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この章で選ぶ H^\hat H と当てる道具:光の場で揺らすバンドの電子と黄金律

2026年10月15日18分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第4部 第6章 光学応答:バンド間遷移・励起子・固体のプラズモン
目次
  1. 借りるもの:誘電関数と光学定数
  2. 誘電関数を部分に分ける
  3. 選ぶ
  4. 当てる道具:黄金律から へ
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第4部 第6章 §4.6.1 ★★★ 選ぶのは「結晶の1電子の H^\hat H+光のベクトルポテンシャルの最小結合」。誘電関数を束縛電子・格子・自由電子・バンド間の部分に分け、バンド間の部分を黄金律で計算すると ε2\varepsilon_2 は縦の遷移の結合状態密度に比例する

固体に光を当てると、一部は反射され、残りは吸収されるか通り抜ける。その割合を光の振動数ごとに決める量が、比誘電率 εr(ω)\varepsilon_{\mathrm r}(\omega)(誘電関数)である。誘電関数を振動子の模型で書く方法そのもの、すなわち束縛された電子の Lorentz 振動子・局所場・正常分散と異常分散は光学と量子エレクトロニクス 第11章に、因果律から実部と虚部を結ぶ Kramers–Kronig の関係と総和則は光学と量子エレクトロニクス 第12章に、自由電子の Drude の誘電関数と金属の反射は光学と量子エレクトロニクス 第13章と第4部第2章にある。この章の最初の節はそこから何を借りるかをまとめる「つなぎ」で、残りの節では、バンドがあって初めて言えることに絞る。

この章で選ぶのは、周期ポテンシャルの中の電子1個に、光のベクトルポテンシャルを最小結合で入れた H^\hat H である。当てる道具は解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第4部第12章の Fermi の黄金律で、吸収の率から誘電関数の虚部 ε2(ω)\varepsilon_2(\omega) を出す(4.6.1節)。そこで、価電子帯から伝導帯への遷移が同じ k\bm{k} どうしの縦の遷移に限られ、ε2\varepsilon_2 が結合状態密度に比例することが分かる。出てくるものの第一は、吸収端の形が次元と臨界点の種類で決まることで、1次元の SSH 鎖・2次元のグラフェン・3次元の直接遷移と間接遷移の半導体を順に計算する(4.6.2節)。第二は、電子と正孔の Coulomb 引力を戻したときに吸収端の下に現れる水素原子型の線(Wannier 励起子)と、吸収端そのものが引力で持ち上がること(4.6.3節)である。第三は、誘電関数が 0 になる振動数で起きる縦の集団運動で、電子ではプラズモン(銀と銅の色)、イオンでは LO フォノンになり、Lyddane–Sachs–Teller の関係と赤外の反射帯が出る(4.6.4節)。そのあと削ったものを並べて近似の裏付けの札を貼り(4.6.5節)、実験で測る量と授業の式を並べ(4.6.6節)、まとめと総合問題で終える。

この章では、電子の電荷を −e-e(e>0e>0)、時間依存を e−iωt\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega t} とし(記法の正本の流儀)、誘電関数を εr(ω)=ε1(ω)+iε2(ω)\varepsilon_{\mathrm r}(\omega)=\varepsilon_1(\omega)+\mathrm{i}\varepsilon_2(\omega) と書く。屈折率は記法の正本どおり nn(複素屈折率 n~=n+iκ\tilde n=n+\mathrm{i}\kappa)で、伝導電子やドープしたキャリアの数密度は添字を付けて nen_{\mathrm e} と書く。1電子のバンドは εv(k)\varepsilon _{\mathrm v}(\bm{k})(価電子帯)と εc(k)\varepsilon _{\mathrm c}(\bm{k})(伝導帯)で、添字 1,21,2 の付いた ε1,ε2\varepsilon_1,\varepsilon_2 はつねに誘電関数の実部と虚部を表す。電子と正孔の換算質量は mrm_{\mathrm r} である。

