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出てくるもの3:コヒーレンス長と2種類の超伝導体

2026年10月15日12分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第6章 Ginzburg–Landau 理論と Meissner 効果
目次
  1. 振幅の変わる長さ
  2. 界面エネルギーの符号
  3. 上部臨界磁場は Landau 準位で決まる
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部 第6章 §5.6.5 ★★★ 振幅の変わる長さ ξ\xi と磁場の侵入長 λ\lambda の比 κ\kappa で界面エネルギーの符号が変わり、κ>1/2\kappa>1/\sqrt2 では磁束量子の渦として磁場を受け入れる

振幅の変わる長さ

磁場が無い1次元の問題で、x=0x=0 で ψ=0\psi=0 に押さえられた秩序が x>0x>0 で回復する様子を求める。A=0\bm{A}=0 で ψ\psi を実数に取ると、GL 方程式 (5.6.8) は−ℏ22m∗ψ′′−∣a∣ψ+bψ3=0-\frac{\hbar^2}{2m^*}\psi''-\lvert a\rvert \psi+b\psi^3=0 で、∣a∣\lvert a\rvert で割ると

−ξ2ψ′′−ψ+ψ3∣ψ0∣2=0.(5.6.28)-\xi^2\psi''-\psi+\frac{\psi^3}{\lvert \psi_0\rvert ^2}=0.\tag{5.6.28}

第3部第10章の磁壁と同じく、これは xx を時間とみなした力学の運動方程式で、xx を含まないので「エネルギー」ξ2ψ′2−ψ2+ψ4/(2∣ψ0∣2)\xi^2\psi'^2-\psi^2+\psi^4/(2\lvert \psi_0\rvert ^2) が保存する。x→∞x\to\infty で ψ→∣ψ0∣\psi\to\lvert \psi_0\rvert, ψ′→0\psi'\to0 から保存量は −∣ψ0∣2/2-\lvert \psi_0\rvert ^2/2 で、積分すると

ψ(x)=∣ψ0∣tanh⁡x2 ξ(5.6.29)\psi(x)=\lvert \psi_0\rvert \tanh\frac{x}{\sqrt2\,\xi}\tag{5.6.29}

を得る。ξ\xi は秩序の振幅が変わる長さで、コヒーレンス長と呼ぶ。式 (5.6.27) から ξ∝(Tc−T)−1/2\xi\propto(T_{\mathrm c}-T)^{-1/2} で、λ\lambda と同じ温度依存性を持つ。そのため2つの比

κ=λξ,κ2=2m∗2bμ0q2ℏ2(5.6.30)\kappa=\frac\lambda\xi,\qquad\kappa^2=\frac{2m^{*2}b}{\mu_0q^2\hbar^2}\tag{5.6.30}

は TcT_{\mathrm c} の近くで温度によらず、物質ごとに決まる定数になる。

界面エネルギーの符号

外場 Ba=BcB_{\mathrm a}=B_{\mathrm c} で、常伝導の領域(x→−∞x\to-\infty)と超伝導の領域(x→+∞x\to+\infty)が平らな界面で接しているとする。式 (5.6.6) から、両側の Gibbs のポテンシャル (5.6.5) の密度は等しい。界面の単位面積あたりの余分のエネルギー σ\sigma は、ψ\psi を実数に取るゲージで

σ=∫−∞∞dx [ℏ22m∗ψ′2+q2ψ22m∗Ay2+aψ2+b2ψ4+(Bz−Bc)22μ0](5.6.31)\sigma=\int_{-\infty}^{\infty}\mathrm{d} x\,\Bigl[\frac{\hbar^2}{2m^*}\psi'^2+\frac{q^2\psi^2}{2m^*}A_y^2+a\psi^2+\frac b2\psi^4+\frac{(B_z-B_{\mathrm c})^2}{2\mu_0}\Bigr]\tag{5.6.31}

