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出てくるもの(1):Noether の定理と運動量・角運動量

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第10章 Noether の定理(生成子が保存する)
目次
  1. 定理
  2. 並進から運動量、回転から角運動量
  3. 準対称性の例
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部 第10章 §1.10.3 ★★★ 対称性ごとに保存量 Q=∑ipiKi−ΛQ=\sum_ip_iK_i-\Lambda が1つずつ決まる

定理

定理 1.10.2(Noether の定理(点変換))

無限小変換 δqi=ϵKi(q,t)\delta q_i=\epsilon K_i(q,t) が Lagrangian LL の準対称性で、すべての経路について δL=ϵddtΛ(q,t)\delta L=\epsilon\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\Lambda(q,t) が成り立つとする。このとき

Q≔∑i=1fpiKi(q,t)−Λ(q,t)(1.10.10)Q\coloneqq\sum_{i=1}^fp_iK_i(q,t)-\Lambda(q,t)\tag{1.10.10}

は Euler–Lagrange 方程式のすべての解の上で時刻によらない。Λ=0\Lambda=0(対称性)なら Q=∑ipiKiQ=\sum_ip_iK_i である。

証明

恒等式 (1.10.8) の左辺に仮定 δL=ϵΛ˙\delta L=\epsilon\dot\Lambda を入れて移項すると、すべての経路で

ϵddt(∑ipiKi−Λ)=−ϵ∑iEiKi\epsilon\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\Bigl(\sum_ip_iK_i-\Lambda\Bigr)=-\epsilon\sum_i\mathcal E_iK_i

が成り立つ。解の上では Ei=0\mathcal E_i=0 なので右辺が 00 になり、Q˙=0\dot Q=0 を得る。

定理は E. Noether が1918年の論文で示した1E. Noether (1918), Nachrichten von der Gesellschaft der Wissenschaften zu Göttingen, Mathematisch-Physikalische Klasse 1918, 235–257(題は Invariante Variationsprobleme)。原論文は場の理論を含む一般の変分問題を扱い、有限個のパラメータの変換の群(この章の場合)と、任意の関数をパラメータにもつ変換の群(ゲージ変換の場合)の2つの定理を述べている。下の脚注へ。証明は恒等式から1行で終わるが、主張の中身は「対称性1つにつき保存量が1つ決まり、その形が ∑ipiKi\sum_ip_iK_i になる」という対応にある。保存量の形を見つけるのに運動方程式を解く必要はなく、変換の向き KiK_i と運動量 pip_i の内積を作るだけでよい。

並進から運動量、回転から角運動量

式 (1.10.5) の NN 粒子系で、VV が位置の差だけで書けているとする。並進 δra=ϵn\delta\bm{r}_a=\epsilon\bm{n} は対称性で、変換の向きは粒子 aa の3成分について n\bm{n} なので

Q=∑apa⋅n=n⋅P,P≔∑amar˙a.(1.10.11)Q=\sum_a\bm{p}_a\cdot\bm{n}=\bm{n}\cdot\bm{P},\qquad \bm{P}\coloneqq\sum_am_a\dot{\bm{r}}_a .\tag{1.10.11}

n\bm{n} を3方向に選べるので、全運動量 P\bm{P} の3成分がすべて保存する。回転 δra=ϵ n×ra\delta\bm{r}_a=\epsilon\,\bm{n}\times\bm{r}_a が対称性なら

Q=∑apa⋅(n×ra)=n⋅∑ara×pa=n⋅L(1.10.12)Q=\sum_a\bm{p}_a\cdot(\bm{n}\times\bm{r}_a)=\bm{n}\cdot\sum_a\bm{r}_a\times\bm{p}_a=\bm{n}\cdot\bm{L}\tag{1.10.12}

で(スカラー三重積の巡回を使った)、軸の向きに選べる3方向に応じて全角運動量 L\bm{L} の3成分が保存する。自由な粒子なら並進3つと回転3つで保存量が6つ得られる。中心力場の1粒子(原点を固定した V(∣r∣)V(\lvert \bm{r}\rvert ))では並進が対称性でなくなり、回転の3つだけが残る。

準対称性の例

Galilei 変換と重心の等速運動

式 (1.10.5) で VV が位置の差だけによるとき、全粒子に同じ速度 ϵn\epsilon\bm{n} を足す変換 δra=ϵn t\delta\bm{r}_a=\epsilon\bm{n}\,t を考える(ずらす量が時刻に比例するので KK が tt による)。VV は変わらず、速度は δr˙a=ϵn\delta\dot{\bm{r}}_a=\epsilon\bm{n} だけ変わるので

δL=ϵ∑amar˙a⋅n=ϵddt(n⋅∑amara).\delta L=\epsilon\sum_am_a\dot{\bm{r}}_a\cdot\bm{n}=\epsilon\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\Bigl(\bm{n}\cdot\sum_am_a\bm{r}_a\Bigr).

