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この章のまとめ

2026年10月9日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1章 序章:近似を数学の言葉で見る

AI 生成・木下が未勉強

近似の数理 第1章 §1.6

要点

  • 物理の近似は、A 型(射影)・B 型(極限)・C 型(閉じる)の3つに分けられる。
  • A 型の線型版は上界・単調性・収束を保証し、収束の速さは解の滑らかさで決まる。曲がった集合への制限(ガウス変分、Hartree–Fock)は上界だけを保証する。
  • B 型はパラメータが十分小さければ正確だが、パラメータを固定したまま精度を上げる手段を持たない。漸近級数は発散しうる。
  • C 型には内部に誤差の評価が無い。
  • 物理的直観は、A 型では「良い部分空間を選ぶ」こと、B 型では「小さいパラメータを見つける」ことにあたる。

非調和振動子の例では、3つの型の違いが数値としてはっきり現れた。線型の Ritz 法は基底14個で誤差 10−1310^{-13} に達し、ガウス変分は 10−310^{-3} で止まり、摂動級数は3次付近で誤差 10−210^{-2} が限界だった。以後の章では、多電子系と流体という、厳密値が手に入らない問題について、同じ区別を定理の形で確かめていく。

例題 1.8 指数的な収束を外挿する ★★

オリジナル表1.1の Ritz 法の誤差は K=6K=6 で 2.80×10−72.80\times10^{-7}、K=10K=10 で 2.13×10−102.13\times10^{-10} である。

  • (1) 誤差が KK を1つ増やすごとに一定の比 rr で減ると仮定して、rr を求めよ。
  • (2) その仮定で K=14K=14 の誤差を予測し、表の値と比べよ。
  • (3) 摂動級数の誤差に同じ外挿を使えない理由を述べよ。
解答

(1) K=6K=6 から 1010 までの4段で誤差が 2.13×10−10/2.80×10−7=7.60×10−42.13\times10^{-10}/2.80\times10^{-7}=7.60\times10^{-4} 倍になったので、r=(7.60×10−4)1/4=0.166r=(7.60\times10^{-4})^{1/4}=0.166。基底を1つ足すごとに誤差がおよそ6分の1になる。

(2) K=14K=14 では 2.13×10−10×r4=1.6×10−132.13\times10^{-10}\times r^4=1.6\times10^{-13} と予測される。表の値は 2.2×10−132.2\times10^{-13} で、桁まで合う(検算スクリプト)。比 rr がほぼ一定に保たれることが、指数的な収束の中身である。この比がどう決まるかは解の滑らかさの問題で、第4章で扱う。

(3) 摂動級数の誤差は表で 1.6×10−21.6\times10^{-2}、1.0×10−21.0\times10^{-2}、1.0×10−21.0\times10^{-2}、1.4×10−21.4\times10^{-2} と変わり、隣り合う比は 1 より小さい値から 1 より大きい値へ移っていく。漸近級数では比 ∣ck+1∣λ/∣ck∣\lvert c_{k+1}\rvert \lambda/\lvert c_k\rvert が kk とともに増え続けるので、一定の比で外挿する前提そのものが成り立たない。

総合問題 厳密に解ける摂動で3つの型を検証する ★★★

オリジナル調和振動子に2次の摂動を加えた Hg=p22+x22+gx2H_g=\frac{p^2}{2}+\frac{x^2}{2}+g x^2(g>−12g>-\tfrac12)の基底エネルギー E(g)E(g) を考える。この問題は厳密に解けるので、この章で見た近似の性質を誤差まで含めて確かめることができる。

  1. (1) E(g)E(g) を厳密に求めよ。(使う道具:第1章「1つの問題で3つの型を比べる」の設定)
  2. (2) ϕ0\phi_0 だけを使う Ritz 法(K=1K=1)の値 E~1(g)\tilde E_1(g) を求め、すべての g>−12g>-\tfrac12 で E~1(g)≥E(g)\tilde E_1(g)\ge E(g) を確かめよ。(使う道具:第1章「近似の3つの型」の A 型の上界)
  3. (3) ガウス変分 ψs∝exp⁡(−x2/4s)\psi_s\propto\exp(-x^2/4s) の最小値を求め、E(g)E(g) と一致することを示せ。非調和振動子のガウス変分が厳密値に届かなかったこととの違いを述べよ。(使う道具:第1章「1つの問題で3つの型を比べる」のガウス変分、例題「ガウス変分のエネルギー」)
  4. (4) E(g)E(g) を gg について展開し、5次までの係数と収束半径を求めよ。g=0.1g=0.1 では2次までの部分和を、g=1g=1 では5次までの部分和の列を、厳密値と比べよ。(使う道具:第1章「1つの問題で3つの型を比べる」の摂動級数、例題「漸近級数の最適な打ち切り」)
  5. (5) 収束半径を決めている点 g=−12g=-\tfrac12 で HgH_g に何が起きているかを述べ、非調和振動子の級数の収束半径が 0 になることとの関係を説明せよ。(使う道具:第1章「近似の3つの型」の B 型、第1章「1つの問題で3つの型を比べる」)
解答

(1) x22+gx2=12(1+2g)x2\frac{x^2}{2}+gx^2=\frac12(1+2g)x^2 なので、角振動数 ω=1+2g\omega=\sqrt{1+2g} の調和振動子である。基底エネルギーは

E(g)=121+2g.E(g)=\frac12\sqrt{1+2g}.

