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出てくるもの2:Fermi 面の形

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第7章 金属・半導体・絶縁体はバンドの埋まり方で決まる
目次
  1. 自由電子の Fermi 球と BZ
  2. Fermi 面はゾーン境界に直角に交わる
  3. tight-binding の Fermi 面
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第2部 第7章 §2.7.3 ★★ Fermi 面は自由電子では球、BZ の境界に近づくと境界に直角に交わるように曲がり、tight-binding の半分詰まりでは正方形になる

自由電子の Fermi 球と BZ

周期ポテンシャルが弱い極限(第2部第5章のほぼ自由な電子)から始める。ポテンシャルを 00 にすると ε(k)=ℏ2k2/(2m)\varepsilon (\bm{k})=\hbar^2k^2/(2m) で、Fermi 面は半径 kFk_{\mathrm F} の球になる。単位体積あたりの電子の数を nn とすると、球の中の波数の数 4πkF3/3(2π)3\frac{4\pi k_{\mathrm F}^3/3}{(2\pi)^3} にスピンの2を掛けたものが nn に等しく

kF=(3π2n)1/3(2.7.5)k_{\mathrm F}=(3\pi^2n)^{1/3}\tag{2.7.5}

である。周期ポテンシャルを入れると、BZ の境界(ゾーン境界)でギャップが開く。Fermi 球が BZ の内側に収まっていれば、Fermi 面はほとんど球のまま残る。Fermi 球が境界に届くと、そこでバンドが割れるので、球は境界で切られた形になる。

1価の金属では、1本のバンドの容量の半分しか電子が無いので、Fermi 球の体積は BZ の体積のちょうど半分である。球が BZ の内側に収まるかどうかは BZ の形で決まり、次の例題で bcc と fcc を比べる。

Fermi 面はゾーン境界に直角に交わる

Fermi 面がゾーン境界に届くときの交わり方には、対称性から決まる規則がある。逆格子ベクトル G\bm{G} の垂直二等分面の上の点を k0=G/2+k⊥\bm{k}_0=\bm{G}/2+\bm{k}_\perp(k⊥⊥G\bm{k}_\perp\perp\bm{G})とし、G\bm{G} の向きの単位ベクトルを eG\bm{e}_G とする。時間反転の対称性による εn(k)=εn(−k)\varepsilon _n(\bm{k})=\varepsilon _n(-\bm{k}) と周期性 εn(k−G)=εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}-\bm{G})=\varepsilon _n(\bm{k}) を順に使うと、ss を実数として

εn(G2+k⊥+seG)=εn(−G2−k⊥−seG)=εn(G2−k⊥−seG)\varepsilon _n\Bigl(\frac{\bm{G}}{2}+\bm{k}_\perp+s\bm{e}_G\Bigr)=\varepsilon _n\Bigl(-\frac{\bm{G}}{2}-\bm{k}_\perp-s\bm{e}_G\Bigr)=\varepsilon _n\Bigl(\frac{\bm{G}}{2}-\bm{k}_\perp-s\bm{e}_G\Bigr)

である。面が鏡映の対称性 k⊥→−k⊥\bm{k}_\perp\to-\bm{k}_\perp も持つ場合(立方格子の面など)には、最後の式は εn(G/2+k⊥−seG)\varepsilon _n(\bm{G}/2+\bm{k}_\perp-s\bm{e}_G) に等しい。すると εn\varepsilon _n は ss の偶関数なので、s=0s=0 での ss 微分、つまり群速度の G\bm{G} 方向の成分は 00 である(εn\varepsilon _n がそこで微分可能、すなわちバンドが縮退していない場合)。Fermi 面の法線は群速度の向きなので、Fermi 面はゾーン境界の面に直角に交わる。ほぼ自由な電子の Fermi 球は、ゾーン境界の近くで境界に向かって引き伸ばされるように曲がって、境界に直角に入る。

tight-binding の Fermi 面

ポテンシャルが強い逆の極限、tight-binding の側からも Fermi 面を描いてみる。格子定数 aa の2次元の正方格子で、最近接だけのホッピング tt を残すと、バンドは

