tecktom.com

この章で選ぶ H^\hat H と当てる道具:バンドに電子を詰める

2026年10月15日17分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第7章 金属・半導体・絶縁体はバンドの埋まり方で決まる
目次
  1. 選ぶ
  2. 絶対零度:Fermi エネルギー
  3. 有限温度:Fermi–Dirac 分布と電子数の式
  4. 満ちたバンドは電流を運ばない
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第2部 第7章 §2.7.1 ★★★ 1電子のバンドの各状態に Pauli の排他原理で電子を1個ずつ詰め、詰まり方を Fermi–Dirac 分布と電子数の式で決める

第2部のここまでの章で、1電子のハミルトニアンを選んでその固有値を求めてきた。原子2個の結合軌道と反結合軌道(第2部第1章)から始めて、原子 NN 個の輪で準位が帯になり(第2部第3章)、一般の周期ポテンシャルでは固有状態がバンドの番号 nn と結晶運動量 ℏk\hbar\bm{k} で番号づけられること(第2部第4章)、ゾーン境界でギャップが開くこと(第2部第5章)、状態の数を数える状態密度 D(ε)D(\varepsilon )(第2部第6章)を見た。ここまでの話は、電子が何個入っているかに一度も触れていない。この章では、求めたバンドに実際の電子を詰める。選ぶハミルトニアンは前の章までと同じ1電子のバンドで、新しく加えるのは「電子は Pauli の排他原理に従って1つの状態に1個ずつ入る」という規則と、有限温度での詰まり方を決める Fermi–Dirac 分布だけである。

結論を先に書いておく。絶対零度では、電子はエネルギーの低い状態から順に詰まり、最後の電子が入った準位が Fermi エネルギー εF\varepsilon _{\mathrm F} になる。εF\varepsilon _{\mathrm F} がバンドの途中にあれば、そのすぐ上に空いた状態があるので、弱い電場でも電子の分布をずらして電流を流せる。これが金属である。εF\varepsilon _{\mathrm F} の位置でちょうどバンドが満ちてギャップに入っていれば、満ちたバンドは電流を運ばないので、電場をかけても電流は流れない。これが絶縁体である。どちらになるかは、1つのバンドに単位胞あたりちょうど2個(スピンの向き2つ)の電子が入ることから、単位胞あたりの電子の数の偶奇でおおよそ決まる。奇数なら必ず金属で、偶数ならバンドが重なるかどうかで分かれる。半導体は、ギャップが kBTk_{\mathrm B} T に比べて大きすぎない絶縁体で、熱で励起された電子の数が e−Eg/(2kBT)\mathrm{e}^{-E_{\mathrm g}/(2 k_{\mathrm B} T)} に比例して温度とともに増える。金属と半導体と絶縁体を分けるのは物質の種類でなく、バンドの埋まり方とギャップの大きさである。

選ぶ H^\hat H

この章で選ぶハミルトニアンは、互いに相互作用しない電子が1電子のバンドに入っている系である。第2部第4章の Bloch の定理で、周期ポテンシャルの中の1電子の固有状態はバンドの番号 nn と第1 Brillouin 域(BZ)の中の波数 k\bm{k} で番号づけられ、エネルギーはバンド εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) になった。スピンの向き σ=↑,↓\sigma=\uparrow,\downarrow を加え、状態 (n,k,σ)(n,\bm{k},\sigma) を占める電子の数を n^nkσ\hat n_{n\bm{k}\sigma} と書くと、ハミルトニアンは

H^=∑n∑k∈BZ∑σ=↑,↓εn(k) n^nkσ(2.7.1)\hat H=\sum_{n}\sum_{\bm{k}\in\mathrm{BZ}}\sum_{\sigma=\uparrow,\downarrow}\varepsilon _n(\bm{k})\,\hat n_{n\bm{k}\sigma}\tag{2.7.1}

の1行で書ける。電子はフェルミオンなので、各 n^nkσ\hat n_{n\bm{k}\sigma} の固有値は 00 か 11 である(Pauli の排他原理)。H^\hat H は数演算子の和なので、固有状態は「どの状態に電子がいるか」の一覧で決まり、固有値はいる状態の εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) の和である。

周期境界条件のもとで、単位胞が NN 個ある結晶では、BZ の中の波数はちょうど NN 個ある(第1部第2章)。したがって

1本のバンドの容量

1本のバンドには、波数が NN 個、スピンの向きが2つあるので、ちょうど 2N2N 個の電子が入る。単位胞あたりに直すと、1本のバンドは単位胞あたり2個の電子で満ちる。

