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出てくるもの1:単位胞あたりの電子の数で数える

2026年10月15日6分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第7章 金属・半導体・絶縁体はバンドの埋まり方で決まる
目次
  1. 奇数と偶数
  2. 実在の結晶で数える
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第2部 第7章 §2.7.2 ★★★ 1本のバンドの容量が単位胞あたり2個なので、電子数が奇数なら必ず金属、偶数ならバンドが重なるかどうかで金属・半金属・絶縁体に分かれる

奇数と偶数

前の節の「1本のバンドは単位胞あたり2個で満ちる」から、絶対零度での詰まり方について次のことが言える。単位胞あたりの電子の数(内殻の電子を除いた価電子の数)を zz とする。

zz が奇数なら、電子を何本かのバンドに詰めたとき、少なくとも1本のバンドは途中までしか埋まらない。満ちたバンドだけで電子を数えると必ず偶数になるからである。したがって、単位胞あたりの電子の数が奇数の結晶は、1電子のバンドの描像では必ず金属になる。この結論はバンドの形によらない。

zz が偶数なら、下から z/2z/2 本のバンドがちょうど満ちる詰め方がありうる。そうなるかどうかは、z/2z/2 本目のバンドの最も高いエネルギーと z/2+1z/2+1 本目のバンドの最も低いエネルギーの大小で決まる。前者が後者より低ければ(2本のバンドがエネルギーで重ならなければ)、その間にギャップがあり、結晶は絶縁体(または半導体)になる。前者が後者より高ければ(重なれば)、z/2z/2 本目のバンドの上の方が空き、その分の電子が z/2+1z/2+1 本目のバンドの底に入る。両方のバンドに Fermi 面ができ、結晶は金属になる。重なりが小さく、Fermi 面の囲む領域が小さい(電子と正孔の数が少ない)ものを特に半金属と呼ぶ。

図 2.7.1 に4つの場合を並べた。

図

図 2.7.1 バンドの埋まり方で分ける4つの場合(模式図)。箱は1本のバンドのエネルギーの範囲、青は絶対零度で電子が占める部分、赤の破線は化学ポテンシャル μ\mu。半金属では2本のバンドがわずかに重なり、下のバンドの上端に正孔、上のバンドの底に電子が少しずつある。半導体と絶縁体の違いはギャップ EgE_{\mathrm g} の大きさだけである。

実在の結晶で数える

この数え方を、よく知られた結晶に当ててみる。価電子の数と単位胞の中の原子の数が分かれば zz が決まる。

Na・K などのアルカリ金属は、体心立方(bcc)の単位胞に原子1個で、価電子は ss 電子1個なので z=1z=1(奇数)である。したがって金属である。Cu・Ag・Au は面心立方(fcc)の単位胞に原子1個で、価電子は dd 電子10個と ss 電子1個の 1111 個(奇数)である。dd のバンド5本(10個の電子で満ちる)の上に ss のバンドが半分まで詰まり、金属になる。

Mg・Ca などのアルカリ土類金属は、価電子が ss 電子2個で、単位胞あたりの電子の数は偶数である(Mg は六方最密構造で単位胞に原子2個、z=4z=4)。それでも金属なのは、ss のバンドと pp のバンドがエネルギーで重なっているからである。zz が偶数であることは絶縁体であることを保証しない。

C(ダイヤモンド)・Si・Ge はダイヤモンド構造で、fcc の単位胞に原子2個、価電子は1個あたり4個なので z=8z=8 である。下から4本のバンド(結合の性格を持つ sp3sp^3 の組み合わせ)がちょうど満ち、次のバンドとの間にギャップが開く。Si のギャップは 0 K0\,\mathrm{K} で 1.170 eV1.170\,\mathrm{eV} と測られている(W. Bludau, A. Onton, W. Heinke (1974), J. Appl. Phys. 45, 1846)。NaCl は fcc の単位胞に Na と Cl が1個ずつ、価電子は Na の 3s3s 1個と Cl の 3s3s 2個・3p3p 5個で z=8z=8 である。電子は Cl の 3s3s・3p3p のバンド4本を満たし、Na の 3s3s のバンドは空になる。ここではギャップが大きく、NaCl は透明な絶縁体である。

Bi・Sb・As は、単位胞に原子2個、価電子は1個あたり5個で z=10z=10(偶数)だが、5本目と6本目のバンドが BZ の別々の場所でわずかに重なり、半金属になる。