借りるもの:誘電関数と光学定数

光の電場 E(r,t)=Re⁡[E0ei(q⋅r−ωt)]\bm{E}(\bm{r},t)=\operatorname{Re}[\bm{E}_0\mathrm{e}^{\mathrm{i}(\bm{q}\cdot\bm{r}-\omega t)}] に対して、物質の分極 P\bm{P} と電流 J\bm{J} がどれだけ応答するかを、比誘電率 εr(ω)\varepsilon_{\mathrm r}(\omega) にまとめる。電流を分極の時間微分とみなすと、伝導度 σ(ω)\sigma(\omega) とは εr(ω)=1+iσ(ω)/(ε0ω)\varepsilon_{\mathrm r}(\omega)=1+\mathrm{i}\sigma(\omega)/(\varepsilon_0\omega) で結ばれる(第4部第2章)。物質の中の光の波数は q=n~ω/cq=\tilde n\omega/c で、複素屈折率 n~=n+iκ\tilde n=n+\mathrm{i}\kappa は n~2=εr\tilde n^2=\varepsilon_{\mathrm r} から決まる。実部と虚部に分けると

ε1=n2−κ2,ε2=2nκ,α=2ωκc,R=∣n~−1n~+1∣2(4.6.1)\varepsilon_1=n^2-\kappa^2,\qquad \varepsilon_2=2n\kappa,\qquad \alpha=\frac{2\omega\kappa}{c},\qquad R=\Bigl|\frac{\tilde n-1}{\tilde n+1}\Bigr|^2\tag{4.6.1}

である。α\alpha は強度の吸収係数(強度が e−αz\mathrm{e}^{-\alpha z} で減る)、RR は垂直に入射した光の反射率である。吸収が弱く κ≪n\kappa\ll n のときは α≈ωε2/(nc)\alpha\approx\omega\varepsilon_2/(nc) で、吸収係数は ε2\varepsilon_2 に比例する。物質が単位時間・単位体積あたりに吸収するエネルギーは ⟨J⋅E⟩=12Re⁡σ ∣E0∣2=12ωε0ε2∣E0∣2\langle \bm{J}\cdot\bm{E} \rangle =\frac12\operatorname{Re}\sigma\,\lvert \bm{E}_0\rvert ^2=\frac12\omega\varepsilon_0\varepsilon_2\lvert \bm{E}_0\rvert ^2 なので、ε2\varepsilon_2 は「どれだけ吸うか」を、ε1\varepsilon_1 は「どれだけ位相を遅らせるか」を表す。

ε2(ω)\varepsilon_2(\omega) がすべての振動数で分かれば、ε1(ω)\varepsilon_1(\omega) は Kramers–Kronig の関係で決まり、

∫0∞ω ε2(ω) dω=π2 nalle2ε0m(4.6.2)\int_0^\infty\omega\,\varepsilon_2(\omega)\,\mathrm{d}\omega=\frac{\pi}{2}\,\frac{n_{\mathrm{all}}e^2}{\varepsilon_0m}\tag{4.6.2}

の総和則が成り立つ(nalln_{\mathrm{all}} は内殻まで含めた全電子の数密度)。この2つは光学と量子エレクトロニクス 第12章で因果律だけから導いた結果で、ここでは導き直さない。そこで、この章では ε2\varepsilon_2 だけを計算する。ε2\varepsilon_2 はエネルギーの吸収そのものなので、黄金律で数えることができる。

誘電関数を部分に分ける

実際の固体の εr(ω)\varepsilon_{\mathrm r}(\omega) は、応答する電荷の種類ごとに足し合わせた形

εr(ω)=1+χcore(ω)+χlat(ω)+χfree(ω)+χinter(ω)(4.6.3)\varepsilon_{\mathrm r}(\omega)=1+\chi_{\mathrm{core}}(\omega)+\chi_{\mathrm{lat}}(\omega)+\chi_{\mathrm{free}}(\omega)+\chi_{\mathrm{inter}}(\omega)\tag{4.6.3}

に書ける。χcore\chi_{\mathrm{core}} は内殻電子で、共鳴が X 線の領域にあるので可視光では正の定数とみなすことができる。χlat\chi_{\mathrm{lat}} はイオンの振動(光学フォノン)で、共鳴は赤外にある。χfree\chi_{\mathrm{free}} はバンドの中を動ける電子(金属の伝導電子・ドープした半導体のキャリア)で、Drude の形 −ωp2/(ω(ω+i/τ))-\omega_{\mathrm p}^2/(\omega(\omega+\mathrm{i}/\tau)) を持つ(第4部第2章)。最後の χinter\chi_{\mathrm{inter}} が、価電子帯から伝導帯への遷移、すなわちバンド間遷移による部分で、絶縁体と半導体の可視・紫外の吸収はこれで決まる。振動子の模型では χinter\chi_{\mathrm{inter}} を1つの Lorentz 振動子で代用したが、固体では遷移のエネルギーが k\bm{k} ごとに違うので、共鳴が連続に並ぶ。その並び方を数えるのがこの章の仕事である。