ε(k)=−2t(cos⁡kxa+cos⁡kya)(2.7.6)\varepsilon (\bm{k})=-2t(\cos k_xa+\cos k_ya)\tag{2.7.6}

の1本である(第2部第3章の輪を2方向にしたもの)。μ\mu を変えると、Fermi 面(この場合は曲線)は図 2.7.2 のように形を変える。

図

図 2.7.2 正方格子の tight-binding (2.7.6) の Fermi 面(第1 BZ)。曲線の脇の数は μ\mu の値で、1サイトあたりの電子の数は内側から 0.1700.170(μ=−3t\mu=-3t)、0.4850.485(−1.5t-1.5t)、11(00、半分詰まり)、1.5151.515(1.5t1.5t)。μ<0\mu<0 では原点を囲む閉じた曲線(電子の Fermi 面)、μ=0\mu=0 では頂点が (±π/a,0)(\pm\pi/a,0)・(0,±π/a)(0,\pm\pi/a) の正方形、μ>0\mu>0 では BZ の角 (±π/a,±π/a)(\pm\pi/a,\pm\pi/a) を囲む曲線(空いた領域を囲む正孔の Fermi 面)になる。μ=1.5t\mu=1.5t の4本の弧は、BZ を周期的に並べると角を中心とする1つの閉曲線につながる。

電子の数が少ないとき(μ=−3t\mu=-3t)、Fermi 面はほとんど円である。BZ の底 k=0\bm{k}=\bm{0} の近くで ε≈−4t+ta2k2\varepsilon \approx-4t+ta^2k^2 と放物線になり、自由電子と同じ形になるからである。μ\mu を上げると円は角ばり、μ=0\mu=0 でちょうど正方形 ∣kx∣+∣ky∣=π/a\lvert k_x\rvert +\lvert k_y\rvert =\pi/a になる。cos⁡kxa+cos⁡kya=0\cos k_xa+\cos k_ya=0 は kya=±(π−kxa)k_ya=\pm(\pi-k_xa) と同じだからである。この正方形の内側の面積は 2(π/a)22(\pi/a)^2 で、BZ の面積 (2π/a)2(2\pi/a)^2 のちょうど半分なので、1サイトあたり1個(半分詰まり)に当たる。正方形の頂点 (π/a,0)(\pi/a,0) はバンドの鞍点で、ここで状態密度が対数的に発散する(2次元の van Hove 特異点。第2部第6章)。μ>0\mu>0 では、Fermi 面は BZ の角を囲む曲線になる。占められた領域は Fermi 面の外側で、Fermi 面の囲む内側が空いている。空いた状態の集まりを1つの粒子のように扱うのが正孔の描像で、Hall 効果の符号として測られる(第4部第4章)。

半分詰まりの正方形の Fermi 面には、もう1つ特徴がある。向かい合う辺どうしが、1つのベクトル Q=(π/a,π/a)\bm{Q}=(\pi/a,\pi/a) だけずらすと重なる。これを Fermi 面のネスティングと呼ぶ。ネスティングがあると、波数 Q\bm{Q} の小さな周期的な摂動が Fermi 面の上の多くの状態を同時に混ぜ、その摂動のエネルギーを大きく下げられる。1次元の鎖の Fermi 面は2点 ±kF\pm k_{\mathrm F} で、2kF2k_{\mathrm F} だけずらすと完全に重なる。これが次の章で Peierls 転移が1次元で必ず起きる理由になる(第2部第8章)。

例題 2.7.4 1価の金属の Fermi 球は BZ に収まるか ★★

オリジナル立方体の慣用単位胞の1辺を aa とする。

  1. (1) bcc の1価金属(慣用単位胞に原子2個)の kFak_{\mathrm F}a を求めよ。bcc の BZ(逆格子は fcc)の中心から最も近い面までの距離は 2π/a\sqrt2\pi/a である。両者の比を求めよ。
  2. (2) fcc の1価金属(慣用単位胞に原子4個)の kFak_{\mathrm F}a を求めよ。fcc の BZ(逆格子は bcc)の中心から最も近い面(六角形の面の中心 L 点)までの距離は 3π/a\sqrt3\pi/a である。両者の比を求めよ。
  3. (3) (1)(2) の結果から、どちらの金属の Fermi 面が自由電子の球からずれやすいと考えられるか。
解答

