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この章で選ぶ HH:Brillouin 域の上に並べたバンド

2026年10月15日12分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第6章 ブリルアンゾーンと状態密度
目次
  1. 選ぶ と、前の章から持ってくる結果
  2. 還元域・拡張域・周期域
  3. この章の数値例:最近接 tight-binding の正方格子と単純立方格子
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第2部 第6章 §2.6.1 ★★★ Bloch の定理で εn(k+G)=εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}+\bm{G})=\varepsilon _n(\bm{k}) が分かっているので、バンドは Brillouin 域の上の関数として並べればよい。並べ方(還元域・拡張域・周期域)と、高次の Brillouin 域を定義する

前の3章で、周期ポテンシャルの中の1電子の準位は、バンドの番号 nn と Brillouin 域の中の波数 k\bm{k} の組 (n,k)(n,\bm{k}) で数えられることを見た(第2部第3章の原子の輪、第2部第4章の Bloch の定理、第2部第5章のほぼ自由な電子)。この章で選ぶ HH は新しいものではなく、それらの章の1電子の HH である。新しいのは、その固有値の並べ方と数え方である。

実験で測る量の多くは、どの k\bm{k} にどの準位があるかを直接は見ない。比熱や Pauli 磁化率は、Fermi 準位の近くにエネルギーあたり何個の準位があるかだけで決まり、トンネル電流や光吸収も、多くの場合エネルギーあたりの準位の数を見ている。そこで、k\bm{k} の上の関数 εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) を、エネルギーの上の関数(状態密度 D(ε)D(\varepsilon ))に直す道具が要る。この章ではその道具を作り、3つの結果を出す。1つめに、帯の底の近くの状態密度は、空間の次元 dd だけで形が決まる(d=3d=3 で ε\sqrt{\varepsilon }、d=2d=2 で一定、d=1d=1 で 1/ε1/\sqrt{\varepsilon })。2つめに、εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) の勾配が 00 になる点(臨界点)で状態密度は特異的になり(van Hove 特異点)、その形は臨界点の種類と次元で決まる。3つめに、Brillouin 域が閉じた領域(dd 次元のトーラス)であることから、臨界点は必ず決まった数以上あり、とくに d≥2d\ge2 では鞍点を避けることができない。

この章の数値例は、最近接だけを残した tight-binding の正方格子と単純立方格子で行う。最後の2節で、この数え方が何を削っているかと、どの実験の量で状態密度を確かめるかを書く。

選ぶ HH と、前の章から持ってくる結果

この章で扱う HH は、周期ポテンシャルの中の1電子の

H^=p^22m+V(r^),V(r+R)=V(r)(2.6.1)\hat H=\frac{\hat{\bm{p}}^2}{2m}+V(\hat{\bm{r}}),\qquad V(\bm{r}+\bm{R})=V(\bm{r})\tag{2.6.1}

と、その原子軌道1個ずつの部分空間への射影である tight-binding の HH である。どちらについても、前の章で次のことが分かっている。固有状態は Bloch 関数 ψnk(r)=eik⋅runk(r)\psi_{n\bm{k}}(\bm{r})=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}u_{n\bm{k}}(\bm{r})(unku_{n\bm{k}} は格子周期)に選べ、波数 k\bm{k} は逆格子ベクトル G\bm{G} だけずらしても同じ状態を表す。したがって固有値は

εn(k+G)=εn(k)(2.6.2)\varepsilon _n(\bm{k}+\bm{G})=\varepsilon _n(\bm{k})\tag{2.6.2}

を満たす(第2部第4章)。結晶が NN 個の基本単位胞からなり周期境界条件を課すと、区別できる k\bm{k} は第1 Brillouin 域の中にちょうど NN 個ある(第1部第2章)。1本のバンドには NN 個の k\bm{k} があり、スピンの向き2つを入れて 2N2N 個の電子が入る。