である(被積分関数は両側の遠方で 00 になるように、一様な状態の値を引いてある)。界面の超伝導側では、秩序が回復するまでの厚さ ξ\xi ほどの層で凝縮の得が失われ、σ\sigma を正にする。一方、磁場は厚さ λ\lambda ほどの層まで入り、そこでは磁場を追い出す損を払わずに済むので、σ\sigma を負にする。どちらが勝つかは κ=λ/ξ\kappa=\lambda/\xi で決まる。

GL 方程式 (5.6.8)・(5.6.11) をこの境界条件で数値的に解き、式 (5.6.31) を計算すると図 5.6.3 になる。σ\sigma はちょうど κ=1/2\kappa=1/\sqrt2 で 00 になり、それより小さい κ\kappa では正、大きい κ\kappa では負である。κ→0\kappa\to0 では磁場は界面で階段状に消え、σ\sigma は秩序の回復の損だけになって (42/3) ξBc2/(2μ0)(4\sqrt2/3)\,\xi B_{\mathrm c}^2/(2\mu_0) に近づく(例題 5.6.7。数値解の近づき方は遅い)。κ→∞\kappa\to\infty では σ→−83(2−1)λBc2/(2μ0)≈−1.10 λBc2/(2μ0)\sigma\to-\frac83(\sqrt2-1)\lambda B_{\mathrm c}^2/(2\mu_0)\approx-1.10\,\lambda B_{\mathrm c}^2/(2\mu_0) になる。σ=0\sigma=0 となる値が 1/21/\sqrt2 であることは、Ginzburg と Landau の1950年の論文で既に得られていた。

図

図 5.6.3 常伝導と超伝導の界面のエネルギー σ\sigma(式 (5.6.31))。点線は GL 方程式の数値解(verify_ch5-06.py で計算)、青の実線は κ→∞\kappa\to\infty の極限の値。κ=1/2\kappa=1/\sqrt2 で符号が変わる。

σ>0\sigma>0 の物質(第一種超伝導体)では、界面を作ると損なので、外場が BcB_{\mathrm c} を超えるまで磁場を全部追い出し、BcB_{\mathrm c} で一斉に常伝導へ移る。σ<0\sigma<0 の物質(第二種超伝導体)では、界面を作るほど得なので、外場がある値 Bc1B_{\mathrm c1} を超えると、磁場は細い常伝導の芯を持つ渦として入り込み、界面の面積を増やそうとする。渦1本が運ぶ磁束は、芯のまわりで位相が 2π2\pi 回ることから式 (5.6.18) で Φ0\Phi_0 である(それより細かく分けられないので、渦は磁束の量子1本ずつになる)。A. A. Abrikosov(1957)は GL 方程式から、渦が三角格子などの格子を組む混合状態を導いた(A. A. Abrikosov (1957), Zh. Eksp. Teor. Fiz. 32, 1442)。

上部臨界磁場は Landau 準位で決まる

第二種超伝導体で外場を上げていくと、渦が詰まって ∣ψ∣\lvert \psi\rvert は全体に小さくなり、ある磁場 Bc2B_{\mathrm c2} で 00 になる。Bc2B_{\mathrm c2} のすぐ下では ψ\psi が小さいので、GL 方程式 (5.6.8) の非線形の項を落とした

12m∗(−iℏ∇−qA)2ψ=∣a∣ψ(5.6.32)\frac{1}{2m^*}(-\mathrm{i}\hbar\nabla-q\bm{A})^2\psi=\lvert a\rvert \psi\tag{5.6.32}

を考えればよい。これは一様な磁場 BB の中の電荷 qq・質量 m∗m^* の粒子の Schrödinger 方程式で、∣a∣\lvert a\rvert がエネルギー固有値の位置にある。第4部第6章で求めたとおり、固有値は Landau 準位 ℏ∣q∣Bm∗(n+12)\frac{\hbar\lvert q\rvert B}{m^*}(n+\frac12) に磁場方向の運動エネルギーを足したもので、最小は ℏ∣q∣B/(2m∗)\hbar\lvert q\rvert B/(2m^*) である。00 でない解が存在するのは ∣a∣\lvert a\rvert がこの最小値以上のときで、等号から

