この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第13章 §2.13.7 ★★★ 座標の取り替えでの変わり方を基準に、ベクトル・テンソル・計量・共変微分・平行移動を作った。Christoffel 記号はテンソルでなく1点で消せるが、道による平行移動のずれは消せない
多様体は、各点のまわりで 個の数で点を指定でき、それらの指定が滑らかに行き来できる集合である。外の空間を使わずに道具を作るため、すべての量を「座標を取り替えたときにどう変わるか」で定義した。曲線の速度として作る接ベクトルは Jacobi 行列 で、関数の傾きとして作る余接ベクトルはその逆の で変わり、上付きと下付きを縮約すると座標によらない数になる。これを何個か組み合わせた変換則を持つ量がテンソルで、ある座標で0なら全部の座標で0なので、テンソルの等式は座標によらない法則になる。計量は対称な 型のテンソルで、 と変わり、長さ・角度・体積要素 ・添字の上げ下げを決める。
ベクトルの成分の偏微分は Jacobi 行列の微分の分だけテンソルからずれるので、Christoffel 記号を足して共変微分を作った。 は変換則に非斉次の項を持つのでテンソルでない。ねじれが無く計量と両立する接続はただ1つで、その係数が第2部第12章で作用から出た Christoffel 記号そのものである。 がテンソルでないので、どの点でも かつ となる座標(局所慣性系)を作ることができる。消せない2階微分は 個残る。共変微分が0になるようにベクトルを運ぶ平行移動は長さと角度を保ち、接ベクトルを平行移動しながら進む曲線が測地線で、第2部第12章の方程式と一致した。平面では道によらず元のベクトルに戻るが、球面の緯線を1周すると囲んだ立体角だけ向きが回る。この「1周で戻らない量」は1点の座標変換では消せず、第2部第14章で Riemann テンソルとして取り出す。
総合問題 円錐の上の幾何 ★★★
オリジナル半頂角 ()の円錐の側面を、頂点からの母線に沿った距離 と方位角 (周期 )で表す。3次元空間の点は である。
- (1) (使う道具:2.13.3節)円錐の計量を求めよ。 と置くと平面の極座標の計量になることを示し、円錐を切り開いた展開図が中心角 の扇形であることを説明せよ。 の中心角を求めよ。
- (2) (使う道具:2.13.4節・第2部第12章) の Christoffel 記号を式 (2.13.17) で求めよ。また、展開図の直交座標 で であることから、変換則 (2.13.15) で同じ結果が出ることを確かめよ。
- (3) (使う道具:2.13.5節)母線の長さ の円 に沿ってベクトルを1周平行移動したときの回転角を求めよ。 によるか。 ではどうなるか。
- (4) (使う道具:2.13.5節・第2部第12章の Killing ベクトルの保存量・第1部第10章)頂点から最も近い距離が の測地線を、展開図の直線 , として で書き、測地線方程式 (2.13.25) を満たすことを確かめよ。 が Killing ベクトルであることから出る保存量 の値を求め、測地線が から までに をいくら進むかを求めよ。
- (5) (使う道具:(3)・2.13.5節の球面の緯線)半径 の球面に、緯線 に沿って接する円錐を考える。その円錐の半頂角と、接する円の母線の長さを求め、(3) の円錐の回転角が球面の緯線の回転角 (2.13.24) と一致することを示せ。
解答
(1) 3次元の点を と で微分すると 、 で、長さの2乗は と 、内積は0なので
である(左辺は線素、右辺の は座標 の微分)。 とすると で、 は平面の極座標の計量そのものである。 が から まで動くとき は から まで動くので、円錐は計量を変えずに中心角 の扇形に写り、扇形の2本の辺を貼り合わせたものが円錐である。 では 、つまり半円である。
(2) , で、0でない微分は だけである。例題 2.13.5 と同じ計算で
で、ほかは0である。変換則では、, として を計算する。 で、 なので 。 で、 なので 。どちらも一致する。
(3) で1周すると、平行移動の式は , である。長さ1の基底に対する成分 , では , で、角速度 で回る。1周の回転角は
で、 によらない。 では で、ベクトルは反転して戻る。展開図で見ると、平行移動は直交座標の成分を一定に保つ操作なので、ベクトルは扇形の中で向きを変えない。ところが扇形の一方の辺から出て他方の辺に着くと、2本の辺の向きが 違うので、貼り合わせた後の向きがその分だけずれる。円錐の側面のどこでも曲がっていないのに回転が残るのは、曲がりがすべて頂点に集まっているからで、 によらないのはどの円も同じ頂点を1回囲むからである。
(4) 展開図の直線 , を に戻すと , 、したがって である。, , , から
で、測地線方程式を満たす。計量は によらないので は Killing ベクトルで、保存量は (一定)である。軌道の形は と書くことができる。 で なので、測地線は全体で を だけ進む。平面()なら で、直線が原点の片側を通り過ぎるだけだが、 では で、測地線は円錐をちょうど1周巻いてから遠ざかる。
(5) 球面の緯線 で球に接する円錐の母線は、その点の経線の接線で、球の軸と角 をなす( の北半球で考える)。したがって半頂角は で、 である。円錐の頂点は軸上にあり、接点までの母線の長さは で、接する円の半径は となって緯線の半径と一致する。(3) の回転角は で、球面の緯線の式 (2.13.24) と同じである。緯線の上では、球面の計量と接する円錐の計量は値も1階微分も一致する( はどちらも 、母線の向きの微分はどちらも )。平行移動の式 (2.13.21) は曲線上の 、つまり計量の1階微分までしか使わないので、緯線に沿った平行移動は円錐の上で行っても同じ結果になる。円錐を展開図にすれば、球面の緯線の回転角を、扇形の中心角という目に見える量で読み取ることができる。
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