この数え方は、バンドの形 εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) によらない。この章の議論の多くは、この数え方1つから出る。

絶対零度:Fermi エネルギー

電子が全部で NeN_{\mathrm e} 個あるとする。H^\hat H の基底状態は、εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) の小さい状態から順に NeN_{\mathrm e} 個の状態を選んで電子を1個ずつ入れたものである。最後に入れた電子のエネルギーを Fermi エネルギー εF\varepsilon _{\mathrm F} と呼ぶ。基底状態では

⟨n^nkσ⟩={1εn(k)<εF0εn(k)>εF(2.7.2)\langle \hat n_{n\bm{k}\sigma} \rangle =\begin{cases}1 & \varepsilon _n(\bm{k})<\varepsilon _{\mathrm F}\\ 0 & \varepsilon _n(\bm{k})>\varepsilon _{\mathrm F}\end{cases}\tag{2.7.2}

になる。k\bm{k} の空間で εn(k)=εF\varepsilon _n(\bm{k})=\varepsilon _{\mathrm F} を満たす点の集まりを Fermi 面と呼ぶ。Fermi 面は、占められた状態と空いた状態の境目である。3次元では面、2次元では曲線、1次元では点の組になる。

最後の電子を入れた準位のすぐ上に、空いた準位がどれだけ近くにあるかで、2つの場合に分かれる。同じバンドの中に空いた準位が続いているなら、Fermi 面は空でなく、εF\varepsilon _{\mathrm F} での状態密度 D(εF)D(\varepsilon _{\mathrm F}) は正である。最後の電子でちょうどあるバンドが満ち、次のバンドの底までエネルギーの隙間(ギャップ)があるなら、Fermi 面は空で、D(εF)=0D(\varepsilon _{\mathrm F})=0 である。後者の場合、εF\varepsilon _{\mathrm F} はギャップの中のどこに置いても (2.7.2) を満たすので一意に決まらない。そこで次の有限温度の化学ポテンシャル μ\mu を使い、T→0T\to0 の極限の値で εF\varepsilon _{\mathrm F} を定める。

有限温度:Fermi–Dirac 分布と電子数の式

有限温度 TT では、系は粒子の溜めと温度 TT・化学ポテンシャル μ\mu でつり合っているとして大正準集団で扱う。(2.7.1) は状態ごとの和なので、大分配関数は状態ごとの因子の積に分かれる。1つの状態 (n,k,σ)(n,\bm{k},\sigma) の因子は、電子がいない場合(重み 11)といる場合(重み e−β(ε−μ)\mathrm{e}^{-\beta(\varepsilon -\mu)}、β=1/(kBT)\beta=1/( k_{\mathrm B} T))の和1+e−β(ε−μ)1+\mathrm{e}^{-\beta(\varepsilon -\mu)} である。この状態の平均の占有数は、いる場合の重みを全体で割ったものなので

⟨n^nkσ⟩=e−β(ε−μ)1+e−β(ε−μ)=1eβ(ε−μ)+1=f(ε),ε=εn(k)(2.7.3)\langle \hat n_{n\bm{k}\sigma} \rangle =\frac{\mathrm{e}^{-\beta(\varepsilon -\mu)}}{1+\mathrm{e}^{-\beta(\varepsilon -\mu)}}=\frac{1}{\mathrm{e}^{\beta(\varepsilon -\mu)}+1}=f(\varepsilon ),\qquad \varepsilon =\varepsilon _n(\bm{k})\tag{2.7.3}

になる。これが Fermi–Dirac 分布である。f(μ)=1/2f(\mu)=1/2 で、μ\mu から kBTk_{\mathrm B} T の数倍離れると ff は 00 か 11 にほぼ等しくなる。T→0T\to0 では階段関数になり、(2.7.2) に戻る。

化学ポテンシャル μ\mu は、電子の数の平均が実際の数 NeN_{\mathrm e} に等しいという条件で決まる。第2部第6章の状態密度 D(ε)D(\varepsilon )(単位体積・両スピンあたり)を使うと、k\bm{k} の和は体積 VV の結晶では ε\varepsilon の積分に置き換わり