還元域・拡張域・周期域

式 (2.6.2) から、εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) の情報はすべて第1 Brillouin 域の中にある。すべてのバンドを第1 Brillouin 域の中に重ねて描く描き方を還元域形式と呼ぶ。一方、ポテンシャルが弱い極限では、準位は自由電子の放物線 ℏ2∣k∣2/2m\hbar^2\lvert \bm{k}\rvert ^2/2m に近い(第2部第5章)。この放物線を k\bm{k} の全空間に1本で描き、nn 番目のバンドを nn 番目の Brillouin 域に置く描き方を拡張域形式と呼ぶ。さらに、還元域の図を逆格子ベクトルの分だけずらして全空間に繰り返した描き方を周期域形式と呼ぶ。3つは同じ情報の違う描き方で、どれを使うかは見たいものによって決める。バンドの数え方と状態密度には還元域、ほぼ自由な電子のギャップの位置を読むには拡張域、等エネルギー面が Brillouin 域の境界をまたいでつながる様子を見るには周期域が向いている。

拡張域形式を一般の格子で使うには、高次の Brillouin 域を定義しておく必要がある。

定義 2.6.1(第 nn Brillouin 域)

波数 k\bm{k} に対して、原点より k\bm{k} に近い逆格子ベクトル G≠0\bm{G}\neq\bm{0} の個数がちょうど n−1n-1 個であるとき、k\bm{k} は第 nn Brillouin 域にあるという。言い換えると、原点から k\bm{k} へ直線で進むとき、原点と G\bm{G} を結ぶ線分の垂直二等分面(Bragg 面、第1部第2章の式 2k⋅G=∣G∣22\bm{k}\cdot\bm{G}=\lvert \bm{G}\rvert ^2)をちょうど n−1n-1 枚横切った点の全体である。

n=1n=1 の場合は、原点より近い逆格子点が無い点の全体なので、前の章の第1 Brillouin 域(逆格子の原点の Wigner–Seitz 胞)と一致する。

命題 2.6.2(高次の域を戻すと第1域をちょうど1回覆う ★★)

第 nn Brillouin 域の各点を、ある逆格子ベクトルだけずらして第1 Brillouin 域へ戻すと、第1 Brillouin 域のほとんどすべての点(境界の面を除く)がちょうど1回ずつ覆われる。したがって、どの nn についても第 nn Brillouin 域の体積は第1 Brillouin 域の体積 (2π)d/vc(2\pi)^d/v_{\mathrm c} に等しい。

証明

第1 Brillouin 域の内部の点 q\bm{q} を1つ取る。q\bm{q} から逆格子点までの距離 ∣q−G′∣\lvert \bm{q}-\bm{G}'\rvert を小さい順に並べる(q\bm{q} が境界に無ければ等しい距離は無い)。点 q+G\bm{q}+\bm{G} が第何域にあるかは、q+G\bm{q}+\bm{G} にとって原点が何番目に近い逆格子点かで決まる。q+G\bm{q}+\bm{G} から逆格子点 G′′\bm{G}'' までの距離は∣q+G−G′′∣=∣q−(G′′−G)∣\lvert \bm{q}+\bm{G}-\bm{G}''\rvert =\lvert \bm{q}-(\bm{G}''-\bm{G})\rvert なので、原点(G′′=0\bm{G}''=\bm{0})の順位は、q\bm{q} から見た逆格子点 −G-\bm{G} の順位に等しい。G\bm{G} が逆格子全体を動くと −G-\bm{G} も逆格子全体を1回ずつ動くので、順位 1,2,3,…1,2,3,\dots がちょうど1回ずつ現れる。すなわち、各 nn について q+G\bm{q}+\bm{G} が第 nn 域に入る G\bm{G} がちょうど1つある。これが主張である。

この命題は、拡張域形式の nn 番目の放物線の一片を逆格子ベクトルでずらして集めると、還元域形式の第 nn バンドがちょうど1本できることを保証する。ポテンシャルが 00 の極限(空格子)では、還元域の準位は