グラフェンは、第1部第2章の総合問題で見たように、単位胞に炭素原子2個、π\pi 電子は1個あたり1個で z=2z=2 である。π\pi のバンドは2本あり、下の1本がちょうど満ちる。これは第1部第2章の問い「準位のうち何割が埋まるか」の答えが半分であることと同じことである(第1部第2章)。ところがグラフェンでは、上下の2本のバンドが BZ の頂点 K でちょうど接し、ギャップが 00 である。満ちたバンドと空いたバンドの間に隙間も重なりもない境目の場合で、これをゼロギャップ半導体と呼ぶ。接する点の近くの形(Dirac コーン)は 第2部第9章で求める。

数える単位は基本単位胞

zz を数えるときは、基本単位胞(体積が最小の単位胞)で数える。慣用単位胞(fcc の立方体など)で数えると、格子点が4個入っているので zz が4倍になり、偶奇の判定ができなくなる。

例題 2.7.3 重なった2本のバンドで電子と正孔の数がそろう ★★★

オリジナル格子定数 aa の1次元の結晶で、単位胞に軌道が2つあり、バンドが

ε1(k)=−2tcos⁡ka,ε2(k)=E0+2tcos⁡ka(t>0, E0>0)\varepsilon _1(k)=-2t\cos ka,\qquad \varepsilon _2(k)=E_0+2t\cos ka\qquad(t>0,\ E_0>0)

の2本であるとする(下のバンドは k=0k=0 が底で k=π/ak=\pi/a が上端、上のバンドは k=π/ak=\pi/a が底)。単位胞あたり2個の電子を絶対零度で詰める。

  1. (1) 2本のバンドがエネルギーで重なる条件を求めよ。重ならないとき、この結晶は金属と絶縁体のどちらか。
  2. (2) 重なるとき、下のバンドの空いた状態(正孔)の数と上のバンドの電子の数が等しいことを、電子の数え方から説明せよ。
  3. (3) E0=2tE_0=2t のとき、Fermi エネルギー εF\varepsilon _{\mathrm F}、Fermi 面の位置 k∗k^*、単位胞あたりの正孔と電子の数を求めよ。
解答

(1) 下のバンドの上端は ε1(π/a)=2t\varepsilon _1(\pi/a)=2t、上のバンドの底は ε2(π/a)=E0−2t\varepsilon _2(\pi/a)=E_0-2t である。重なる条件は E0−2t<2tE_0-2t<2t、すなわち E0<4tE_0<4t である。E0>4tE_0>4t なら、2個の電子で下のバンドがちょうど満ち、上のバンドとの間にギャップ E0−4tE_0-4t が開くので、絶縁体である。

(2) 単位胞あたり2個の電子は、ちょうど1本のバンドの容量に等しい。下のバンドから電子が抜けた分だけ上のバンドに電子が入るので、正孔の数(下のバンドの空き)と上のバンドの電子の数は必ず等しい。この「補償」は、単位胞あたりの電子の数が偶数で、バンドの重なりだけで金属になった半金属に共通の性質である。

(3) Fermi 面は下のバンドでは ∣k∣>k1\lvert k\rvert >k_1、上のバンドでは ∣k∣>k2\lvert k\rvert >k_2 の領域の境目にある。(2) から空きの幅と詰まりの幅が等しいので π/a−k1=π/a−k2\pi/a-k_1=\pi/a-k_2、すなわち k1=k2=k∗k_1=k_2=k^* で、−2tcos⁡k∗a=E0+2tcos⁡k∗a-2t\cos k^*a=E_0+2t\cos k^*a から cos⁡k∗a=−E0/(4t)\cos k^*a=-E_0/(4t)、εF=E0/2\varepsilon _{\mathrm F}=E_0/2 である。E0=2tE_0=2t では cos⁡k∗a=−1/2\cos k^*a=-1/2、k∗=2π/(3a)k^*=2\pi/(3a)、εF=t\varepsilon _{\mathrm F}=t になる。正孔の数は、BZ の幅 2π/a2\pi/a のうち ∣k∣>k∗\lvert k\rvert >k^* の部分 2(π/a−k∗)=2π/(3a)2(\pi/a-k^*)=2\pi/(3a) の割合 1/31/3 にスピンの2を掛けて、単位胞あたり 2/32/3 個である。電子の数も同じく 2/32/3 個である。下のバンドには 2−2/3=4/32-2/3=4/3 個、上のバンドには 2/32/3 個の電子があり、合わせて2個になっている。

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