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無限小変換:ほんの少しだけずらす

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第9章 無限小変換と生成子
目次
  1. パラメータで番号をつけた変換の族
  2. 1次の変化だけを取り出す
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部 第9章 §1.9.1 ★★★ 連続的な変換の族をパラメータで微分すると、各点を動かす向き K(q)K(q) が残る

回転・並進・時間発展は、物理のあらゆる場面に出てくる変換である。学部の授業では、回転は行列 (cos⁡α−sin⁡αsin⁡αcos⁡α)\left(\begin{smallmatrix}\cos\alpha&-\sin\alpha\\ \sin\alpha&\cos\alpha\end{smallmatrix}\right) で、並進は x→x+ax\to x+a で、時間発展は運動方程式の解として、それぞれ別々の道具で扱われる。この章では、これら3つを同じ1つの形で書く。そのために使うのは、変換を「ほんの少しだけ」行ったときの1次の変化、つまり無限小変換だけを取り出すことである。連続的に変えられる変換は、無限小変換を何度も重ねれば有限の変換に戻せるので、無限小変換が分かれば変換全体が分かる。

相空間(qq と pp の空間。第1部第8章)の上の無限小変換のうち、Hamilton 方程式と相性のよいものは、すべて1つの関数 G(q,p)G(q,p) を使って

δqi=ϵ∂G∂pi,δpi=−ϵ∂G∂qi\delta q_i=\epsilon\frac{\partial G}{\partial p_i},\qquad \delta p_i=-\epsilon\frac{\partial G}{\partial q_i}

と書くことができる。この GG を変換の生成子と呼ぶ。並進の生成子は運動量 pp、回転の生成子は角運動量 LzL_z、時間発展の生成子は Hamiltonian HH である。時間発展の場合に上の式が Hamilton 方程式そのものになることが、この形を選ぶ理由の1つになる。

この章の道具は6つの節に分かれる。1.9.1節で無限小変換を定義し、1.9.2節で無限小変換から有限の変換を組み立てる。1.9.3節で相空間の無限小変換に生成子があることを示し、1.9.4節で並進・回転・時間発展を1つの表に並べる。1.9.5節で量子力学の同じ形(U^=e−iϵG^/ℏ\hat U=\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\epsilon\hat G/\hbar})を見て、1.9.6節で授業で習った形と対応させる。生成子が保存量になること(Noether の定理)は1.9.4節で一言だけ予告し、本体は次の章(第1部第10章)で扱う。生成子どうしの括弧の計算規則(Poisson 括弧)は 第1部第11章、有限の変換としての正準変換と母関数は 第1部第12章で扱う。

パラメータで番号をつけた変換の族

平面の点 (x,y)(x,y) を原点のまわりに角 α\alpha だけ反時計回りに回す変換を Φα\Phi_\alpha と書く。

Φα(x,y)=(xcos⁡α−ysin⁡α, xsin⁡α+ycos⁡α).(1.9.1)\Phi_\alpha(x,y)=(x\cos\alpha-y\sin\alpha,\ x\sin\alpha+y\cos\alpha).\tag{1.9.1}

α\alpha は実数を連続的に動けるので、Φα\Phi_\alpha は1つの変換ではなく、実数 α\alpha で番号をつけた変換の族である。この族は2つの性質を持つ。1つは Φ0\Phi_0 が何も動かさない恒等変換であること、もう1つは角 β\beta 回してから角 α\alpha 回すと角 α+β\alpha+\beta 回したことになる、という合成の規則

Φα∘Φβ=Φα+β(1.9.2)\Phi_\alpha\circ\Phi_\beta=\Phi_{\alpha+\beta}\tag{1.9.2}

である。並進 Φα(x)=x+α\Phi_\alpha(x)=x+\alpha もこの2つを満たす。

時間発展もこの形に入る。外から時間に依存する力がかからない系では、時刻 00 の状態を入れて時刻 α\alpha の状態を返す対応を Φα\Phi_\alpha とすると、Φ0\Phi_0 は恒等変換で、β\beta だけ時間を進めてからさらに α\alpha だけ進めると α+β\alpha+\beta だけ進めたことになるので、式 (1.9.2) が成り立つ。この章では、恒等変換から始まり式 (1.9.2) を満たす変換の族を1径数変換群と呼ぶ。「1径数」はパラメータが1つの実数であること、「群」は合成の規則 (1.9.2) で閉じていることを指す。

