小値は、狭い集まりの中での最小値より大きくならない。自由な端の答えでは q∗(1)=−12q_*(1)=-\frac12 で、右端を下げることで qq の項の積分をさらに小さくしている。

(3) 端の条件 (1.4.12) は q˙(1)+kq(1)=0\dot q(1)+kq(1)=0 である。q=12t2+Atq=\frac12t^2+At を入れると 1+A+k(12+A)=01+A+k\bigl(\frac12+A\bigr)=0 から

A=−1+k/21+k,q∗=12t2+At.A=-\frac{1+k/2}{1+k},\qquad q_*=\frac12t^2+At .

これを FF に代入して整理すると

F[q∗]=∫01(12(t+A)2+12t2+At)dt+k2(12+A)2=−k+424(k+1).F[q_*]=\int_0^1\Bigl(\frac12(t+A)^2+\frac12t^2+At\Bigr)\mathrm{d} t+\frac k2\Bigl(\frac12+A\Bigr)^2=-\frac{k+4}{24(k+1)}.

k→0k\to0 で A→−1A\to-1, F→−16F\to-\frac16(自由な端)、k→∞k\to\infty で A→−12A\to-\frac12, F→−124F\to-\frac1{24}(固定した端)となる。k=2k=2 では A=−23A=-\frac23, F=−112F=-\frac1{12} で、2つの間にある。

木下の勉強ステータス

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