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選ぶもの:4元ポテンシャルを場とする Lagrangian 密度

2026年10月15日13分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第6章 電磁場の Lagrangian と Maxwell 方程式
目次
  1. 場の変数を何に取るか
  2. Lagrangian 密度の形を決める条件
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第6章 §2.6.1 ★★★ 場の変数は E,B\bm{E},\bm{B} でなく AμA_\mu。Lagrangian 密度は −F2/(4μ0)−J⋅A-F^2/(4\mu_0)-J\cdot A で、3次元では ε0E2/2−B2/(2μ0)−ρϕ+J⋅A\varepsilon _0E^2/2-B^2/(2\mu_0)-\rho\phi+\bm{J}\cdot\bm{A}

学部の電磁気学では、Maxwell 方程式の4本を実験法則(Coulomb の法則・電磁誘導・Ampère の法則)から1本ずつ組み立て、最後に変位電流を足して完成させる。この章では順序を逆にする。最初に Lagrangian 密度を1つ選び、第2部第5章の場の Euler–Lagrange 方程式を当てて、4本がどこから出るかを確かめる。

選ぶ場は4元ポテンシャル Aμ=(ϕ/c,−A)A_\mu=(\phi/c,-\bm{A}) の4成分で、選ぶ Lagrangian 密度は

L=−14μ0FμνFμν−JμAμ,Fμν=∂μAν−∂νAμ\mathcal L=-\frac{1}{4\mu_0}F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}-J^\mu A_\mu,\qquad F_{\mu\nu}=\partial_\mu A_\nu-\partial_\nu A_\mu

である。当てる道具は場の Euler–Lagrange 方程式と、粒子の側では第2部第2章の荷電粒子の Lagrangian である。出てくるものは3つある。1つ目は、Euler–Lagrange 方程式から Gauss の法則と Ampère–Maxwell の法則(変位電流つき)が出ること。2つ目は、残りの2本(∇⋅B=0\nabla\cdot\bm{B}=0 と Faraday の法則)が方程式ではなく、E\bm{E} と B\bm{B} をポテンシャルから作ったことの帰結(恒等式)であること。3つ目は、粒子と場を1つの作用にまとめると Lorentz 力と Maxwell 方程式が同時に出て、真空では速さ c=1/ε0μ0c=1/\sqrt{\varepsilon _0\mu_0} の波が出ること。最後に、学部の授業で習う4本の形と、この章の形を式で並べる。

計量は ημν=diag(+1,−1,−1,−1)\eta_{\mu\nu}=\mathrm{diag}(+1,-1,-1,-1)、座標は xμ=(ct,x)x^\mu=(ct,\bm{x})、∂μ=(1c∂t,∇)\partial_\mu=(\frac1c\partial_t,\nabla) とし、上下に1回ずつ現れるギリシャ添字について和を取る(この本の流儀。第2部第3章)。3次元のラテン添字 i,j,k=1,2,3i,j,k=1,2,3 には和の規約を使わず、和を取るときは ∑\sum を書くかベクトル記法で書く。

場の変数を何に取るか

第2部第5章では、時空の各点に値を持つ場 φa(x)\varphi_a(x) を一般化座標とみなし、作用を

S[φ]=∫L dt d3x=1c∫L(φa,∂μφa) d4x(2.6.1)S[\varphi]=\int\mathcal L\,\mathrm{d} t\,\mathrm{d}^3x=\frac1c\int\mathcal L\bigl(\varphi_a,\partial_\mu\varphi_a\bigr)\,\mathrm{d}^4x\tag{2.6.1}

と書いた。電磁場に当てるには、まず場の変数 φa\varphi_a を何に取るかを決める必要がある。

素直な候補は E\bm{E} と B\bm{B} の6成分である。しかしこの選び方では、第2部第2章で荷電粒子の Lagrangian に現れた結合−qϕ+qr˙⋅A-q\phi+q\dot{\bm{r}}\cdot\bm{A} を書くことができない。粒子と場を1つの作用で扱うには、結合に現れる量を場の変数にする必要がある。そこで、粒子の場合(第2部第2章)にすでに Lagrangian に現れていた量、すなわちスカラーポテンシャル ϕ\phi とベクトルポテンシャル A\bm{A} を場の変数に取る。E\bm{E} と B\bm{B} はそこから

E=−∇ϕ−∂A∂t,B=∇×A(2.6.2)\bm{E}=-\nabla\phi-\frac{\partial \bm{A}}{\partial t},\qquad \bm{B}=\nabla\times\bm{A}\tag{2.6.2}