これは準対称性で、Λ=n⋅MR\Lambda=\bm{n}\cdot M\bm{R}(M=∑amaM=\sum_am_a、重心 R=∑amara/M\bm{R}=\sum_am_a\bm{r}_a/M)である。式 (1.10.10) から

Q=∑apa⋅n t−n⋅MR=n⋅(P t−MR)Q=\sum_a\bm{p}_a\cdot\bm{n}\,t-\bm{n}\cdot M\bm{R}=\bm{n}\cdot(\bm{P}\,t-M\bm{R})

が保存する。P\bm{P} も保存するので、R(t)=R(0)+(P/M) t\bm{R}(t)=\bm{R}(0)+(\bm{P}/M)\,t、すなわち重心は等速直線運動をする。初等力学で「外力がなければ重心は等速直線運動をする」と述べる定理は、Galilei 変換の Noether の保存量である。

解の上だけで対称性を調べてはいけない理由

恒等式 (1.10.8) は、解の上では δL=ϵddt(∑ipiKi)\delta L=\epsilon\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\bigl(\sum_ip_iK_i\bigr) を言っている。つまり、どんな変換 KK でも、解の上だけで見れば δL\delta L は全微分になり、Λ=∑ipiKi\Lambda=\sum_ip_iK_i と選べば Q=0Q=0 という中身のない「保存量」が出る。定義 1.10.1 は δL=ϵΛ˙\delta L=\epsilon\dot\Lambda をすべての経路で要求するので、この選び方は許されない。解でない経路では恒等式の第1項 ϵ∑iEiKi\epsilon\sum_i\mathcal E_iK_i が残り、Λ=∑ipiKi\Lambda=\sum_ip_iK_i では δL=ϵΛ˙\delta L=\epsilon\dot\Lambda が成り立たないからである。すべての経路で条件を満たす Λ\Lambda は LL の形だけから運動を解く前に決まり、そのとき Q=∑ipiKi−ΛQ=\sum_ip_iK_i-\Lambda が新しい情報を持つ。

例題 1.10.3 一様な重力場での準対称性 ★★

オリジナル鉛直の xzxz 平面を動く質量 mm の質点を考え、L=m2(x˙2+z˙2)−mgzL=\frac m2(\dot x^2+\dot z^2)-mgz とする(zz が上向き)。

  1. (1) 水平の並進 δx=ϵ\delta x=\epsilon が対称性であることを示し、保存量を求めよ。
  2. (2) 鉛直の並進 δz=ϵ\delta z=\epsilon について δL\delta L を求め、準対称性であることを示して Λ\Lambda と保存量 QQ を求めよ。
  3. (3) z(0)=z0z(0)=z_0, z˙(0)=v0\dot z(0)=v_0 の解を使って (2) の QQ が一定であることを確かめ、その値を初期条件で表せ。
解答

(1) LL は xx を含まず、速度も変わらないので δL=0\delta L=0。Kx=1K_x=1, Kz=0K_z=0 で Q=px=mx˙Q=p_x=m\dot x が保存する。

(2) 速度は変わらず、δL=ϵ ∂L/∂z=−ϵmg\delta L=\epsilon\,\partial L/\partial z=-\epsilon mg。これは ϵddt(−mgt)\epsilon\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}(-mgt) と書けるので準対称性で、Λ=−mgt\Lambda=-mgt。式 (1.10.10) から

Q=pz⋅1−Λ=mz˙+mgt.Q=p_z\cdot1-\Lambda=m\dot z+mgt .

鉛直の並進は Lagrangian を定数 −mgϵ-mg\epsilon だけずらすが、定数は時刻の全微分として書けるので、運動量 pzp_z の代わりに pz+mgtp_z+mgt が保存する。

(3) 解は z=z0+v0t−12gt2z=z_0+v_0t-\frac12gt^2 で、z˙=v0−gt\dot z=v_0-gt。よって Q=m(v0−gt)+mgt=mv0Q=m(v_0-gt)+mgt=mv_0 で時刻によらない。値は初めの鉛直方向の運動量 mv0mv_0 で、pzp_z が重力で一定の割合 mgmg ずつ減ることを、保存の形に書き直したものである。

1 E. Noether (1918), Nachrichten von der Gesellschaft der Wissenschaften zu Göttingen, Mathematisch-Physikalische Klasse 1918, 235–257(題は Invariante Variationsprobleme)。原論文は場の理論を含む一般の変分問題を扱い、有限個のパラメータの変換の群(この章の場合)と、任意の関数をパラメータにもつ変換の群(ゲージ変換の場合)の2つの定理を述べている。

木下の勉強ステータス

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