1次の変化だけを取り出す

Φα\Phi_\alpha を α=0\alpha=0 のまわりで展開すると、Φ0\Phi_0 が恒等変換なので

Φϵ(q)=q+ϵK(q)+O(ϵ2),K(q)≔ddαΦα(q)∣α=0\Phi_\epsilon(q)=q+\epsilon K(q)+\mathcal{O}(\epsilon^2),\qquad K(q)\coloneqq\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} \alpha}\Phi_\alpha(q)\Big|_{\alpha=0}

となる。ここで q=(q1,…,qf)q=(q_1,\dots,q_f) は変換を受ける点の座標、K=(K1,…,Kf)K=(K_1,\dots,K_f) は各点に1本ずつ付いたベクトルで、その点を「どちら向きにどれだけの速さで動かすか」を表す。

定義 1.9.1(無限小変換)

1径数変換群 Φα\Phi_\alpha に対して、K(q)=ddαΦα(q)∣α=0K(q)=\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} \alpha}\Phi_\alpha(q)\big|_{\alpha=0} を変換の向きと呼び、

δqi=ϵKi(q)(i=1,…,f)(1.9.3)\delta q_i=\epsilon K_i(q)\qquad(i=1,\dots,f)\tag{1.9.3}

をパラメータ ϵ\epsilon の無限小変換と呼ぶ。

式 (1.9.3) の δ\delta は、第1部第3章の変分と同じく「ϵ\epsilon で微分して ϵ\epsilon を掛けたもの」で、O(ϵ2)\mathcal{O}(\epsilon^2) の項を捨てた近似ではない。δq=ϵK\delta q=\epsilon K は「ϵ\epsilon が小さいときの差 Φϵ(q)−q\Phi_\epsilon(q)-q」と1次で一致するが、定義そのものは α=0\alpha=0 での微分である。第3章の変分との違いは、変分 δq(t)=ϵη(t)\delta q(t)=\epsilon\eta(t) では経路の各時刻を好きな向き η(t)\eta(t) にずらしたのに対して、無限小変換では点の位置 qq だけで決まる規則 K(q)K(q) に従って全部の点を一斉にずらすことにある。

回転 (1.9.1) では、cos⁡α=1+O(α2)\cos\alpha=1+\mathcal{O}(\alpha^2), sin⁡α=α+O(α3)\sin\alpha=\alpha+\mathcal{O}(\alpha^3) なので

δx=−ϵy,δy=ϵx,K(x,y)=(−y, x)(1.9.4)\delta x=-\epsilon y,\qquad \delta y=\epsilon x,\qquad K(x,y)=(-y,\ x)\tag{1.9.4}

となる。向き KK は位置ベクトル (x,y)(x,y) に垂直で、長さは原点からの距離に比例する。原点を中心とする円に接する向きに、半径に比例する速さで動かすのが回転の無限小変換である。並進 x→x+αx\to x+\alpha では K=1K=1 で、すべての点を同じ向きに同じ量だけ動かす。

無限小回転では、距離の2乗 x2+y2x^2+y^2 の1次の変化は 2x δx+2y δy=2ϵ(−xy+yx)=02x\,\delta x+2y\,\delta y=2\epsilon(-xy+yx)=0 である。回転が距離を変えないことは、無限小変換の段階で「1次の変化が 00」という形で読み取ることができる。2次の項まで見ると (x−ϵy)2+(y+ϵx)2=(1+ϵ2)(x2+y2)(x-\epsilon y)^2+(y+\epsilon x)^2=(1+\epsilon^2)(x^2+y^2) で、x→x−ϵyx\to x-\epsilon y, y→y+ϵxy\to y+\epsilon x という1次式の写像そのものは距離をわずかに変える。この ϵ2\epsilon^2 のずれを重ねると何が起こるかは次の節で調べる。

