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何の実験の量で確かめるか・授業で習った形との対応

2026年10月15日14分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第7章 金属・半導体・絶縁体はバンドの埋まり方で決まる
目次
  1. 何の実験の量で確かめるか
  2. 授業で習った形との対応
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第2部 第7章 §2.7.6 ★★ 抵抗の温度依存性・電子比熱・Fermi 面の量子振動・光の吸収端の4つで、埋まり方を実験で確かめる

何の実験の量で確かめるか

電気抵抗の温度依存性。金属の電気抵抗は、温度を上げると増える。キャリアの数は εF\varepsilon _{\mathrm F} の近くの電子で決まって温度によらず、格子の振動による散乱が増えるからである(第4部第2章)。半導体の抵抗は、温度を上げると指数関数的に減る。キャリアの数 nin_{\mathrm i} が式 (2.7.11) のように増えるからである。抵抗率 ρ\rho の対数を 1/T1/T に対して描けば、傾きからギャップが読み取れる(次の例題)。

電子比熱。金属では、εF\varepsilon _{\mathrm F} の近くの幅 kBTk_{\mathrm B} T ほどの電子だけが熱を吸うので、低温の比熱に TT に比例する項 γT\gamma T が現れる。係数は状態密度で決まり、γ=π23kB2D(εF)\gamma=\frac{\pi^2}{3} k_{\mathrm B}^2D(\varepsilon _{\mathrm F})(単位体積あたり)である(導出は Sommerfeld 展開で 第4部第1章)。絶縁体には γT\gamma T の項が無い。格子の比熱は低温で T3T^3 に比例して小さくなるので、数 K 以下で比熱を TT で割ったものを T2T^2 に対して描くと、切片が γ\gamma を与える。γ\gamma が 00 でないことが D(εF)>0D(\varepsilon _{\mathrm F})>0、すなわち Fermi 面があることの直接の確かめになる。

Fermi 面の形。強い磁場の中では、Fermi 面の上の電子は Fermi 面を磁場に垂直な面で切った断面を回る。磁化などが 1/B1/B の周期で振動する de Haas–van Alphen 効果の周期は、この断面の面積で決まるので、磁場の向きを変えて測れば Fermi 面の形が分かる(第4部第4章)。A. B. Pippard はこの種の測定(異常表皮効果)から、Cu の Fermi 面が L 点の六角形の面に届いて「首」を作ることを示した(A. B. Pippard (1957), Phil. Trans. R. Soc. Lond. A 250, 325)。例題 2.7.4 で fcc の Fermi 球が L 点に近いことを見たが、実際にはバンドの効果で届く。角度分解光電子分光(ARPES)では、占められた状態の εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) を直接描ける。

光の吸収端。光子は、エネルギーが EgE_{\mathrm g} より大きければ価電子帯の電子を伝導帯に上げて吸収される。絶縁体と半導体は、EgE_{\mathrm g} より小さいエネルギーの光に対して透明である。可視光の光子のエネルギーは 1.65 eV1.65\,\mathrm{eV}(波長 750 nm750\,\mathrm{nm})から 3.1 eV3.1\,\mathrm{eV}(400 nm400\,\mathrm{nm})なので、ギャップが 3.1 eV3.1\,\mathrm{eV} より大きい結晶は無色透明に、1.65 eV1.65\,\mathrm{eV} より小さい Si は可視光をすべて吸収して金属のような灰色に見える。吸収端の詳しい形は 第4部第6章で扱う。

例題 2.7.9 抵抗の温度変化からギャップを読む ★★

オリジナル不純物の少ない半導体の抵抗率を測ったところ、T1=300 KT_1=300\,\mathrm K での値が T2=350 KT_2=350\,\mathrm K での値の20倍だった。抵抗率は nin_{\mathrm i} に反比例し、移動度の温度変化は無視できるとする。

  1. (1) ρ∝T−3/2eEg/(2kBT)\rho\propto T^{-3/2}\mathrm{e}^{E_{\mathrm g}/(2 k_{\mathrm B} T)} を使って EgE_{\mathrm g} を求めよ(kB=8.617×10−5 eV K−1k_{\mathrm B}=8.617\times10^{-5}\,\mathrm{eV\,K^{-1}})。
  2. (2) T−3/2T^{-3/2} の因子を無視すると、求めた EgE_{\mathrm g} はどれだけずれるか。
解答

