tecktom.com

この章で選ぶ作用:世界線の固有時

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第3章 相対論的粒子の作用
目次
  1. 世界間隔と固有時
  2. 選ぶ作用
  3. 作用の停留は固有時の最大
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第3章 §2.3.1 ★★★ 作用 S=−mc2∫dτS=-mc^2\int\mathrm{d}\tau を書き、それがどの慣性系でも同じ値になる理由と、負号を付ける理由を確かめる

第1部第5章では、自由粒子の Lagrangian L=12mv2L=\frac12mv^2 を、空間と時間の一様性・空間の等方性・Galilei 変換で運動方程式が変わらないこと、という3つの要請から決めた。この章では最後の要請を Lorentz 変換に取り替える。同じ手順を踏むと、答えは

L=−mc21−v2c2,S[r]=∫L dt=−mc2∫dτL=-mc^2\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}},\qquad S[\bm{r}]=\int L\,\mathrm{d} t=-mc^2\int\mathrm{d}\tau

に変わる。作用は粒子の世界線に沿って測った固有時 τ\tau に −mc2-mc^2 を掛けたものになり、どの慣性系で計算しても同じ値をとる。この1行を選べば、あとは第1部の道具を順に当てるだけである。Euler–Lagrange 方程式から運動量 p=γmv\bm{p}=\gamma m\bm{v} が、Legendre 変換からエネルギー E=γmc2E=\gamma mc^2 と静止エネルギー mc2mc^2 が、Noether の定理から時空の並進に対するエネルギーと運動量の保存が出る。Lorentz 変換(ブースト)に対する Noether の保存量は、エネルギーで重みを付けた重心が等速で動くことを表す。

作用を時刻 tt でなく世界線の任意の径数 λ\lambda で書き直すと、時間と空間が同じ形で並び、運動量とエネルギーは4元運動量 pμ=(E/c,p)p^\mu=(E/c,\bm{p}) という1つの量にまとまる。この書き方では Legendre 変換がそのままでは働かず、HH は恒等的に 00 になり、代わりに拘束 pμpμ=m2c2p_\mu p^\mu=m^2c^2 が残る。この拘束は後で量子力学の Klein–Gordon 方程式へ、径数の選び方の自由度は一般相対論の測地線へつながる。最後に、力が働く場合(一様な力と電磁場)を扱い、学部の特殊相対論の授業で習う式と1つずつ対応させる。この章を通して計量は ημν=diag(+1,−1,−1,−1)\eta_{\mu\nu}=\mathrm{diag}(+1,-1,-1,-1) とし、上下に1回ずつ現れるギリシャ添字だけ和をとる。

世界間隔と固有時

時刻 tt と位置 x\bm{x} をまとめて xμ=(ct,x)x^\mu=(ct,\bm{x}) と書く(μ=0,1,2,3\mu=0,1,2,3)。近い2つの出来事の間の世界間隔を

ds2=ημν dxμdxν=c2dt2−dx2(2.3.1)\mathrm{d} s^2=\eta_{\mu\nu}\,\mathrm{d} x^\mu\mathrm{d} x^\nu=c^2\mathrm{d} t^2-\mathrm{d}\bm{x}^2\tag{2.3.1}

と定める。xx 方向に速さ uu で動く慣性系への Lorentz 変換

ct′=γu(ct−ucx),x′=γu(x−ut),y′=y,z′=z,γu=11−u2/c2(2.3.2)ct'=\gamma_u\Bigl(ct-\frac{u}{c}x\Bigr),\qquad x'=\gamma_u(x-ut),\qquad y'=y,\quad z'=z,\qquad \gamma_u=\frac{1}{\sqrt{1-u^2/c^2}}\tag{2.3.2}

で ds2\mathrm{d} s^2 は変わらない。u/c=tanh⁡αu/c=\tanh\alpha とおくと、式 (2.3.2) は (ct,x)(ct,x) 平面で cosh⁡α\cosh\alpha・sinh⁡α\sinh\alpha を成分にもつ行列を掛ける変換になり、c2t2−x2c^2t^2-x^2 を保つことは第1部第9章の例題で双曲線の回転として確かめた(第1部第9章)。α\alpha を rapidity と呼ぶ。

粒子が速度 v=dxdt\bm{v}=\frac{\mathrm{d} \bm{x}}{\mathrm{d} t}(∣v∣<c\lvert \bm{v}\rvert <c)で動くとき、世界線に沿って ds2=c2dt2(1−v2/c2)>0\mathrm{d} s^2=c^2\mathrm{d} t^2(1-v^2/c^2)>0 である。そこで

dτ=dsc=1−v2c2 dt=dtγ,γ=11−v2/c2(2.3.3)\mathrm{d}\tau=\frac{\mathrm{d} s}{c}=\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}\,\mathrm{d} t=\frac{\mathrm{d} t}{\gamma},\qquad \gamma=\frac{1}{\sqrt{1-v^2/c^2}}\tag{2.3.3}

を固有時と呼ぶ。ds\mathrm{d} s がどの慣性系でも同じなので、dτ\mathrm{d}\tau も同じである。粒子と一緒に動く時計は、その瞬間の静止系で測った時刻を刻むので、dτ\mathrm{d}\tau は粒子が持ち歩く時計の進みにあたる。世界線の始点と終点を決めれば、τ=∫dτ\tau=\int\mathrm{d}\tau は世界線という曲線の「長さ」のような量で、観測者の選び方によらない。

