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古典の Hamilton–Jacobi 方程式と連続の式:運動量のそろった粒子の集団

2026年10月17日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第7部 第2章 ℏ→0 で Hamilton–Jacobi へ:流体から見た古典極限
目次
  1. 特性曲線は Hamilton 方程式の解
  2. 密度は軌道に運ばれる
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第7部 第2章 §7.2.2 ★★★ QQ を無視した2本の式は、各点で運動量が1つに決まった古典粒子の集団を表す。特性曲線が Hamilton 方程式の解になることと、密度が軌道の Jacobi 行列式で運ばれることを示す

特性曲線は Hamilton 方程式の解

QQ を無視した流れでは、速度場 v=∇S/m\bm{v}=\nabla S/m の勾配を取った Euler 方程式から圧力の項が消え、

∂v∂t+(v⋅∇)v=−1m∇V(7.2.7)\frac{\partial \bm{v}}{\partial t}+(\bm{v}\cdot\nabla)\bm{v}=-\frac{1}{m}\nabla V\tag{7.2.7}

が残る。左辺は流れに乗って見た加速度(物質微分)なので、これは流体の各部分が外力 −∇V-\nabla V だけを受けて Newton の運動方程式に従うことを表す。圧力がないので、流体の各部分はお互いに力を及ぼさない。この流れを、互いに相互作用しない古典粒子の集団と読むことができる。次の命題がこの読み方を確かにする。

命題 7.2.2(特性曲線と Hamilton 方程式 ★★★)

S(r,t)S(\bm{r},t) が Hamilton–Jacobi 方程式 (7.2.2) の滑らかな解であるとする。曲線 r(t)\bm{r}(t) が

r˙=1m∇S(r(t),t)(7.2.8)\dot{\bm{r}}=\frac{1}{m}\nabla S(\bm{r}(t),t)\tag{7.2.8}

を満たすとき、p(t)≔∇S(r(t),t)\bm{p}(t)\coloneqq\nabla S(\bm{r}(t),t) と置くと、組 (r(t),p(t))(\bm{r}(t),\bm{p}(t)) は Hamilton 方程式 r˙=p/m\dot{\bm{r}}=\bm{p}/m、p˙=−∇V\dot{\bm{p}}=-\nabla V を満たす。

証明

1本目は定義そのものである。2本目は、連鎖律で

p˙i=ddt∂iS(r(t),t)=∂t∂iS+∑j∂j∂iS  r˙j=∂t∂iS+1m∑j∂jS ∂i∂jS\dot p_i=\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\partial_iS(\bm{r}(t),t)=\partial_t\partial_iS+\sum_j\partial_j\partial_iS\;\dot r_j=\partial_t\partial_iS+\frac{1}{m}\sum_j\partial_jS\,\partial_i\partial_jS

である。一方、Hamilton–Jacobi 方程式を rir_i で微分すると ∂i∂tS+1m∑j∂jS ∂i∂jS+∂iV=0\partial_i\partial_tS+\frac1m\sum_j\partial_jS\,\partial_i\partial_jS+\partial_iV=0 なので、右辺は −∂iV-\partial_iV に等しい(検算で確かめた)。

この命題から、(7.2.2) の解 SS が1つ与えられると、空間の各点を通る古典軌道が1本ずつ決まり、その点での運動量が ∇S\nabla S で決まることが分かる。解析力学の言葉では、SS は相空間の中の曲面 {(r,∇S(r,t))}\{(\bm{r},\nabla S(\bm{r},t))\} を指定し、その曲面の上の点が Hamilton の流れで運ばれる(解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部第13章)。この曲面を、運動量が位置の関数として1つに決まるという意味で、ここでは単一運動量の曲面と呼ぶ。逆向きに、軌道の族から SS を作ることもできる。時刻 00 の位相 S0(r0)S_0(\bm{r}_0) から出発し、r0\bm{r}_0 を出て運動量 ∇S0(r0)\nabla S_0(\bm{r}_0) で走る軌道に沿って作用を足したS(r,t)=S0(r0)+∫0tL dt′S(\bm{r},t)=S_0(\bm{r}_0)+\int_0^tL\,\mathrm{d} t'(r\bm{r} は時刻 tt に軌道が着く点)が Hamilton–Jacobi 方程式の解になる。ただしこの構成は、時刻 tt に点 r\bm{r} に着く軌道がちょうど1本のときに限って SS を1価の関数として定める。

密度は軌道に運ばれる

連続の式 (7.2.2) の2本目は、流れに乗って見ると ddtρ=−ρ ∇⋅v\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\rho=-\rho\,\nabla\cdot\bm{v} と書ける(ddt=∂t+v⋅∇\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}=\partial_t+\bm{v}\cdot\nabla)。一方、時刻 00 に r0\bm{r}_0 を出た軌道が時刻 tt に着く点を r(r0,t)\bm{r}(\bm{r}_0,t) とし、Jacobi 行列式 J(r0,t)=det⁡(∂ri/∂r0j)J(\bm{r}_0,t)=\det(\partial r_i/\partial r_{0j}) を考えると、小さな体積の伸び率は流れの発散に等しく、ddtln⁡J=∇⋅v\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\ln J=\nabla\cdot\bm{v} である(流体力学の Euler の公式)。2つを合わせると ddt(ρJ)=0\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}(\rho J)=0 なので

ρ(r(r0,t),t)=ρ0(r0)∣J(r0,t)∣(7.2.9)\rho(\bm{r}(\bm{r}_0,t),t)=\frac{\rho_0(\bm{r}_0)}{\lvert J(\bm{r}_0,t)\rvert }\tag{7.2.9}