(1) NcNv∝T3N_{\mathrm c}N_{\mathrm v}\propto T^3 なので ni∝T3/2e−Eg/(2kBT)n_{\mathrm i}\propto T^{3/2}\mathrm{e}^{-E_{\mathrm g}/(2 k_{\mathrm B} T)}、ρ∝T−3/2eEg/(2kBT)\rho\propto T^{-3/2}\mathrm{e}^{E_{\mathrm g}/(2 k_{\mathrm B} T)} である。比をとると

ln⁡ρ(T1)ρ(T2)=−32ln⁡T1T2+Eg2kB(1T1−1T2)\ln\frac{\rho(T_1)}{\rho(T_2)}=-\frac32\ln\frac{T_1}{T_2}+\frac{E_{\mathrm g}}{2 k_{\mathrm B}}\Bigl(\frac1{T_1}-\frac1{T_2}\Bigr)

で、ln⁡20=2.996\ln20=2.996、32ln⁡350300=0.231\frac32\ln\frac{350}{300}=0.231、1300−1350=4.762×10−4 K−1\frac1{300}-\frac1{350}=4.762\times10^{-4}\,\mathrm{K^{-1}} からEg=2×8.617×10−5×(2.996−0.231)/(4.762×10−4)=1.00 eVE_{\mathrm g}=2\times8.617\times10^{-5}\times(2.996-0.231)/(4.762\times10^{-4})=1.00\,\mathrm{eV} である。

(2) T−3/2T^{-3/2} を落とすと Eg=2×8.617×10−5×2.996/(4.762×10−4)=1.08 eVE_{\mathrm g}=2\times8.617\times10^{-5}\times2.996/(4.762\times10^{-4})=1.08\,\mathrm{eV} で、8%8\% 大きく出る。指数関数の項が主だが、eEg/(2kBT)\mathrm{e}^{E_{\mathrm g}/(2 k_{\mathrm B} T)} の変化がそれほど大きくない狭い温度範囲では、べきの因子も無視できない。実際の解析では、移動度の温度依存性もべきの因子として同じ形で入る。

授業で習った形との対応

学部の固体物理の授業では、この章の内容を次のように書くことが多い。式で並べておく。

金属と絶縁体の判定。授業では「価電子が詰まった最も高いバンドが途中まで詰まっていれば金属、満ちていれば絶縁体」と言葉で述べ、「基本単位胞あたりの価電子の数が偶数なら絶縁体になりうる(バンドが重なれば金属)」と続けることが多い。この章ではこれを、1本のバンドの容量が 2N2N であること(2.7.1節)と、満ちたバンドの電流が 00 であること(命題 2.7.1)の2つから導いた。

Fermi エネルギーと Fermi 準位。授業では、金属について絶対零度の εF\varepsilon _{\mathrm F} を「Fermi エネルギー」、半導体について有限温度の化学ポテンシャル μ\mu を「Fermi 準位」と呼び分けることが多い。この章の記号では、Fermi 準位は μ(T)\mu(T) そのもので、εF=lim⁡T→0μ(T)\varepsilon _{\mathrm F}=\lim_{T\to0}\mu(T) である。半導体の「Fermi 準位がギャップの中央にある」は式 (2.7.11) の μi\mu_{\mathrm i} のことである。

キャリア密度。授業の半導体の章では

n=NCexp⁡(−EC−EFkBT),p=NVexp⁡(−EF−EVkBT),np=ni2n=N_{\mathrm C}\exp\Bigl(-\frac{E_{\mathrm C}-E_{\mathrm F}}{ k_{\mathrm B} T}\Bigr),\qquad p=N_{\mathrm V}\exp\Bigl(-\frac{E_{\mathrm F}-E_{\mathrm V}}{ k_{\mathrm B} T}\Bigr),\qquad np=n_{\mathrm i}^2

