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この章で取り出すもの:平面波と束縛の無い電子

2026年10月15日11分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第13章 Drude と金属
目次
  1. モード・物質・結合の選び方
  2. 運動方程式から誘電関数へ
  3. Lorentz 振動子との関係
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第13章 §13.1 ★★★ モードは平面波1つ、物質は衝突で減衰する自由電子の気体、結合は電場の力。運動方程式1本から誘電関数 εr=εb−ωp2/(ω(ω+iγ))\varepsilon_{\mathrm r}=\varepsilon_{\mathrm b}-\omega_{\mathrm p}^2/(\omega(\omega+\mathrm{i}\gamma)) が出る

第11章(第11章)では、物質の電子を原子に束縛された振動子とみなし、共鳴の角周波数 ω0\omega_0 のまわりの分散と吸収を Lorentz 振動子の誘電関数で書いた。金属の伝導電子は原子に束縛されていない。束縛の無い電子は、ばねの無い振動子、つまり Lorentz 振動子で ω0→0\omega_0\to0 とした極限で表すことができる。この章は、その1つの式(Drude の誘電関数)から金属の光学応答のおもな性質がどこまで出るかを確かめる。

出てくるものは3つある。第一に、周波数を上げていくと金属の応答は3つの帯に分かれる。電子の衝突が頻繁に起きる低い周波数では、反射率が直流の伝導度だけで決まる(Hagen–Rubens の関係)。衝突の頻度より高くプラズマ周波数 ωp\omega_{\mathrm p} より低い帯では、反射率は周波数によらず 11 に近く、光は表皮の深さ c/ωpc/\omega_{\mathrm p} の層にしか入らない。ωp\omega_{\mathrm p} を超えると金属は透明になる。第二に、誘電関数が 00 になる周波数 ωp\omega_{\mathrm p} では、電子の気体全体が縦に振動する。アルカリ金属が紫外で透明になることと、電離層が短波を反射することは、同じ式から出る。第三に、金と銀と銅の色は自由電子だけでは説明できず、満ちた d バンドからのバンド間遷移を足して初めて出る。銀ではその遷移が紫外で始まるので可視光をほぼ一様に反射し、金と銅では可視の青の側で始まるので青を反射しにくい。バンド間遷移を結晶のバンドから数える話は、ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第4部第6章に送る。この章では、その遷移を誘電関数の虚部の1つの段として模型に入れ、実部は第12章の Kramers–Kronig の関係で作る。

モード・物質・結合の選び方

この巻の各章は、どの場のモードを取り出し、物質をどうモデル化し、どう結合させ、何を近似したかで読む(第1章の表)。この章の選び方は次のとおりである。

場のモードは、角周波数 ω\omega の平面波1つである。物理量は §1 の流儀どおり E(r,t)=Re⁡[E0ei(k⋅r−ωt)]\bm{E}(\bm{r},t)=\operatorname{Re}[\bm{E}_0\mathrm{e}^{\mathrm{i}(\bm{k}\cdot\bm{r}-\omega t)}] と書き、複素振幅だけで計算する。波長は金属の原子間隔や電子の平均自由行程より十分長いとし、電子が感じる電場は空間的に一様とみなす(この仮定は 13.6 節で見直す)。

物質のモデルは、数密度 nen_{\mathrm e} の伝導電子の気体である。電子は原子に束縛されず、時間 τ\tau に1回の割合で格子の振動や不純物と衝突して運動量を失う。衝突の割合を γ=1/τ\gamma=1/\tau と書く。伝導電子以外の電子(内殻と、満ちたバンドの電子)の応答は、まとめて背景の比誘電率 εb\varepsilon_{\mathrm b} に入れる。屈折率 nn と同じ章に出るので、電子の数密度には添字を付けて nen_{\mathrm e} と書く。ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第4部第2章は屈折率の出ない章なので、数密度を nn、衝突の割合を 1/τ1/\tau のまま書き、プラズマ振動数を ωp2=ne2/(ε0m∗)\omega_{\mathrm p}^2=ne^2/(\varepsilon_0m^*) と有効質量で書く。この章の nen_{\mathrm e}・γ\gamma・mm がそれぞれに当たる。

結合は、電場が電子に及ぼす力 −eE-e\bm{E} である。磁場の力 −ev×B-e\bm{v}\times\bm{B} は、電子の速さ vv が光速 cc より十分小さいので、電場の力の v/cv/c 倍として捨てる。