ε(k)=ℏ2∣k+G∣22m(k は第1 Brillouin 域、 G は逆格子全体)(2.6.3)\varepsilon (\bm{k})=\frac{\hbar^2\lvert \bm{k}+\bm{G}\rvert ^2}{2m}\qquad(\bm{k}\text{ は第1 Brillouin 域}、\ \bm{G}\text{ は逆格子全体})\tag{2.6.3}

の全体で、これを小さい順に並べたものが ε1(k)≤ε2(k)≤⋯\varepsilon _1(\bm{k})\le\varepsilon _2(\bm{k})\le\cdots になる。図 2.6.1 に1次元の場合を示す。

図 図

図 2.6.1 1次元の空格子(格子定数 aa)の準位。横軸は kk(単位 π/a\pi/a)、縦軸は ℏ2k2/2m\hbar^2k^2/2m(単位 ℏ22m(π/a)2\frac{\hbar^2}{2m}(\pi/a)^2)。左が拡張域形式で、灰色の縦線が Brillouin 域の境界 k=±π/a,±2π/ak=\pm\pi/a,\pm2\pi/a である。右が還元域形式で、放物線の第2・第3域の部分を ±2π/a\pm2\pi/a ずらして第1域へ戻した。戻した放物線が k=0k=0 と k=±π/ak=\pm\pi/a で交わる点が、ポテンシャルを入れたときにギャップが開く点である(第2部第5章)

この章の数値例:最近接 tight-binding の正方格子と単純立方格子

数値例には、格子定数 aa の正方格子(d=2d=2)と単純立方格子(d=3d=3)の格子点に原子軌道を1個ずつ置き、最近接の格子点の間のホッピング t>0t>0 だけを残した HH を使う。第2部第3章の輪と同じく、格子点 R\bm{R} に局在した状態を ∣R⟩| \bm{R} \rangle と書き、平面波の重ね合わせ∣k⟩=N−1/2∑Reik⋅R∣R⟩| \bm{k} \rangle =N^{-1/2}\sum_{\bm{R}}\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{R}}| \bm{R} \rangle を作ると、最近接の格子点へのベクトル δ\bm{\delta} についての和としてH^∣k⟩=(εa−t∑δeik⋅δ)∣k⟩\hat H| \bm{k} \rangle =\bigl(\varepsilon _{\mathrm a}-t\sum_{\bm{\delta}}\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{\delta}}\bigr)| \bm{k} \rangle となる。δ=±aex,±aey(,±aez)\bm{\delta}=\pm a\bm{e}_x,\pm a\bm{e}_y(,\pm a\bm{e}_z) を入れると

ε(k)=εa−2t∑i=1dcos⁡kia(2.6.4)\varepsilon (\bm{k})=\varepsilon _{\mathrm a}-2t\sum_{i=1}^{d}\cos k_ia\tag{2.6.4}

を得る。輪の εa−2tcos⁡ka\varepsilon _{\mathrm a}-2t\cos ka を各方向について足したものである。帯の幅は 4dt4dt(正方格子で 8t8t、単純立方格子で 12t12t)である。この章の数値例では εa=0\varepsilon _{\mathrm a}=0 とおき、エネルギーを tt で測る。

例題 2.6.1 2次元の空格子の準位と縮退 ★★

オリジナル格子定数 aa の正方格子の空格子(V=0V=0)を考える。エネルギーの単位を E0=ℏ22m(πa)2E_0=\frac{\hbar^2}{2m}\bigl(\frac{\pi}{a}\bigr)^2 とする。

  1. (1) 第1 Brillouin 域の中心 Γ=(0,0)\Gamma=(0,0)、辺の中点 X=(π/a,0)\mathrm X=(\pi/a,0)、頂点 M=(π/a,π/a)\mathrm M=(\pi/a,\pi/a) のそれぞれで、低い方から3つの準位のエネルギーと縮退度(同じエネルギーの G\bm{G} の数)を求めよ。
  2. (2) 弱い周期ポテンシャルを入れたとき、X と M の最低準位の縮退がどうなると予想されるか、第2部第5章の考え方で答えよ。
解答

