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小さな振動:音波と Bogoliubov の分散

2026年10月17日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第7部 第3章 量子流体:渦の量子化と Gross–Pitaevskii 方程式の流体形
目次
  1. 線形化
  2. Landau の臨界速度
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第7部 第3章 §7.3.3 ★★★ 流体の方程式を線形化するだけで、第二量子化で Bogoliubov 変換を使って出す励起の分散がそのまま出る。短波長の側の分散は量子応力の項から出る

線形化

一様な凝縮体(密度 n0n_0、v=0\bm{v}=0、S=−μtS=-\mu t)からの小さなずれを n=n0+δnn=n_0+\delta n、S=−μt+δSS=-\mu t+\delta S と書き、(7.3.8) と (7.3.9) をδn\delta n、δS\delta S の1次まで展開する。量子ポテンシャルは n0+δn=n0 (1+δn/(2n0)+⋯ )\sqrt{n_0+\delta n}=\sqrt{n_0}\,(1+\delta n/(2n_0)+\cdots) からQ≈−(ℏ2/4mn0)∇2δnQ\approx-(\hbar^2/4mn_0)\nabla^2\delta n となるので、

∂tδn+n0m∇2δS=0,∂tδS+g δn−ℏ24mn0∇2δn=0(7.3.14)\partial_t\delta n+\frac{n_0}{m}\nabla^2\delta S=0,\qquad \partial_t\delta S+g\,\delta n-\frac{\hbar^2}{4mn_0}\nabla^2\delta n=0\tag{7.3.14}

を得る。平面波 δn=A ei(k⋅r−ωkt)\delta n=A\,\mathrm{e}^{\mathrm{i}(\bm{k}\cdot\bm{r}-\omega_kt)}、δS=B ei(k⋅r−ωkt)\delta S=B\,\mathrm{e}^{\mathrm{i}(\bm{k}\cdot\bm{r}-\omega_kt)} を入れると−iωkA−(n0k2/m)B=0-\mathrm{i}\omega_kA-(n_0k^2/m)B=0、−iωkB+(g+ℏ2k2/(4mn0))A=0-\mathrm{i}\omega_kB+(g+\hbar^2k^2/(4mn_0))A=0 となり、A,BA,B が 00 でない解を持つ条件(係数の行列式が 00)から

ωk2=gn0mk2+(ℏk22m)2=cs2k2(1+(kξ)22),cs=gn0m(7.3.15)\omega_k^2=\frac{gn_0}{m}k^2+\Bigl(\frac{\hbar k^2}{2m}\Bigr)^2 =c_{\mathrm s}^2k^2\Bigl(1+\frac{(k\xi)^2}{2}\Bigr),\qquad c_{\mathrm s}=\sqrt{\frac{gn_0}{m}}\tag{7.3.15}

を得る。

この分散には2つの領域がある。kξ≪1k\xi\ll1 では ωk≈csk\omega_k\approx c_{\mathrm s}k で、速さ csc_{\mathrm s} の音波(フォノン)である。cs2=dPint/d(mn)c_{\mathrm s}^2=\mathrm{d} P_{\mathrm{int}}/\mathrm{d}(mn) で、古典の流体の音速の公式「圧力を質量密度で微分したものの平方根」と同じである。この領域の分散は相互作用の圧力の項だけで決まり、量子応力の項は寄与しない。kξ≫1k\xi\gg1 では ℏωk≈ℏ2k2/(2m)+gn0\hbar\omega_k\approx\hbar^2k^2/(2m)+gn_0 で、自由な粒子の運動エネルギーに平均場のずれを足したものになる。k4k^4 の項は量子応力の線形化から出たものである。2つの領域の境目は k≈1/ξk\approx1/\xi で、ℏ2k2/(2m)=gn0\hbar^2k^2/(2m)=gn_0 となる波数である。図 7.3.2 にこの形を示した。

図

図 7.3.2 一様な凝縮体の励起の分散 (7.3.15)。点線が厳密な Bogoliubov の分散、実線が2つの近似(長波長の音波と、短波長の自由粒子+平均場のずれ)。ℏ/(mξ)=2 cs\hbar/(m\xi)=\sqrt2\,c_{\mathrm s} を使って単位をそろえた。境目は kξ≈1k\xi\approx1 である。

同じ分散を、第二量子化では N. N. Bogoliubov(1947)の方法で導く。凝縮のモードの演算子を数 N\sqrt{N} で置き換え、残りの演算子の2次までのハミルトニアンをBogoliubov 変換で対角化すると、励起のエネルギーが ℏωk\hbar\omega_k になる。流体の側では、同じものを古典の場の方程式の線形化として出した。量子力学に固有の情報は、量子応力 −(ℏ2/4mn0)∇2δn-(\hbar^2/4mn_0)\nabla^2\delta n の1項にすべて入っている。両者の対応は第6節で述べる。

Landau の臨界速度

凝縮体の流れが摩擦なしに続く(超流動)理由を、この分散から L. D. Landau の議論で説明する。

命題 7.3.2(Landau の判定条件 ★★★)