Ne=∑n,k,σf(εn(k))=V∫−∞∞D(ε) f(ε) dε(2.7.4)N_{\mathrm e}=\sum_{n,\bm{k},\sigma}f\bigl(\varepsilon _n(\bm{k})\bigr)=V\int_{-\infty}^{\infty}D(\varepsilon )\,f(\varepsilon )\,\mathrm{d}\varepsilon\tag{2.7.4}

となる。この式を μ\mu について解くのが、この章で使う道具のすべてである。D(ε)D(\varepsilon ) はバンドの形だけで決まり、f(ε)f(\varepsilon ) は温度と μ\mu だけで決まる。(2.7.4) の被積分関数は、バンドの側の情報 D(ε)D(\varepsilon ) と統計力学の側の情報 f(ε)f(\varepsilon ) の積である。

満ちたバンドは電流を運ばない

金属と絶縁体を分ける理由は、電場をかけたときに電子の分布が変われるかどうかにある。ここで使う事実を命題として書いておく。

命題 2.7.1(満ちたバンドの電流は 0 ★★★)

バンド nn の Bloch 状態の速度の期待値は群速度 vn(k)=1ℏ∇kεn(k)\bm{v}_n(\bm{k})=\frac1\hbar\nabla_{\bm{k}}\varepsilon _n(\bm{k}) である。BZ の全部の k\bm{k} に電子が1個ずつ(各スピン)入っている満ちたバンドの電流密度は

jn=−2eV∑k∈BZvn(k)=−2e(2π)3∫BZ1ℏ∇kεn(k) d3k=0\bm{j}_n=-\frac{2e}{V}\sum_{\bm{k}\in\mathrm{BZ}}\bm{v}_n(\bm{k})=-\frac{2e}{(2\pi)^3}\int_{\mathrm{BZ}}\frac1\hbar\nabla_{\bm{k}}\varepsilon _n(\bm{k})\,\mathrm{d}^3k=\bm{0}

である。

証明

εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) は逆格子ベクトルの分だけずらしても変わらない周期関数である(第2部第4章)。BZ は逆格子の基本単位胞の1つなので、BZ での積分は、逆格子の基本単位胞 {k=∑jxjbj, 0≤xj<1}\{\bm{k}=\sum_j x_j\bm{b}_j,\ 0\le x_j<1\} での積分に等しい(周期関数を1周期ぶん積分すると、区切り方によらない)。xj=aj⋅k/(2π)x_j=\bm{a}_j\cdot\bm{k}/(2\pi) なので ∇kεn=∑j(∂εn/∂xj) aj/(2π)\nabla_{\bm{k}}\varepsilon _n=\sum_j(\partial\varepsilon _n/\partial x_j)\,\bm{a}_j/(2\pi) と書け、各成分は xjx_j について周期 11 の関数の微分なので、xjx_j で 00 から 11 まで積分すると端の値の差 εn(xj=1)−εn(xj=0)=0\varepsilon _n(x_j=1)-\varepsilon _n(x_j=0)=0 になる。

速度の期待値が群速度になることは、半古典運動の章(解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第4部第10章)で εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) をハミルトニアンとみなした Hamilton 方程式として扱う。ここでは結果だけを使う。

電場 E\bm{E} をかけると、同じ章の運動方程式 ℏk˙=−eE\hbar\dot{\bm{k}}=-e\bm{E} により、すべての電子の k\bm{k} が同じ速さでずれていく。満ちたバンドでは、ずれた後も BZ の全部の k\bm{k} が埋まったままなので(k\bm{k} が BZ の端から出た分は、逆格子ベクトルだけ戻った反対側の端から入る)、分布は変わらず、命題により電流は 00 のままである。途中まで詰まったバンドでは、Fermi 面の内側の占められた領域が k\bm{k} の空間で全体としてずれ、散乱で止められるまでの間に v\bm{v} の和が 00 でなくなる。こうして電流が流れる(散乱と電気伝導度は 第4部第2章)。したがって、

定義 2.7.2(金属と絶縁体(1電子のバンドの言葉で))

絶対零度で Fermi 面が空でない(D(εF)>0D(\varepsilon _{\mathrm F})>0。途中まで詰まったバンドがある)結晶を金属、すべてのバンドが満ちているか空で、占められた最も高い準位(価電子帯の上端 εv\varepsilon _{\mathrm v})と空いた最も低い準位(伝導帯の下端 εc\varepsilon _{\mathrm c})の間にギャップ Eg=εc−εv>0E_{\mathrm g}=\varepsilon _{\mathrm c}-\varepsilon _{\mathrm v}>0 がある結晶を絶縁体と呼ぶ。絶縁体のうち、EgE_{\mathrm g} が室温の kBT≈0.026 eVk_{\mathrm B} T\approx0.026\,\mathrm{eV} に比べて大きすぎず、熱で励起された電子と正孔で測れるほどの伝導が起きるものを半導体と呼ぶ。