ある振動数の範囲より上にある共鳴は、その範囲では正の定数の分極として現れる。そこで、注目する電荷以外のすべてによる比誘電率を背景の比誘電率 εb\varepsilon_{\mathrm b} と呼ぶ。たとえば赤外の光学フォノンを見るときはバンド間遷移と内殻を εb\varepsilon_{\mathrm b} に入れ、伝導電子のプラズマ振動を見るときは d バンドからの遷移などを εb\varepsilon_{\mathrm b} に入れる。特にフォノンより十分上でバンド間遷移より十分下の値を εr(∞)\varepsilon_{\mathrm r}(\infty)、フォノンより十分下の値を εr(0)\varepsilon_{\mathrm r}(0) と書く(第3部第1章の記号)。

選ぶ H^\hat H

この章で選ぶのは、電子1個の Hamiltonian

H^=(p^+eA(r^,t))22m+Ucr(r^)≈H^cr+emA(r^,t)⋅p^(4.6.4)\hat H=\frac{\bigl(\hat{\bm{p}}+e\bm{A}(\hat{\bm{r}},t)\bigr)^2}{2m}+U_{\mathrm{cr}}(\hat{\bm{r}}) \approx\hat H_{\mathrm{cr}}+\frac{e}{m}\bm{A}(\hat{\bm{r}},t)\cdot\hat{\bm{p}}\tag{4.6.4}

である。UcrU_{\mathrm{cr}} は結晶の周期ポテンシャルで、H^cr=p^2/(2m)+Ucr\hat H_{\mathrm{cr}}=\hat{\bm{p}}^2/(2m)+U_{\mathrm{cr}} は Bloch 状態 ∣nk⟩| n\bm{k} \rangle とバンド εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) で対角化される(第2部)。光の場は Coulomb ゲージ ∇⋅A=0\nabla\cdot\bm{A}=0 のベクトルポテンシャルで入れ、E=−∂A/∂t\bm{E}=-\partial\bm{A}/\partial t である。電子の電荷が −e-e なので運動量は p^+eA\hat{\bm{p}}+e\bm{A} になる(記法の正本の最小結合 p^−qA\hat{\bm{p}}-q\bm{A} で q=−eq=-e)。2行目では A\bm{A} の2次の項 e2A2/(2m)e^2A^2/(2m) を落とした。この項は電子の状態を変えずにエネルギーを一様にずらすだけで(長波長では A\bm{A} が電子の位置によらないため)、弱い光の線形応答には寄与しない。Coulomb ゲージでは p^⋅A=A⋅p^\hat{\bm{p}}\cdot\bm{A}=\bm{A}\cdot\hat{\bm{p}} なので、相互作用は H^int=(e/m)A⋅p^\hat H_{\mathrm{int}}=(e/m)\bm{A}\cdot\hat{\bm{p}} の1項になる。電子どうしの相互作用(電子と正孔の引力・局所場)と格子の振動はこの H^\hat H に入れていない。前者は4.6.3節で、後者は4.6.4節と間接遷移の項で戻す。

当てる道具:黄金律から ε2\varepsilon_2 へ

光を A=Re⁡[A0ei(q⋅r−ωt)]\bm{A}=\operatorname{Re}[\bm{A}_0\mathrm{e}^{\mathrm{i}(\bm{q}\cdot\bm{r}-\omega t)}]、A0=A0e\bm{A}_0=A_0\bm{e}(e\bm{e} は偏りの単位ベクトル)とおくと、E0=iωA0\bm{E}_0=\mathrm{i}\omega\bm{A}_0 である。H^int\hat H_{\mathrm{int}} のうち e−iωt\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega t} で振動する部分 e2mA0eiq⋅r^e⋅p^\frac{e}{2m}A_0\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{q}\cdot\hat{\bm{r}}}\bm{e}\cdot\hat{\bm{p}} がエネルギー ℏω\hbar\omega を電子に渡す吸収を起こす。解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第4部第12章の黄金律から、占められた ∣vk⟩| \mathrm v\bm{k} \rangle から空いた ∣ck′⟩| \mathrm c\bm{k}' \rangle への遷移の率は

wvk→ck′=2πℏ(eA02m)2∣⟨ck′∣eiq⋅r^ e⋅p^∣vk⟩∣2 δ(εc(k′)−εv(k)−ℏω)w_{\mathrm{v}\bm{k}\to\mathrm{c}\bm{k}'}=\frac{2\pi}{\hbar}\Bigl(\frac{eA_0}{2m}\Bigr)^2\bigl|\langle \mathrm c\bm{k}' | \mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{q}\cdot\hat{\bm{r}}}\,\bm{e}\cdot\hat{\bm{p}} | \mathrm v\bm{k} \rangle \bigr|^2\,\delta\bigl(\varepsilon _{\mathrm c}(\bm{k}')-\varepsilon _{\mathrm v}(\bm{k})-\hbar\omega\bigr)