と書くことが多い。ECE_{\mathrm C}・EVE_{\mathrm V}・EFE_{\mathrm F} は、この章の εc\varepsilon _{\mathrm c}・εv\varepsilon _{\mathrm v}・μ\mu に当たる。NCN_{\mathrm C}・NVN_{\mathrm V} の式は式 (2.7.9) と同じで、np=ni2np=n_{\mathrm i}^2 は式 (2.7.10) と (2.7.11) を合わせたものである。授業ではこれらの式を「伝導帯の状態を底に集めた有効状態密度」の図で説明することが多いが、この章では (2.7.4) の積分を2つの近似(非縮退・放物線)で評価した結果として出した。近似を明示したことで、縮退半導体(例題 2.7.7)で式が使えなくなる理由が見える。

例題 2.7.10 低温の比熱で金属と絶縁体を見分ける ★

オリジナル2つの結晶の電子の比熱を、10 K10\,\mathrm K と 300 K300\,\mathrm K で比べる(R=8.314 J mol−1 K−1R=8.314\,\mathrm{J\,mol^{-1}\,K^{-1}}、kB=8.617×10−5 eV/Kk_{\mathrm B}=8.617\times10^{-5}\,\mathrm{eV/K})。

  1. (1) 金属:例題 2.7.2 の半分詰まりの1次元の鎖(t=1 eVt=1\,\mathrm{eV})。D(εF)D(\varepsilon _{\mathrm F}) を1サイトあたりに直し、Sommerfeld 展開の結果 Cel=γTC_{\mathrm{el}}=\gamma T、γ=π23kB2D(εF)\gamma=\frac{\pi^2}{3} k_{\mathrm B}^2D(\varepsilon _{\mathrm F}) に入れて、サイト1モルあたりの γ\gamma と、10 K10\,\mathrm K・300 K300\,\mathrm K の CelC_{\mathrm{el}} を求めよ。
  2. (2) 絶縁体:ギャップ Eg=1 eVE_{\mathrm g}=1\,\mathrm{eV}、me∗=mh∗=mm^*_{\mathrm e}=m^*_{\mathrm h}=m、原子の数密度 5.0×1022 cm−35.0\times10^{22}\,\mathrm{cm^{-3}} の結晶。熱で上がる電子と正孔の対の数は 2.7.4節の nin_{\mathrm i} で、1対ごとにほぼ EgE_{\mathrm g} のエネルギーを持つ。1原子あたりの対の数 x=ni/natx=n_{\mathrm i}/n_{\mathrm{at}} を求め、電子の比熱が Cel≈12x(Eg/kBT)2kBC_{\mathrm{el}}\approx\frac12x\bigl(E_{\mathrm g}/ k_{\mathrm B} T\bigr)^2 k_{\mathrm B}(1原子あたり)になることを示して、10 K10\,\mathrm K・300 K300\,\mathrm K の値を1モルあたりで求めよ。
  3. (3) 低温で測った比熱を C/TC/T 対 T2T^2 に描くと、何で金属と絶縁体が分かれるか。
解答

(1) 例題 2.7.2 (3) の D(εF)=1/(πta)D(\varepsilon _{\mathrm F})=1/(\pi ta) は単位長さあたりなので、1サイト(長さ aa)あたりでは 1/(πt)1/(\pi t) である。これを入れて

γ=π23kB2⋅1πt=πkB23t,γmol=NAπkB23t=πR3⋅kBt\gamma=\frac{\pi^2}{3} k_{\mathrm B}^2\cdot\frac{1}{\pi t}=\frac{\pi k_{\mathrm B}^2}{3t},\qquad \gamma_{\mathrm{mol}}=N_{\mathrm A}\frac{\pi k_{\mathrm B}^2}{3t}=\frac{\pi R}{3}\cdot\frac{ k_{\mathrm B}}{t}

で、t=1 eVt=1\,\mathrm{eV} では γmol=π3×8.314×8.617×10−5 J mol−1K−2=0.750 mJ mol−1 K−2\gamma_{\mathrm{mol}}=\frac{\pi}{3}\times8.314\times8.617\times10^{-5}\,\mathrm{J\,mol^{-1}K^{-2}}=0.750\,\mathrm{mJ\,mol^{-1}\,K^{-2}} である。Cel=γTC_{\mathrm{el}}=\gamma T は 10 K10\,\mathrm K で 7.50 mJ mol−1K−17.50\,\mathrm{mJ\,mol^{-1}K^{-1}}、300 K300\,\mathrm K で 0.225 J mol−1K−10.225\,\mathrm{J\,mol^{-1}K^{-1}} になる。γ\gamma の式の導き方は 第4部第1章で扱う。ここで使うのは、比熱が D(εF)D(\varepsilon _{\mathrm F}) に比例し、TT に比例するという形だけである。Fermi 面の近くの幅 kBTk_{\mathrm B} T の電子だけが動けるので、温度に比例する(2.7.4節の初め)。