半導体と絶縁体の境目は、この定義が示すとおり程度の問題で、はっきりした線は無い。2.7.4節で、ギャップと温度の比で熱励起の大きさがどう決まるかを式で見る。

例題 2.7.1 原子の輪で「最後の電子の上の隙間」を数える ★★

オリジナル第2部第3章の原子 NN 個の輪の準位 εν=εa−2tcos⁡(2πν/N)\varepsilon _\nu=\varepsilon _{\mathrm a}-2t\cos(2\pi\nu/N)(ν=0,1,…,N−1\nu=0,1,\dots,N-1、t>0t>0)に、原子1個あたり1個、合わせて NN 個の電子を詰める。εa=0\varepsilon _{\mathrm a}=0 とする。

  1. (1) N=6N=6 と N=4N=4 で、基底状態の電子の詰まり方を準位ごとに書け。最後の電子の入った準位は満ちているか。
  2. (2) N=4m+2N=4m+2(mm は自然数)のとき、占められた最も高い準位と空いた最も低い準位の差が 4tsin⁡(π/N)4t\sin(\pi/N) になることを示せ。
  3. (3) (2) の差を N=6,10,102N=6,10,102 で求め、N→∞N\to\infty でどうなるかを述べよ。この輪は、原子の数が大きいとき金属と絶縁体のどちらに当たるか。
解答

(1) N=6N=6 の準位は −2t-2t(ν=0\nu=0、1重)、−t-t(ν=1,5\nu=1,5、2重)、tt(ν=2,4\nu=2,4、2重)、2t2t(ν=3\nu=3、1重)である。各準位にスピンの向き2つで2個ずつ入るので、6個の電子は −2t-2t に2個、−t-t の2つの準位に4個入り、ちょうど満ちる。次の準位 tt までの差は 2t2t である。N=4N=4 の準位は −2t-2t(1重)、00(ν=1,3\nu=1,3、2重)、2t2t(1重)である。4個の電子は −2t-2t に2個、残りの2個が準位 00 に入る。準位 00 には4個まで入れるので、半分しか埋まらない。最後の電子のすぐ上(同じエネルギー 00)に空いた状態があり、差は 00 である。

(2) N=4m+2N=4m+2 のとき、電子 NN 個は準位の重なりを数えて ν=0\nu=0 と ν=±1,…,±m\nu=\pm1,\dots,\pm m の 2m+12m+1 個の準位を満たす(2(2m+1)=N2(2m+1)=N)。占められた最も高い準位は ν=m\nu=m、空いた最も低い準位は ν=m+1\nu=m+1 なので、差は

−2tcos⁡2π(m+1)N+2tcos⁡2πmN=4tsin⁡π(2m+1)Nsin⁡πN=4tsin⁡π2sin⁡πN=4tsin⁡πN-2t\cos\frac{2\pi(m+1)}{N}+2t\cos\frac{2\pi m}{N}=4t\sin\frac{\pi(2m+1)}{N}\sin\frac{\pi}{N}=4t\sin\frac{\pi}{2}\sin\frac{\pi}{N}=4t\sin\frac{\pi}{N}

である(和積の公式 cos⁡A−cos⁡B=2sin⁡A+B2sin⁡B−A2\cos A-\cos B=2\sin\frac{A+B}{2}\sin\frac{B-A}{2} と (2m+1)/N=1/2(2m+1)/N=1/2 を使った)。

(3) N=6N=6 で 2t2t、N=10N=10 で 1.236t1.236t、N=102N=102 で 0.123t0.123t である。N→∞N\to\infty では 4tsin⁡(π/N)≈4πt/N→04t\sin(\pi/N)\approx4\pi t/N\to0 となり、隙間は閉じる。原子1個あたり1個の電子を入れたこの輪は、バンドが半分だけ埋まった状態になるので、原子の数が大きいとき金属に当たる。N=6N=6 のベンゼンが 2t2t の隙間を持つのは輪が小さいためで、隙間の大きさは 1/N1/N で減る。バンドの途中で詰め終わる限り、有限の隙間は結晶の大きさの極限で残らない。

