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出てくるもの2:ゲージ場が質量を持つ(Anderson–Higgs 機構)

2026年10月15日11分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第6章 Ginzburg–Landau 理論と Meissner 効果
目次
  1. 位相をゲージで吸収する
  2. Proca 場との比較
  3. 自由度の数え方と Abelian Higgs 模型
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部 第6章 §5.6.4 ★★★ 位相を消すゲージを選ぶと、ベクトルポテンシャルに Proca 型の質量の項 A2/(2μ0λ2)\bm{A}^2/(2\mu_0\lambda^2) が残り、侵入長が光子の質量の逆数になる

位相をゲージで吸収する

勾配の項を振幅と位相に分けると、

12m∗∣(−iℏ∇−qA)ψ∣2=ℏ22m∗(∇∣ψ∣)2+∣ψ∣22m∗(ℏ∇θ−qA)2(5.6.21)\frac{1}{2m^*}\lvert (-\mathrm{i}\hbar\nabla-q\bm{A})\psi\rvert ^2=\frac{\hbar^2}{2m^*}\bigl(\nabla\lvert \psi\rvert \bigr)^2+\frac{\lvert \psi\rvert ^2}{2m^*}\bigl(\hbar\nabla\theta-q\bm{A}\bigr)^2\tag{5.6.21}

となる。位相 θ\theta は A\bm{A} と ℏ∇θ−qA\hbar\nabla\theta-q\bm{A} という組み合わせでしか現れない。そこでゲージ関数を Λ=−ℏθ/q\Lambda=-\hbar\theta/q に選ぶと、ψ→eiqΛ/ℏψ=∣ψ∣\psi\to\mathrm{e}^{\mathrm{i} q\Lambda/\hbar}\psi=\lvert \psi\rvert と実数になり、ベクトルポテンシャルは

A′=A−ℏq∇θ(5.6.22)\bm{A}'=\bm{A}-\frac\hbar q\nabla\theta\tag{5.6.22}

に変わる。磁場 ∇×A′=∇×A\nabla\times\bm{A}'=\nabla\times\bm{A} は変わらない。このゲージ(ユニタリゲージと呼ぶ)で汎関数は

F=∫d3r [ℏ22m∗(∇∣ψ∣)2+a∣ψ∣2+b2∣ψ∣4+q2∣ψ∣22m∗∣A′∣2+∣∇×A′∣22μ0](5.6.23)F=\int\mathrm{d}^3r\,\Bigl[\frac{\hbar^2}{2m^*}\bigl(\nabla\lvert \psi\rvert \bigr)^2+a\lvert \psi\rvert ^2+\frac b2\lvert \psi\rvert ^4+\frac{q^2\lvert \psi\rvert ^2}{2m^*}\lvert \bm{A}'\rvert ^2+\frac{\lvert \nabla\times\bm{A}'\rvert ^2}{2\mu_0}\Bigr]\tag{5.6.23}

になり、位相 θ\theta は汎関数から消える。∣ψ∣\lvert \psi\rvert を一様な値 ∣ψ0∣\lvert \psi_0\rvert に置くと、A′\bm{A}' についての項は

∣∇×A′∣22μ0+12μ0λ2∣A′∣2,1λ2=μ0q2∣ψ0∣2m∗(5.6.24)\frac{\lvert \nabla\times\bm{A}'\rvert ^2}{2\mu_0}+\frac{1}{2\mu_0\lambda^2}\lvert \bm{A}'\rvert ^2,\qquad\frac{1}{\lambda^2}=\frac{\mu_0q^2\lvert \psi_0\rvert ^2}{m^*}\tag{5.6.24}

で、λ\lambda は式 (5.6.14) と同じものである。

Proca 場との比較

第2部第8章の総合問題では、ゲージ不変性を持たない Proca 場の Lagrangian 密度 −14μ0FμνFμν+κP22μ0AμAμ-\frac{1}{4\mu_0}F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}+\frac{\kappa_{\mathrm P}^2}{2\mu_0}A_\mu A^\mu を扱った(そこで κ\kappa と書いた量を、この章では κP\kappa_{\mathrm P} と書く)。静的で A0=0A^0=0 のとき、−14μ0FμνFμν=−∣B∣22μ0-\frac{1}{4\mu_0}F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}=-\frac{\lvert \bm{B}\rvert ^2}{2\mu_0}、AμAμ=−∣A∣2A_\mu A^\mu=-\lvert \bm{A}\rvert ^2 なので、符号を変えたエネルギー密度は ∣B∣22μ0+κP22μ0∣A∣2\frac{\lvert \bm{B}\rvert ^2}{2\mu_0}+\frac{\kappa_{\mathrm P}^2}{2\mu_0}\lvert \bm{A}\rvert ^2 になる。式 (5.6.24) はこれと κP=1/λ\kappa_{\mathrm P}=1/\lambda で一致する。第2部第6章の総合問題(第2部第6章)では、この質量の項を持つ場の粒子の質量が m=ℏκP/cm=\hbar\kappa_{\mathrm P}/c であることを分散関係から出した。したがって

mγ=ℏλc,mγc2=ℏcλ(5.6.25)m_\gamma=\frac{\hbar}{\lambda c},\qquad m_\gamma c^2=\frac{\hbar c}{\lambda}\tag{5.6.25}