選ぶ作用

定義 2.3.1(相対論的な自由粒子の作用)

質量 m>0m>0 の自由粒子の作用を

S[x]=−mc∫ds=−mc2∫t1t21−v2c2 dt,L=−mc21−v2c2(2.3.4)S[\bm{x}]=-mc\int\mathrm{d} s=-mc^2\int_{t_1}^{t_2}\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}\,\mathrm{d} t,\qquad L=-mc^2\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}\tag{2.3.4}

と選ぶ。作用は世界線の固有時 τ\tau に −mc2-mc^2 を掛けたものである。

この作用を選ぶ理由は2つある。1つ目は、SS がどの慣性系で計算しても同じ値になることで、そのため Euler–Lagrange 方程式もどの慣性系で同じ形になる。この性質は相対性原理の要請そのものであり、2.3.2節では逆に、この要請から LL の形が決まることを示す。2つ目は、遅い粒子で第1部第5章の LL に戻ることである。v≪cv\ll c で展開すると

L=−mc2+12mv2+mv48c2+⋯(2.3.5)L=-mc^2+\frac12mv^2+\frac{mv^4}{8c^2}+\cdots\tag{2.3.5}

となり、定数 −mc2-mc^2 は運動に関係しない(第1部第5章)。v2v^2 の係数を 12m\frac12m にそろえるには前の係数が −mc2-mc^2 でなければならず、+mc2+mc^2 を選ぶと運動エネルギーの符号が逆になる。前の係数の大きさと符号は、遅い極限で Newton 力学に戻すという条件で決まっている。

作用の停留は固有時の最大

S=−mc2τS=-mc^2\tau なので、作用が最小になる世界線は固有時が最大になる世界線である。端の出来事を2つ固定したとき、まっすぐな世界線(等速直線運動)が固有時を最大にすることは2.3.3節で一般に示す。ここでは例で確かめる。

例題 2.3.1 3つの世界線の固有時 ★★★

オリジナル地上の時計で t=0t=0 に x=0x=0 を出発し、t=T=10t=T=10 年に x=0x=0 に戻る世界線を3つ比べる。

  1. (1) x=0x=0 に留まる世界線の固有時 τ1\tau_1 を求めよ。
  2. (2) 0≤t≤T/20\le t\le T/2 では x=0.6 ctx=0.6\,ct、T/2≤t≤TT/2\le t\le T では x=0.6 c(T−t)x=0.6\,c(T-t) と動く世界線の固有時 τ2\tau_2 を求めよ。
  3. (3) x=Asin⁡(πt/T)x=A\sin(\pi t/T)(A=0.6 cT/πA=0.6\,cT/\pi。最大の速さが 0.6c0.6c)の世界線の固有時 τ3\tau_3 を、第2種完全楕円積分 E(k)=∫0π/21−k2sin⁡2θ dθE(k)=\int_0^{\pi/2}\sqrt{1-k^2\sin^2\theta}\,\mathrm{d}\theta で表し、数値で求めよ。
  4. (4) 3つの作用 S=−mc2τS=-mc^2\tau の大小を述べよ。
解答

(1) 速さが 00 なので dτ=dt\mathrm{d}\tau=\mathrm{d} t、τ1=T=10\tau_1=T=10 年。

(2) 速さは往きも帰りも 0.6c0.6c で、1−0.36=0.8\sqrt{1-0.36}=0.8。τ2=0.8 T=8\tau_2=0.8\,T=8 年。

(3) x˙=0.6 ccos⁡(πt/T)\dot x=0.6\,c\cos(\pi t/T) なので

τ3=∫0T1−0.36cos⁡2πtT dt=Tπ∫0π1−0.36cos⁡2θ dθ=2TπE(0.6).\tau_3=\int_0^T\sqrt{1-0.36\cos^2\frac{\pi t}{T}}\,\mathrm{d} t=\frac{T}{\pi}\int_0^{\pi}\sqrt{1-0.36\cos^2\theta}\,\mathrm{d}\theta=\frac{2T}{\pi}E(0.6).

(θ→π/2−θ\theta\to\pi/2-\theta で cos⁡\cos を sin⁡\sin に替え、被積分関数が θ=π/2\theta=\pi/2 について対称であることを使った。)E(0.6)=1.4181E(0.6)=1.4181 なので τ3=0.9028 T=9.03\tau_3=0.9028\,T=9.03 年。

(4) τ1>τ3>τ2\tau_1>\tau_3>\tau_2 なので S1<S3<S2S_1<S_3<S_2。動かない世界線の作用が最も小さい。同じ端の出来事を結ぶ世界線の中で、等速の世界線(この慣性系では静止)の固有時が最も長い。滑らかに加速する世界線(3)は、最大の速さが同じでも、速い時間が短いぶん(2)より固有時が長い。

図

図 2.3.1 同じ2つの出来事 (0,0)(0,0) と (0,10 光年)(0,10\,\text{光年}) を結ぶ3つの世界線(例題 2.3.1)。どの世界線も光の世界線(破線)より内側にあり、ds2>0\mathrm{d} s^2>0 である。まっすぐな世界線の固有時が最も長く、作用 S=−mc2τS=-mc^2\tau が最も小さい。3本とも近似を含まない

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『虎の巻』の記事一覧へ