静止した凝縮体の中で、励起の運動量 p\bm{p} とエネルギー ε(p)\varepsilon (p) の関係を ε(p)\varepsilon (p) とする。凝縮体が壁に対して速度 u\bm{u} で流れているとき、壁との摩擦で励起が1つ生まれてエネルギーが下がることができるのは ∣u∣>uc\lvert \bm{u}\rvert >u_{\mathrm c} のときに限る。ここで

uc=min⁡p>0ε(p)p(7.3.16)u_{\mathrm c}=\min_{p>0}\frac{\varepsilon (p)}{p}\tag{7.3.16}

である。Bogoliubov の分散 ε(p)=ℏωk\varepsilon (p)=\hbar\omega_k(p=ℏkp=\hbar k)では uc=csu_{\mathrm c}=c_{\mathrm s} となる。

証明

凝縮体が静止して見える座標系 KK で、励起が1つあるときの全エネルギーと全運動量を E0+ε(p)E_0+\varepsilon (p)、p\bm{p} とする。壁が静止して見える座標系 K′K' では凝縮体は速度 u\bm{u} で流れている。Galilei 変換で、全質量 MM の系のエネルギーは E′=E+P⋅u+12M∣u∣2E'=E+\bm{P}\cdot\bm{u}+\frac12M\lvert \bm{u}\rvert ^2 と変わるので、励起があるときとないときの差はΔE′=ε(p)+p⋅u\Delta E'=\varepsilon (p)+\bm{p}\cdot\bm{u} である。壁との相互作用で励起が自発的に生まれるには ΔE′<0\Delta E'<0 が要る。p\bm{p} の向きを u\bm{u} と反対にとるのが最も有利で、そのとき ε(p)−p∣u∣<0\varepsilon (p)-p\lvert \bm{u}\rvert <0、つまり ∣u∣>ε(p)/p\lvert \bm{u}\rvert >\varepsilon (p)/p となる pp が存在しなければならない。その条件が ∣u∣>uc\lvert \bm{u}\rvert >u_{\mathrm c} である。Bogoliubov の分散では ε(p)/p=cs2+p2/(4m2)\varepsilon (p)/p=\sqrt{c_{\mathrm s}^2+p^2/(4m^2)} で、これは p→0p\to0 で最小値 csc_{\mathrm s} をとる。

相互作用の無い理想的なボース気体では ε(p)=p2/(2m)\varepsilon (p)=p^2/(2m) で uc=0u_{\mathrm c}=0 となり、どんなに遅い流れも励起を作って減速する。凝縮しているだけでは超流動にならず、斥力の相互作用が音波の分散を作って初めて有限の臨界速度が生まれる。流体の言葉では、凝縮体が「圧縮されにくい流体」であることが超流動の条件である。液体ヘリウムでは分散がロトンと呼ばれる極小を持ち、実際に観測される臨界速度は渦の生成によってさらに低くなる。(7.3.16) は上限を与える。

例題 7.3.3 原子気体の音速と、波長 1 μm の励起 ★★

オリジナル例題 7.3.1 の凝縮体(m=86.909 um=86.909\,\mathrm u、as=5.0 nma_{\mathrm s}=5.0\,\mathrm{nm}、n0=1.0×1020 m−3n_0=1.0\times10^{20}\,\mathrm{m^{-3}})について、

  1. 音速 csc_{\mathrm s} と癒し長 ξ\xi を求めよ。
  2. 波長 λ=1 μm\lambda=1\,\mu\mathrm m の励起の振動数 ωk/2π\omega_k/2\pi を求め、音波の式 cs/λc_{\mathrm s}/\lambda とどれだけ違うかを答えよ。
解答

(1) μ=gn0=4.84×10−31 J\mu=gn_0=4.84\times10^{-31}\,\mathrm J なので cs=μ/m=4.84×10−31/1.443×10−25 m/s=1.83×10−3 m/sc_{\mathrm s}=\sqrt{\mu/m}=\sqrt{4.84\times10^{-31}/1.443\times10^{-25}}\,\mathrm{m/s}=1.83\times10^{-3}\,\mathrm{m/s}。音速は 1.8 mm/s で、空気の音速の約 20 万分の 1 である。癒し長は ξ=1/8πn0as=1/8π×1020×5×10−9 m=2.82×10−7 m=0.282 μm\xi=1/\sqrt{8\pi n_0a_{\mathrm s}}=1/\sqrt{8\pi\times10^{20}\times5\times10^{-9}}\,\mathrm m=2.82\times10^{-7}\,\mathrm m=0.282\,\mu\mathrm m。

(2) k=2π/λ=6.28×106 m−1k=2\pi/\lambda=6.28\times10^6\,\mathrm{m^{-1}} で kξ=1.77k\xi=1.77。(7.3.15) から ωk=csk1+(kξ)2/2=csk×1.60\omega_k=c_{\mathrm s}k\sqrt{1+(k\xi)^2/2}=c_{\mathrm s}k\times1.60。cs/λ=1.83×103 Hzc_{\mathrm s}/\lambda=1.83\times10^{3}\,\mathrm{Hz} なので ωk/2π=2.94×103 Hz\omega_k/2\pi=2.94\times10^3\,\mathrm{Hz} となり、音波の式より 60% 高い。波長が 2πξ=1.8 μm2\pi\xi=1.8\,\mu\mathrm m より短い励起は、量子応力のために音波でなく粒子に近い振る舞いをする。凝縮体の大きさが数十 μm なので、罠の中で観測できる最も短い音波の波長は、ちょうどこの境目の近くにある。

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