が超伝導体の中の光子の質量に当たる。Proca 場の静電ポテンシャルが Coulomb 型でなく e−κPr/r\mathrm{e}^{-\kappa_{\mathrm P}r}/r に減衰したのと同じく、超伝導体の中の磁場は e−x/λ\mathrm{e}^{-x/\lambda} で減衰する。Meissner 効果は、ゲージ場が質量を持つことの静的な現れである。

第2部第6章と第8章では、ゲージ不変性があると AμAμA_\mu A^\mu の項は書けず、光子の質量は 00 になると結論した。ここでは汎関数 (5.6.1) 自体はゲージ不変なままで、質量の項が現れた。矛盾しないのは、質量の項 ∣A′∣2\lvert \bm{A}'\rvert ^2 が、ゲージ不変な組み合わせ A′=A−(ℏ/q)∇θ\bm{A}'=\bm{A}-(\hbar/q)\nabla\theta の2乗だからである。もとの変数で書けば q2∣ψ0∣22m∗(A−ℏq∇θ)2\frac{q^2\lvert \psi_0\rvert ^2}{2m^*}(\bm{A}-\frac\hbar q\nabla\theta)^2 で、ゲージ変換で A\bm{A} と θ\theta が同時にずれて打ち消し合う。秩序変数が 00 でない値 ∣ψ0∣\lvert \psi_0\rvert を取ったこと(対称性の自発的な破れ)が、この組み合わせを作る位相 θ\theta を用意した。

自由度の数え方と Abelian Higgs 模型

自由度を数えると、何が起きたかがはっきりする。ゲージ場が無い場合、全体の位相の対称性が自発的に破れると、最小点の円周に沿った位相の揺らぎはエネルギーを持たずに長い距離へ伸びる(Goldstone の定理が言う質量 00 のモード)。ゲージ場がある場合は、その位相がゲージ変換 (5.6.22) で A′\bm{A}' の中へ移り、独立な場として残らない。相対論的な場で数えると、破れる前は複素スカラー場の2つと質量 00 のゲージ場の偏光2つで4つ、破れた後は振幅の揺らぎ1つと質量を持つベクトル場の偏光3つで4つになる。位相の自由度が、ゲージ場の縦の偏光になった。第2部第8章の総合問題で、Proca 場では自由度が3つで、κP→0\kappa_{\mathrm P}\to0 で2つへ不連続に減ることを見た。その3つ目の自由度の出どころがここで分かる。

この機構を Lorentz 不変な形で書いたものが Abelian Higgs 模型

L=−14μ0FμνFμν+K(Dμϕ)∗(Dμϕ)−a∣ϕ∣2−b2∣ϕ∣4,Dμ=∂μ+iqℏAμ(5.6.26)\mathcal L=-\frac{1}{4\mu_0}F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}+K(D_\mu\phi)^*(D^\mu\phi)-a\lvert \phi\rvert ^2-\frac b2\lvert \phi\rvert ^4,\qquad D_\mu=\partial_\mu+\frac{\mathrm{i} q}{\hbar}A_\mu\tag{5.6.26}

である(KK は場の規格化の定数、計量は (+,−,−,−)(+,-,-,-))。静的で A0=0A^0=0 のとき、Dj=∂j−iqℏAjD_j=\partial_j-\frac{\mathrm{i} q}{\hbar}A^j から K∣Djϕ∣2=Kℏ2∣(−iℏ∂j−qAj)ϕ∣2K\lvert D_j\phi\rvert ^2=\frac{K}{\hbar^2}\lvert (-\mathrm{i}\hbar\partial_j-qA^j)\phi\rvert ^2 となり、K=ℏ2/(2m∗)K=\hbar^2/(2m^*) と置けば −L-\mathcal L は GL の汎関数の密度と一致する。ϕ=∣ϕ0∣\phi=\lvert \phi_0\rvert のユニタリゲージでは Kq2ℏ2∣ϕ0∣2AμAμK\frac{q^2}{\hbar^2}\lvert \phi_0\rvert ^2A_\mu A^\mu という項が残り、これが 12μ0λ2AμAμ\frac{1}{2\mu_0\lambda^2}A_\mu A^\mu に等しいことから 1/λ2=2μ0Kq2∣ϕ0∣2/ℏ21/\lambda^2=2\mu_0Kq^2\lvert \phi_0\rvert ^2/\hbar^2 となって、K=ℏ2/(2m∗)K=\hbar^2/(2m^*) で式 (5.6.24) に戻る。超伝導体は Lorentz 不変ではないので式 (5.6.26) の時間の部分はそのまま当てはまらないが、静的な磁場の部分は同じである。