Bc2=2m∗∣a∣ℏ∣q∣=ℏ∣q∣ξ2=Φ02πξ2(5.6.33)B_{\mathrm c2}=\frac{2m^*\lvert a\rvert }{\hbar\lvert q\rvert }=\frac{\hbar}{\lvert q\rvert \xi^2}=\frac{\Phi_0}{2\pi\xi^2}\tag{5.6.33}

を得る。1本の磁束量子が面積 2πξ22\pi\xi^2 に1本ずつ入った磁場で、渦の芯どうしが重なり始める密度に当たる。式 (5.6.6) と比べると

Bc2Bc=2 κ(5.6.34)\frac{B_{\mathrm c2}}{B_{\mathrm c}}=\sqrt2\,\kappa\tag{5.6.34}

で、κ>1/2\kappa>1/\sqrt2 なら Bc2>BcB_{\mathrm c2}>B_{\mathrm c} となり、熱力学的な臨界磁場を超えても超伝導が(渦の格子として)残る。界面エネルギーの符号が変わる値と同じ 1/21/\sqrt2 がここにも現れる。

GL 理論は秩序変数の停留点だけを残し、揺らぎを捨てる平均場の理論である。第3部第10章の Ginzburg の判定条件をこの章の量で書くと、揺らぎの大きさの目安は、熱のエネルギー kBTck_{\mathrm B} T_{\mathrm c} と体積 ξ3\xi^3 の中の凝縮エネルギー Bc2ξ3/(2μ0)B_{\mathrm c}^2\xi^3/(2\mu_0) の比で決まる。仮に Tc=7 KT_{\mathrm c}=7\,\mathrm K, Bc=0.1 TB_{\mathrm c}=0.1\,\mathrm T, ξ=100 nm\xi=100\,\mathrm{nm} とすると、比は 2.4×10−52.4\times10^{-5} で、ξ\xi の長い超伝導体では TcT_{\mathrm c} のごく近くまで揺らぎを捨ててよいことが分かる。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの 揺らぎの相対的な大きさ kBTc/(Bc2ξ3/2μ0)→0k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}/(B_{\mathrm c}^2\xi^3/2\mu_0)\to0(停留点だけを残す) | 証明 要確認(相互作用が短距離の3次元の系で平均場が TcT_{\mathrm c} から離れた所で正しいことの証明の前提を原論文で確かめていない) | 行き先 近似の数理 第13章

例題 5.6.6 第二種超伝導体の2つの臨界磁場 ★★

オリジナルある温度で ξ=10 nm\xi=10\,\mathrm{nm}, λ=100 nm\lambda=100\,\mathrm{nm} の超伝導体がある(数値は仮のもの)。

  1. (1) κ\kappa を求め、第一種か第二種かを判定せよ。
  2. (2) Bc2B_{\mathrm c2} と BcB_{\mathrm c} を求めよ。
  3. (3) Bc2B_{\mathrm c2} で渦1本あたりの面積を求め、ξ\xi と比べよ。
解答

(1) κ=100/10=10>1/2\kappa=100/10=10>1/\sqrt2 で第二種。

(2) Bc2=Φ0/(2πξ2)=2.0678×10−15/(2π×10−16)=3.29 TB_{\mathrm c2}=\Phi_0/(2\pi\xi^2)=2.0678\times10^{-15}/(2\pi\times10^{-16})=3.29\,\mathrm T。Bc=Bc2/(2κ)=3.29/14.14=0.233 TB_{\mathrm c}=B_{\mathrm c2}/(\sqrt2\kappa)=3.29/14.14=0.233\,\mathrm T。凝縮エネルギーで決まる BcB_{\mathrm c} の14倍の磁場まで超伝導が残る。