運動方程式から誘電関数へ

電子1個の平均の速度 v\bm{v} は、衝突による減衰を摩擦の項で表した運動方程式

mdvdt=−eE−mτv(13.1)m\frac{\mathrm{d} \bm{v}}{\mathrm{d} t}=-e\bm{E}-\frac{m}{\tau}\bm{v}\tag{13.1}

に従う。この方程式は P. Drude が 1900 年に金属の電気伝導の模型として書いたものである1P. Drude (1900), Annalen der Physik 306, 566.下の脚注へ。(13.1) は、衝突の直後に電子の速度の向きがでたらめになると考え、その平均を摩擦に置き換えた式である。導出の正当化は 解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第3部第8章と ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第4部第2章の Boltzmann 方程式で行った。時間依存を e−iωt\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega t} と置くと d/dt→−iω\mathrm{d}/\mathrm{d} t\to-\mathrm{i}\omega なので、

v=−eτmE1−iωτ,J=−neev=σ(ω)E,σ(ω)=σ01−iωτ,σ0=nee2τm\bm{v}=-\frac{e\tau}{m}\frac{\bm{E}}{1-\mathrm{i}\omega\tau},\qquad \bm{J}=-n_{\mathrm e}e\bm{v}=\sigma(\omega)\bm{E},\qquad \sigma(\omega)=\frac{\sigma_0}{1-\mathrm{i}\omega\tau},\quad \sigma_0=\frac{n_{\mathrm e}e^2\tau}{m}

を得る。σ0\sigma_0 は直流の伝導度である。

伝導電子の電流と背景の分極の両方を1つの誘電関数にまとめる。Maxwell 方程式 ∇×H=J+∂Db/∂t\nabla\times\bm{H}=\bm{J}+\partial\bm{D}_{\mathrm b}/\partial t で Db=ε0εbE\bm{D}_{\mathrm b}=\varepsilon_0\varepsilon_{\mathrm b}\bm{E} とすると、右辺は (σ−iωε0εb)E(\sigma-\mathrm{i}\omega\varepsilon_0\varepsilon_{\mathrm b})\bm{E} になる。これを −iωε0εrE-\mathrm{i}\omega\varepsilon_0\varepsilon_{\mathrm r}\bm{E} と書くと

εr(ω)=εb+iσ(ω)ε0ω(13.2)\varepsilon_{\mathrm r}(\omega)=\varepsilon_{\mathrm b}+\frac{\mathrm{i}\sigma(\omega)}{\varepsilon_0\omega}\tag{13.2}

である。伝導電流と分極電流は、交流では区別のつかない同じ電流で、どちらに数えるかは書き方の約束にすぎない。(13.2) はその約束の換算式である。σ(ω)\sigma(\omega) を代入すると、Drude の誘電関数

εr(ω)=εb−ωp2ω(ω+iγ),ωp2=nee2ε0m(13.3)\varepsilon_{\mathrm r}(\omega)=\varepsilon_{\mathrm b}-\frac{\omega_{\mathrm p}^2}{\omega(\omega+\mathrm{i}\gamma)},\qquad \omega_{\mathrm p}^2=\frac{n_{\mathrm e}e^2}{\varepsilon_0m}\tag{13.3}

が出る。ωp\omega_{\mathrm p} をプラズマ周波数と呼ぶ。実部と虚部を εr=ε1+iε2\varepsilon_{\mathrm r}=\varepsilon_1+\mathrm{i}\varepsilon_2 と書くと

ε1(ω)=εb−ωp2ω2+γ2,ε2(ω)=γ ωp2ω(ω2+γ2)(13.4)\varepsilon_1(\omega)=\varepsilon_{\mathrm b}-\frac{\omega_{\mathrm p}^2}{\omega^2+\gamma^2},\qquad \varepsilon_2(\omega)=\frac{\gamma\,\omega_{\mathrm p}^2}{\omega(\omega^2+\gamma^2)}\tag{13.4}

である。この章では添字が数字の ε1,ε2\varepsilon_1,\varepsilon_2 を比誘電率の実部と虚部に限って使う。第10章(式 (10.17))と同じ使い方である。

