ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第2部 第5章 §2.5.6 ★ 授業の中心方程式・2波の近似・Kronig–Penney の式とこの章の式は、記号の付け方と、障壁の幅を有限に残すかどうかだけが違う
学部の固体物理の授業では、ほぼ自由な電子の模型を次の形で習うことが多い。
中心方程式。授業ではポテンシャルの Fourier 成分を UG、自由電子のエネルギーを λk=ℏ2k2/(2m) と書き、
(λk−ε)C(k)+G∑UGC(k−G)=0
を中心方程式と呼ぶ。これは式 (2.5.6) で G=0 と置いた行で、係数の名前 C(k−G) が ck−G に、UG が VG に当たる(V0 を 0 とおく所も同じ)。授業の形では、他の行は「k を k−G に置き換えた同じ式」として暗に含まれている。
2波の近似とギャップ。授業では Brillouin 域の境界の近くで C(k) と C(k−G) だけを残して行列式を 0 とおき、
λk−εUUλk−G−ε=0,ε=2λk+λk−G±(2λk−λk−G)2+U2
を得る。U を実数とすればこの章の式 (2.5.10) と同じで、境界のギャップ εg=2∣U∣ と2つの定在波 ψ(±) の形も同じである。授業では「どちらの定在波が下か」を電荷密度の図で説明することが多い。この章ではそれを ⟨V⟩c=VG という1行の平均で確かめた。
Kronig–Penney の式。授業では、幅 w の井戸(V=0)と幅 b・高さ Vb の障壁を交互に並べた周期 a=w+b のポテンシャルを使い、ε<Vb で
coska=cosqwcoshκb+2qκκ2−q2sinqwsinhκb,ε=2mℏ2q2=Vb−2mℏ2κ2(2.5.20)
を導く(記号 Vb・w は記法の正本に無い。障壁の高さをポテンシャル V(x) と分けるため)。そのあと、b→0・Vb→∞ で積 Vbb を一定に保つ極限を取り、
qaPsinqa+cosqa=coska,P=ℏ2mVbba
の形にする。Vbb は障壁の「面積」で、δ 関数の強さ α に当たるので、P はこの章の g (2.5.15) そのもの、式は (2.5.16) と同じになる。この章では極限を先に取って δ 関数から出発した。授業の形では、右辺を qa の関数として描き、∣右辺∣≤1 の範囲を帯として図で読むことが多い。この章の図 2.5.2 は、その範囲を k について解いて描いたものである。
例題 2.5.7 有限の幅の障壁から δ 関数の列へ ★
オリジナル式 (2.5.20) で b→0、Vb→∞ とし、Vbb=α を一定に保つ。
- (1) κb→0 となることを示せ。
- (2) 極限で式 (2.5.20) が (2.5.16) になることを示せ。
- (3) ℏ2/(2m)=1、a=1、α=1、ε=3 として、b=10−2,10−3,10−4 で右辺を計算すると 0.12485, 0.12442, 0.12438 になる。極限の値と比べよ。
解答
(1) κ2=ℏ22m(Vb−ε)≈ℏ2b2mα なので (κb)2≈ℏ22mαb→0 である。κ 自身は b−1/2 で発散するが、κb は b1/2 で 0 に行く。
(2) κb→0 から coshκb→1、sinhκb≈κb で、w=a−b→a である。第2項は 2qκκ2−q2κbsinqa≈2qκ2bsinqa→ℏ2qmαsinqa(q2b→0 も使った)なので、coska=cosqa+ℏ2qmαsinqa=cosqa+gqasinqa となり、式 (2.5.16) に一致する。
(3) この単位では g=mαa/ℏ2=α/2=0.5、qa=3 で、極限の値は cos3+0.5sin3/3=−0.1605+0.2849=0.12437 である。b=10−4 の 0.12438 は極限と 10−5 の桁で一致し、差は b にほぼ比例して縮む(b=10−2 で 5×10−4、10−3 で 5×10−5)。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com