解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第13章 §2.13.6 ★★ 極座標の加速度・曲線座標の勾配と発散とラプラシアン・特殊相対論の添字の上げ下げは、どれもこの章の共変微分と計量の特別な場合
極座標の加速度
力学の授業では、平面の極座標で加速度を
ar=r¨−rθ˙2,aθ=rθ¨+2r˙θ˙
と書く。これを導くときは、基底ベクトル er, eθ が場所によって向きを変えることを使い、e˙r=θ˙eθ, e˙θ=−θ˙er を微分に入れる。この章の言葉では、速度 uμ=(r˙,θ˙) の曲線に沿った共変微分 (2.13.21) が加速度である。式 (2.13.16) の Γ を入れると
dtDur=r¨+Γrθθθ˙2=r¨−rθ˙2,dtDuθ=θ¨+2Γθrθr˙θ˙=θ¨+r2r˙θ˙(2.13.26)
となる。ar はそのまま一致し、aθ は Duθ/dt に gθθ=r を掛けたものである。授業の aθ は長さ1の基底 eθ=∂θ/r に対する成分(物理成分)で、座標の基底 ∂θ に対する成分とは r 倍違う。授業で「基底の微分」として扱った e˙r=θ˙eθ が、ここでは Christoffel 記号の項になっている。
曲線座標の微分演算子
電磁気学の授業では、円柱座標や球座標の勾配・発散・ラプラシアンを公式として覚える。この章の言葉では、次の表のように、どれも計量と式 (2.13.18) から1行で書くことができる。表の右の列は直交する座標(gμν が対角)の物理成分に直したものである。
| 量 | この章の形 | 授業の形(球座標の例) |
| 体積要素 | ∣g∣dnx | r2sinθdrdθdφ |
| 勾配 | ∂μf(上付きにするなら gμν∂νf) | ∂rfer+r1∂θfeθ+rsinθ1∂φfeφ |
| 発散 | ∣g∣1∂μ(∣g∣Aμ) | r21∂r(r2Ar)+rsinθ1∂θ(sinθAθ)+rsinθ1∂φAφ |
| ラプラシアン | ∣g∣1∂μ(∣g∣gμν∂νf) | r21∂r(r2∂rf)+r2sinθ1∂θ(sinθ∂θf)+r2sin2θ1∂φ2f |
| 添字の上げ下げ | Aμ=gμνAν | 特殊相対論の Aμ=(ϕ/c,−A) |
発散の行で、授業の Aθ は物理成分で、座標の成分とは Aθ=Aθ(物理)/r の関係にある。これを r2sinθ1∂θ(r2sinθAθ) に入れると授業の第2項になる。ラプラシアンの行は、発散の式の Aμ に勾配 gμν∂νf を入れたものである。授業ではこれらを座標系ごとに別の公式として覚えるが、この章の形では、計量の成分を入れ替えるだけでどの座標の公式も出る。
最後の行の特殊相対論は、計量が定数の η で Γ=0 の場合である。この場合は偏微分だけで共変微分になるので、授業では接続を意識する必要が無かった。一般相対論で ∂μ を ∇μ に替える必要が出るのは、慣性系の座標が大域的には存在せず、計量が場所によって変わるためである。
例題 2.13.7 球座標のラプラシアンを計量から1行で出す ★★
オリジナル3次元の空間を球座標 (r,θ,φ) で書く。
- (1) 計量 gμν、g、gμν を書け。
- (2) ∇2f=g1∂μ(ggμν∂νf) を展開し、表の右の列の式になることを示せ。
- (3) f=xz, f=r2, f=z3 のそれぞれについて、(2) の式で計算したラプラシアンが直交座標の ∂x2+∂y2+∂z2 と一致することを確かめよ。
解答
(1) ds2=dr2+r2dθ2+r2sin2θdφ2 なので g=diag(1,r2,r2sin2θ)、g=r2sinθ(0<θ<π)、gμν=diag(1,r−2,r−2sin−2θ) である。
(2) 対角なので和は3項で、
∇2f=r2sinθ1[∂r(r2sinθ∂rf)+∂θ(r2sinθr21∂θf)+∂φ(r2sinθr2sin2θ1∂φf)]
で、sinθ と r2 を約分すると表の式になる。
(3) f=xz=r2sinθcosθcosφ:r21∂r(r2⋅2r)=6 に sinθcosθcosφ を掛けたもの、θ の項 sinθ1∂θ(sinθcos2θ)cosφ=(cotθcos2θ−2sin2θ)cosφ、φ の項 −sinθcosθcosφ を足すと(3sin2θ+cotθcos2θ−2sin2θ−cotθ)cosφ=(sin2θ−2cotθsin2θ)cosφ=0 で、直交座標の ∇2(xz)=0 と一致する。f=r2 は r21∂r(2r3)=6 で、直交座標の 2+2+2=6 と一致する。f=z3=r3cos3θ は、r の項 12rcos3θ、θ の項 sinθr∂θ(−3sin2θcos2θ)=r(−6cos3θ+6sin2θcosθ) の和で 6rcos3θ+6rsin2θcosθ=6rcosθ=6z となり、直交座標の 6z と一致する。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com