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当てる道具:不純物準位の占有と電荷中性

2026年10月15日6分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第4部 第5章 半導体
目次
  1. 不純物準位の占有の統計
  2. 電荷中性の条件
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第4部 第5章 §4.5.2 ★★★ 不純物の準位にはスピンの上下2状態があるのに電子は1個しか入れないので、イオン化の確率は Fermi 分布でなく 1/(1+2eβ(μ−εD))1/(1+2\mathrm{e}^{\beta(\mu-\varepsilon _{\mathrm D})}) になる。μ\mu は電荷中性の条件で決まる

不純物準位の占有の統計

ドナーの準位 εD\varepsilon _{\mathrm D} には、スピンの上向きと下向きの2つの状態がある。ところが、2つとも電子で埋めると、電子どうしが同じ aDa_{\mathrm D} ほどの領域で Coulomb 反発し、そのエネルギー UrepU_{\mathrm{rep}}(EDE_{\mathrm D} と同じ大きさ)だけ高くなる。2個目の電子はほとんど束縛されない。そこで、1個のドナーがとりうる状態を、空(電子が出ていってイオン化した状態、電荷 +e+e)、上向きの電子が1個、下向きの電子が1個、の3つに限る。この3つの状態を化学ポテンシャル μ\mu の熱浴と粒子をやりとりする小さな系とみなすと、大分配関数は

ΞD=1+2 e−β(εD−μ)(4.5.6)\Xi_{\mathrm D}=1+2\,\mathrm{e}^{-\beta(\varepsilon _{\mathrm D}-\mu)}\tag{4.5.6}

である(β=1/(kBT)\beta=1/( k_{\mathrm B} T))。第1項が空の状態、第2項がスピンの向き2つの状態である。イオン化している確率は第1項の割合で、

ND+ND=11+2 eβ(μ−εD)(4.5.7)\frac{N_{\mathrm D}^+}{N_{\mathrm D}}=\frac{1}{1+2\,\mathrm{e}^{\beta(\mu-\varepsilon _{\mathrm D})}}\tag{4.5.7}

になる。NDN_{\mathrm D} はドナーの数密度、ND+N_{\mathrm D}^+ はイオン化したドナーの数密度である。

Fermi 分布 f(εD)=1/(eβ(εD−μ)+1)f(\varepsilon _{\mathrm D})=1/(\mathrm{e}^{\beta(\varepsilon _{\mathrm D}-\mu)}+1) を使って空の確率を 1−f=1/(1+eβ(μ−εD))1-f=1/(1+\mathrm{e}^{\beta(\mu-\varepsilon _{\mathrm D})}) とすると、因子 2 が抜ける。Fermi 分布は1つの状態の占有で、上向きと下向きの状態が独立に埋まる場合にあたる。そのときは2状態がともに空である確率 (1−f)2(1-f)^2 がイオン化の確率になる。ドナーではこの2状態が独立でなく、片方が埋まるともう片方には入ることができない。式 (4.5.7) の 2 は、中性のドナーがスピンの自由度の分だけ2倍の重みを持つことを表している。

アクセプターでは、中性のアクセプターが正孔を1個束縛した状態で、正孔を放した(電子を1個受け取った)状態がイオン化(電荷 −e-e)である。Si・Ge・GaAs では価電子帯の上端が重い正孔と軽い正孔の2本の縮退したバンドからできているので、束縛された正孔はスピンを含めて gA=4g_{\mathrm A}=4 通りの状態をとる。同じ計算で

NA−NA=11+gA eβ(εA−μ)(4.5.8)\frac{N_{\mathrm A}^-}{N_{\mathrm A}}=\frac{1}{1+g_{\mathrm A}\,\mathrm{e}^{\beta(\varepsilon _{\mathrm A}-\mu)}}\tag{4.5.8}