例題 1.9.1 双曲線の回転の無限小変換 ★★

オリジナル平面の変換の族 Φα(x,y)=(xcosh⁡α+ysinh⁡α, xsinh⁡α+ycosh⁡α)\Phi_\alpha(x,y)=(x\cosh\alpha+y\sinh\alpha,\ x\sinh\alpha+y\cosh\alpha) について次に答えよ。

  1. (1) Φα\Phi_\alpha が1径数変換群であること(Φ0\Phi_0 が恒等変換で、Φα∘Φβ=Φα+β\Phi_\alpha\circ\Phi_\beta=\Phi_{\alpha+\beta})を示せ。
  2. (2) 向き K(x,y)K(x,y) を求めよ。
  3. (3) 無限小変換で x2−y2x^2-y^2 の1次の変化が 00 であることを示し、有限の Φα\Phi_\alpha でも x2−y2x^2-y^2 が変わらないことを確かめよ。
解答

(1) cosh⁡0=1\cosh0=1, sinh⁡0=0\sinh0=0 なので Φ0(x,y)=(x,y)\Phi_0(x,y)=(x,y)。Φβ\Phi_\beta は行列 B(β)=(cosh⁡βsinh⁡βsinh⁡βcosh⁡β)B(\beta)=\left(\begin{smallmatrix}\cosh\beta&\sinh\beta\\ \sinh\beta&\cosh\beta\end{smallmatrix}\right) を掛ける変換で、

B(α)B(β)=(cosh⁡αcosh⁡β+sinh⁡αsinh⁡βcosh⁡αsinh⁡β+sinh⁡αcosh⁡βsinh⁡αcosh⁡β+cosh⁡αsinh⁡βsinh⁡αsinh⁡β+cosh⁡αcosh⁡β)=B(α+β)B(\alpha)B(\beta)=\begin{pmatrix}\cosh\alpha\cosh\beta+\sinh\alpha\sinh\beta & \cosh\alpha\sinh\beta+\sinh\alpha\cosh\beta\\ \sinh\alpha\cosh\beta+\cosh\alpha\sinh\beta & \sinh\alpha\sinh\beta+\cosh\alpha\cosh\beta\end{pmatrix}=B(\alpha+\beta)

が双曲線関数の加法定理から成り立つ。よって Φα∘Φβ=Φα+β\Phi_\alpha\circ\Phi_\beta=\Phi_{\alpha+\beta}。

(2) ddαcosh⁡α∣0=0\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} \alpha}\cosh\alpha\big|_0=0, ddαsinh⁡α∣0=1\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} \alpha}\sinh\alpha\big|_0=1 なので K(x,y)=(y, x)K(x,y)=(y,\ x)、すなわち δx=ϵy\delta x=\epsilon y, δy=ϵx\delta y=\epsilon x。

(3) 1次の変化は 2x δx−2y δy=2ϵ(xy−yx)=02x\,\delta x-2y\,\delta y=2\epsilon(xy-yx)=0。有限の変換では

(xcosh⁡α+ysinh⁡α)2−(xsinh⁡α+ycosh⁡α)2=(x2−y2)(cosh⁡2α−sinh⁡2α)=x2−y2.(x\cosh\alpha+y\sinh\alpha)^2-(x\sinh\alpha+y\cosh\alpha)^2=(x^2-y^2)(\cosh^2\alpha-\sinh^2\alpha)=x^2-y^2 .

回転が x2+y2x^2+y^2 を保つのと同じ形で、この変換は x2−y2x^2-y^2 を保つ。xx を ctct、yy を空間座標と読めば、これは Lorentz 変換(パラメータ α\alpha は rapidity)で、保たれる量は世界間隔 c2t2−y2c^2t^2-y^2 にあたる(第2部第3章)。

木下の勉強ステータス

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