(2) m∗=mm^*=m では Nc=NvN_{\mathrm c}=N_{\mathrm v} で、300 K300\,\mathrm K の Nc=2.51×1019 cm−3N_{\mathrm c}=2.51\times10^{19}\,\mathrm{cm^{-3}} と e−Eg/(2kBT)=e−19.34=3.98×10−9\mathrm{e}^{-E_{\mathrm g}/(2 k_{\mathrm B} T)}=\mathrm{e}^{-19.34}=3.98\times10^{-9} から ni=1.0×1011 cm−3n_{\mathrm i}=1.0\times10^{11}\,\mathrm{cm^{-3}}、x=2.0×10−12x=2.0\times10^{-12} である。1原子あたりのエネルギーは U≈xEgU\approx xE_{\mathrm g} で、xx の温度変化は指数 e−Eg/(2kBT)\mathrm{e}^{-E_{\mathrm g}/(2 k_{\mathrm B} T)} が決める(dx/dT≈x Eg/(2kBT2)\mathrm{d} x/\mathrm{d} T\approx x\,E_{\mathrm g}/(2 k_{\mathrm B} T^2))。したがって

Cel=dUdT≈Eg⋅xEg2kBT2=12x(EgkBT)2kBC_{\mathrm{el}}=\frac{\mathrm{d} U}{\mathrm{d} T}\approx E_{\mathrm g}\cdot\frac{xE_{\mathrm g}}{2 k_{\mathrm B} T^2}=\frac12x\Bigl(\frac{E_{\mathrm g}}{ k_{\mathrm B} T}\Bigr)^2 k_{\mathrm B}

である。前の因子 T3/2T^{3/2} の微分と、電子と正孔の運動エネルギー 3kBT3 k_{\mathrm B} T を入れても、300 K300\,\mathrm K で値が2割ほど変わるだけである。300 K300\,\mathrm K では Eg/kBT=38.7E_{\mathrm g}/ k_{\mathrm B} T=38.7 で、Cel≈12×2.0×10−12×38.72 kB=1.5×10−9kBC_{\mathrm{el}}\approx\frac12\times2.0\times10^{-12}\times38.7^2\, k_{\mathrm B}=1.5\times10^{-9} k_{\mathrm B}、1モルあたり 1.2×10−8 J mol−1K−11.2\times10^{-8}\,\mathrm{J\,mol^{-1}K^{-1}} である。金属の (1) の 0.2250.225 より7桁小さい。10 K10\,\mathrm K では Eg/(2kBT)=580E_{\mathrm g}/(2 k_{\mathrm B} T)=580 で、xx は 10−25810^{-258} ほどになり、CelC_{\mathrm{el}} は 10−251 J mol−1K−110^{-251}\,\mathrm{J\,mol^{-1}K^{-1}} の大きさで、測れる量としては 00 である。

(3) 低温の比熱は、電子の項と格子の項(Debye の T3T^3。第3部第2章)の和で、金属では C=γT+AT3C=\gamma T+A T^3、C/T=γ+AT2C/T=\gamma+A T^2 になる(AA は格子で決まる定数)。C/TC/T 対 T2T^2 の直線の切片が γ\gamma である。金属では切片が D(εF)>0D(\varepsilon _{\mathrm F})>0 に比例して有限に残り、絶縁体では (2) のとおり電子の項が指数で消えるので、直線は原点を通る。切片が有限か 00 かが、Fermi 準位がバンドの中にあるかギャップの中にあるかの判定になる。切片の値を1電子の D(εF)D(\varepsilon _{\mathrm F}) と比べたずれは、有効質量や相互作用の大きさを表し、第4部第1章で読む。

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