ε1\varepsilon_1 は ω<ωp2/εb−γ2\omega<\sqrt{\omega_{\mathrm p}^2/\varepsilon_{\mathrm b}-\gamma^2} で負になる。負の誘電率は、電子が慣性のために電場と逆の位相で動き、電場を打ち消す向きの分極を作ることを表す。バネの無い振動子を共鳴より上の周波数で揺すると、変位は力と逆位相になる。金属では共鳴の周波数が 00 なので、γ\gamma より上のすべての周波数でこの逆位相の応答が起きる。

Lorentz 振動子との関係

第11章の Lorentz 振動子は、(13.1) の右辺に復元力 −mω02x-m\omega_0^2\bm{x} を足したものだった。同じ数密度の電子がすべて共鳴 ω0\omega_0 の振動子なら

εr(ω)=εb+ωp2ω02−ω2−iγω(13.5)\varepsilon_{\mathrm r}(\omega)=\varepsilon_{\mathrm b}+\frac{\omega_{\mathrm p}^2}{\omega_0^2-\omega^2-\mathrm{i}\gamma\omega}\tag{13.5}

で、ω0→0\omega_0\to0 とすると (13.3) に一致する。ここでの ωp\omega_{\mathrm p} は電子の数密度だけで決まる量で、金属でも絶縁体でも同じ形で定義される。

2つの式の差は低い周波数に集まる。静電場(ω=0\omega=0)に対する Lorentz 振動子の比誘電率は、有限の値 εb+ωp2/ω02\varepsilon_{\mathrm b}+\omega_{\mathrm p}^2/\omega_0^2 である。電子はばねの伸びの分だけずれて止まる。Drude の式は ω→0\omega\to0 で iσ0/(ε0ω)\mathrm{i}\sigma_0/(\varepsilon_0\omega) のように発散する。電子は止まらずに流れ続け、そのときの電流と電場の比が直流の伝導度である。逆に ω≫ω0\omega\gg\omega_0 では、復元力は慣性の力 mω2xm\omega^2x に比べて小さくなり、束縛された電子も自由な電子と同じに応答する。絶縁体の紫外での応答と金属の応答が、共鳴より高い周波数で同じ形になるのはこのためである。

例題 13.1 束縛の強さが見えなくなる周波数 ★★

オリジナルℏωp=9.0 eV\hbar\omega_{\mathrm p}=9.0\,\mathrm{eV}, εb=1\varepsilon_{\mathrm b}=1, γ→0\gamma\to0 とする。

  1. (1) 共鳴 ℏω0=0.5 eV\hbar\omega_0=0.5\,\mathrm{eV} の Lorentz 振動子 (13.5) と Drude の式 (13.3) の εr\varepsilon_{\mathrm r} を、ℏω=2.0 eV\hbar\omega=2.0\,\mathrm{eV} で比べよ。
  2. (2) 2つの εr−1\varepsilon_{\mathrm r}-1 の比を ω\omega と ω0\omega_0 で表し、比が 11 に近づく条件を述べよ。
  3. (3) 静電場での比誘電率を比べよ。
解答

(1) Lorentz は 1+81/(0.25−4)=1−21.6=−20.61+81/(0.25-4)=1-21.6=-20.6、Drude は 1−81/4=−19.251-81/4=-19.25 である。どちらも負で、差は 7 パーセントほどしかない。

(2) γ→0\gamma\to0 で εr−1\varepsilon_{\mathrm r}-1 は Lorentz が ωp2/(ω02−ω2)\omega_{\mathrm p}^2/(\omega_0^2-\omega^2)、Drude が −ωp2/ω2-\omega_{\mathrm p}^2/\omega^2 なので、比は

ω2ω2−ω02=43.75=1.067\frac{\omega^2}{\omega^2-\omega_0^2}=\frac{4}{3.75}=1.067

である。比が 11 に近づく条件は ω0≪ω\omega_0\ll\omega で、ずれは (ω0/ω)2(\omega_0/\omega)^2 の大きさである。2 eV2\,\mathrm{eV} の光は 0.5 eV0.5\,\mathrm{eV} の束縛を 6.76.7 パーセントの補正としてしか感じない。

(3) Lorentz は 1+81/0.25=3251+81/0.25=325 の有限の値、Drude は ω→0\omega\to0 で ε2=σ0/(ε0ω)\varepsilon_2=\sigma_0/(\varepsilon_0\omega) が発散する。静電場で区別できる絶縁体と金属が、光の周波数ではほとんど区別することができない。

1 P. Drude (1900), Annalen der Physik 306, 566.

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