が出る。初めに体積 d3r0\mathrm{d}^3r_0 にあった確率 ρ0 d3r0\rho_0\,\mathrm{d}^3r_0 が、軌道に運ばれた先の体積 ∣J∣d3r0\lvert J\rvert \mathrm{d}^3r_0 にそのまま入っている、という確率の保存である。(7.2.9) は、JJ が 00 になる点で ρ\rho が発散することも示している。近くの軌道どうしが交わる点で J=0J=0 になるので、そこが第4節の焦点である。

例題 7.2.2 一様に膨らむ古典の流れと、量子の補正 ★★★

オリジナル1次元の自由粒子(V=0V=0)で、時刻 00 の位相を S0(x)=mx2/(2τ)S_0(x)=mx^2/(2\tau)(τ>0\tau>0)とする。

  1. S(x,t)=mx2/(2(t+τ))S(x,t)=mx^2/(2(t+\tau)) が Hamilton–Jacobi 方程式の解で、S(x,0)=S0S(x,0)=S_0 であることを確かめよ。
  2. 特性曲線 (7.2.8) を解き、(7.2.9) から ρ(x,t)\rho(x,t) を任意の ρ0\rho_0 について求め、連続の式を満たすことを確かめよ。
  3. ρ0\rho_0 が幅 σ0\sigma_0 のガウス分布のとき、古典の流れの幅 σcl(t)\sigma_{\mathrm{cl}}(t) を求めよ。量子の幅は前の章の方程式 σ¨=ℏ2/(4m2σ3)\ddot\sigma=\hbar^2/(4m^2\sigma^3) に初期条件 σ(0)=σ0\sigma(0)=\sigma_0、σ˙(0)=σ0/τ\dot\sigma(0)=\sigma_0/\tau を与えた解である。σ(t)2=σ02(1+t/τ)2+(ℏt/(2mσ0))2\sigma(t)^2=\sigma_0^2(1+t/\tau)^2+(\hbar t/(2m\sigma_0))^2 がその解であることを確かめ、2つを比べよ。
解答

(1) ∂tS=−mx2/(2(t+τ)2)\partial_tS=-mx^2/(2(t+\tau)^2)、∂xS=mx/(t+τ)\partial_xS=mx/(t+\tau) なので ∂tS+(∂xS)2/(2m)=−mx2/(2(t+τ)2)+mx2/(2(t+τ)2)=0\partial_tS+(\partial_xS)^2/(2m)=-mx^2/(2(t+\tau)^2)+mx^2/(2(t+\tau)^2)=0 である。t=0t=0 で S0S_0 に戻る。

(2) x˙=∂xS/m=x/(t+τ)\dot x=\partial_xS/m=x/(t+\tau) を解くと x(t)=x0(1+t/τ)x(t)=x_0(1+t/\tau) である。速度 x˙=x0/τ\dot x=x_0/\tau は一定で、命題 7.2.2 のとおり自由粒子の等速運動になっている。Jacobi 行列式は J=∂x/∂x0=1+t/τJ=\partial x/\partial x_0=1+t/\tau なので、(7.2.9) から

ρ(x,t)=τt+τ ρ0(xτt+τ).\rho(x,t)=\frac{\tau}{t+\tau}\,\rho_0\Bigl(\frac{x\tau}{t+\tau}\Bigr).

u=xτ/(t+τ)u=x\tau/(t+\tau) と置くと ∂tρ=−τ(t+τ)2[ρ0(u)+uρ0′(u)]\partial_t\rho=-\frac{\tau}{(t+\tau)^2}[\rho_0(u)+u\rho_0'(u)]、∂x(ρv)=∂x(τx(t+τ)2ρ0(u))=τ(t+τ)2[ρ0(u)+uρ0′(u)]\partial_x(\rho v)=\partial_x\bigl(\frac{\tau x}{(t+\tau)^2}\rho_0(u)\bigr)=\frac{\tau}{(t+\tau)^2}[\rho_0(u)+u\rho_0'(u)] で、和は 00 になる。

(3) ガウス分布は x↦x(1+t/τ)x\mapsto x(1+t/\tau) で幅が 1+t/τ1+t/\tau 倍になるので σcl(t)=σ0(1+t/τ)\sigma_{\mathrm{cl}}(t)=\sigma_0(1+t/\tau) である。量子の式は σ2=σcl2+(ℏt/2mσ0)2\sigma^2=\sigma_{\mathrm{cl}}^2+(\hbar t/2m\sigma_0)^2 で、t=0t=0 で σ0\sigma_0、σ˙(0)=σ0/τ\dot\sigma(0)=\sigma_0/\tau を満たし、2回微分して σ¨=ℏ2/(4m2σ3)\ddot\sigma=\hbar^2/(4m^2\sigma^3) に戻ることを検算で確かめた。差は第2項 (ℏt/2mσ0)2(\hbar t/2m\sigma_0)^2 で、これが量子圧力 QQ の押し広げる分である。比 (ℏt/2mσ0)2/σcl2(\hbar t/2m\sigma_0)^2/\sigma_{\mathrm{cl}}^2 は t≫τt\gg\tau で (ℏτ/2mσ02)2(\hbar\tau/2m\sigma_0^2)^2 に近づくので、ℏτ/(mσ02)≪1\hbar\tau/(m\sigma_0^2)\ll1 なら、どの時刻でも QQ の寄与は小さい。この比は、端 x=σ0x=\sigma_0 での流れの運動量 mσ0/τm\sigma_0/\tau と長さ σ0\sigma_0 で作った (7.2.3) の ℏ/(pL)\hbar/(pL) そのものである。

木下の勉強ステータス

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