振幅の揺らぎも調べておく。∣ψ∣=∣ψ0∣+η\lvert \psi\rvert =\lvert \psi_0\rvert +\eta と置いて式 (5.6.23) を η\eta の2次まで展開すると、ポテンシャルの2階微分は 2a+6b∣ψ0∣2=4∣a∣2a+6b\lvert \psi_0\rvert ^2=4\lvert a\rvert で、ℏ22m∗(∇η)2+2∣a∣η2\frac{\hbar^2}{2m^*}(\nabla\eta)^2+2\lvert a\rvert \eta^2 を得る。その停留条件 ℏ22m∗∇2η=2∣a∣η\frac{\hbar^2}{2m^*}\nabla^2\eta=2\lvert a\rvert \eta から、振幅の乱れは長さ ξ/2\xi/\sqrt2 で減衰する。ここで

ξ2=ℏ22m∗∣a∣(5.6.27)\xi^2=\frac{\hbar^2}{2m^*\lvert a\rvert }\tag{5.6.27}

は5.6.5節で主役になるコヒーレンス長である。Lorentz 不変な模型で読めば、ベクトル場の質量は ℏ/(λc)\hbar/(\lambda c)、振幅の場(Higgs 場)の質量は 2ℏ/(ξc)\sqrt2\hbar/(\xi c) で、その比は 2λ/ξ=2κ\sqrt2\lambda/\xi=\sqrt2\kappa になる。

P. W. Anderson(1963)は、超伝導体の中で電磁場が質量を持つことを、相対論的な場の理論で質量 00 のゲージ場と Goldstone のモードが組んで質量を持つ場になる可能性と結びつけた(P. W. Anderson (1963), Phys. Rev. 130, 439)。翌年、F. Englert と R. Brout、P. W. Higgs、G. S. Guralnik と C. R. Hagen と T. W. B. Kibble が、相対論的な模型でこれを示した(F. Englert and R. Brout (1964), Phys. Rev. Lett. 13, 321;P. W. Higgs (1964), Phys. Rev. Lett. 13, 508;G. S. Guralnik, C. R. Hagen and T. W. B. Kibble (1964), Phys. Rev. Lett. 13, 585)。素粒子の標準模型で弱い相互作用のゲージ場が質量を持つのも、非可換なゲージ群で同じことが起きたものである。

例題 5.6.5 超伝導体の中の光子の質量 ★★

オリジナル

  1. (1) 侵入長 λ=50 nm\lambda=50\,\mathrm{nm} の超伝導体の中の光子の静止エネルギー mγc2m_\gamma c^2 を eV で、質量 mγm_\gamma を kg で求め、電子の質量と比べよ。
  2. (2) Abelian Higgs 模型の振幅の場とベクトル場の質量の比 mh/mγ=2κm_{\mathrm h}/m_\gamma=\sqrt2\kappa を、κ=0.5\kappa=0.5 と κ=10\kappa=10 で求めよ。
  3. (3) ユニタリゲージ (5.6.22) が、位相 θ\theta が1周で 2πn2\pi n(n≠0n\neq0)変わる場所(渦の中心)を含む領域では全体で取れない理由を述べよ。
解答

(1) ℏc=197.327 eV nm\hbar c=197.327\,\mathrm{eV\,nm} なので mγc2=197.327/50=3.95 eVm_\gamma c^2=197.327/50=3.95\,\mathrm{eV}。mγ=ℏ/(λc)=1.0546×10−34/(5×10−8×2.998×108)=7.04×10−36 kgm_\gamma=\hbar/(\lambda c)=1.0546\times10^{-34}/(5\times10^{-8}\times2.998\times10^8)=7.04\times10^{-36}\,\mathrm{kg} で、電子の質量の 7.72×10−67.72\times10^{-6} 倍である。侵入長が短いほど光子は重い。

(2) κ=0.5\kappa=0.5 で 0.7070.707(振幅の場の方が軽い)、κ=10\kappa=10 で 14.114.1(ベクトル場の方がずっと軽い)。どちらの場が軽いかが、5.6.5節で磁場の入り方が2種類に分かれることと対応する。

(3) Λ=−ℏθ/q\Lambda=-\hbar\theta/q は1周で −2πnℏ/q-2\pi n\hbar/q だけ値がずれ、1価の関数にならない。∇Λ\nabla\Lambda は1価だが、∮∇Λ⋅dl≠0\oint\nabla\Lambda\cdot\mathrm{d}\bm{l}\neq0 なので、A′=A+∇Λ\bm{A}'=\bm{A}+\nabla\Lambda の周回積分は A\bm{A} の周回積分(磁束)から nh/qnh/q だけずれる。そのような点では ∣ψ∣=0\lvert \psi\rvert =0 でなければならず(位相が定まらないため)、ユニタリゲージは渦の中心を除いた領域でだけ使うことができる。

木下の勉強ステータス

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