で作る。4成分をまとめた Aμ=(ϕ/c,A)A^\mu=(\phi/c,\bm{A}) が4元ポテンシャルで、添字を下げると Aμ=(ϕ/c,−A)A_\mu=(\phi/c,-\bm{A}) になる。

AμA_\mu の微分を反対称に組んだ

Fμν≔∂μAν−∂νAμ(2.6.3)F_{\mu\nu}\coloneqq\partial_\mu A_\nu-\partial_\nu A_\mu\tag{2.6.3}

を電磁場テンソルと呼ぶ。成分を書くと、F0i=1c∂tAi−∂iA0F_{0i}=\frac1c\partial_tA_i-\partial_iA_0 で Ai=−AiA_i=-A^i、A0=ϕ/cA_0=\phi/c だからF0i=−1c(∂tAi+∂iϕ)=Ei/cF_{0i}=-\frac1c(\partial_tA^i+\partial_i\phi)=E^i/c となる。空間の成分は F12=∂1A2−∂2A1=−(∂xAy−∂yAx)=−B3F_{12}=\partial_1A_2-\partial_2A_1=-(\partial_xA_y-\partial_yA_x)=-B^3 で、F23=−B1F_{23}=-B^1、F31=−B2F_{31}=-B^2 も同じである。まとめると

Fμν=(0Ex/cEy/cEz/c−Ex/c0−BzBy−Ey/cBz0−Bx−Ez/c−ByBx0),F0i=−Ei/c,Fij=Fij(2.6.4)F_{\mu\nu}=\begin{pmatrix}0&E_x/c&E_y/c&E_z/c\\-E_x/c&0&-B_z&B_y\\-E_y/c&B_z&0&-B_x\\-E_z/c&-B_y&B_x&0\end{pmatrix}, \qquad F^{0i}=-E^i/c,\quad F^{ij}=F_{ij}\tag{2.6.4}

である(行が μ\mu、列が ν\nu)。添字を2つとも上げると、時間の添字を1つだけ含む成分の符号が変わり、空間の添字2つの成分は変わらない。

Lagrangian 密度の形を決める条件

L\mathcal L の形は、次の3つの条件でほぼ決まる。

1つ目は、作用が Lorentz 変換で変わらないこと(第2部第3章で粒子の作用を固有時に取ったのと同じ要請)。d4x\mathrm{d}^4x は Lorentz 変換で変わらないので、L\mathcal L がスカラーであればよい。

2つ目は、場の方程式が AμA_\mu について線形になること。電磁場は重ね合わせの原理に従うので、L\mathcal L は AμA_\mu とその微分の2次式に限る。さらに方程式が時間の2階微分までになるように、微分は1階までにする。

3つ目は、ゲージ変換 Aμ→Aμ−∂μΛA_\mu\to A_\mu-\partial_\mu\Lambda(A→A+∇Λ\bm{A}\to\bm{A}+\nabla\Lambda、ϕ→ϕ−∂tΛ\phi\to\phi-\partial_t\Lambda)でE\bm{E} と B\bm{B} が変わらないので、場だけの部分は FμνF_{\mu\nu} を通してだけ AμA_\mu によること。FμνF_{\mu\nu} がゲージ変換で変わらないことは、∂μ∂νΛ=∂ν∂μΛ\partial_\mu\partial_\nu\Lambda=\partial_\nu\partial_\mu\Lambda から1行で分かる。この条件がなぜ要るのか、という問いは第2部第8章で扱う。

FμνF_{\mu\nu} の2次でスカラーになる組は FμνFμνF_{\mu\nu}F^{\mu\nu} と ϵμνρσFμνFρσ\epsilon^{\mu\nu\rho\sigma}F_{\mu\nu}F_{\rho\sigma} の2つしかない。後者は全微分になって場の方程式に何も足さないこと(例題 2.6.1)が分かるので、場だけの部分は FμνFμνF_{\mu\nu}F^{\mu\nu} の定数倍に決まる。成分で計算すると、式 (2.6.4) から

FμνFμν=2∑iF0iF0i+∑i,jFijFij=−2E2c2+2B2(2.6.5)F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}=2\sum_iF_{0i}F^{0i}+\sum_{i,j}F_{ij}F^{ij}=-\frac{2E^2}{c^2}+2B^2\tag{2.6.5}

