解答
(1) Fourier 成分は VG=α/a=(2g/π2)εX<0 で、ギャップは 2∣VG∣=(4∣g∣/π2)εX=0.203εX である。VG<0 なので、第2節の議論から、δ 関数(引力)の上に密度の山を持つ cos(πx/a) 型が下の端、節を持つ sin(πx/a) 型が上の端である。sin 型は δ 関数を感じないので、上の端は厳密に εX に留まる(例題 2.5.4 (3) と同じ理由)。厳密なギャップは引力で 0.213、斥力で 0.193 で、NFE の 0.203 をはさんでほぼ対称に ±0.01 ずれる。g の1次では符号によらず同じで、ずれは g の2次の補正である。
(2) 式 (2.5.16) は q について解析的なので、q=ip を代入してよい。cos(ipa)=coshpa、sin(ipa)/(ipa)=sinh(pa)/(pa) から
coska=coshpa+gpasinhpa
である。g<0 なら右辺の第2項が負になり、右辺が [−1,1] に入る p が存在しうる。
(3) x=0 では ψ′′=p2ψ で、遠くで 0 になる解は ψ=e−p∣x∣ である。導関数の跳び ψ′(0+)−ψ′(0−)=−2p=ℏ22mαψ(0)=ℏ22mα から p=−mα/ℏ2=m∣α∣/ℏ2=κ で、
εb=−2mℏ2κ2=−2ma2ℏ2(κa)2=−2ma2ℏ2g2=−π2g2εX
である(κa=∣g∣)。束縛状態の広がりは 1/κ=a/∣g∣ で、∣g∣≫1 なら隣の δ 関数までの距離 a より十分短い。
(4) x:=pa、f(x):=coshx−∣g∣xsinhx とおくと、条件は f(x)=coska である。x=∣g∣ では f=cosh∣g∣−sinh∣g∣=e−∣g∣ で、ほぼ 0 である。f′(x)=sinhx−∣g∣xcoshx+∣g∣x2sinhx は x=∣g∣ で sinh∣g∣−cosh∣g∣+∣g∣sinh∣g∣≈2∣g∣e∣g∣(∣g∣≫1)なので、x=∣g∣+δ と書くと
e−∣g∣+2∣g∣e∣g∣δ=coska⟹δ=2∣g∣e−∣g∣(coska−e−∣g∣)
である。エネルギーは ε=−2ma2ℏ2x2≈−2ma2ℏ2(g2+2∣g∣δ)=εb−∣g∣2∣εb∣δ なので
ε(k)≈εaεb+4∣εb∣e−2∣g∣−2⋅t2∣εb∣e−∣g∣coska
となる。∣g∣=κa なので t=2∣εb∣e−κa である。これは第2部第3章の tight-binding の帯 εa−2tcoska と同じ形で、ホッピング t は束縛状態の裾 e−κ∣x∣ が隣の原子まで届く分 e−κa に比例する。原子1個の準位 εb が、隣へのトンネルで幅 4t の帯に広がる、という tight-binding の描像が、同じ δ 関数の列の強い端として出てきた。(1) の弱い端の NFE と合わせて、1本の模型の両端が2つの描像になっている。
(5) εb=−25/π2εX=−2.533εX、t=2×2.533×e−5εX=0.0341εX、4t=0.137εX である。厳密な帯の幅は −2.461−(−2.598)=0.137εX(4桁目まで見ると 0.1372 と 0.1365 で差は 0.5%)で一致し、帯の中心 −2.529εX は εb のすぐ上にある。k=0 の方が低いのは t>0 だからで、引力の井戸の束縛状態は同じ符号でつながる方(結合性)がエネルギーが低い、という第2部第1章の結合軌道の結果と同じである。