(3) 渦1本の面積は Φ0/Bc2=2πξ2=6.28×10−16 m2\Phi_0/B_{\mathrm c2}=2\pi\xi^2=6.28\times10^{-16}\,\mathrm{m^2} で、半径 2 ξ=14 nm\sqrt2\,\xi=14\,\mathrm{nm} の円の面積に等しい。渦の芯の大きさが ξ\xi ほどなので、芯どうしが重なる密度である。

例題 5.6.7 磁場が入らない極限の界面エネルギー ★★

オリジナルκ→0\kappa\to0(λ→0\lambda\to0)の極限では、磁場は界面 x=0x=0 で階段状に BcB_{\mathrm c} から 00 へ落ち、超伝導側の秩序は式 (5.6.29) で回復するとみなせる。

  1. (1) 式 (5.6.28) の保存量を使って、ℏ22m∗ψ′2=b2(∣ψ0∣2−ψ2)2\frac{\hbar^2}{2m^*}\psi'^2=\frac b2(\lvert \psi_0\rvert ^2-\psi^2)^2 を示せ。
  2. (2) 式 (5.6.31) が σ=∫0∞b(∣ψ0∣2−ψ2)2dx\sigma=\int_0^\infty b(\lvert \psi_0\rvert ^2-\psi^2)^2\mathrm{d} x になることを示し、これを計算せよ。
解答

(1) 保存量の式 ξ2ψ′2−ψ2+ψ4/(2∣ψ0∣2)=−∣ψ0∣2/2\xi^2\psi'^2-\psi^2+\psi^4/(2\lvert \psi_0\rvert ^2)=-\lvert \psi_0\rvert ^2/2 を移項すると ξ2ψ′2=(∣ψ0∣2−ψ2)2/(2∣ψ0∣2)\xi^2\psi'^2=(\lvert \psi_0\rvert ^2-\psi^2)^2/(2\lvert \psi_0\rvert ^2)。両辺に ∣a∣=b∣ψ0∣2\lvert a\rvert =b\lvert \psi_0\rvert ^2 を掛け、ξ2∣a∣=ℏ2/(2m∗)\xi^2\lvert a\rvert =\hbar^2/(2m^*) を使うと示す式になる。

(2) x<0x<0 では ψ=0\psi=0, Bz=BcB_z=B_{\mathrm c} で被積分関数は 00。x>0x>0 では Bz=0B_z=0, Ay=0A_y=0 で、磁場の項は Bc2/(2μ0)=a2/(2b)B_{\mathrm c}^2/(2\mu_0)=a^2/(2b) になる。ポテンシャルの項と合わせると aψ2+b2ψ4+a22b=b2(∣ψ0∣2−ψ2)2a\psi^2+\frac b2\psi^4+\frac{a^2}{2b}=\frac b2(\lvert \psi_0\rvert ^2-\psi^2)^2 で、(1) の勾配の項と等しいので、合計は b(∣ψ0∣2−ψ2)2=b∣ψ0∣4sech⁡4x2ξb(\lvert \psi_0\rvert ^2-\psi^2)^2=b\lvert \psi_0\rvert ^4\operatorname{sech}^4\frac{x}{\sqrt2\xi}。∫0∞sech⁡4u du=2/3\int_0^\infty\operatorname{sech}^4u\,\mathrm{d} u=2/3 から

σ=223 ξ b∣ψ0∣4=423 ξ Bc22μ0≈1.89 ξ Bc22μ0.\sigma=\frac{2\sqrt2}{3}\,\xi\,b\lvert \psi_0\rvert ^4=\frac{4\sqrt2}{3}\,\xi\,\frac{B_{\mathrm c}^2}{2\mu_0}\approx1.89\,\xi\,\frac{B_{\mathrm c}^2}{2\mu_0}.

界面のエネルギーは、厚さ 1.89 ξ1.89\,\xi の層で凝縮の得を丸ごと失ったのと同じだけある。

木下の勉強ステータス

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