である。前の係数は −14μ0-\frac{1}{4\mu_0} に取る。符号は、E2E^2 の項(∂tA\partial_t\bm{A} の2乗を含む項)が正になるように選ぶ。粒子の L=T−VL=T-V で速度の2乗の項が正であるのと同じで、この符号を逆にするとエネルギーが下に有界でなくなる。大きさ 1/μ01/\mu_0 は、次の節で Gauss の法則が ∇⋅E=ρ/ε0\nabla\cdot\bm{E}=\rho/\varepsilon _0(Coulomb の法則)の形になるように決まる。

源との結合は、荷電粒子の作用 −q∫Aμ dxμ-q\int A_\mu\,\mathrm{d} x^\mu(第2部第2章・第2部第3章)を連続的な電荷に広げた −JμAμ-J^\mu A_\mu に取る。ここで Jμ=(cρ,J)J^\mu=(c\rho,\bm{J}) は4元電流である。以上をまとめて、この章で選ぶ Lagrangian 密度は

  L=−14μ0FμνFμν−JμAμ  (2.6.6)\boxed{\;\mathcal L=-\frac{1}{4\mu_0}F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}-J^\mu A_\mu\;}\tag{2.6.6}

である。式 (2.6.5) と JμAμ=cρ⋅ϕ/c−J⋅AJ^\mu A_\mu=c\rho\cdot\phi/c-\bm{J}\cdot\bm{A}、ε0=1/(μ0c2)\varepsilon _0=1/(\mu_0c^2) を使って3次元の量で書き直すと

L=ε02E2−12μ0B2−ρϕ+J⋅A=ε02(∇ϕ+∂A∂t)2−12μ0(∇×A)2−ρϕ+J⋅A(2.6.7)\mathcal L=\frac{\varepsilon _0}{2}E^2-\frac{1}{2\mu_0}B^2-\rho\phi+\bm{J}\cdot\bm{A} =\frac{\varepsilon _0}{2}\Bigl(\nabla\phi+\frac{\partial \bm{A}}{\partial t}\Bigr)^2-\frac{1}{2\mu_0}(\nabla\times\bm{A})^2-\rho\phi+\bm{J}\cdot\bm{A}\tag{2.6.7}

となる。場の変数 ϕ,A\phi,\bm{A} で書くと、∂tA\partial_t\bm{A} の2乗が第1項に入り、空間微分の2乗が第2項に入る。第1項は粒子の運動エネルギー、第2項はばねの位置エネルギーに当たり、第2部第4章で原子の列から作った弦の場L=ρ2(∂tu)2−Y2(∂xu)2\mathcal L=\frac{\rho}{2}(\partial_tu)^2-\frac{Y}{2}(\partial_xu)^2(ρ\rho は線密度、YY は弾性率で、この節の電荷密度 ρ\rho とは別の量)と同じ「時間微分の2乗 −- 空間微分の2乗」の形をしている。

なぜ E,B\bm{E},\bm{B} でなく ϕ,A\phi,\bm{A} なのか

作用の停留は「一般化座標をずらしても作用が1次で変わらない」という条件で、出てくる方程式の本数は一般化座標の数(場なら場の成分の数)と同じである。AμA_\mu は4成分なので、Euler–Lagrange 方程式は4本しか出ない。Maxwell 方程式は成分で数えると 1+3+1+3=81+3+1+3=8 本ある。残りの4本は、E,B\bm{E},\bm{B} を式 (2.6.2) で作った時点で自動的に満たされる(2.6.4節)。E,B\bm{E},\bm{B} を変数に取ると、この4本の恒等式を方程式として別に課す必要が生じ、作用1つから全部を出すことができなくなる。

例題 2.6.1 E⋅B\bm{E}\cdot\bm{B} を Lagrangian 密度に足しても方程式は変わらない ★★

オリジナルもう1つのスカラー ϵμνρσFμνFρσ\epsilon^{\mu\nu\rho\sigma}F_{\mu\nu}F_{\rho\sigma}(ϵ0123=+1\epsilon^{0123}=+1)について考える。