(1) 逆格子ベクトルは G=2πa(m1,m2)\bm{G}=\frac{2\pi}{a}(m_1,m_2)(m1,m2∈Zm_1,m_2\in\mathbb{Z})なので、式 (2.6.3) を E0E_0 で割ると、k=πa(κ1,κ2)\bm{k}=\frac{\pi}{a}(\kappa_1,\kappa_2) について(κ1+2m1)2+(κ2+2m2)2(\kappa_1+2m_1)^2+(\kappa_2+2m_2)^2 である。

Γ\Gamma(κ=(0,0)\kappa=(0,0))では 4(m12+m22)4(m_1^2+m_2^2) で、00(G=0\bm{G}=\bm{0} の1個)、44((±1,0),(0,±1)(\pm1,0),(0,\pm1) の4個)、88((±1,±1)(\pm1,\pm1) の4個)。

X(κ=(1,0)\kappa=(1,0))では (1+2m1)2+4m22(1+2m_1)^2+4m_2^2 である。1+2m11+2m_1 は奇数なので第1項は 1,9,25,…1,9,25,\dots を取り、第2項は 0,4,16,…0,4,16,\dots を取る。小さい順に 11(m1=0,−1m_1=0,-1、m2=0m_2=0 の2個)、55(m1=0,−1m_1=0,-1、m2=±1m_2=\pm1 の4個)、99(m1=1,−2m_1=1,-2、m2=0m_2=0 の2個)である。

M(κ=(1,1)\kappa=(1,1))では (1+2m1)2+(1+2m2)2(1+2m_1)^2+(1+2m_2)^2 で、どちらの項も奇数の2乗なので、22(m1,m2∈{0,−1}m_1,m_2\in\{0,-1\} の4個)、1010(一方の項が 99、他方が 11 の8個)、1818(両方の項が 99 の4個)である。

(2) X の最低準位の2個は、k\bm{k} と k−2πaex\bm{k}-\frac{2\pi}{a}\bm{e}_x の2つの平面波で、ちょうど1本の Bragg 線(kx=π/ak_x=\pi/a)の上にある。第2部第5章の縮退摂動の考え方では、この2つを結ぶ Fourier 係数 VGV_{\bm{G}}(G=2πaex\bm{G}=\frac{2\pi}{a}\bm{e}_x)によって2個の縮退が解け、幅 2∣VG∣2\lvert V_{\bm{G}}\rvert のギャップが開く。M の最低準位の4個は、3本の Bragg 線(kx=π/ak_x=\pi/a、ky=π/ak_y=\pi/a、kx+ky=2π/ak_x+k_y=2\pi/a)が交わる角にあり、4つの平面波が G=2πa(1,0),2πa(0,1),2πa(1,1)\bm{G}=\frac{2\pi}{a}(1,0),\frac{2\pi}{a}(0,1),\frac{2\pi}{a}(1,1) の Fourier 係数で互いに結ばれる。G=2πa(1,0)\bm{G}=\frac{2\pi}{a}(1,0) と 2πa(0,1)\frac{2\pi}{a}(0,1) の係数を V1V_1、2πa(1,1)\frac{2\pi}{a}(1,1) と 2πa(1,−1)\frac{2\pi}{a}(1,-1) の係数を V2V_2(どちらも実数とする)とおくと、4つの平面波を輪の順に並べた 4×44\times4 の行列は、輪の隣どうしを V1V_1、向かい合うものどうしを V2V_2 で結ぶ巡回行列になる。第2部第3章の輪と同じく巡回行列は離散 Fourier 変換で対角化でき、固有値は 2E0+2V1+V22E_0+2V_1+V_2、2E0−2V1+V22E_0-2V_1+V_2、2E0−V22E_0-V_2(2個)である。4個の縮退は 1+1+21+1+2 に分かれ、2個は正方格子の 90∘90^\circ 回転の対称性によって縮退したまま残る。1次元では Bragg 面が「点」なので縮退は2個までだったが、2次元以上では Brillouin 域の角でより多くの平面波が同じエネルギーになる。

木下の勉強ステータス

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