(2) E~1(g)=⟨ϕ0∣Hg∣ϕ0⟩=12+g⟨ϕ0∣x2∣ϕ0⟩=12+g2\tilde E_1(g)=\langle \phi_0 | H_g | \phi_0 \rangle =\frac12+g\langle \phi_0 | x^2 | \phi_0 \rangle =\frac12+\frac g2。1+2g>01+2g>0 のとき (1+g)2=1+2g+g2≥1+2g(1+g)^2=1+2g+g^2\ge 1+2g で、1+g>01+g>0 なので 1+g≥1+2g1+g\ge\sqrt{1+2g}、すなわち E~1(g)≥E(g)\tilde E_1(g)\ge E(g)。等号は g=0g=0 のときだけである。g=0.1g=0.1 では E~1=0.55\tilde E_1=0.55、E=0.5477226E=0.5477226 で、誤差は +2.3×10−3+2.3\times10^{-3}。E~1\tilde E_1 は1次摂動の値と一致しており、本文の非調和振動子で K=1K=1 の Ritz と1次摂動が一致したのと同じことが起きている。

(3) ⟨x2⟩=s\langle x^2 \rangle =s、⟨p2⟩=1/(4s)\langle p^2 \rangle =1/(4s) より

EG(s)=18s+1+2g2s.E_{\mathrm G}(s)=\frac{1}{8s}+\frac{1+2g}{2}s .

ss で微分して 0 とおくと s2=14(1+2g)s^2=\dfrac{1}{4(1+2g)}、s=121+2gs=\dfrac{1}{2\sqrt{1+2g}} で、そのとき EG=1+2g4+1+2g4=121+2g=E(g)E_{\mathrm G}=\dfrac{\sqrt{1+2g}}{4}+\dfrac{\sqrt{1+2g}}{4}=\dfrac12\sqrt{1+2g}=E(g)。HgH_g の基底状態は幅の違うガウス関数なので、ガウス関数の集合が厳密解を含み、曲がった集合への制限でも厳密になる。非調和振動子では基底状態がガウス形からずれているので、ガウス関数の集合の中にいる限り誤差 1.2×10−31.2\times10^{-3} が残った。曲がった集合への制限が厳密になるかどうかは、真の解がその集合に入っているかどうかだけで決まる。

(4) 二項展開 1+2g=∑k(1/2k)(2g)k\sqrt{1+2g}=\sum_k\binom{1/2}{k}(2g)^k から

E(g)=12+12g−14g2+14g3−516g4+716g5+⋯ .E(g)=\frac12+\frac12 g-\frac14 g^2+\frac14 g^3-\frac{5}{16}g^4+\frac{7}{16}g^5+\cdots .

1+z\sqrt{1+z} の級数は ∣z∣<1\lvert z\rvert <1 で収束し ∣z∣>1\lvert z\rvert >1 で発散するので、z=2gz=2g について収束半径は 12\tfrac12 である。g=0.1g=0.1 では2次までの部分和が 0.5+0.05−0.0025=0.54750.5+0.05-0.0025=0.5475 で、厳密値 0.54772260.5477226 との差は −2.2×10−4-2.2\times10^{-4}。g=1g=1 では部分和が 0.5, 1, 0.75, 1, 0.6875, 1.125,…0.5,\ 1,\ 0.75,\ 1,\ 0.6875,\ 1.125,\dots と振れ幅を広げながら振動し、厳密値 0.86602540.8660254 に近づかない(検算スクリプト)。

(5) g=−12g=-\tfrac12 では x2x^2 の係数 12(1+2g)\tfrac12(1+2g) が 0 になり、g<−12g<-\tfrac12 ではポテンシャルが下に開いて HgH_g に基底状態が無くなる。E(g)E(g) は g=−12g=-\tfrac12 で  \sqrt{\ } の分岐点をもち、複素 gg 平面で原点からこの特異点までの距離 12\tfrac12 が収束半径になる。この問題では gg が正でも、∣g∣>12\lvert g\rvert >\tfrac12 なら級数は使えない。B 型の近似がどこまで使えるかは、物理的に意味のある g>0g>0 の側だけでなく、パラメータを複素数まで広げたときの特異点の位置で決まる。非調和振動子では λ<0\lambda<0 にするとどんなに小さくても λx4\lambda x^4 が十分大きな ∣x∣\lvert x\rvert で x2/2x^2/2 に勝ってポテンシャルが下に開くので、特異点が原点に集まり、収束半径が 0 になる。漸近級数として小さい λ\lambda でしか使えないという本文の結果は、この見方から理解できる。

木下の勉強ステータス

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