になる。

電荷中性の条件

伝導帯の電子 nn と価電子帯の正孔 pp は、第2部第7章と同じ非縮退近似で

n=Nc e−β(εc−μ),p=Nv e−β(μ−εv),Nc,v=2(me,h∗kBT2πℏ2)3/2(4.5.9)n=N_{\mathrm c}\,\mathrm{e}^{-\beta(\varepsilon _{\mathrm c}-\mu)},\qquad p=N_{\mathrm v}\,\mathrm{e}^{-\beta(\mu-\varepsilon _{\mathrm v})},\qquad N_{\mathrm c,v}=2\Bigl(\frac{m^*_{\mathrm e,h} k_{\mathrm B} T}{2\pi\hbar^2}\Bigr)^{3/2}\tag{4.5.9}

と書ける。積 np=NcNve−βEg=ni2np=N_{\mathrm c}N_{\mathrm v}\mathrm{e}^{-\beta E_{\mathrm g}}=n_{\mathrm i}^2 は μ\mu によらない(質量作用の法則)。不純物を加えて μ\mu を動かすと、nn と pp は片方が増えた分だけもう片方が減る。

μ\mu を決めるのは、結晶全体が電気的に中性であるという条件

n+NA−=p+ND+(4.5.10)n+N_{\mathrm A}^-=p+N_{\mathrm D}^+\tag{4.5.10}

である。左辺が負の電荷、右辺が正の電荷の密度(ee で割ったもの)である。nn・pp・ND+N_{\mathrm D}^+・NA−N_{\mathrm A}^- はどれも μ\mu の単調な関数で、左辺は μ\mu とともに増え、右辺は減るので、式 (4.5.10) の解はちょうど1つある。第2部第7章の真性半導体は、ND=NA=0N_{\mathrm D}=N_{\mathrm A}=0 の場合の n=pn=p だった。

例題 4.5.3 因子 2 の意味を大分配関数で確かめる ★★

オリジナルドナーの準位にスピンの上下2つの状態があり、2個入ると反発のエネルギー UrepU_{\mathrm{rep}} が加わるとする。

  1. (1) 空・1個(2通り)・2個の4つの状態で大分配関数 Ξ(Urep)\Xi(U_{\mathrm{rep}}) を書き、Urep→∞U_{\mathrm{rep}}\to\infty で式 (4.5.6) に、Urep=0U_{\mathrm{rep}}=0 で空の確率が (1−f(εD))2(1-f(\varepsilon _{\mathrm D}))^2 になることを示せ。
  2. (2) Urep→∞U_{\mathrm{rep}}\to\infty のとき、μ=εD\mu=\varepsilon _{\mathrm D} でイオン化している確率はいくらか。イオン化の確率がちょうど 1/21/2 になる μ\mu を求めよ。
解答

(1) x=β(εD−μ)x=\beta(\varepsilon _{\mathrm D}-\mu) とおくと、Ξ(Urep)=1+2e−x+e−2x−βUrep\Xi(U_{\mathrm{rep}})=1+2\mathrm{e}^{-x}+\mathrm{e}^{-2x-\beta U_{\mathrm{rep}}} である。Urep→∞U_{\mathrm{rep}}\to\infty で最後の項が消えて 1+2e−x1+2\mathrm{e}^{-x} になる。Urep=0U_{\mathrm{rep}}=0 では Ξ=(1+e−x)2\Xi=(1+\mathrm{e}^{-x})^2 と因数分解でき、空の確率は 1/(1+e−x)21/(1+\mathrm{e}^{-x})^2 である。1−f=1/(1+e−x)1-f=1/(1+\mathrm{e}^{-x}) なので、これは (1−f)2(1-f)^2 に等しい。2つの状態が独立に埋まる場合である。

(2) μ=εD\mu=\varepsilon _{\mathrm D} では x=0x=0 で、イオン化の確率は 1/(1+2)=1/31/(1+2)=1/3 である。Fermi 分布なら 1/21/2 になるところが、中性の重みが2倍なので 1/31/3 に下がる。イオン化の確率 1/(1+2e−x)=1/21/(1+2\mathrm{e}^{-x})=1/2 は e−x=1/2\mathrm{e}^{-x}=1/2、すなわち μ=εD−kBTln⁡2\mu=\varepsilon _{\mathrm D}- k_{\mathrm B} T\ln2 のときである。半分がイオン化する点は、準位より kBTln⁡2k_{\mathrm B} T\ln2 だけ下にずれる。

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