例題 2.7.2 1次元の鎖の Fermi 波数と Fermi エネルギー ★★

オリジナル格子定数 aa の1次元の鎖のバンド ε(k)=−2tcos⁡ka\varepsilon (k)=-2t\cos ka(−π/a<k≤π/a-\pi/a<k\le\pi/a)に、1サイトあたり nen_{\mathrm e} 個(0<ne<20<n_{\mathrm e}<2)の電子を絶対零度で詰める。

  1. (1) Fermi 波数 kFk_{\mathrm F} と Fermi エネルギー εF\varepsilon _{\mathrm F} を nen_{\mathrm e} で表せ。
  2. (2) 状態密度(単位長さ・両スピンあたり)が D(ε)=1/(πta∣sin⁡ka∣)D(\varepsilon )=1/(\pi ta\lvert \sin ka\rvert ) になることを示し、∫D(ε) dε\int D(\varepsilon )\,\mathrm{d}\varepsilon をバンド全体でとると 2/a2/a になることを確かめよ。
  3. (3) 半分詰まり(ne=1n_{\mathrm e}=1)の kFk_{\mathrm F}・εF\varepsilon _{\mathrm F}・D(εF)D(\varepsilon _{\mathrm F}) を求めよ。
解答

(1) 長さ L=NaL=Na の鎖で、波数は 2π/L2\pi/L ごとに並ぶ。占められた領域は −kF<k<kF-k_{\mathrm F}<k<k_{\mathrm F} で、その中の波数の数は 2kF/(2π/L)2k_{\mathrm F}/(2\pi/L) である。スピンの2を掛けて電子の数 neNn_{\mathrm e}N に等しいとおくと

2⋅2kFL2π=neN⟹kF=πne2a,εF=−2tcos⁡πne22\cdot\frac{2k_{\mathrm F}L}{2\pi}=n_{\mathrm e}N\quad\Longrightarrow\quad k_{\mathrm F}=\frac{\pi n_{\mathrm e}}{2a},\qquad \varepsilon _{\mathrm F}=-2t\cos\frac{\pi n_{\mathrm e}}{2}

である。ne=2n_{\mathrm e}=2 で kF=π/ak_{\mathrm F}=\pi/a(BZ の端)になり、バンドが満ちる。

(2) エネルギーが ε\varepsilon と ε+dε\varepsilon +\mathrm{d}\varepsilon の間にある波数は、kk と −k-k の2か所にあり、それぞれの幅は dε/∣dε/dk∣\mathrm{d}\varepsilon /\lvert \mathrm{d}\varepsilon /\mathrm{d} k\rvert である。単位長さあたりの波数の密度 1/(2π)1/(2\pi) とスピンの2を掛けると

D(ε)=2⋅2⋅12π⋅1∣dε/dk∣=2π⋅2ta∣sin⁡ka∣=1πta∣sin⁡ka∣D(\varepsilon )=2\cdot2\cdot\frac{1}{2\pi}\cdot\frac{1}{\lvert \mathrm{d}\varepsilon /\mathrm{d} k\rvert }=\frac{2}{\pi\cdot2ta\lvert \sin ka\rvert }=\frac{1}{\pi ta\lvert \sin ka\rvert }

である。積分は dε=2tasin⁡ka dk\mathrm{d}\varepsilon =2ta\sin ka\,\mathrm{d} k で kk に戻すと ∫0π/a2tasin⁡kaπtasin⁡ka dk=2π⋅πa=2a\int_0^{\pi/a}\frac{2ta\sin ka}{\pi ta\sin ka}\,\mathrm{d} k=\frac2\pi\cdot\frac\pi a=\frac2a で、1サイトあたり2個(1本のバンドの容量)に一致する。バンドの端 ε=±2t\varepsilon =\pm2t で DD は 1/⋅1/\sqrt{\cdot} の形で発散するが、積分は有限である(1次元の van Hove 特異点。第2部第6章)。

(3) kF=π/(2a)k_{\mathrm F}=\pi/(2a)、εF=0\varepsilon _{\mathrm F}=0、D(εF)=1/(πta)D(\varepsilon _{\mathrm F})=1/(\pi ta) である。D(εF)>0D(\varepsilon _{\mathrm F})>0 なので、この鎖は1電子の描像では金属である。ただし1次元の半分詰まりの鎖では、格子が歪んだ絶縁体の状態の方がエネルギーが低くなる。それが次の章の Peierls 転移である(第2部第8章)。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『虎の巻』の記事一覧へ