(1) n=2/a3n=2/a^3 なので、式 (2.7.5) から kFa=(6π2)1/3=3.898k_{\mathrm F}a=(6\pi^2)^{1/3}=3.898 である。面までの距離 2π=4.443\sqrt2\pi=4.443 との比は 0.8770.877 で、球は BZ の中に収まり、面まで 12%12\% 余裕がある。最も近い面の中心は、逆格子ベクトル 2πa(1,1,0)\frac{2\pi}{a}(1,1,0) の半分の位置にある(第1部第2章)。

(2) n=4/a3n=4/a^3 なので kFa=(12π2)1/3=4.911k_{\mathrm F}a=(12\pi^2)^{1/3}=4.911 である。L 点は逆格子ベクトル 2πa(1,1,1)\frac{2\pi}{a}(1,1,1) の半分の位置にあり、距離は 3π=5.441\sqrt3\pi=5.441 で、比は 0.9030.903 である。

(3) fcc の方が球は面に近い(余裕が 10%10\%)。L 点の近くではギャップが開いてバンドが平らになり、前の小節で見たように Fermi 面は境界に向かって引き伸ばされるので、自由電子の球から大きくずれやすいのは fcc の1価金属である。実際 Cu の Fermi 面は L 点の六角形の面に届き、そこで「首」を作る(2.7.6節)。

例題 2.7.5 2価の正方格子:Fermi 円は BZ からはみ出す ★

オリジナル格子定数 aa の2次元の正方格子で、単位胞あたり2個の電子を自由電子として(ポテンシャルを 00 として)詰める。

  1. (1) Fermi 円の半径 kFk_{\mathrm F} を求め、BZ の辺の中点までの距離 π/a\pi/a、角までの距離 2π/a\sqrt2\pi/a と比べよ。
  2. (2) 第1 BZ の中で Fermi 円の外になる部分(角の4つの空き)の面積と、Fermi 円のうち第1 BZ の外へ出た部分の面積が等しいことを説明せよ。
  3. (3) 弱い周期ポテンシャルを入れると、この結晶は金属・絶縁体のどちらになりうるか。
解答

(1) 2次元では Fermi 円の中の波数の数は πkF2/(2π)2\pi k_{\mathrm F}^2/(2\pi)^2 で、スピンの2を掛けて単位面積あたり 2/a22/a^2 に等しいとおくと kF2=4π/a2k_{\mathrm F}^2=4\pi/a^2、kFa=2π=3.545k_{\mathrm F}a=2\sqrt\pi=3.545 である。π<3.545<2π=4.443\pi<3.545<\sqrt2\pi=4.443 なので、円は辺からははみ出し、角までは届かない。

(2) 円の面積は πkF2=4π2/a2\pi k_{\mathrm F}^2=4\pi^2/a^2 で、BZ の面積 (2π/a)2(2\pi/a)^2 にちょうど等しい。円の面積は「BZ の中の円の部分」と「BZ の外の円の部分」の和、BZ の面積は「BZ の中の円の部分」と「角の空き」の和なので、両者は等しい。数値で求めると、どちらも 3.575/a23.575/a^2(BZ の 9.05%9.05\%)である。

(3) 第1バンド(第1 BZ)の角に空き(正孔)、第2バンド(第1 BZ の外の部分を逆格子ベクトルで戻したもの)に電子が残る。弱いポテンシャルでは、ゾーン境界に開くギャップが小さいため、第1バンドの角(最も高い所)が第2バンドの辺の中点の近く(最も低い所)より上にあり、2本のバンドは重なったまま金属(または半金属)になる。ポテンシャルを強くしてギャップを大きくすると、第1バンドが満ちて第2バンドが空になる絶縁体へ移る。単位胞あたり2個の電子は偶数なので、どちらも起こりうる。前の節の数え方の言う「偶数なら重なり次第」の具体例である。

木下の勉強ステータス

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