  1. (1) ϵμνρσFμνFρσ=−8 E⋅B/c\epsilon^{\mu\nu\rho\sigma}F_{\mu\nu}F_{\rho\sigma}=-8\,\bm{E}\cdot\bm{B}/c を示せ。
  2. (2) 式 (2.6.2) を使ってE⋅B=−12∂∂t(A⋅B)−∇⋅(ϕB+12A×∂tA)\bm{E}\cdot\bm{B}=-\frac12\frac{\partial }{\partial t}(\bm{A}\cdot\bm{B})-\nabla\cdot\bigl(\phi\bm{B}+\frac12\bm{A}\times\partial_t\bm{A}\bigr) を示せ。
  3. (3) 定数 θ\theta について L\mathcal L に θ E⋅B\theta\,\bm{E}\cdot\bm{B} を足しても、場の Euler–Lagrange 方程式が変わらない理由を述べよ。
解答

(1) ϵμνρσ\epsilon^{\mu\nu\rho\sigma} は添字がすべて異なるときだけ 00 でないので、(μ,ν)(\mu,\nu) と (ρ,σ)(\rho,\sigma) のどちらか一方に必ず 00 が入る。00 が (μ,ν)(\mu,\nu) に入る場合、μ=0\mu=0 と ν=0\nu=0 の2通りが反対称性で同じ値になり、00 が (ρ,σ)(\rho,\sigma) に入る場合も同じ値なので、全体は4∑i,j,kϵ0ijkF0iFjk4\sum_{i,j,k}\epsilon^{0ijk}F_{0i}F_{jk} になる。ϵ0ijk=ϵijk\epsilon^{0ijk}=\epsilon_{ijk}(3次元の Levi-Civita、ϵ123=+1\epsilon_{123}=+1)で、式 (2.6.4) から Fjk=−∑lϵjklBlF_{jk}=-\sum_l\epsilon_{jkl}B_l なので、∑j,kϵijkϵjkl=2δil\sum_{j,k}\epsilon_{ijk}\epsilon_{jkl}=2\delta_{il} を使うと

4∑iF0i∑j,kϵijkFjk=4∑iEic(−2Bi)=−8cE⋅B.4\sum_{i}F_{0i}\sum_{j,k}\epsilon_{ijk}F_{jk}=4\sum_i\frac{E_i}{c}(-2B_i)=-\frac{8}{c}\bm{E}\cdot\bm{B} .

(2) −∇ϕ⋅B=−∇⋅(ϕB)+ϕ∇⋅B-\nabla\phi\cdot\bm{B}=-\nabla\cdot(\phi\bm{B})+\phi\nabla\cdot\bm{B} で、∇⋅B=∇⋅(∇×A)=0\nabla\cdot\bm{B}=\nabla\cdot(\nabla\times\bm{A})=0 だから第2項は消える。残りの −∂tA⋅B-\partial_t\bm{A}\cdot\bm{B} には、2つの恒等式

∂∂t(A⋅∇×A)=∂tA⋅∇×A+A⋅∇×∂tA,∇⋅(A×∂tA)=∂tA⋅∇×A−A⋅∇×∂tA\frac{\partial }{\partial t}\bigl(\bm{A}\cdot\nabla\times\bm{A}\bigr)=\partial_t\bm{A}\cdot\nabla\times\bm{A}+\bm{A}\cdot\nabla\times\partial_t\bm{A},\qquad \nabla\cdot(\bm{A}\times\partial_t\bm{A})=\partial_t\bm{A}\cdot\nabla\times\bm{A}-\bm{A}\cdot\nabla\times\partial_t\bm{A}

を足して 2 ∂tA⋅B=∂t(A⋅B)+∇⋅(A×∂tA)2\,\partial_t\bm{A}\cdot\bm{B}=\partial_t(\bm{A}\cdot\bm{B})+\nabla\cdot(\bm{A}\times\partial_t\bm{A}) を得る。合わせると示す式になる。

(3) (2) により E⋅B=∂μKμ\bm{E}\cdot\bm{B}=\partial_\mu K^\mu の形(4元の発散)に書ける。発散を時空で積分すると、Gauss の定理で時空の領域の境界の上の積分になる。場の変分は境界で 00 に取るので、作用の変分 δS\delta S は θ E⋅B\theta\,\bm{E}\cdot\bm{B} の項から何も受け取らない。これは第1部第4章で、LL に時間の全微分を足しても Euler–Lagrange 方程式が変わらなかったことの場の版である。直接計算しても、ϕ\phi と Ax,Ay,AzA_x,A_y,A_z の4本の Euler–Lagrange 方程式で θ E⋅B\theta\,\bm{E}\cdot\bm{B} からの寄与は恒等的に 00 になる(検算スクリプトで確かめた)。したがって、場の方程式を決めるスカラーは FμνFμνF_{\mu\nu}F^{\mu\nu} だけになる。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

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