である。

行列要素の中の Bloch 関数は eik⋅runk(r)\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}}u_{n\bm{k}}(\bm{r}) の形で、uu は格子周期を持つ。結晶の全体で積分すると、ei(k+q−k′)⋅r\mathrm{e}^{\mathrm{i}(\bm{k}+\bm{q}-\bm{k}')\cdot\bm{r}} の位相がそろうところだけが残り、k′=k+q\bm{k}'=\bm{k}+\bm{q}(逆格子ベクトルの差を除いて)になる。光の波数 q=2πn/λq=2\pi n/\lambda は可視光で 107 m−110^7\,\mathrm{m^{-1}} の程度で、Brillouin 域の大きさ π/a∼1010 m−1\pi/a\sim10^{10}\,\mathrm{m^{-1}} の 10−310^{-3} ほどしかない(第2部第9章の例題で GaAs について 6.5×10−46.5\times10^{-4} と見積もった)。そこで q→0\bm{q}\to0 とおき、eiq⋅r→1\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{q}\cdot\bm{r}}\to1 とする(長波長近似)。これで遷移は同じ k\bm{k} の価電子帯から伝導帯へ、バンド図の上で真上へ向かう縦の遷移(直接遷移)に限られる。行列要素を

pcv(k)≔⟨ck∣p^∣vk⟩(4.6.5)\bm{p}_{\mathrm{cv}}(\bm{k})\coloneqq\langle \mathrm c\bm{k} | \hat{\bm{p}} | \mathrm v\bm{k} \rangle\tag{4.6.5}

と書く。

吸収されるエネルギーは、遷移の率に ℏω\hbar\omega を掛けて、価電子帯のすべての k\bm{k} とスピンについて足したものである。単位体積あたりにして 12ωε0ε2∣E0∣2\frac12\omega\varepsilon_0\varepsilon_2\lvert \bm{E}_0\rvert ^2 と等しいとおき、∣A0∣2=∣E0∣2/ω2\lvert A_0\rvert ^2=\lvert E_0\rvert ^2/\omega^2 を使うと

ε2(ω)=πe2ε0m2ω2⋅2∫BZd3k(2π)3 ∣e⋅pcv(k)∣2 δ(εc(k)−εv(k)−ℏω)(4.6.6)\varepsilon_2(\omega)=\frac{\pi e^2}{\varepsilon_0m^2\omega^2}\cdot2\int_{\mathrm{BZ}}\frac{\mathrm{d}^3k}{(2\pi)^3}\,\bigl|\bm{e}\cdot\bm{p}_{\mathrm{cv}}(\bm{k})\bigr|^2\,\delta\bigl(\varepsilon _{\mathrm c}(\bm{k})-\varepsilon _{\mathrm v}(\bm{k})-\hbar\omega\bigr)\tag{4.6.6}

を得る(先頭の 22 はスピン、∑k→V∫d3k/(2π)3\sum_{\bm{k}}\to V\int\mathrm{d}^3k/(2\pi)^3)。ここで T=0T=0 として価電子帯は満ち、伝導帯は空としたので、放出の項(伝導帯から価電子帯へ)は無い。価電子帯と伝導帯が何本もあるときは、すべての組 (v,c)(\mathrm v,\mathrm c) について足す。

結合状態密度

行列要素が k\bm{k} によらない(あるいは吸収端の近くでゆっくりしか変わらない)とき、式 (4.6.6) は

ε2(ω)=πe2∣e⋅pcv∣2ε0m2ω2 Dcv(ℏω),Dcv(E)≔2∫BZd3k(2π)3 δ(εc(k)−εv(k)−E)(4.6.7)\varepsilon_2(\omega)=\frac{\pi e^2\lvert \bm{e}\cdot\bm{p}_{\mathrm{cv}}\rvert ^2}{\varepsilon_0m^2\omega^2}\,D_{\mathrm{cv}}(\hbar\omega),\qquad D_{\mathrm{cv}}(E)\coloneqq2\int_{\mathrm{BZ}}\frac{\mathrm{d}^3k}{(2\pi)^3}\,\delta\bigl(\varepsilon _{\mathrm c}(\bm{k})-\varepsilon _{\mathrm v}(\bm{k})-E\bigr)\tag{4.6.7}

になる。Dcv(E)D_{\mathrm{cv}}(E) は、2つのバンドのエネルギー差 εc−εv\varepsilon _{\mathrm c}-\varepsilon _{\mathrm v} を1本の「バンド」とみなしたときの状態密度で、結合状態密度(joint density of states)と呼ぶ。第2部第6章の状態密度 D(ε)D(\varepsilon ) の式で εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) を εc(k)−εv(k)\varepsilon _{\mathrm c}(\bm{k})-\varepsilon _{\mathrm v}(\bm{k}) に置き換えたものなので、そこで調べた van Hove 特異点の分類がそのまま当てはまる。

吸収の大きさを表す無次元の量として、振動子強度 fcv(k)=2∣e⋅pcv∣2/(m(εc−εv))f_{\mathrm{cv}}(\bm{k})=2\lvert \bm{e}\cdot\bm{p}_{\mathrm{cv}}\rvert ^2/(m(\varepsilon _{\mathrm c}-\varepsilon _{\mathrm v})) を使うことも多い。式 (4.6.6) に ω\omega を掛けて積分すると πe22ε0m⋅1V∑fcv\frac{\pi e^2}{2\varepsilon_0m}\cdot\frac1V\sum f_{\mathrm{cv}} になり、総和則 (4.6.2) は「振動子強度の和が電子の数になる」ことを言っている。Lorentz 振動子の模型の振動子強度は、この fcvf_{\mathrm{cv}} を1つの共鳴に寄せ集めたものにあたる。

例題 4.6.1 誘電関数から吸収係数と反射率へ ★★

オリジナル光子のエネルギー ℏω=1.5 eV\hbar\omega=1.5\,\mathrm{eV} の光について、次の2つの物質の nn、κ\kappa、吸収係数 α\alpha、侵入長 1/α1/\alpha、垂直入射の反射率 RR を求めよ。

  1. (1) 吸収端のすぐ下の半導体を想定した εr=12+0.1i\varepsilon_{\mathrm r}=12+0.1\mathrm{i}。弱い吸収の近似 α≈ωε2/(nc)\alpha\approx\omega\varepsilon_2/(nc) とも比べよ。
  2. (2) 金属を想定した εr=−20+1.5i\varepsilon_{\mathrm r}=-20+1.5\mathrm{i}。
解答

ω=1.5 eV/ℏ=2.28×1015 s−1\omega=1.5\,\mathrm{eV}/\hbar=2.28\times10^{15}\,\mathrm{s^{-1}} である。n~=εr\tilde n=\sqrt{\varepsilon_{\mathrm r}} の主値(κ≥0\kappa\ge0)を取る。

(1) n~=3.464+0.0144i\tilde n=3.464+0.0144\mathrm{i}。α=2ωκ/c=2.19×105 m−1\alpha=2\omega\kappa/c=2.19\times10^5\,\mathrm{m^{-1}}(2.19×103 cm−12.19\times10^3\,\mathrm{cm^{-1}})、侵入長 1/α=4.56 μm1/\alpha=4.56\,\mathrm{\mu m}、R=∣(n~−1)/(n~+1)∣2=0.305R=\lvert (\tilde n-1)/(\tilde n+1)\rvert ^2=0.305。ωε2/(nc)\omega\varepsilon_2/(nc) からも同じ値が4桁まで得られる。ε2\varepsilon_2 が ε1\varepsilon_1 の 1% にも満たないのに、数 μm\mathrm{\mu m} で光が 1/e1/\mathrm{e} に減る。反射率はほぼ ε1\varepsilon_1 だけで決まり、((12−1)/(12+1))2((\sqrt{12}-1)/(\sqrt{12}+1))^2 に近い。

(2) n~=0.168+4.48i\tilde n=0.168+4.48\mathrm{i}。α=6.80×107 m−1\alpha=6.80\times10^7\,\mathrm{m^{-1}} で侵入長は 14.7 nm14.7\,\mathrm{nm}、R=0.969R=0.969。ε1<0\varepsilon_1<0 では n~\tilde n がほとんど純虚数になり、光は数十 nm で減衰し、ほとんど反射される。吸収(ε2\varepsilon_2)が (1) より大きいのに反射率が高いのは、光が中へ入れず、吸収される前に跳ね返されるからである。

ほかの巻では

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